インタビュー

日本のゲームに影響を受けた期待のコロンビア産インディー「Cris Tales」開発者インタビュー

「マリオRPG」や「まどマギ」の影響を受けたというエピソードも

【Cris Tales】

7月20日 発売

価格:3,980円(税込)

 Modus Gamesは、プレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch/PC用RPG「Cris Tales」を7月20日に発売する。本作はコロンビアの開発チームDreams UncorporatedとSYCKが共同開発した作品で、可愛らしいビジュアルやJRPGを彷彿とさせる要素が盛り込まれた作品だ。

 そんな本作を手掛けるエグゼクティブプロデューサーのDerek Neal氏にインタビューとして本作に関する様々なポイントを聞くことができた。本記事ではメールインタビューの内容をまとめて紹介する。

【Cris Tales [Indie World 2021.4.15]】
【Cris Tales - ローンチトレイラー - 発売開始!】

ビジュアルがキャッチーな新作インディー「Cris Tales」ってどんなゲーム?

 インタビューに入る前に本作を「Cris Tales」について簡単に紹介していく。本作は時を行き来できる能力を持った女の子「クリスベル」が主人公。魔女である「タイムエンペラス」の野望を阻止するため、仲間とともに世界を旅するRPG作品となっている。本作における大きな特徴として、探索パートとバトルパートで過去・現在・未来の時を操るギミックが大きな鍵を握る。

 戦闘においては時間を経過させたり戻したりすることで相手を弱らせたりと、能力を駆使して柔軟に挑むことが大切となる。一方の探索パートでは、画面上に斜めの切れ込みが入った特長的なビジュアルを採用。時間の経過や巻き戻しによる物の変化を利用して探索を進めたりする。可愛らしいキャラクターのビジュアルが目を引くが、ターン制のコマンドバトルや探索パートもしっかりと作り込まれており、歯ごたえ十分だ。

画面左から過去、現在、未来となっており時間の経過によって汎化するギミックを利用し探索を進める
戦闘においても本ギミックを使うことで相手の状態を変化させることができる

開発者の日本への思いが盛りだくさん! 様々な視点から本作の魅力を聞いてみた

 さて、ここからは本題のインタビューに入っていく。本作の生い立ちや開発者の思いなどが明らかになったほか、影響を受けたゲームやアニメなども明らかになった。インタビューでは「スーパーマリオRPG」といったゲームの名前から、「魔法少女まどか☆マギカ」といった日本のアニメーション作品も登場するなど、「Cris Tales」をプレイしただけでは気づかないような内容まで踏み込んで紹介していく。

エグゼクティブプロデューサーのDerek Neal氏

――デモをプレイした際に主人公のクリスベルがとてもかわいく感じました。主人公をヒーローではなくヒロインにした理由はなんですか?

デレク氏:クリスベルのデザインは、コロンビア版のディズニープリンセスを作ろうとしたことに端を発しています。ディズニーやサムライジャックの世界に大きく影響されてたアートスタイルなので、彼女のデザインがすんなり溶け込みました。

――クリスベルを中心に個性豊かな仲間キャラクターも登場しますが、本作のストーリーはどのようなものですか。また、システムとストーリーはどのような関連がありますか?

デレク氏:ゲームのシステムとストーリーは、深く関わり合っています。プレーヤーの立場からは、過去、現在、未来を、同じ画面上で、同時に見ることができます。またクリスベルは、キャラクターやオブジェクトを過去や未来に送ることができます。ゲームプレイでは、主にこういった力を使いストーリーを進めることになります(もちろん、戦闘にも使います!)。

時間を操るギミックを用いて探索したり戦闘したりすることが重要になりそうだ

――1つの画面に過去・現在・未来が表示されるという革新的なシステムを採用していますが、このシステムが生まれたきっかけを教えて下さい。

デレク氏:何度も試行錯誤を繰り返した結果、この形が生まれました。過去、現在、未来を同時に表示しようとすると、情報過多になったり、どのシーンを見ているのか忘れてしまったりと、さまざまな問題が発生します。しかし、「過去は左、未来は右」という一貫したビジュアル言語を用いることで、複雑さを理解しやすいレベルまで減少することができたのです。

まさしく、ゲームならではというような本作のビジュアル。町での探索中などの何気ない移動が新たな発見を生み出してくれそうである

――本作を作るにあたって影響を受けた日本のゲーム・アニメなどがありましたら教えて下さい。

デレク氏:ゲームでは「クロノ・トリガー」、「ブレイブリーデフォルト」、「ファイナルファンタジーIV&VI」、「スーパーマリオRPG」などに影響を受けています。アニメでは「STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)」や「まどか☆マギカ」の要素があると思います。クリストファーというキャラクターも、典型的な少年漫画の主人公を少し参考にしています。

【「Cris Tales」に影響を与えたゲーム・アニメ】
「クロノ・トリガー」(画像はSteamのページより)
「スーパーマリオRPG」(画像は任天堂の公式Twitterより)
「ブレイブリーデフォルト」(画像はスクウェア・エニックスの公式ページより)
「ファイナルファンタジーIV」(画像はスクウェア・エニックスの公式ページより)
「ファイナルファンタジーVI」(画像はスクウェア・エニックスの公式ページより)
「STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)」(画像は公式ページより)
「まどか☆マギカ」(画像は公式ページより)

――トレーラーを見たりデモをプレイすると、可愛らしいビジュアルと特長的なシステムが魅力の作品だと感じているのですが、本作はどういったゲームで、最大のポイントはどんなところですか?

デレク氏:本作は私たちが愛してやまないたくさんのクラシックゲームにインスパイアされたRPGです。もちろん、独自のアートスタイルと新しいメカニズムも備えていますが、こういったたくさんのゲームのDNAを受け継いでいるのがポイントだと思います。

日本の作品に大きく影響を受けているという本作。どのような点にこれらのDNAが受け継がれているのかは実際にプレイして確認してほしい

――本作以前に手掛けたゲームがあれば教えて下さい。また、それはどういったゲームで、制作経験が本作に生きているポイントなどはありますか?

デレク氏:私個人はこれまでソニーやカプコン、アメリカを拠点とする開発スタジオIron Galaxyといった会社で何十本ものゲームを手がけてきましたし、その経験はもちろん本作の制作に生きていると思います。しかし、これほどまでに心を奪われたゲームは初めてでした。

――最後に、これから本作をプレイする人へ向けてメッセージをお願いします。

デレク氏:日本のファンの皆様には、私たちが子供の頃に遊んだJRPGの楽しさを、このゲームで少しでも感じていただければ嬉しいと思っています。

――ありとうございました。

 本作は発売以前よりSteamにて体験版の配信が行なわれており、こちらでは日本語化の対応がアナウンスされていた。先日の発表ではPS4やSwitchだけでなくXbox Game Passへの対応も明らかになるなど、自分にあったプラットフォームで本作をプレイできることも判明。もちろん日本語に対応しているため、ストーリーをしっかりと把握できるだろう。ついに発売となる「Cris Tales」や開発チームの今後にも期待したい。

 なお、弊誌では2019年のE3開催時に開発者のCarlos Rocha氏へインタビューをした内容も公開している。そちらも合わせて確認してほしい。