インタビュー

「ストリートファイターII」×「トランスフォーマー」インタビュー

30周年を迎えた対戦格闘ゲームと「トランスフォーマー」が奇跡のコラボ

2018年5月下旬発売予定

価格:
「リュウ vs ベガ」12,000円(税別)
「ケン vs 春麗」8,000円(税別)
11月22日~12月18日予約受付中

 タカラトミーは、同社が展開する「トランスフォーマー」シリーズと、カプコンの「ストリートファイターII」とのコラボ商品「ストリートファイターII×トランスフォーマー」の予約をタカラトミーモールにて開始した。

「ストII」の愛称で知られる本作のビジュアル。「ストリートファイター」のシリーズとしては30周年で、本作は1991年にリリースされた

 カプコンが贈る、今年シリーズ30周年を迎えたアーケードゲーム「ストリートファイター」の2作目にして、“乱入対戦”というシステムでアーケードシーンにムーブメントを起こした「ストリートファイターII」(以下、「ストII」と略)と、タカラトミーの変形玩具トランスフォーマーが、奇跡のコラボレーションを実現したこの製品。

 エネルゴンを求めて「ストII」の世界にやってきたトランスフォーマー軍団が、新たなパワーを手にするために、ファイターたちをスキャン(擬態)したという設定のもと、4人の人気キャラクターが2体ずつのセットとなって、2018年5月にタカラトミーモール限定商品として発売される予定だ。

 製品は「リュウ vs ベガ」が12,000円(税別)と、「ケン vs 春麗」が8,000円(税別)のセットでそれぞれ発売となる。タカラトミーモールでは、この11月22日13時より12月18日まで予約が受付中だが、今回この製品の試作品を取材させていただくとともに、企画に携わったタカラトミーボーイズ事業部の小野原大輔氏に、製品開発に関する話を聞いた。

トランスフォーマー軍団が、「ストII」のファイターたちをスキャン!

 「ストII」と「トランスフォーマー」の融合と聞いて、互いのファンは大いに驚かされたのではなかろうか。これまでも「トランスフォーマー」は様々なブランドとコラボしていて、その多くは何か固有の製品にトランスフォーマー達が擬態するという、原作の設定に基づいた展開だったが、今回は人間のキャラクターが主役のゲームとのコラボであり、それが一体どのようにしてトランスフォーマーと融合するのか、このインタビューの依頼を受けたときから興味津々だった。

同梱されるリュウ×コンボイと、ベガ×メガトロンの試作品。カラーリングだけでなく、体形も上手くマッチしている
こちらはケン×ホットロディマスと、春麗×アーシー。ケンのまゆ毛や春麗のお団子頭など、特徴も塗装にて表現

 その実物は、現在展開中の変形フィギュアシリーズ「トランスフォーマー レジェンズ」のトランスフォーマーを「ストII」のイメージカラーで表現し、それぞれのロボットモードが4人のキャラクターのカラーリングになっているというものだ。いわゆる“リペイント”の仕様なのだが、ロボットモードのシルエットはそれぞれトランスフォーマーなのに、カラーリングを含めて眺めてみると、「ストII」のあの4人にしか見えないのだ。

 特に今回の紅一点となる春麗×アーシーは、頭部の形状や女性的な下半身など、両者が融合することを見越したようにデザインされたとした思えない出来映えには感心する。他の3人もまた、それぞれの特徴を上手く落とし込んでいて、個人的に違和感は感じられなかった。

 リュウ(コンボイ)とベガ(メガトロン)は、ロボットモードと2種類のビークルモードにトランスフォームする「トリプルチェンジャー」で、リュウになるコンボイは国内では限定のブラックバージョンでしか発売されていないアイテムだ。それにケンを加えた3種は「ヘッドマスター」という、ロボットの頭部がミニロボットに変形する仕様で、このミニロボットも、それぞれのキャラクターに合わせたカラーリングになっているのも面白いところである。

【リュウ×コンボイ】
リュウ×コンボイ。タンクローリーとジェット機にトランスフォームする。前者は、特にタンク部分に「風林火山」の文字が象徴的にあしらわれている

【ベガ×メガトロン】
ベガ×メガトロン。戦車とジェット機にトランスフォーム。顔つきなども2人のキャラクターのシンクロ率がかなり高めだ

 タカラトミーがこれまでトランスフォーマーシリーズで培ってきたノウハウも、もちろん反映されていて、今回コラボした製品群は差し替えなしの完全変形をうたいつつ、広い可動域を実現しているため、「ストII」におけるキャラクターの必殺技のほとんどのポーズを再現可能だ。またそれぞれのビークルモードは、ロボットモード時に人間らしさが目立つ肌の部分が極力隠れるようになっていて、メカとしてのイメージを崩さないようにデザインされているのも注目すべき点と言えるだろう。

【ケン×ホットロディマス】
ケン×ホットロディマス。リュウとは異なる機体ながら、両者とも3つの必殺技のポーズを取れる

【春麗×アーシー】
春麗×アーシー。アーシーの女性的なフォルムで春麗を再現。スピニングバードキックのポーズも完璧だ

 製品は「リュウ vs ベガ」と、「ケン vs 春麗」のセットがそれぞれ発売となる。パッケージはウィンドウボックスになる予定で、ゲーム中のステージを背景に2体がロボットモードで必殺技をくり出しているポーズでレイアウトされるとのこと。

 また11月22日~27日12時59分までに予約をした人には「早期(ターボ)予約キャンペーン」として、「TF専用ディスプレイスタンド」が1商品につき1個プレゼントされることになっている(先着3,000個)。今回写真でも紹介しているが、いくつかの必殺技のポーズを取るためには必須のスタンドなので、ぜひ手に入れておきたい。

【TF専用ディスプレイスタンド】
スタンドは必殺技ポーズを取るのにぜひ欲しい。タカラトミーモールでは販売もされているので、追加で必要なら購入する手もあるだろう

世代のファンを直撃したコラボレーション

 そしてここからは、タカラトミーの小野原大輔氏に、今回のコラボの経緯や、開発のポイントなどを聞いた。

――今回「ストII」とトランスフォーマーという意外なコラボに驚かされたのですが、まずはその経緯からお聞かせください。

小野原氏:弊社としては近年、トランスフォーマーシリーズで様々なコラボレーションを展開していまして、これには昔トランスフォーマーを遊んでいたけど、今は離れてしまったという世代のファンに向けて、両者の親和性を見越して話題化することで、お互いの良さを再認識していただくという目的があるんです。

 今回のカプコンさんとコラボさせていただいた「ストII」は、今年シリーズ30周年、世代的にも33周年を迎えたトランスフォーマーと近いということで、弊社のほうから企画を提案させていただきました。

――タカラトミーさんからの企画だったんですね。その提案に対してカプコンさんからの反応はいかがでした?

小野原氏:トランスフォーマーの元々の設定に、物質をスキャンして擬態する能力を持っているというのがありまして、それを生かして「ストII」のキャラクターをスキャンした姿でデザインさせていただいたのですが、カプコンさんの現在の開発各所にもトランスフォーマー世代の方が多く、こちらからご提案をしたときに、「おおっ!」という驚きの反応をいただきました。

――トランスフォーマー達が人間に擬態するというのは、これまであまりない設定ですよね。

小野原氏:ええ、そうなんです。ストーリーとしては、エネルゴンを探しに来たメガトロンが先に「ストII」世界に現われて、自分と共鳴する部分があるベガに擬態して、後にやってきたサイバトロンの3人が、ベガと戦っていたリュウ、ケン、春麗に擬態して、そこから新たな戦いが始まるという設定ですね。

――世界観自体も融合させたイメージなんでしょうか。

小野原氏:融合というよりは、両作品の世界観に重なるところがあって、そこから派生していくストーリーというイメージですね。

――ベースとなる製品に「レジェンズ」を選んだ理由はどこにあったんでしょうか?

小野原氏:コラボをさせていただくキャラクターが「ストII」のメインどころということで、弊社としてもトランスフォーマーを代表するキャラクターとの組み合わせを考えていました。その中で現在シリーズの主力として展開している「レジェンズ」の「ヘッドマスターズ」をベースにするのが面白いのではないかということで、こちらを選ばせていただきました。

――ヘッドがミニロボットに変形してもキャラクターに似ているというのは確かに面白いですね。

小野原氏:そこはこちらとしても狙ったところでしたね。頭部がさらに「ストII」のキャラクターに変形するという部分は話題性も意識したところで、現在トランスフォーマーシリーズから離れてしまっている方にも、インパクトを感じていただけるのではないかと思っています。

アーシー以外は「ヘッドマスターズ」仕様で、頭部が小さなロボットに変形する。ビークルモードに搭乗も可能だ

対戦格闘のイメージを崩さないために、2体をセットにして戦っているシーンを再現

――リュウ、ベガ、ケン、春麗の4人の選定は、企画の最初から決まっていたんですか?

小野原氏:もちろん「ストII」シリーズにはたくさんのキャラクターがいて、選定にあたって何人か候補も挙がりましたが、そこはやはり最初ですので、知名度の高いキャラクターを選ばせていただきました。それともうひとつ、トランスフォーマーと組み合わせるにあたって、エドモンド本田やサガットのように、肌の露出が多いキャラクターの優先度は低めでした。やはりメカということがあるので、全体的に肌部分の露出が多くなってしまうと、どうしてもメカとしての色合いが気になってしまいますからね。

――確かに色合いなどで見ても、このキャラクター選定はベストかもしれませんね。

小野原氏:実はリュウなんかも、白が基調なので、コンボイとの組み合わせでどうなるのか、実際に形になるまでわからなかったんですが、結果的には凄くいいデザインに仕上がったと自負しています。

――カプコンさんに監修いただくときのやりとりは、どのようにされていたんでしょうか?

小野原氏:仕様が現行の商品ですので、塗装をしたサンプルをお持ちして見ていただきました。カプコンさんのみなさんもトランスフォーマーをよくわかってらっしゃる方ばかりでしたので、デザインに関する助言などもいただきました。ベガのビークルモード時に見えるシャドルーのマークなどは、カプコンさんのアイデアなんですよね。私も「ストII」世代ですので、お互いに楽しみながらデザインをすることができました。

――それぞれ単品ではなく、セットとなった理由はあるんですか?

小野原氏:「ストII」というと対戦格闘ゲームの先駆者かつ金字塔ですので、“対戦”という部分を強調したいという思いが強く、2人セットにすることで対戦をしている様子を再現できるのが最大の理由です。パッケージも普段のトランスフォーマーのように直立ではなく、必殺技を出している状態で収納しているので、パッケージのまま部屋に置いていただければ、そのまま対戦シーンを飾れるようになっています。

――そこまで動きを意識したパッケージは、トランスフォーマーシリーズでは見たことがないですね。

小野原氏:はい、この仕様は初めてですね。家に届いた瞬間から、バトルは始まっているということですね(笑)。

まだパッケージは完成していないが、イメージはこのようになる。背景にはゲーム中のステージの画像が用意される

――トランスフォーマーのコラボ商品は、どれもパッケージが凝っていますね。

小野原氏:そうですね。トランスフォーマーのコンセプトに「Robots in Disguise」というワードがありまして、これには“ロボット達があらゆるところに潜んでいる”という意味を込めているんです。特にコラボ商品に関しては、できる限り先方の商品に寄せていくことで、手にとっていただいた方がハッとしてくれるようなワクワク感を演出をするのは、私達のひとつのこだわりでもありますね。

――今回の場合はまた一味違う演出ですよね。

小野原氏:ええ、先ほどリュウやベガに擬態したという設定の話をしましたが、「ストII」のファイター達をスキャンしたことで、彼らも波動拳やサイコクラッシャーアタックを使えるようになるんです。新たなパワーを手に入れた彼らによる新たな構図ができあがって、それを購入者の方が脳内変換して楽しんでもらえるような、そんな演出です。手前味噌になりますが、こうした柔軟さがトランスフォーマーの面白みですので、そこをぞんぶんに味わっていただきたいですね。

――必殺技のポーズを取るには、当然ながら可動域が広くなければなりませんが、現行の最新ラインナップである「レジェンズ」ならそれも実現できたわけですね。

小野原氏:トランスフォーマーも1984年から販売していますから、当然おもちゃとしての完成度もその頃とは比較にならないほど上がっています。特にこの「レジェンズ」は、「Generation1」と呼ばれる往年の世代のキャラクターが最新の技術で蘇るコレクションシリーズというコンセプトの製品で、当然ながら可動域なども広くなっていて、それにより「ストII」のキャラクターもこのように再現することができました。

――可動のために特別な改良などをしたわけではなく、素体となっている機体は「レジェンズ」の製品のままなのですね。

小野原氏:はい、素体自体には何も手を加えていませんね。

こちらは試作品なのでカラーリングは塗装されたものだが、製品では一部を除いて成形色となるので、気を遣わずに遊べる
ビークルモードの揃い踏み。ケンのまゆ毛を思わせるボンネットのラインや、春麗の服の模様など、変形後も雰囲気を残している

トランスフォーマーがファイターをスキャンする様子をイメージしたPVを東京コミコン2017で公開予定

――今回発表されたこの実物を、イベントなどで展示する予定などはありますか?

小野原氏:12月1日からの東京コミコン2017の弊社ブースにて出展させていただこうと思っています。実は今回の発売にあたってPVを作らせていただいたんですが、これを会場で上映する予定です。

――そのPVはどんな内容なんでしょうか。

小野原氏:今回のコンセプト(スキャン→擬態)に合わせた、“リュウとコンボイが共演するスペシャルムービー”です。こちらはぜひ会場でご覧ください。

――今回発売されるのは4人ですが、他のキャラクターをリリースするような構想はありますか?

小野原氏:やりたいですよね。初代「ストII」でも仕様キャラクターは8人いるわけですし、シャドルーを入れれば12人ですからね。でももちろんそれはこの製品の反響次第ということになりますね。

――例えばもし次が出ることになった場合、誰をどの機体でやるかとか、そういったイメージはあるんですか?

小野原氏:実は企画の最初の段階で、どのキャラクターをどの機体でやりたいという候補は挙げていたんです。とはいえ、例えばエドモンド本田などですと、体形などからフォルムが限定されてしまうので、そうなるとどうしてもトランスフォーマー側のコラボキャラの知名度がネックになってしまうので、もし実際に発売するとなれば、いろいろと考えなくてはならないかもしれませんね。

トランスフォーマーの魅力を再認識させるコラボは、これからも積極的にアプローチしていく

――「ストII」のコラボも含め、かなり攻めている印象がありますね。

小野原氏:最近では、オファーをいただくことも増えました。それによって、トランスフォーマーの認知度も凄く上がっていることを認識させていただきました。そんな中で、やはり我々から仕掛けていくコラボというと、やはり冒頭でもお話しした、かつてトランスフォーマーに触れていた方が大人になって、様々なコンテンツを楽しむ中で、再びトランスフォーマーに出会って、改めてその良さに気付いていただけるようなところを目指して、これからも積極的にアプローチしていきます。

――タカラトミーさんからアプローチする場合、対象のブランドなどを選ぶ基準はどのあたりにあるんでしょうか。

小野原氏:例えば「ビーストウォーズ」なら20代、「G1」なら30代以上の方が多いので、そういった世代の方が慣れ親しんでいるブランドで、なおかつトランスフォーマーとの親和性が高いものというのが一番の基準で、それに加えて今回の「ストII」のように、何か特別なアニバーサリーに合わせられるようであれば、よりユーザーの感度も上がるかと思うので、周囲の情報などもフックにしつつ、お話しをさせていただきたいと考えています。

――この11月に予約が始まって、来年5月には発売となりますが、予約した、あるいはこれから予約するという方へのメッセージをいただけますか。

小野原氏:トランスフォーマーにはこれまでも多くの方に触れてきていただけたかと思いますが、その中で今回「ストリートファイターII」とのコラボを通じて、改めてトランスフォーマーの魅力を知ってもらって、完全変形やおもちゃとして楽しめる部分を、実際に触って実感してもらえればと思います。動かして楽しむという意味においては、本当にいいコラボレーションとなりましたので、ぜひ予約をしていただいて、お手元に届くまでワクワクしながらお待ちいただければと思います。

――ありがとうございました。