インタビュー
「GUNDAM EVOLUTION」開発者インタビュー
ガンダムと対戦型シューター双方のファンを受け入れる本格的FPSとして世界展開を目指す
2021年7月16日 12:00
- 【GUNDAM EVOLUTION】
- 2022年リリース予定
- 価格:基本プレイ無料
- 8月8・9日 国内PC版クローズドβテスト実施
- テスター募集期間:7月15日~8月2日12時
バンダイナムコオンラインは、人気アニメ「ガンダム」シリーズ作品をモチーフとしたチーム対戦シューター「GUNDAM EVOLUTION(ガンダム エボリューション)」を、7月15日に正式発表した。
「ガンダムチームシューター」と銘打たれた本作は、ガンダムシリーズに登場するモビルスーツが主観視点の6対6のチーム対戦を繰り広げるという内容で、基本無料・アイテム課金のスタイルで2022年のサービス開始を目標に開発が進められている。ゲーム固有のストーリーや設定などはあえて設けず、純粋に機体の特徴を生かした対戦ゲームとしての完成度を追求していて、登場する機体も対戦準拠でチョイスされ、対戦中は乗り換えも可能という、ガンダムシリーズのゲームとしては異色の内容となっている。
本作の対応プラットフォームや対象エリアは未定だが、今回は第一段階として国内PC版クローズドβテスト参加者を募集するとのことで、それが8月8日よりスタートとなる。まもなく始まるこのCBTに向け、本作「GUNDAM EVOLUTION」の開発陣を直撃し、その開発経緯やゲームのポイントなどを聞いてみた。
ガンダムのオンラインゲームを世界に羽ばたかせるための第1弾タイトル
――ガンダムシリーズをモチーフとした、チーム対戦シューターという、異色のゲームシステムが話題の本作ですが、今回こういうゲームシステムのもとにガンダムゲームを企画することとなった経緯からお聞かせください。
丸山氏:これまで弊社でもいくつかのガンダムシリーズをモチーフとしたオンラインゲームのタイトルをサービスしていますが、それらは日本とアジアの一部エリアで展開することが多く、それ以外のより広いワールドワイドなエリアに対してガンダムのオンラインゲームを届けたいというのが最初の動機でした。
――これまでは日本とアジアだけの展開だったんですか。ちょっと意外ですね。
丸山氏:オンラインゲームはユーザーとコミュニケーションを取りながら、日々更新してサービスすることもあり、具体的には日本、中国、台湾、香港、マカオといったガンダムが浸透したエリアへのサービスが中心でした。ガンダムは40年以上歴史のある日本発のアニメとして、ワールドワイドにファンの方がいるシリーズなので、当然ゲームとしても世界にサービスを広げたいという思いがあったんです。
それともう一つは、新しいジャンルに挑戦して新しいファンを獲得するという目的もあるんです。対戦ゲームが好きな若い人や、これまでガンダムゲームをあまり遊んでこられなかった方にもサービスしていくことを考えて、FPSのチームシューターというジャンルを選びました。
――ゲームのバックストーリーなどは特に設定されていないそうですね。
丸山氏:はい、そこはあえて用意していません。すでに「ガンダム」作品というバックボーンがあるので、今回は「モビルスーツ」の特徴にスポットを当てて、それらを生かして協力しながら戦うタイトルを目指しています。なので余分なオリジナルのストーリーなどはないんです。ガンダムシリーズを知らない人にとっては、原作準拠のストーリーはハードルになってしまう可能性もありますし。ゲームをプレイしてくれた方がアニメ作品「ガンダム」シリーズを観て、作品を楽しんでいただけるようになると嬉しいですね。
――具体的なゲームルールはどのようなものになるのでしょうか。
丸山氏:基本は6対6のチームシューターとなります。本作はプレイヤーが操作するMSの特徴を強く意識して開発をしていて、実装するMSもなるべく特徴のある機体をチョイスして、その持ち味を生かした戦い方することで有利になるバランスになっています。バトル中に機体の乗り換えることも可能だけど、チーム内では同じ機体には乗れないといった制約を設けて、公平性や競技性を担保した3つの対戦ルールのもとに対戦を行います。
――3つのルールというのはどのようなものですか?
穂垣氏:一つめの「ポイントキャプチャー」は攻守に分かれて、攻撃側がエリアを制圧し、防衛側はそれを防衛するというルールで、攻守を入れ替えて達成状況を競います。二つめは「ドミネーション」で、マップ上に目標となるそのエリアが3つ存在していて、そのうち1つがアクティブ化され、そのエリアを制圧するのが目的となります。アクティブなエリアは一定時間で変わっていくので、そのタイミングを見極めるのが重要なルールです。そして最後が「デストラクション」で、このルールも攻守に分かれて、攻撃側は相手側の目標物の破壊が目的で、防衛側は自陣の目標物を破壊されないように守るという戦いが展開します。
――ルールによって戦術がかなり変わりそうですね。
穂垣氏:はい、戦術に限らず、マップの構造などもルールに紐付いて変えているので、戦術はもちろん、得意とする機体や構造を生かすスキルなども変わりますね。
――マップはガンダムシリーズの舞台などが登場するんですか?
穂垣氏:そこもストーリーと同じく、あえて特定の世界観は持たせていないんです。ルールごとのエリアや破壊目標などにも特別な名前は付けず、ゲーム的な解釈で認識していただく設定となります。
世界観にこだわるとどうしてもガンダムを知っている人のルールに偏ってしまうんです。そうすると知識がない人は戶惑ってしまう可能性もありますからね。できるだけ多くの人に遊んでいただくためにそうしており、F2Pのモデルにしているのもまずは手にとって遊んでいただくため、間口を広げるための、ゲームデザインですね。
対戦で個性を生かせるモビルスーツをチョイス。CBTでは12体が登場予定
――チーム対戦シューターというルールにおいて登場するMSは、それぞれどんな特徴を持っているんでしょうか。
丸山氏:機体はその特徴を際立たせるためにメインウェポンは固定ですが、スキルなどで戦い方の幅を持たせられるようにしています。
――今回のCBTでは、何種ぐらいの機体が登場するのでしょうか。
丸山氏:正式サービス時の機体数は未定ですが、CBTでは12体が登場します。このチョイスも単純に人気や強さではなく、それぞれの機体の持つ特徴を踏まえてのものですね。
――アッシマーやペイルライダーなど、結構マニアックな機体も登場していますね。
丸山氏:主人公機や人気機体だけを優先してしまうと、どうしてもガンダムが中心になってしまいますからね。今回は機体の特色を持ち味として、戦況に応じて乗り換えながら遊ぶという仕組みなので、他のタイトルとは選択の基準も違うと思います。
穂垣氏:ぱっと見たときに、あまり似たように感じないシルエットの機体を選んでいるというのもあります。ガンダムをあまり詳しくない人が遊んだときに、「これとこれは一緒じゃない?」と思われないようにしたい意図もあるんですよね。
丸山氏:ガンダムをまったく知らない人でも、「メカチームシューター」として最初の直感でもプレイできるよう、見た目が特徴的な機体は優先度を高くしましたね。ガンダムは知っているけどアニメは見ていないという若いユーザーの方もいらっしゃるかと思うので、このゲームをきっかけにいろんな機体に詳しくなって、最終的にアニメを見てもらうところまで行き着けば、我々としては理想的ですね。
穂垣氏:ガンダムからこのジャンルに入っていただく方と、このジャンルからガンダムゲームに入っていただく方、両方の軸を大事にしていきたいというのが本作の開発意図なんです。FPSが上手い人は、自分の腕前を発揮できるような機体を好む傾向があると思うので、ジム・スナイパーIIのようなFPS的な面白さを持つ機体もいますし、逆にガンダムだからやってみようというFPS初心者の方のために、オートロックオンや範囲攻撃などを持った、正確な射撃ができなくてもチームに貢献ができるような機体も存在します。
――例えば今回のCBTでラインナップされた機体で、初心者向けの機体はどのあたりなんでしょうか?
穂垣氏:ガンタンクなどは初心者向けの機体ですね。メインのボップミサイルは、レティクルを大きめに設定していて、範囲内に入れて撃てばヒットするので、正確な射撃ができなくてもダメージを与えられるんです。より上手い方なら、敵が固まっているところにキャノン砲を撃てるとか、瀕死の相手を確実に倒すとか、ガンタンクを使うことで上手くなっていけるような振り幅も設けています。
――逆に上級者向けの機体はどのあたりなんでしょうか。
穂垣氏:例えばガンダム・バルバトスは、メイスと刀による近接戦闘重視の機体で、移動性能に特化させつつ、相手の正面にあるシールド効果を無効化して直接体力にダメージを与えられたり、スタン効果をもたらしたりするという、切り込み隊⻑的な存在となる上級者向けの機体です。こうした機体の特徴はマップの形状などにも影響を受けますので、そこは上手く乗り換えて、適材適所の機体を使っていただくのがいいと思います。
――同ジャンルのチームシューターですと、キャラクターにアタッカーやヒーラー、タンクといった、ロール的な役割が盛り込まれているものがありますが、本作にはそういった要素はあるんですか?
穂垣氏:この「GUNDAM EVOLUTION」に関しては、機体に対するロールは持たせていません。プレイヤーの方には好きな機体を使ってほしいという思いもあって、「この機体がいないと勝てないから仕方なく選ぶ」という事態が発生することをなくすために、全機体がダメージを出せる性能を設定していて、その中で味方をリペアできたり、自分を強化できたりという、サブ的な特徴としてのスキルを持っているという形にしています。
もちろんシューターですので体力が減ることは常に発生するので、本作の場合は「攻撃行動をしなければ体力が自動回復」するというシステムを用意しているので、一定時間戦線を離脱すれば回復ができて、再び戦線に戻っていくという戦い方もできるようにしています。
丸山氏:できる限り6体のメンバーが固定しないようなバランスは意識している点ですね。1つの機体でも、必ず複数の戦術が持てるような設計を心がけています。
――アッシマーなど、変形するMSもいるんですね。
穂垣氏:はい、変形するMSは「飛行」という特徴を持っていて、構造上高台があるマップで、そこにジム・スナイパーIIが陣取って撃っているような状況に対して、飛行して一気にその場所まで行って引きずりおろすとか、上空から攻撃して相手を攪乱するとか、そんな戦術を想定しています。その分1対1の攻防はあまり得意ではないといった特徴もあります。
丸山氏:飛行も延々とできるわけではなく制限を設けているので、それに基づく戦術を立てる必要があるんですよね。
――今回のCBTで登場する中で、お二人の推しの機体はどれでしょうか。
穂垣氏:私は先ほどお話ししたガンダム・バルバトスですね。相手に切り込むタイミングを見計らうことで、固まっている相手を連続してなぎ倒せるので、上手く扱えるようになればかなり気持ちのいい機体だと思います。
丸山氏:特徴的な機体ですと、サザビーのファンネルなどは原作のイメージ通りのオールレンジ攻撃が行えて、動きの演出などもファンの人がグッとくるような作り方をしています。このゲームはかなり没入感があるので、攻撃を使うほうはもちろん、攻撃されたほうも原作と同じような感覚を味わえるので、ぜひ体験してみてほしいですね。
――ファンネルは原作のように撃ち落とせたりするんですか?
穂垣氏:開発中は撃ち落とせる仕様だったこともあるんですが、ファンネルは「Gマニューバ」という特殊スキルによる攻撃なので、それがたまたま撃った弾で全部撃ち落とされてしまうようなことになると、他の機体のGマニューバと比較してバランスも悪くなってしまうので、使ったときの気持ちよさを尊重して、撃ち落とせる仕様はボツにしました。
――今お話しに出た「Gマニューバ」という特殊スキルとはどのようなものでしょうか。
丸山氏:Gマニューバは戦闘中にゲージが溜まると使える特殊スキルなんですが、ガンダムゲームなので、サザビーのファンネルや、∀ガンダムの月光蝶のようにできるだけ特徴的な攻撃手段を設定するなど、戦況を逆転できるような効果の高いものとなっています。
――ゲージはどうすると溜まるんですか?
穂垣氏:ゲージは、ダメージの蓄積と時間経過などによって溜まっていきます。ゲージはチームメンバーにも見えていますので、連携もしやすくなっています。
チームシューターとしてのガンダムゲームの完成度を高める。課金は見た目の変更が中心となる予定
――ガンダムゲームとしては、御社グループで現在もいくつかの対戦アクションが基本無料でサービスされていますが、そことの差別化はどう意識されたのでしょうか。
丸山氏:今回はどちらかというと、競技シーンに近い方にも遊んでいただきたきたく、比較的年齢が若い人や、対戦シューターのジャンルに強い人に向けて作っていまして、触ってもらったときのスピード感や没入感は、過去のガンダムのゲームとは一線を画していると自負しています。
また従来のガンダムゲームは、どちらかというと原作やガンダムの世界観に忠実に作られているので、例えばユニコーンガンダムとジムでは圧倒的に前者が強く、その代わりに登用するコストが高いといったバランスをとっていることが多いんです。本作ではよりチームを組む上での公平性を重視して、それぞれの個性を際立たせつつ、強い弱いという概念をなくしています。その影響によるプレイフィールはかなり変わってくるのではないでしょうか。またチームシューターを成立させるために、原作にはない要素、例えば回復や能力の効果といったスキルを持たせているので、別のタイトルに登場する同じMSともまた感覚はかなり違うと思います。
――確かに機体の強さが平均化しているガンダムゲームは、これまであまり見たことがないですね。
穂垣氏:基本的には主人公機が強く設定されているのが一般的ですが、この「GUNDAM EVOLUTION」に関してはそれを取っ払って、特徴を生かして上手く立ち回ればジムでもサザビーに勝てるというバランスにしています。
丸山氏:単純に原作設定をそのまま落とし込むのではなく、元の設定の特徴を生かしつつもゲームバランスを考慮して、もしアーマーによる防御力差があるとしたら、少ない方はその分機動性が高いとか、攻撃力があるとか、なるべく機体ごとの特徴を出していて、新しい機体が入ったらまたそのバランスが変わっていって、継続的に遊んでいただくことを目指しています。
――その一方で、チーム対戦シューターとしてこだわっている部分はありますか?
丸山氏:やはり我々としてはこのジャンルを日本から発信していくことをしっかりやっていきたいので、ガンダムを知らない海外チームシューターファンの方を意識しつつも、最終的にはガンダムに詳しくなってもらい、好きになって頂けるようなタイトルを目指しています。
穂垣氏:FPSの“お作法”的なところは確実に押さえて、初めて触った方でも遊べるということと、それをガンダムをテーマとしたタイトルに収めるということはしっかり意識して開発しています。その上で多彩な機体の特徴を生かすために、操作的なところでより深みを持たせられるように、仲間とのスキルの連携やGマニューバを絡めた戦術などを想定してバランス調整を行っています。
――機体のバランス調整は大変そうですね。
丸山氏:そうですね。単に機体を作るだけでなく、複数人で試してみないとわからないことも多いので、1機体あたりにかかる時間は従来のタイトルよりも⻑くなると思います。このCBT以降のテストでも常に細かく調整をしていく必要もあるでしょう。
――ということは正式サービスまでに、テストは何度か行うことになりそうですね。
丸山氏:そうですね。その第1弾が今回のPC版CBTです。PC版CBT以降のスケジュールは順次発表させていただきます。
――基本無料の料金形態とのことですが、具体的にどんなところが課金要素となるのでしょうか。
丸山氏:これまでのガンダムゲームは、新機体や強化アイテムといった部分が課金要素となることが多かったのですが、本作では追加機体の部分はゲームプレイでも課金でも増やせるようにしつつ、機体の強さに直接影響しない見た目などの部分をカスタマイズできるアイテムを課金要素にしていく想定です。プレイ中に他のプレイヤーにアピールできるような要素をこれまで以上に増やして、お金を使っていただいたり、ゲームプレイで獲得していただいたりするような仕組みを考えています。
――例えばどんなバリエーションを考えられているのでしょう?
丸山氏:ザクからシャアザクのような原作ファンがわかるものであったり、あるいはオリジナルカラーだったりと、ユーザーさんに喜んでもらえるものを定期的に追加していく予定です。
――サービス後には大会なども想定されていますか?
丸山氏:もちろん構想はありますが、我々としてはまずはこのCBTに集中していきたいの
で、具体的なお知らせができるのはしばらく先になると思います。
――これから始まるCBTを踏まえ、来年のサービス開始に向けて一言お願いします。
穂垣氏:多彩な機体が非常にスピーディなバトルを繰り広げるタイトルです。実際に触っていただいて、自分に合った能力やスキルなどから、機体を選んで楽しんでいただければと思います。CBTでは初めてユーザーさんに触っていただきますので、厳しいご意見も出てくるかと思いますが、少しでもそれらに応えられるように頑張ります。
丸山氏:繰り返しとなりますが、ガンダムをまったく知らない人にもプレイしていただきたいタイトルです。逆にガンダムをきっかけに初めてFPSやチーム対戦シューターを遊んでもらうのも、我々が目指しているところなので、たくさんの方にプレイしていただきたいですね。
――ありがとうございました。サービス開始を楽しみにしております。
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※画面は開発中のものです