インタビュー

血湧き肉躍る戦場がここに!「リネージュM」の大規模対人コンテンツ「攻城戦」に迫る

新たな専用UIを如何に使いこなすかが攻城戦のカギに

9月8日 実装予定

 エヌシージャパンが配信中のAndroid/iOS用MMORPG「リネージュM」において、9月8日に初の「攻城戦」が開催される。攻城戦とは他のMMORPGでいうGVGにカテゴライズされる、「リネージュ」シリーズにおける大規模対人戦コンテンツ。「血盟」と呼ばれるギルド単位で、ゲーム内に数個しか存在しない“城”の所有権を賭けてぶつかり合うというものだ。

 かくいう筆者はかつてPC版「リネージュ」にどっぷりとはまり、人生の数年間をアデン大陸(「リネージュ」の世界)で過ごした。5月に配信開始された「リネージュM」にも案の定どっぷりとハマり、現在もリアルとゲームのどちらが"本業"かわからなくなるほど本作をプレイしている。そのほとばしる愛を抑えきれず、「リネM」を1人でも多くの人にプレイして欲しい!という想いに突き動かされて下記の記事を書いたほどだ。

古参「リネージュ」プレーヤーが「リネージュM」の"お作法"とポイントを解説する

https://game.watch.impress.co.jp/docs/kikaku/1188764.html

 当時筆者がプレイしていたPC版「リネージュ」最大の魅力はコンテンツとしての攻城戦と、そこから派生する政治や人間関係といったエピソードにあった。「リネージュ」をプレイし始めて間もないころ、対人戦やPVPといった単語も知らない時にゲーム内で偶然出会った攻城戦というコンテンツ。現在はセオリーが変わっているが、当時は城門の中に耐久力に優れたナイトが詰めて"肉壁"になる「門防衛」が主流だったのだが、ゲームを始めたばかりの初心者から見ても最前線のナイトがとてもカッコよく見えたし、エルフ隊による強力な集中射撃や、ウィザード隊のサポートの連携は見ているだけでこちらまで血がたぎるような興奮を感じたのを覚えている。

 もちろんゲーム内の1つのコンテンツとしても面白かったのだが、それらを渦巻く人間関係も最高に面白かった。ゲーム内外における政治工作なども盛んで、攻守ともに何重にもスパイが入り込んでおり、極秘情報のはずの攻める城や時間が敵血盟に筒抜けになっていたこともザラにあった。攻城戦に参加はしていなくても「〇〇という血盟と△△という血盟が同盟を組んで城を攻めるらしい」といった噂話や、「不落のあの城がついに落ちたらしい」というニュースで友人と盛り上がるなど、攻城戦にまつわるあらゆるエピソードまで含めてを1つのコンテンツとして楽しんだものだ。

 プレーヤーによってその比重は異なるとはしても、「リネージュ」ユーザーと攻城戦はきっても切り離せないほど深い関係だった。そういった背景もあり、同じルーツを持つ「リネージュM」をプレイしている多くのプレーヤー、特に攻城戦を待ちきれずにフィールドでバチバチと火花を飛ばしているプレーヤーにとっては、いよいよ始まる初の攻城戦は注目度が非常に高いコンテンツと言える。

 まず気になるのが「モバイル端末のMMORPGで大規模な対人戦がどこまでできるのか」だ。PC版「リネージュ」では攻城戦のような大規模対人コンテンツになると特に細かなクリックの精度などが要求されていた。もちろんモバイル用にカスタマイズされているが、「リネージュM」のベースはマウスクリックとキーボード操作をベースにしたPC版「リネージュ」にある。

 そこで、実際のところ本作の攻城戦はどのようなものになるのかを、PC版「リネージュ」に長く携わっており、現在は「リネージュM」の運営プロデューサーを務める川南 巌氏に話を伺った。

「リネージュM」運営プロデューサーの川南巌氏

――本日はよろしくお願いします。まずは「リネージュM」の攻城戦について教えて下さい。

川南氏:攻撃側は城門を壊して、タワーを壊して、冠を取る。防衛側はそれらを守る、というベースのルールはPC版の「リネージュ」と変わりありません。

 もちろん「リネージュM」としてカスタマイズしているところは多数あります。例えば「攻城専用ボタン」として「城門」や「守護塔」というボタンが新たに追加されまして、これらを使うとそれぞれの近くまで自動で移動します。先行してサービスがスタートした韓国のプレーヤーはよく城門ボタンを使っていますね。

 また立ち位置を固定する「固定」というボタンがあります。普通に操作していると間違ってタップして移動してしまったりすると思うのですが、エルフやウィザードのようなクラスではこのボタンを使って立ち位置を固定して、オートアタックにするだけで攻撃することができます。君主が使用できる「トゥルーターゲット」というターゲットマークを表示する魔法を使うと、専用のターゲットボタンが表示されるので、立ち位置を固定しておきつつ、それが表示されたら一斉攻撃するなど、「リネージュM」ならではのやり方があります。これらの攻城戦専用のUIを如何に使いこなすかが本作の攻城戦のキーになります。操作性こそPC版「リネージュ」とは異なりますが、意外とスムーズに遊んでいただけるのではないかと考えています。

 また、操作的に随時のテキストチャットは厳しいと思うので、本気でやるのであればボイスチャットツールを使うことが多くなると思います。テキストで表示させたいこと、例えば「帰還!」などは定型文登録しておくと良いかもしれません。

「城門」、「守護塔」、そして「固定」など、攻城戦専用のUIがキーになる

――私がプレイしていたころ(15年以上前)の攻城戦といえば非常にヘビーなコンテンツだった印象があります。特に防衛側は数日に1回、2時間以上拘束されたにも関わらず、敵が攻めてこない日があったりとか……。

川南氏:そんな時代もありましたね(笑)。「リネージュM」の攻城戦は毎週日曜日の20時スタートで、最長でも20時50分には終わります。開戦の60分前から布告や傭兵の募集などの攻城戦準備が始まりますので、早くても18時台くらいにログインしていただければ間に合うと思います。

 今は一旦20時に設定していますが、23時にして欲しいといった意見などもあるかと思いますので、そういったご意見もお寄せいただければと思います。

 また攻城地域内ではデスペナルティもありませんし、「傭兵システム」などもあるので、よりカジュアルに楽しんでいただけると思います。

――PC版「リネージュ」のセオリーが通用する部分や通用しない部分があると思いますが、いかがですか?

川南氏:先に実装されている韓国の攻城戦ではエルフ隊の一斉掃射がすごく効いている印象がありますね。PC版「リネージュ」ではクリックの精度が求められていたので、ターゲットがばらついてしまうことがあったのですが、ボタン1個でターゲットを選択できるので火力が集中しやすいのは「リネージュM」ならではの特徴だと思います。

――フィールドPKのときはナイトやダークエルフの活躍が目立っている印象ですが、攻城戦ではエルフや魔術師が重要になるイメージですか?

川南氏:そうですね。近接攻撃キャラクターだと1キャラクターを攻撃できるのは8人なのですが、遠距離攻撃であれば画面上に表示されればダメージを与えられますからね。

――そうなると防衛側がかなり厳しい印象があります。

川南氏:もし門にナイトが詰める「門防衛」をすると横幅が広いのでそれなりの人数は必要になるかもしれません。

 ただ、確かに韓国はエルフ、ウィザードが強いのですが、日本オリジナルの戦い方が生まれるかも、と期待している部分はあります。

 というのも実はPC版「リネージュ」では手強いモンスターへのアプローチが韓国と日本でかなり異なったんですよ。韓国のボス討伐は前衛中心で攻略が進んでいくんですけど、日本は色んな絡め手を使いたがる(笑)。角にひっかけたり、弱点属性の魔法を連射したり……、殴る以外の解決策を探し始めるタイミングは早いですね。そういった意味では日本オリジナルの戦い方が生まれるかもしれませんし、PC「リネージュ」にはない新職業や新スキルが登場するので、そういった拡張性を踏まえて、どんな戦術が生まれるかは楽しみですね。

 もちろん戦術の流行り廃りというのは変わっていくと思うので、そのあたりの移り変わりとかは楽しんでいただけるのではないかと思います。ですので逆に運営側から「こうしたほうが良いよ」とも言えないですね。例えばターゲットが揃えやすいのでエルフが多いほうが強いかもしれませんが、防衛を破った後は自分が守らないといけないですからね。ぜひ戦術を研究いただければと思います。

日本オリジナルの戦術にも期待だ

――かなりの大規模戦になると思うのですが、どのくらいのプレーヤー数を想定していますか?

川南氏:開発の想定では1つの城で攻撃側と防衛側を足して500人くらいですね。同盟が3つまで組めるので合計4血盟、1血盟が最大50人なのでそこに傭兵を加えると大体そのくらいですね。

――傭兵といえば「リネージュM」の新要素ですよね。

川南氏:そうですね。布告側の血盟にLv60以上のキャラクターが個別に助っ人として参加できる機能ですね。傭兵として参加するとキャラクター名が表示されないので、普段は狩りをメインにする血盟に入っているけど、攻城戦のときだけ傭兵として参加する、といった形で攻城血盟に入るより気軽に参加できると思います。

 「リネージュM」の攻城戦はデスペナルティもないですし、今までより気軽に「攻城戦」というコンテンツに参加できると思います。ただ傭兵として参加すると名前は隠れるとは言っても珍しい変身や魔法を使っているとキャラクターが特定される可能性はなきにしもあらずです。そういった部分も含めて「リネージュM」の政治的な楽しみと言いますか(笑)。また、傭兵には参加した血盟からの報酬も設定することができます。よりよい報酬が設定されている血盟に参加するのもプロ傭兵って感じで良いかもしれないですね。

「リネージュM」オリジナルの「傭兵システム」で気軽に攻城戦を楽しむことができる。とはいえ政治やフィールドでの戦闘に巻き込まれないためには“身バレ”には気をつけたい

――そこまでの大規模戦になると、端末によっては動作が重いという状況になりませんか?

川南氏:個人の環境によるところが大きい部分はありますが、以前実施した村にボスが出現するイベントほどは重くならないと思います。攻城戦は全員が集まるというイベントではなく、あくまでも城を取りたい人しか集まらないので。攻城戦はフィールドがもう少し広いですし、あそこまでの混雑にならないと思います。

――最後に防衛側のメリットについても教えて下さい。

川南氏:まずはおなじみの「城税金」というシステムがあります。城主が設定した城の税率に応じて、取引所の販売額の一部が税金としてもらえるというシステムですね。

 これに加えて「戦利品ショップ」、「城内ショップ」という城主血盟のみが使用できるショップが城主血盟のメリットになります。特に城内ショップではアデナで「名誉コイン」や「変身製作コイン」、「マジックドール製作コイン」が購入できるのは大きなメリットですね。

 「戦利品ショップ」は連続して防衛に成功するとアイテムが豪華になっていくショップで、英雄級製作秘法書など貴重なアイテムを入手できるチャンスがありますね。

 また日本ではまだ実装されていないのですが、韓国では城主血盟だけが入場できるダンジョンがあったりするので、それもメリットの1つになります。また攻城戦関連で日本では未実装の要素として、インターサーバーという仕組みがあってサーバー間で実施される攻城戦も実装されていますね。

――攻城戦は1プレーヤーとしても楽しみにしています!ちなみに、攻城戦以外の今後のアップデートについても教えていただけますか?

川南氏:今プレーヤーの皆様から一番意見をいただいているのは「アインハザードの祝福」関連です。こちらについては韓国で実装されている定額制の導入を前向きに検討しています。また定額制以外にもパッケージにオマケでつけたりとか、ゲーム内イベントでの配布など対策は行なっています。

 実は日本だけ独自仕様で、デイリークエストでもらえるアインハザードの祝福の量が他国に比べると多かったりと緩和されていますので、他にも意見があったらぜひお寄せいただければと思います。

――それでは最後に一言コメントをお願いします。

川南氏:傭兵がシステム化されたり、デスペナルティがなくなったりと、昔の「リネージュ」に比べるとよりカジュアルに攻城戦に参加しやすくなったと思います。まずは気軽に参加してみて、面白かったら攻城血盟に加入するなどして本格的に参加していただければと思います。

――ありがとうございました。