インタビュー

「クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』~おわらない七日間の旅~」開発者インタビュー

舞台は熊本・アッソー。「クレしん」の世界で体験する“日常”と“非日常”

【クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』~おわらない七日間の旅~】

7月15日 発売予定

価格:
6,580円(税込、通常版)
8,980円(税込、プレミアムボックス)

 ネオスはNintendo Switch用シミュレーション「クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』~おわらない七日間の旅~」を7月15日に発売する。人気アニメ「クレヨンしんちゃん」を原作とした完全新作のゲームタイトルで、その開発にはミレニアムキッチンのゲームクリエイター綾部和氏が監督として携わっている。

 綾部氏といえば、「ぼくのなつやすみ」シリーズや「怪獣が出る金曜日」など、郷愁を感じるゲームデザインを手がけることで知られていて、本作も「クレヨンしんちゃん」のタイトルを冠しつつ、綾部氏の作品らしいノスタルジックな雰囲気を備え、今年2月の発表後のSNSなどでも大きな話題となった。

 このインタビューでは、「クレヨンしんちゃん」と綾部氏のコラボは一体どのようにして実現したのか、そしてそのゲームデザインはどのようにして完成したのか、綾部氏とネオスのプロデューサー長嶋 朗氏に話を伺った。

綾部和氏

 ミレニアムキッチン代表。2000年発売の「ぼくのなつやすみ」とそのシリーズや、2013年発売の「怪獣が出る金曜日」など、昭和の郷愁を感じられるゲームデザインでファンの支持を集める。本作では監督を担当。

長嶋 朗氏

 本作の開発における総責任者でプロデューサー。ネオスは「クレヨンしんちゃん」のゲームやアプリをキッズ向けコンテンツとして配信している。長嶋氏はそれらの製作に長く携わっていて、版元とも強い信頼関係を築いている

【『クレヨンしんちゃん「オラと博士の夏休み」~おわらない七日間の旅~』店頭PV【自然豊かな町「アッソー」での生活】】

綾部氏のヒット作「ぼくなつ」とはひと味違う、「クレヨンしんちゃん」の世界で体験する“日常”と“非日常”

――まずは、ネオスさんとミレニアムキッチンさんが組んで、「クレヨンしんちゃん」をテーマとしてゲームを作ることになった経緯からお聞かせいただけますか。

綾部氏:2019年にネオスさんから本作のお話をいただきまして、それが私の仕事の手が空いた翌日という、タイミングのいい出来事だったんです。お話を聞きに行くと、「クレヨンしんちゃん」で、夏休みをテーマにしたゲームを作ってほしいという内容でした。もともと私は「クレヨンしんちゃん」が好きだし、それと夏休みゲームとの組み合わせは興味深くて、さらにしんちゃんの世界観はSFやファンタジーなどとも相性がいいので、こちらとしても「ぜひやりましょう」と返事をしたんです。

長嶋氏:僕が綾部さんにラブコールをしていたのは、実はもっと前からのことで、お返事がなかったので振られたとばかり思っていました(笑)。実際には、それまでの連絡は綾部さんのもとに直接届いていなくて、それが今回やっとご本人の目に止まり、改めてお話をしたところ、快諾いただけたんです。

――企画自体はもう少し前から準備されていたんですね。

長嶋氏:そうですね。弊社では5年ほど前から「クレヨンしんちゃん」のスマホアプリを手がけていまして、それと並行して同じ「クレヨンしんちゃん」のIP使った企画をいくつか進めていたんです。中でも本作が最も大きな企画で、綾部さんが作られるようなゲームを弊社で独自にとも考えたんですが、やはりご本人に直接お願いするのが最善だと思い、ご相談させていただきたく連絡をしていたんですが、それがなかなかご本人に届かなくて(笑)。

綾部氏:窓口には届いているけど、私には届かないという状況だったようでして、それがついに私の目に止まったのが、ちょうど手の空いた翌日だったので、何か縁を感じたんですよね。

――そもそも長嶋さんが綾部さんにオファーをしようと思ったのはなぜだったのでしょう。

長嶋氏:弊社はキャラクターIPのデジタルコンテンツを長年開発してきた会社でして、僕がニンテンドー3DSで発売された「怪獣が出る金曜日」を遊んでいたときに、このゲームの構造なら既存のキャラクターを乗せても面白いのではないかと思い、それが本作の企画を立てるきっかけになったんです。「クレヨンしんちゃん」のIPと綾部さんをかけ合わせたときの化学反応を期待して、オファーをさせていただきました。

【【怪獣が出る金曜日】オープニングムービー】
2013年3月13日、ニンテンドー3DS/3DS LL向けに発売された「怪獣が出る金曜日」

――そのオファーの内容を聞いて、綾部さんはいかがでしたか?

綾部氏:私が「クレヨンしんちゃん」が好きだということと同時に、うちが得意とするような企画だったことがポイントでした。オファーをいただいた段階では、「クレヨンしんちゃん」と「夏休み」というお皿だけが決まっていたので、弊社としてはそこにどう料理を盛りつけていくか一から作れるので、そこが面白そうだと感じたところです。

――「夏休み」という部分は、この企画のテッパンな要素だったんですね。

長嶋氏:はい、僕らとしては綾部さんがこれまで手がけてきた「ぼくのなつやすみ」ような内容でできないかということをはじめから考えていました。

綾部氏:ただ私がそこを気にしないで作ると、本当に「ぼくなつ」にそっくりなものとなってしまいますので、そことは差別化したものを作ろうと考えていました。それを踏まえて、先ほどお話ししたように「クレヨンしんちゃん」はプラスアルファの部分において自由度が高いので、最初は“夏休みに野原家の家族がスペースコロニーに行く話”とか、そんな内容のものを考えていたこともあります(笑)。

長嶋氏:綾部さんからは「しんちゃんの物語なので、日常だけでなく非日常のものを入れたい」ということで、いろんな案をいただいていました。スペースコロニーをはじめ、結構色々なアイデアがあって、ここでは言えないんですが、結構センセーショナルな設定もありましたね(笑)。

恐竜が闊歩する「アッソー」の街。マッドサイエンティスト「あくの博士」がしんちゃんに接近する!?

――発表された画面などを見る限りは、「ぼくなつ」シリーズに近い内容にも見えるんですが、具体的にはどんなゲームとなるのでしょうか。

綾部氏:私のゲームは、どちらかというと日常を描くほうが得意で、しんちゃんのゲームなので非日常の部分があると楽しいのではないかと考えたんですが、さすがに舞台がスペースコロニーでは日常のほうが崩れてしまいますから(笑)、ほどよい距離感のある設定として、夏休みに九州の阿蘇市のとなりに存在する「アッソー」という街に行くところをスタートラインにして、そこから日常と非日常の両方を盛り込む形としました。

舞台は熊本、アッソー

――熊本が舞台になったのはなぜなんでしょう。

綾部氏:しんちゃんのお母さんのみさえが熊本出身なんです。ただ熊本の家は原作にもよく出てくるので、そこを直接の舞台としてしまうと非日常を描くときにイメージを広げられないので、“実家の近くにある別の町でみさえの幼なじみの家にお世話になる”という設定にしました。

――そんなアッソーを舞台とした日常と非日常はどのように描かれるのですか?

綾部氏:実は野原しんのすけというキャラクターは、虫を捕まえたり魚を釣ったりはするけど、それを飼うことには興味がなく、すぐに逃してしまうはずなんです。そんな設定があるので、本作では物語の冒頭で、マッドサイエンティストの「あくの博士」という謎の人物から、写真を撮るとそれがイラストになって出てくるという、人工知能内蔵のカメラをもらいます。捕まえた虫や魚、あるいは体験した出来事などをこのカメラで撮ると、それが絵日記になっていく仕組みで、それを元にゲームを進めていくことになります。

出来事が記録されていく「絵日記」

――あくの博士というのは、どんな人物なんでしょう。

綾部氏:天才的な科学者なんですが、わがままで何を考えているのかわからないキャラクターで、いろんな発明をして周りの人を騒動に巻き込んでいくんです。彼が一体どんなことをするのかは、遊んでみてのお楽しみですね。

――彼がこの世界の非日常を作っているんですか?

綾部氏:PVなどで見るとわかるんですが、実はこの世界には恐竜が存在しているんです。そこにあくの博士がどう関係しているのかはまだ言えませんが、本作は“恐竜がいる夏休みを体験できる”ゲームなんです。

――確かにタイトル画面などにも恐竜のシルエットが見えますね。

綾部氏:普通に生活をしている横を歩いていますからね。これは一体どういうことなんだろう!? というところから興味を持っていただけるのではないでしょうか。

――恐竜がいる世界の中で、しんちゃんとなったプレーヤーはどんなことをするんですか?

綾部氏:カメラを持っていることで、虫や魚などを集めたり、何か出来事に遭遇したりすると、絵日記ができあがっていくんですが、プレーヤーの行動次第でその内容は変わっていきます。またしんちゃんが滞在している家の裏に新聞社があるんですが、カメラで撮った出来事を新聞社に持っていくとそれが記事になって、その評価によって「恐竜カード」がもらえるんです。手にれた恐竜カードを使うと地元の子達と「恐竜バトル」ができて、それに勝つと彼らと仲良くなれたり、行けるところが広がったりして、ゲームが進んでいきます。

長嶋氏:街のお店に掲示板があって、そこに書かれている「コゴミを3つ集めてほしい」といった依頼に応えることでお小遣いがもらえるみたいに、幼稚園児として体験する経済的な概念などもありますね。

昆虫をコレクションする「むし図鑑」
新聞社に写真を持ち込むと記事が掲載される
「恐竜カード」を集めて「恐竜バトル」!

――結構いろんなことができそうですが、1日の間にできることが決まっていたりするんでしょうか。

綾部氏:「ぼくなつ」と同じように、昼夜が少しずつ進んでいくようにはなっているんですが、何かをすることで規定の時間が進むというものではないので、時間の許す限り行動はできるようにしています。

 本作は対象年齢を、小学校低学年から「ぼくなつ」を遊んだことがある大人まで、かなり広めに設定していて、必ずこうしなければいけないという要素は極力排除しているので、何か緻密な行動が必要になったり、誰も気づかないような情報を集めて進めていくような要素は皆無ですね。

――難しいことを考えるより、ゆったりのんびり進めるほうが楽しめるゲームデザインなんですね。

長嶋氏:そうですね。積極的にお話を進めてもいいですし、寄り道してむしとりや魚釣りに夢中になっても大丈夫です。プレーヤーがやりたいことを自由に遊んでほしいですね。

綾部氏:「クレヨンしんちゃん」が既に30年以上続いている作品ですので、ファン層の年代が幅広いですし、「ぼくなつ」も20年前のゲームで、リアルタイムで遊んだ人はある程度の年齢まで達していますからね。Nintendo Switch自体のユーザー層も広いので、今回はコアターゲットなしで全年齢向けに作っている感じですね。

――アッソーの町の中はどんなところに行けるんでしょうか。

綾部氏:皆さんが想像できるぐらいの一つの小さな町として、行けるところはたくさん作っています。今回はどちらかというと少数精鋭チームなので、さすがに巨大なオープンワールドというわけにはいきませんが、小学生が1日で歩き回れる範囲よりはかなり大きく作ってあります。

 この企画は「クレヨンしんちゃん」のゲームの中でもかなり規模が大きいものだったらしく、版元の双葉社さんをはじめとする「クレヨンしんちゃん」の世界を作ってきた方々には今回、「監修」ではなく「製作協力」として携わっていただいたんです。世界観からシナリオからキャラクターから、全てを監修していただきつつ、「こうしたほうが綾部さんらしくなっていいのではないか」といった意見やアイデアなども出していただけたおかげで、誰もが納得できるしんちゃんの世界の中に、私ができるものを上手く組み込むことができたのではと思います。

長嶋氏:シンエイ動画さんなどは、キャラクター造形などに関して最後まで貴重なご意見をいただけたおかげで、今のクオリティに完成したんですよね。

あまり意識せずに作っても、作品にノスタルジックな雰囲気が現れる「綾部マジック」の妙

――ゲームに登場する新キャラクターはどのようにして作られたんですか?

綾部氏:こちらで元のラフを作って版元に見ていただいてから、シンエイ動画さんに清書をしていただきました。そのおかげで、アニメのしんちゃんの世界に存在しても違和感のないキャラクターを作ることができたんです。ちなみにあくの博士のもとになったラフを描いたのは長嶋さんです(笑)。

長嶋氏:はい、主に男性キャラクターのベースデザインを担当させていただきました。綾部さんのイメージに合うようなラフをかなりたくさん描かせていただいて、その中からの一つが今のあくの博士のもとになったデザインですね。

――ゲーム画面に登場しているキャラクターは2Dっぽく見えるんですが、これはは3Dキャラクターなんですよね?

綾部氏:はい。でも「クレヨンしんちゃん」の元々のキャラクターがデフォルメされた2Dのキャラクターなので、ゲームの3Dモデルとしてはそのままでは成り立たないんです。そこで本作では、キャラクター角度が変わるたびに違うモデルに差し替えるという新しい技術を導入して、3Dモデルなのに「クレヨンしんちゃん」の2Dキャラクターのように見えるようにしています。

 逆に背景は2Dなんですが、こちらは最初は3Dで作って、カメラのレイアウトを決めて、それを2Dの画に起こしたものを採用しています。そのため二次元の画なのに、三次元的に計算されたつじつまの合った形になっているんです。

――全体の絵作りで、綾部さんが特にこだわったところはありますか?

綾部氏:今回、画面のレイアウトやカメラなどは私が直接作っています。制作規模の関係もありますが、1画面の中にどのような要素を盛り込むかという設計も同時に考える必要があるので、プランニングやゲームデザイン的なことがわかっていないとできないんです。これは「ぼくなつ」や「怪獣が出る金曜日」でも同じような作り方をしていますが、プレーヤーにはできる限り気持ちよく遊んでもらいたいので、目で見たときに違和感を覚えないような画りは毎回こだわっているところですね。

――確かに本作の画面も、1画面だけどどこに行けるのかがわかって、さらにノスタルジーを感じられるような画面になっているのは、綾部さんの作品らしいと思いました。

綾部氏:ありがとうございます。でもノスタルジーに関しては、あまり意識していないんですよ。作ってみた結果、そうなってしまうという(笑)。その昔、都知事をやっていた青島幸男さんと話す機会があったのですが、「そういう要素は意識しなくても作り手の内面からにじみ出てしまうものなので、あきらめなさい」と言われたことがあるんです。テレビの構成作家から都知事までいろいろな仕事を50年以上務めた方からもらった助言なので、もうそれは事実なんだろうなと思いました(笑)。

長嶋氏:僕も綾部さんの作品にはノスタルジーを感じていたんですが、そこに関してはあまり意識されずに作られていたので、この「オラ夏」が完成したときに果たしてノスタルジー感が出ているのか気になっていました。実際に発表を見た方からノスタルジー感が凄いという反応が上がってきたときに、あらためてこれが「綾部マジック」なんだなと実感しました。それは背景のあるものが錆び付いている様子だったり、影の落ちかただったり、そういうものの描写が皆さんの原風景に重なると思ったんです。綾部さんは⼀緒に仕事をしてみると、視点が子供のままなので、そんな原風景を描くことができるのかなと、横で見ていて感じましたね。

綾部氏:フィールド上に動くものを置くのが好きで、今回だと列車が走っていたり、ロープウェイが空中を行き来したりするんですが、普通の大人はそういうことをあまり考えないそうで、やはり私は子供なのかなというのが正直あります(笑)。

――動いているものがあると、1画面でも時間が進んでいるような感じがしますよね。

綾部氏:そうなんですよね。本作だとお風呂場の窓からロープウェイのゴンドラが見えるんですが、そのアングルを実現するためにマップ上の山の位置までいじっています。普通はそういう作り方をしないかもしれませんね(笑)。

ノイジークロークが手がけたサウンドは、そのために本作を購入する価値があるほどの名曲が揃う

――本作の開発をする上で、何か気を付けたことはありますか?

綾部氏:最後に発売したPSP版の「ぼくなつ」と比較すると、背景の解像度が4倍、データサイズでは16倍のゲームになる計算だったので、これはどう考えても入りきらないし、読み込みも相当時間がかかるぞと、心配しつつ慎重に開発を進めました。2Kよりも若干大きな解像度で背景を持っていて、なおかつ1画面を構成するパーツはその数倍必要になるからです。そのようにして容量を気にしつつ、データ効率が良いものを作った結果、2D画像の圧縮アルゴリズムの優秀さにも助けられて、アクセスがもの凄い早くて、読み込み時間をまったく感じさせないものができました。

――読み込みが早いのは嬉しいです。Switchのゲームは読み込みに時間がかかるタイトル多いですからね。

綾部氏:読み込みが気になるところははほぼ0だと思います。セーブのときに、少しアクセス時間を持たせているぐらいです。そこは技術の進歩を感じましたね。

――今回サウンドはノイジークロークさんが担当されているそうですが、どのような感じに仕上がっているのでしょうか。

綾部氏:ノイジークロークさんとは「怪獣が出る金曜日」でご一緒して、そのときの環境音やSEが素晴らしかったので、今回もお願いしました。音楽と環境音に関しては、他の候補を考えないぐらい信頼をしていて、本作では音声の収録もお願いしました。その内容も本当に素晴らしく、音楽を聴くためにソフトを買ってくださいと言ってもいいぐらいのものでした。

――音楽製作にあたって、どんなオーダーをされたんですか?

綾部氏:普段通りにリストを作って発注したんですが、ノイジークロークさんは一度うちと組んだことがあるので、イメージを伝えるのもやりやすかったです。例えば「仲のいいカップルが話しているシーン」でかかる曲であれば、「夕方の海辺に立っている男女がひそひそ話していて、その向こうにハート型の夕日が落ちてくる」みたいに、この世界と全然関係ない、でもイメージ的にはストレートに伝わる言葉に置き換えて発注をしています。するとイメージ通りの曲を作ってくれるんです。

長嶋氏:ノイジークロークさんも綾部さんのイメージが明確に伝わってやりやすいと感心されていましたね。

綾部氏:頼んでいるからには100点満点のものが欲しいと思うんですが、できあがってみるといきなり150点ぐらいのものが上がってきて、スタッフの方々の技術には驚かされています。

長嶋氏:音に関しては誰も意見しないほどの完成度でしたね。今回初回特典にもデジタル音楽6曲のダウンロードカードを付けているんですが、その曲のセレクトもノイジークロークさんにお願いしました。音楽に関しては、ゲームの外でも楽しんでいただきたいですね。

――ゲーム内でDJができるのは、音楽がいいからなんですか?

綾部氏:それもあるんですが、ゲームの中の収集要素として、流れた曲をコレクションできてそれを聴ける仕組みなんです。ジュークボックス的な役割なんですが、それだけだともったいないので、ミニゲーム的に楽しんで聴けるようにしたものです。

ゲーム内で音楽を聞ける「DJあそび」。収集要素としても楽しめる

――本作の主題歌はノイジークロークの坂本英城さん作曲で、綾部さんが作詞されているんですね。

綾部氏:はい、「怪獣が出る金曜日」のときと同じ組み合わせで、今回の歌は齊藤さっこさんです。齊藤さんはピアノの弾き語りで唄われているんですが、今回のコロナ禍において自宅でもの凄い密度で練習をしてくれていて、本番の歌と演奏が神がかっていたんですよね。スタジオ収録時にごく少ないテイク数でOKが出てしまったぐらいの素晴らしい内容でした。

長嶋氏:今公式サイトで主題歌の楽譜を配信していますが、これも坂本さんと齊藤さんに、このためだけに楽譜を作っていただきました。

綾部氏:実はこの主題歌の歌詞には、本作のタイトルにある7日間という部分のヒントが隠されているんです。ですのでぜひ歌詞も含めて、聴いてみてください。

――最後に、発売に向けてユーザーの皆さんにメッセージをいただけますでしょうか。

長嶋氏:綾部さんの新作を心待ちにしていたファンの1人として、その思いをぶつけた作品になりました。特に綾部さんの作品が好きな親御さんが、昔楽しんだゲームのことをお子さんに勧めつつ、一緒に楽しんでほしいというのが、僕たちが考える理想型です。僕自身もまだ客観的には作品に向かえていないので、発売日はうちの子供や他のファンの方々と楽しみたいと思います。

綾部氏:今年の夏はまだコロナが続く気配があり、自由に旅行をしたりすることができない不自由な世界になってしまうかと思うのですが、その替わりにこのゲームの中のアッソーで、夏休みの旅行を楽しんでください。小学生向けに、全ての漢字にルビを振っていますし、お父さんお母さん世代向けには、難しい恋の話もありますし、マッドサイエンティストや恐竜、忍者なんかも出てきますので(笑)。

――ありがとうございました。