「リネージュ2M」、火花を散らす2大血盟のトップに話を聞いた

　NCSOFTがサービス中のAndroid/iOS/PC（NCSOFTの独自クロスプラットフォーム「パープル（PURPLE）」を経由）用次世代オープンワールドRPG「リネージュ2M」。PC用MMORPG「リネージュ2」の正統後継作品としてモバイル向けにリメイクされたタイトルで、3Dグラフィックス技術によりシームレスなオープンワールドが実現されている。また多様性と自由度を兼ね備えた成長を楽しむことができるゲームデザインで、 1万人以上が集まり繰り広げられる大規模バトルを体験できる作品だ。

　本作の舞台になるアデン大陸には数え切れないほどのプレーヤーが冒険を繰り広げており、それぞれが異なる思惑を持って活動している。本作の魅力はプレーヤー同士、そしてプレーヤーの集合体である「血盟」から生まれるドラマにあると思う。

　「血盟」とは息のあうプレーヤー同士が家族より濃い血の繋がりを誓い合う組織であり、「リネージュ」シリーズではお馴染みの要素だ。ゲーム内では複数の血盟が生まれ、それぞれの思惑で活動する。そして複数の思惑が交錯する時に生まれるのが「争い」である。利益やプライドを賭けた様々な争い。それこそが「リネージュ2M」の最も魅力的なポイントだと筆者は感じている。

　そこで今回は筆者が実際にプレイしているサーバーにて、現在進行系でバチバチと火花を撒き散らしている2つの血盟の盟主に直接コンタクトをとった。筆者は彼らがお互いをよほど嫌っていて、そんな嫌っている相手に勝つためというのが「リネージュ2M」をプレイするモチベーションだと勝手に思っていた。だが話を聞いてみると想像とはまったく違って、仲間と「リネージュ2M」を楽しんでいる姿が見えてきた。

　ぜひこの興味深いエピソードを通じて、仲間とプレイする「リネージュ2M」の楽しさや魅力について興味を持っていただければ幸いだ。

火花を散らす2大勢力のトップに「リネージュ2M」の楽しさについて聞いた

　筆者は「リネージュ2M」で「ジグハルト03」というサーバーでプレイしている。サーバーオープン直後はあらゆる思惑を持った様々なプレーヤーが混ざり合い、カオスとしか言いようがない状況だったが、今はざっくりと2つの巨大勢力がぶつかりあっている様相だ。

　一つがDCSCAM氏が率いる「DC」血盟を中心に、「Conquistador」血盟、「Jammin」血盟から構成されるDC同盟、そしてぺこ太郎氏が率いる「AEGIS」血盟と、同盟を結ぶ「Archetyp」から構成されるAEGIS同盟だ。この2つの同盟は犬猿の仲というか、お互いに対立しているのが当たり前のように第三者からは見える。

　全体チャットを見たり、情報を聞き集めたりしている限りではこの2つの勢力がサーバーの中心になっている印象だ。なかなかその場に居合わせることはできないが、ボスモンスターが出現するエリアでは大規模戦闘を繰り広げているという。また狩場でもお互いの狩りを妨害しあうPvPが行なわれているのは筆者も見たことがある。両者ともに殺伐とした関係にある印象だ。

　そんな両者なのでお互いが相当に仲が悪く、憎しみにも近い感情を持っているのだと勝手に思い込んでいた。そこで実際のところどう思っているのか、どんな風に「リネージュ2M」を楽しんでいるかを直接聞いてみたかったのだ。

　今回はDCSCAM氏、ぺこ太郎氏に直接コンタクトをとりインタビューを実施させて頂いた。時間をとって対応いただいた両氏には改めて感謝を申し上げたい。

名実ともにこのサーバーのトップ血盟、同盟なのが「DC同盟」と「AEGIS同盟（反DC同盟）」だ

戦場で相まみえるDC同盟のDCSCAM氏とAEGIS同盟のぺこ太郎氏

　さて、DC血盟は韓国サーバーで「リネージュ2M」をプレイしていたDCSCAM氏と約9人のプレーヤーと共に始めたのがきっかけだという。そこから順調に規模を拡大し今は32人という大きな血盟に成長した。

　一方のAEGIS血盟は「リネージュ2」本家経験者でもあるぺこ太郎氏が別のゲームの知人と味見程度に始めたのがきっかけだ。だがDC血盟と違い当初はそれほどPvPやボス狩りなどに力を注ぐ予定はなかったとのこと。だが“あるきっかけ”で奮起することになり、今やドップリだという。

　そのきっかけがサーバーオープン2日目にDC同盟からもたらされた「ボス統制」発言だ。平たく言うと「我々（DC同盟）がこのサーバーのボスの権利を独り占めする」ということだ。「リネージュ2M」では決まったサイクルで決まった場所にボスが出現する。入手困難なレアアイテムをドロップするので、戦力を強化する意味でも、資産を築くためにも、様々な理由でいかにボスを狩れるかはゲーム上重要なポイントだ。そのボスを独占するというのだから平穏ではない。

　そこで立ち上がったのがぺこ太郎氏を始めとするAEGIS同盟だ。「当初はDC同盟に反発する人も多く、人数を集めれば圧勝できるのでは」と考えていたぺこ太郎氏はプレーヤー達に呼びかけた。だが圧勝と言えるほどの数は集められず、また集まった同盟の血盟も降伏しDC側に寝返ってしまうなど、なかなか一筋縄ではいかなかったようだ。

「リネージュ2M」ではボスを狩れるか狩れないかが非常に重要だ。ボスを定期的に狩ることで戦力的にも資産的にもアドバンテージを作れる

　これは両者の主観だが、現在の戦力状況についてDC同盟は「接続プレーヤー数が多い夕方頃は大規模戦闘が発生しており、ボスは大体狩れている」、AEGIS同盟は「最初は全然敵わなかったものの、徐々に当たれるようになってきました」とのことで、DC同盟側が若干有利に運んでいるものの、かなり拮抗した戦況になっているようだ。

　実は筆者も両者がぶつかりあっている現場に実際に居合わせたことがあるのだが、どちらの同盟にもエース級のメンバーが所属しており、彼らの活躍で戦況は動く。だが人数が集まってくると数の力でプレーヤーのスペックを逆転させることもできるので、そこで戦況が変化することもあるようだ。

　そういった具合に日々ボスが出現するエリアを中心にバチバチとぶつかりあっている両者だが、印象的なエピソードを聞いたところDCSCAM氏から「スタン」という巨人の痕跡に出現するボスで起きたエピソードが語られた。

　なんでもある日「スタン」を巡って争っていた際、このときは朝の時間帯で接続メンバーが少なく（DC同盟4名に対し、AEGIS同盟は8名）、DC同盟はボスを奪われそうになっていたという。しかし、ボスの状態異常攻撃を誘導して、DC同盟がAEGIS同盟から27キルを奪ったのだという。最終的にボスを倒すことはできなかったとのことだが、この結果にはDC同盟のモチベーションが大きく上がっただろうし、AEGIS同盟が意気消沈したのは間違いないだろう。

ボスの出現エリアではお互いのメンバーが集まって大規模戦に発展することが多いのだという。同じくらいのキャラクターの強さなら数が多いほうが勝てるが、エース級のメンバーは人数不利をひっくり返すくらいの強さもあるのだという

　こういったエピソードを見聞きしていたので、両者ともに憎しみにも近い敵対関係を感じていて、ある種殺伐と「リネージュ2M」をプレイしているのでは？　と思っていた。だが話を聞いて意外だったのが両者ともに本作を仲間と深く楽しんでいるということだ。

　DCSCAM氏からは「普段会う機会が少ない外国人とコミュニケーションを取り、戦闘もし、BOSSも取り、冗談も言い、一味違った経験をするようになって毎日が楽しいです」と心強い仲間がいて、手強いライバルがいる状況を楽しんでいることを語ってくれた。

　ぺこ太郎氏からは「（「リネージュ2M」が面白いのは）絶妙に不便・不親切に作られているところですかね。何のステータスなのかいまだにわからないものもたくさんありますし、仲間と暗中模索しながら遊べるのが楽しいです。」と語られた。まだサービスが始まって間もないので、踏破出来ていないコンテンツに挑戦したり、不明点などを試行錯誤して潰していくような遊び方をしているのだろう。

　両者印象的だったのが今の目標に関して「目標は血盟員、また同盟員が一緒に楽しくゲームすることです。」（DCSCAM氏）、「血盟戦力を増強しつつ、楽しくPvPを続けられればいいですね」（ぺこ太郎氏）と“楽しむ”ことを意識しているのが印象的だった。

　第三者的な視点で見ると本気で憎しみ合っているというか、バチバチに感情をぶつけあっているように見えていたのだが、恐らくそれはロールプレイの一つで、根底にあるのは「血盟」のメンバーと共に「リネージュ2M」を楽しみたい気持ち、そこに尽きるのであろう。

　最後に今後の目標を聞いたところ、DCSCAM氏からは「『リネージュ』と言ったら、やはり攻城戦を目標にするべきじゃないですか！それからやっぱりワールド同盟を構成してワールド攻城戦も狙ってみたいです！」と今後実装されるであろう攻城戦に対する熱意を聞くことができた。ぺこ太郎氏からも「いろいろ勝つ！」とのことで、この“色々”にはボスや攻城戦など様々な意図が込められているのだと思う。

血盟のメンバーと協力して目標を達成する、それが「リネージュ2M」を楽しむコツなのかもしれない

　今回はジグハルト03で覇権を握る2大勢力の代表者に話を聞いてみたが、ロールプレイの一環として敵対するような行動を取っている一方で、お互いをリスペクトしていることも話してくれた。また敵対勢力がいるからこそ、仲間の結束が強くなるという面もあるのだろう、まさに血の繋がりより濃い「血盟」の関係である。

　今は主にボスの利権の奪い合いを中心とした戦いがメインとなっているが、今後攻城戦などが実装されていくと様相はカオスさを増していくのは間違いない。もしまだ血盟に所属していない方がいたら、ぜひ血盟に所属し、深く信頼のおける仲間と共に戦う面白さを感じて欲しい。