【特別企画】

「ハースストーン」、新ゲームモード「マーセナリーズ」を一足先に体験

RPGとローグライク要素を組み合わせた全く新しいプレイ感覚

【「ハースストーン」新ゲームモード「マーセナリーズ」】

10月13日配信開始

 Blizzard Enterteinmentのデジタルカードゲーム「ハースストーン」に新ゲームモード「マーセナリーズ」が追加された。ハースストーンは、これまでも酒場の喧嘩やバトルグラウンド、デュエルなど、さまざまなゲームモードが追加されており、通常の構築デッキで挑むラダー戦などとは違ったプレイ感覚が楽しめるということで人気がある。

 今回追加された「マーセナリーズ」は、「ハースストーン」の全プレイヤーが10月13日以降、無料で遊べるゲームモードで、2021年2月20日に開催された「BlizzConline」において、予告がされていたものだ。

 「マーセナリーズ」のリリースに先立って、報道関係者向けに事前体験会が開催されたので、マーセナリーズの概要とそのプレイ感覚を紹介したい。

デッキを組むのではなくパーティを組んで戦うRPG的なプレイ感覚

 「マーセナリーズ」の最大の特徴は、「ハースストーン」の通常モードのように30枚のカードでデッキを組んでバトルを行なうのではなく、最大6人の傭兵からなるパーティを結成して、対戦を行なうということだ。

 それぞれの傭兵は、バトルで勝って経験値を得ることにより、レベルアップしてより強くなっていく。レベルが上がると、戦闘で使える新たな能力が追加されていく。また、能力自体を進化させたり、装備を手に入れることでもさらに強化される。パーティメンバーは自分で決めることができ、デッキからドローするわけではないので、いわゆる引き運の良し悪しは関係ない。また、マナを貯めてカードを使うという概念もないので、本編とは全く異なるプレイ感覚だ。また、マップは毎回変わるため、ローグライクな要素もあり、何度でもプレイしたくなる。

 「マーセナリーズ」は、一からデッキを組むのが苦手な人でも、気軽にプレイできる比較的カジュアルなモードであるが、いわゆる一人用モードのPvEだけでなく、育て上げた自慢のパーティ同士の対戦が可能なPvP(こちらはレイティングがある)も用意されているため、やり込み派にも満足できる懐の深さを持つモードといえる。

【パーティは最大6人】
パーティ編成画面。パーティは最大6人となる

三すくみの相性を持つ三種の兵種

 「マーセナリーズ」の対戦をより奥深いものにしているのが、傭兵たちの「兵種」である。兵種は「戦士」「術師」「護衛」の3つがあり、RPGでいう職業に近いものだと考えてよい。兵種の違いは、枠の色で表されており、緑が戦士、青が術師、赤が護衛となる。戦士は、攻撃的な能力を使って敵に大きなダメージを与えることに長けており、術師は味方パーティを支援したり、相手パーティを吹っ飛ばすなど、強力な呪文が得意だが、攻撃力は低いため、敵に狙われがちである。護衛は、体力が高く、いわゆるタンクやサポートとして活躍する。その代わり、他の兵種よりも速度が遅めだ。

 これらの兵種には相性が存在する。いわゆるジャンケンなどと同じ三すくみの相性であり、戦士は術師に有利で、術師は護衛に有利、護衛は戦士に有利という関係になっている。攻撃側が有利な組合せだと、攻撃時に与えるダメージが2倍になるため、パーティを組む際に、これらの関係を意識することが非常に重要だ。また、傭兵にはオークなどの種族という概念もあり、同じ種族同士でパーティを組むと有利になる相乗効果もある。

 実際のプレイの様子は後ほど紹介するが、「マーセナリーズ」のバトルは、「ハースストーン」本編のバトルとは少々ルールが異なる。ユニットの左下の数値が攻撃力で、右下の数値が体力。バトル時は双方が相手の攻撃力の量だけ体力が減るというルールは変わらないが、傭兵ごとに固有の能力を持っており、その能力を選んで戦うことになる。能力にはそれぞれ速度が設定されており、速度の値が小さいほど早くその能力が発動する仕組みだ。また、能力によっては1回使うと何ターンか待たないと使えないものもある。そのあたりを考えるのが、「マーセナリーズ」のバトルの面白さだ。

【三すくみの相性】
3つの兵種には三すくみの相性がある

傭兵村もアップグレードされていく

 「マーセナリーズ」のメニューの役割を果たすのが傭兵村であり、傭兵村自体も傭兵のレベルアップと共にアップグレードされていき、できることが増える。下の画面は、最大限にアップグレードされた状態の傭兵村で、左上から酒場、移動地点、闘技リング、工房(ワークショップ)、訪れた傭兵たち、キャンプファイヤー、旅商人の馬車、ポスト、傭兵パックとなる。酒場は、傭兵を強化したり、パーティを作成したり、見た目をアップグレードする施設で、移動地点はPvEモード用の施設、闘技リングはPvPモード用の施設である。キャンプファイヤーは、仕事掲示板や実績を表示する施設で、旅商人の馬車は、ゲーム内ショップであり、傭兵パックや傭兵コインなどを購入でき、ポストはゲーム内の通知を受けとる施設である。

 「マーセナリーズ」開始時点では、傭兵村には工房しかないが、工房のメニューで他の施設の建造やアップグレードが可能である。

【傭兵村の画面】
アップグレードされた状態の傭兵村。左上から酒場、移動地点、闘技リンク、工房(ワークショップ)、訪れた傭兵たち、キャンプファイヤー、旅商人の馬車、ポスト、マーセナリーズパック
最初の傭兵村には工房しかない
工房で他の施設を作ることができる
酒場が完成した

兵種のバランスを考えてパーティを決める

 「マーセナリーズ」のPvEモードのプレイの流れを紹介する。マーセナリーズでは、傭兵パーティが、賞金稼ぎのために賞金首を倒していくというのが基本的な流れだ。最初に倒す賞金首を選択し、次にその賞金首を倒しに行くパーティを選ぶ。前述したようにパーティは最大6人の傭兵で構成されている。バランス重視なら各兵種2名ずつ選んでパーティを組むのがいいだろう。

【賞金首を選択し、パーティを決める】
まず、倒す賞金首を選択する。一つ下のレベルを倒してないと選択できない
次にパーティを選択する
いよいよ討伐の旅が始まる。マップは毎回ランダムで生成される
上に表示されているのが最初の敵チームだ。敵の兵種を見ながら、有利になる3人を選ぶ
キャリエル・ロームは「護衛」なので、敵の一番右の「戦士」との相性がよい

順に命令を与えてバトルを行う

 パーティを選んだら、最初のバトルが始まる。バトルごとに6人パーティから3人チームを毎回選んで戦う。このあたりドラゴンクエストの馬車システムなどと似た感じだ。敵チームが上に表示されているので、その兵種を見ながら、相性的に有利になる3人を選び、バトルを開始する。

 まずは「命令」フェイズであり、チームのメンバーを順に選んで、各キャラクターが持っている能力を1つ選ぶ。このときにポイントとなるのが、能力の下に表示されている数字だ。この数字が速度を表しており、小さいほど先に能力が発動する。敵のチームにも同様に能力に対して速度が設定されており、両チーム合わせて数字が小さい順に能力が発動する。能力によっては順番が重要なものもあるので、よく考えて命令することが大切だ。

 例えば「殺撃」と書かれた能力は、そのキャラクターの攻撃によって敵にとどめを刺したときに発動する。能力を選んだら、攻撃対象となる敵を選ぶ。それを3人分終えたら、バトルが始まる。速度の値が同じ場合は、どちらが先に発動するかはランダムとなる。バトルが終わったら、どちらかが全滅しない限り、また「命令」を与えるフェイズとなる。バトルでキャラクターが死亡した場合、待機しているキャラクターに交代できるが、死んでしまったキャラクターは、通常はこの討伐の旅の間は使えなくなる(蘇生イベントなどもある)。

【チームに命令を与えて、バトルを開始する】
3人チームが決まったら、順に命令を与える。各キャラクターが持っている能力を1つ選ぶ。能力は最大3つまで持てる。能力の下の数字が速度を表す
攻撃先を指定する
2人目の傭兵が使う能力を選ぶ
全員に命令を与えたらバトルが開始される。バトルでは能力の速度が早い(数字が小さい)順に、能力が発動していく
血の熱情1の速度は8なので、かなり遅い
生き残ったらまた命令を与えて、バトルという流れを繰り返し、どちらかが全滅するまで続ける

敵を倒して経験値を稼ぎ、キャラクターのレベルを上げる

 命令とバトルを繰り返して敵を全滅させることができれば、こちらの勝利となり、経験値がもらえる。経験値が貯まれば、キャラクターがレベルアップし、攻撃力や体力が増える。経験値は、バトルに参加していない控え組のキャラクターももらえる仕組みで、レベルが5になれば2つめの能力が、レベルが15になれば3つめの能力が解放される。また、敵チームに勝つと生き残った傭兵1人につき1つ、宝物を獲得できる。宝物は、攻撃力・体力へのボーナス、常時発動効果、強力な新能力など様々だが、これは永続的な強化ではなく、その賞金稼ぎの間だけ有効だ。

 同じ賞金首を選んでも、マップは毎回違うものが生成される。また、マップの途中で分かれ道になることがあるが、上の宝石の色によって、その敵チームに護衛が多いのか、戦士が多いのかといったことがわかる。敵を撃破していき、ボスである賞金首チームを倒せば、宝箱をゲットできる。宝箱には、傭兵コインなどが入っており、傭兵コインを集めることで、傭兵の強化や所有していない傭兵の作成が可能だ。

【敵チームを倒せば、経験値と宝物がもらえる】
敵チームを全部倒せば勝ちで、経験値がもらえる
経験値がたまれば、キャラクターのレベルが上がり、攻撃力や体力が増える
さらに、宝物を一つ選んでキャラクターを強化できる
マップには分かれ道が存在するが、上の宝石の色によって、敵チームに護衛が多いのか、戦士が多いのかということがわかる
キャラクターのレベルが上がると、新たな能力を得ることがある
ボスである賞金首のところまで到着し、賞金首と戦っている様子
賞金首に勝つと、宝箱をゲットできる
宝箱の中身。クリックすると開かれる
宝物には傭兵コインが入っていた。傭兵コインを集めることで、傭兵の強化や作成が可能
今回の賞金稼ぎの結果。6人のパーティ中2人死んでしまった

運要素が低く、詰め将棋的な感覚で遊べる

 「マーセナリーズ」をしばらくプレイしての感想だが、プレイ感覚がデッキを構築して戦う「ハースストーン」本編とはかなり違う。パーティからチームを選んで戦うため、運要素が低い。能力が速度順に発動するのも、プレイヤーの意図通りにバトルを進めやすい。殺劇が発動するように、能力発動の順番を考え、うまく想定した通りにとどめを刺せると達成感がある。詰め将棋というかパズル的な感覚だ。

 また、当初は倒せなかった強敵でも、何度かチャレンジしているうちに、キャラクターのレベルが上がってスタッツが向上するし、新たな装備や能力を身に付けることでも強化されていくので、いずれは倒せるようになる。このあたりはまさに、ドラゴンクエストに代表される国内RPG感覚だ。「ハースストーン」本編のカード資産は一切関係なくプレイできるので、これから新たに始める人にもハードルが低い。誰でもカジュアルに始められるし、覚えなければいけないこともそんなにないのだが、当初から51人の傭兵が用意されるとのことで、コンテンツとしてのボリュームは十分にある。熱心な「ハースストーン」プレイヤーだけでなく、昔「ハースストーン」をプレイしていた人や、一度も「ハースストーン」をプレイしたことがないという人にも、おすすめの新ゲームモードといえるだろう。