インタビュー
「スター・ウォーズ / トランスフォーマー 02 ミレニアム・ファルコン」インタビュー
ハン・ソロロボと、チューバッカロボが合体してミレニアム・ファルコンに!?
2018年2月20日 10:00
タカラトミーは、同社の人気シリーズ「トランスフォーマー」と、映画「スター・ウォーズ」を組み合わせた「スター・ウォーズ / トランスフォーマー」を、この3月より展開する。
第1弾はダース・ベイダー型ロボットに変形する「タイ・アドバンスドx1」。こちらは3月31日に発売される。そしてその第2弾が今回取り上げる、ハン・ソロとチューバッカの2体のロボットが合体変形する「ミレニアム・ファルコン」である。こちらは6月発売で、現在タカラトミーモールや店頭で注文を受け付けている。
「スター・ウォーズ」に登場するビークルが、そのパイロットをイメージしたロボットに変形するというコンセプトで発売されるこのシリーズ。実はこのコンセプトは今から12年前に、ハスブロ社の企画・設計によって発売されていた。
スタートした新シリーズは、タカラトミーによる企画・設計で、同社が長年培った変形技術を投入し、差し替えなしの完全変形を実現するとともに、ビークルモードとロボットモード両方のプロポーションの完成度を高めている。
今回、その開発中のサンプルの合体変形プロセスなどを取材し各商品のプロポーションやギミックを実際に触ってみただけでなく、タカラトミーで当シリーズを担当する白井貴彦氏に、この製品の見どころや開発秘話などを聞いた。
“銀河系最速のガラクタ”を、プロポーションと塗装の両方で再現
今回サンプルを取材したのは、第2弾のミレニアム・ファルコンだ。ハン・ソロとチューバッカの名コンビが駆る輸送船で、「スター・ウォーズ」シリーズに登場するビークルの中でも人気、知名度ともに高い機体で、スピンオフ映画「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」の公開に合わせて、6月の発売が予定されている。
ミレニアム・ファルコンはエピソードによって若干形状が異なり、新作「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」では、ハンの親友ランド・カルリジアンが所有していた頃の真新しい同機が登場するとことが映画の予告編でも確認できるが、今回は最もポピュラーな「エピソードVI」からの3部作に登場した形状を踏襲している。
丸いパラボラアンテナが特徴的で、ジャバ・ザ・ハットの運び屋として銀河を飛び回っていた頃に付いた汚れが機体全面にこびり付いている。この汚れがミレニアム・ファルコンの“銀河系のガラクタ”という異名を引き立てているわけだが、この商品も劇中と同様に全体にスミ入れとウェザリングが施され、「エピソードIV」の機体を表現している。なお第1弾のタイ・アドバンスドx1はスミ入れやウェザリングはされておらず、このミレニアム・ファルコンだけの特別仕様となっている。
また塗装に限らず、造形にもかなりのこだわりが見え、あの特徴的な左右非対称の形状や複雑なモールドにも注目。実は12年前にも、同じハン・ソロとチューバッカのロボットへ変形するトランスフォーマーのミレニアム・ファルコンが発売されていたのだが、あのときは電飾とサウンドのギミックを内蔵していたため、かなり厚みがあり、デザインも全体的にデフォルメ要素が強いものだった。
一方今回の機体は劇中のフォルムに限りなく近づけていて、全体的なバランスもよく、変形のギミックがなかったとしてもビークルの玩具として十分に成立しそうな完成度を誇っている。ここでポイントなのは、ロボットモード時のパーツが機体にほとんど露出していない点。第1弾のタイ・アドバンスドx1は、機体下部にダース・ベイダーの一部分がパーツとして露出しているが、このミレニアム・ファルコンにはそういった部分が見られず、設計における進化も感じられる。
ミレニアム・ファルコンが2つに分離し、ハン・ソロとチューバッカのロボットに変形
さて気になる変形だが、こちらはハン・ソロが機体前方、チューバッカが機体後方に配置されていて、中央から割るような形で分離させて、それぞれを変形させるという構造になっている。ロボットの手足となる部分は、ファルコンの外装に隠されるような構造となっていて、変形させていくとそれらが少しずつ露出されてくる。
最終的に完成する姿は2体の人間型のロボットで、露出したパーツの色味で2人のイメージを再現している。それぞれを強調する頭部はよりロボット然としたデザインで、特にハン・ソロのほうはオプティマス・プライムにも似た印象もあり、よりトランスフォーマーらしさが強調されていた。
2体の写真を見ていただければわかる通り、それぞれかなりボリュームがあり、ファルコン時のサイズと比較するとかなり大きく、変形時にそれらが上手く機体内に収納されていることもわかる。変形の難易度は少し高めだそうだが、変形にこだわるコアなトランスフォーマーファンも唸らせる設計で、このあたりは本家タカラトミーのノウハウが活きているというところだろう。
「変形することを信じてもらえなかった」というこだわりのプロポーションと、変形システムの楽しさ
――今回シリーズとして展開されるこの「スター・ウォーズ / トランスフォーマー」のコンセプトからお聞かせいただけますか。
白井氏:各社が「スター・ウォーズ」新作公開に合わせて新商品を発売する中で、弊社としては「メタコレ」や「トミカ」など、我々が持っているダイキャストの技術を生かした商品の反応がよかったんです。そこで他にも弊社が得意とするおもちゃのジャンルと「スター・ウォーズ」を組み合わせたものができないかと考えたのが、この「スター・ウォーズ / トランスフォーマー」なんです。
――かなり前に、同じコンセプトの商品が発売されましたよね。
白井氏:はい、あれは12年前の2006年ですね。トランスフォーマーシリーズは、デザインと設計、生産まで全て弊社が手掛けているのですが、あのシリーズは長い歴史の中でも数少ない弊社が設計を担当しなかった商品なんです。そこで今回は改めて弊社がデザインから設計、生産まで全てを行なう形で進行しています。
そにれよって「スター・ウォーズ」のファンの方には、トランスフォーマーのアッと驚くような変形の技術を知っていただけますし、逆にトランスフォーマーのファンの方には、変形を楽しみながら「スター・ウォーズ」のキャラクターやビークルに興味を持っていただけるという商品を目指して開発を進めています。
――第1弾のタイ・アドバンスドx1と第2弾のミレニアム・ファルコンというラインナップですが、ともにビークル時の完成度の高さが引き立っていますね。
白井氏:そこはこの商品で最初に目指したところですね。「まさかこれが変形するのか」と思われるような、ビークル時のデザインはできる限り劇中に近づけて、スケールモデルほどはいかないまでも、モールドなどにもかなり気を遣ってデザインしています。
――今回このラインナップを選んだのはなぜなんでしょうか?
白井氏:まずは第1弾としてとして「スター・ウォーズ」のキャラクターとして人気もあり、デザイン的に設計もしやすいダース・ベイダーのタイ・アドバンスドx1を選びました。それに続く形で、もう少しコアなトランスフォーマーファンに向けて、より複雑な変形に加えて合体という要素を盛り込んだミレニアム・ファルコンとなりました。
――第2弾のミレニアム・ファルコンは、タイ・アドバンスドx1と比較するとスミ入れやウェザリングなどがかなり凝っていますが、これはやはり劇中のイメージを強調したものなのでしょうか。
白井氏:はい、そうなります。ファルコンを成形色のまま出すと、つるっとした印象になって劇中とはかなり雰囲気が変わってしまうので、今回はスミ入れやウェザリングを入れることにしたんです。
――このサンプルは全体に塗装がされていますが、製品版は成形色にスミ入れ+ウェザリングという仕様と考えてよろしいですか?
白井氏:そうですね。グレー部分は成形色になります。既に生産工程の検証も済んでいまして、このサンプルの通りの塗装ができる予定です。
――このミレニアム・ファルコンは、タイ・アドバンスドx1や他のトランスフォーマーシリーズと比較すると、価格がやや高めに設定されていますが、やはり塗装なども影響しているからでしょうか。
白井氏:確かに塗装によるコストの影響はありますが、その価格に見合った完成度やボリューム、変形機構などを実現したという自負はあります。「スター・ウォーズ」とトランスフォーマーをリアルタイムで体験していて、現在もファンという30歳~40歳代のお客様は、より完成度の高いものを求められる方が多いので、それに応えられるような設定とさせていただきました。
――ビークル単体で見るとそれほど大きくないのに、2体に変形すると凄いボリュームがあって、価格的にも納得できる印象を受けました。
白井氏:そこは狙っていたところですね。先日も展示会でこのファルコンを展示させていただいたんですが、来場された方が「どうすればこの大きな2体が、このファルコンになるんだ」と、変形することを信じてもらえなかったんです(笑)。展示中なので実際に変形させることができず、説明するのが大変だったのですが、我々の意図としては成功とも言えます。
――変形に設計などに過去のトランスフォーマーのシリーズのデザインや機構などを取り入れたりしていますか?
白井氏:取り入れるというよりは、むしろこれまでにない機構を採用しています。例えばハン・ソロの腕のように、ブロックが割れてそこから腕が出てきて、そのブロックがそのままバックパックの大型スラスターになるという構造は、これまでのシリーズではあまりなかったものだと思います。
――設計された方のこだわりが見えますね。
白井氏:それはありますね。他にもファルコンのコクピット部分などは、ビークルのデザインでは前を向くように途中でカクッと曲がっていますが、担当者の中にコクピットをまっすぐ向けたらデザインとして面白いのではないかという思いがあって、変形時はこれをまっすぐに伸ばして、さらに初代メガトロンをリスペクトするように、それをハン・ソロの腕に設置しているんです。トランスフォーマーと「スター・ウォーズ」の商品に携わる人間のこだわりが盛り込まれた要素は随所に入っていると思います。
――現在第2弾まで発売が決定して、今後のラインナップも気になるところなのですが、そのあたりはいかがですか?
白井氏:まだ何かは言えないんですが、既に第3弾は動いていて、近日中に発表ができると思うのですが、まずは3月のタイ・アドバンスドx1の発売を受けてのことになりますね。
――例えばビークルとしての人気を考えると、可能性としてはX-WINGなどがあるかと思うのですが、第2弾までにあの機体がラインナップされていないのはなぜなんでしょう?
白井氏:確かにラインナップとしてX-WINGは早いうちに出すべきだとは思うのですが、ご存じの通りあの機体は、デザイン的に凄く細かったり薄かったりする部分が多く、今回のコンセプトである変形時のビークルとしての完成度も高めるためには、設計にかなり時間をかけないとならないんです。そこを考慮したうえで、現在のラインナップとなりました。
――では、当然今後に期待してもいいですね。
白井氏:もちろん「スター・ウォーズ」のビークルとしては外せない機体ですので、今後の検討材料として考えてはいます。設計担当者もこのシリーズを始めてからまだ2体目にもかかわらず、短期間で大幅な進化を遂げていて、タイ・アドバンスドx1や他のシリーズではなかったような機構を、このミレニアム・ファルコンに導入しているんです。そういう意味では、X-WINGのような制限があるデザインでも、今後設計ができるようになる可能性はありますからね。
――ちなみに白井さん個人として商品化したいビークルやキャラクターはどれですか?
白井氏:僕は個人的にボバ・フェットの大ファンで、国内外で出ているおもちゃやグッズを積極的に集めていることもあって、できるのであれば「スレーブ1」はぜひ作ってみたいんですよね。実は12年前に発売された「スレーブ1」は、あのシリーズの中では意外に完成度が高くて、あれを超えられる商品を作ってみたいという気持ちは、心の中にあります。
――最後に発売に向けてメッセージをいただけますか。
白井氏:今回お見せしたミレニアム・ファルコンに関しては、「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」の公開に合わせて少し先の6月となりますが、実物を手にとっていただければ、今回お話しした変形の面白さを味わっていただけるかと思います。また「トランスフォーマー」をあまり知らないという方も、映画をきっかけにこの商品に興味を持っていただければ、きっと楽しんでいただけるものになっていますので、第1弾のタイ・アドバンスドx1ともども、発売をお待ちください。
――ありがとうございました。
過去のシリーズから心機一転、新たな展開を迎える「スター・ウォーズ / トランスフォーマー」。タカラトミー開発陣の想いとノウハウが詰め込まれ、両者のファンが納得できるような商品に生まれ変わった。今後のラインナップも楽しみなところだが、まず3月と6月に発売される商品を実際に触ってみて、その完成度を確かめてみてほしい。
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※写真は試作品のため、実際の商品とは異なります