【特集】

【年末特集】豊作の2023年海外ゲー、“物語世界にどっぷり浸かれる”タイトル5選

「Starfield」、「サイバーパンク2077:仮初めの自由」、そして「バルダーズゲート3」!

 2023年は海外ゲーム、いわゆる"洋ゲー"は当たり年と言える年となった。初頭に「ホグワーツ・レガシー」、そして独特の世界観がウリの「アトミックハート」、シリーズ最新作「Forza Motorsport」、ベセスダの「Starfield」などなど話題を集める作品が次々と発売された。極めつけは「バルダーズ・ゲート3」だろう。Game of the Year(GOTY)を受賞した話題作の日本語版が、12月21日に発売されたのだ。

 本稿ではこの中から「物語世界の住人になれるゲーム」というテーマでタイトルをチョイスしてみた。スペースオペラの世界、サイバーパンク世界、「ホグワーツ魔法魔術学校」の世界に、「D&D」の「フォーゴトン・レルム」……。奥深い世界を歩き回り、住人達と交流し、濃いストーリー体験が楽しめる作品達だ。どの作品もストーリーはもちろん、やりこみ度満点、この年末に時間を忘れて遊びたくなる作品ばかりだ。ぜひチェックして欲しい。

「Starfield」

【Starfield】
開発元:Bethesda Game Studios
発売元:ベセスダ・ソフトワークス
ジャンル:RPG
プラットフォーム:Xbox Series X/S/Steam(PC)
発売日:9月6日
価格: 9,680円(通常版)
12,870円(プレミアムエディション)

 西部劇で馬に乗ったガンマンがふらりと現れ悪者を倒して去って行く。アメリカの戦前、「ホースオペラ」という物語パターンがあり、それを宇宙船に置き換えたものが「スペースオペラ」である。その上でスペースオペラは高まっていく宇宙への興味や、科学技術の普遍化によってSF要素を強くし、さらに魅力を深めていった。「Starfield」は基本は宇宙活劇だが、随所に最新の宇宙科学も感じさせる良質の「宇宙での冒険」を体験させてくれる。

 「自分の宇宙船で大宇宙を旅し、様々な冒険を繰り広げる」。筆者にとって「Starfield」はその夢を実現したゲームだった。子供の頃から「キャプテンフューチャー」や「レンズマン」といった戦前のSF小説に触れ、ゲームでは古くは「スタークルーザー」、最近では「Mass Effect 」なども楽しんだ。広義では「キャプテンハーロック」や「クイーンエメラルダス」なども範疇に入るかもしれない。宇宙に冒険を求めて旅立ちたかった。

 開発はBethesda Game Studios。「The Elder Scrolls V:Skyrim」でファンタジー世界に自分が実際に降り立ったかのような冒険を実現してくれたメーカーだ。「Skyrim」のような大冒険を宇宙でできる! そして「Starfield」を実際にプレイしてみてその期待は見事に満たされた。自分だけの宇宙船、魅力的な仲間、そして驚異に満ちた宇宙があった。

自分の宇宙船で大宇宙を旅する。「Starfield」はそんな夢を叶えてくれる

 「Starfield」の世界は人類が宇宙進出を果たし様々な星へ広がっている。他のSFのようなトカゲ型宇宙人などの異種族の存在はない。細々とした植民星から、大きな都市のある星、放棄された宇宙船、宇宙海賊の星など様々な星が登場する。展開するドラマもまるでサイバーパンクもののような都市の陰謀や、西部劇のような賞金稼ぎ、世代交代型宇宙船との出会いなどバラエティに富んでいる。

 夢中になってプレイしても、100時間を越えるたっぷりした冒険が用意されているだけでなく、宇宙船や装備のカスタマイズ、仲間とのエピソードなどやりこみ要素も豊富だ。そしてメインとなるのは「他文明の謎」だ。ぜひ触れて欲しいゲームである。本作をプレイするにはかなり高スペックのPCか、Xbox Series X|Sが必要となる。Game Passに対応しているのも嬉しいところだ。ただ少しわがままを言えば、PS5版も発売して欲しいところである。

【『Starfield』ライブアクショントレーラー】

「サイバーパンク2077:仮初めの自由」

【サイバーパンク2077:仮初めの自由】
開発・発売元:CD PROJEKT RED
ジャンル:RPG
プラットフォーム:PS5/Xbox Series X|S/PC
発売日:9月26日
価格:4,400円

 自分の体を機械と融合させ、さらなる力を得る。しかしその力は常に危険と紙一重。国家が力を失い企業が世界を支配しその力で住人達を支配する世界で、改造された肉体や電脳技術で夢を掴もうと、サイバーパンク達は命も投げ出して電脳世界に飛び込んでいく。「サイバーパンク 2077」はそんな世界をたっぷり楽しませてくれるゲームだ。そしてDLCである「サイバーパンク2077:仮初めの自由」は、さらにこのテーマを突き詰めた物語を提示してくれた。

 「サイバーパンク2077:仮初めの自由」を遊ぶためには「サイバーパンク2077」本編が必要となる。本作は「サイバーパンク2077」プレーヤーにはもちろん、そうでないプレーヤーにもオススメしたい濃密なストーリーが楽しめる。「仮初めの自由」はゲーム的にはエンディングの前、本編での"間"に挟まるエピソードであるが、「サイバーパンク2077」のテーマをさらに深く描いていて、一度本編のエンディングを迎えてからの方が味わいが増すだろう。

腕利きのネットランナー・ソングバード。彼女の戦いにVは巻き込まれていく

 「サイバーパンク2077」は、アニメ作品である「サイバーパンクエッジランナーズ」も含め、「この街でどう生き、どう死ぬか」が大きなテーマとなる。死に向かうギリギリの生き方で輝く激しく美しいきらめく生命の炎、その炎をいかに燃え立たせるかが重要なのだ。「仮初めの自由」では主人公Vはもちろん、ヒロインであるソングバードのその生き様に焦点が当てられる。彼女が運命の前で生きようともがく戦いにVは巻き込まれていく。

 「仮初めの自由」ではもう1人、ソロモン・リードという男が重要な役割をも持つ。彼はタフで、頼りになり、Vやソングバードのためにその身を投げ出す漢気のある男だ。しかし同時に彼は大義に身を捧げた人物である。大義とは何なのか、彼の「俺に任せろ」という台詞は、Vやソングバードに最終的に何をもたらすのか? 「生き様」という意味をかみしめたくなる作品である。ぜひ、「サイバーパンク2077」、「サイバーパンクエッジランナーズ」、そして「サイバーパンク2077:仮初めの自由」に触れて欲しい。

【サイバーパンク2077:仮初めの自由 [日本語吹替版] 公式シネマティックトレーラー】

「Alan Wake 2」

【Alan Wake 2】
開発元:Remedy Entertainment
発売元:Epic Games
ジャンル:アクションアドベンチャー
プラットフォーム:PS5/Xbox Series X|S/PC
発売日:10月27日
価格: 通常版 6,600円
デラックスエディション 8,800円

 「キャリー」、「シャイニング」、「ペット・セメタリー」、「ダークタワー」、「IT」……。様々な小説作品を発表、その作品が映画化され話題を集めたアメリカを代表する作家の1人スティーヴン・キング。「Alan Wake」シリーズの主人公である作家アラン・ウェイクはキングをモデルにしたような人物として造形されている。ゲームもまたキングの小説のような、超常の世界に現実が侵食されていくような独特の恐怖を描いている。自らの中に潜む闇にとらわれ、抜け出せなくなる。「Alan Wake 2」は作品世界にプレーヤー自身がとらわれてしまいそうな恐怖が感じられるゲームである。

 「Alan Wake 2」は筆者にとって特別なタイトルだ。一作目の「Alan Wake」は2010年に発売されその独特の物語世界に夢中になった。本作は現実世界と同じく13年後の、舞台も同じブライトフォールズである。はっきりと13年後の世界、アラン・ウェイクの"その後"が描かれるのだ。プレイする前から大いに期待していたし、実際その期待はかなえられた。

「Alan Wake 2」はアランに加え、FBI捜査官サーガ・アンダーソンのダブル主人公で展開する

 本作は"創作"がテーマになっており、物語を生み出し続ける作家アラン・ウェイクの想像力そのものが世界を歪め、現実を改変させていく。同じシーンの繰り返しやマップのつながりが変わるなどゲームとしての表現を駆使することで現実が崩壊するような不安な気持ちにさせる演出が見事だ。一方で捜査官やストーリー展開に強い癖があり、多少ユーザーを選ぶところがあるかもしれない。

 本作はアランと共にFBI捜査官サーガ・アンダーソンが主人公となる。彼女は卓越した推理力を持っており、ブライトフォールズでの事件の真相へ迫っていく。現実がどんどん超常世界に侵食されていく、底なし沼に沈み込んでいくような不安を味わえる作品だ。筆者は特に本作での1つの非常にユニークなステージがお気に入りだ。ぜひ多くの人にこのシーンを見て欲しい。

【Alan Wake 2 - Launch Trailer】

「ホグワーツ・レガシー」

【ホグワーツ・レガシー】
開発元:Avalanche Software
発売元:WB Games
ジャンル:アクションアドベンチャー
プラットフォーム:PS4/5/Xbox Series X|S/One//Nintendo Switch/PC
発売日: 2月10日(PS5/Xbox Series X|S/PC)
5月5日(PS4/Xbox One)
11月14日(Nintendo Switch)
価格:8,778円より

 映画化されたJ・K・ローリングの小説「ハリー・ポッター」シリーズの魅力の1つは「ホグワーツ魔法魔術学校」の描写と言えるだろう。魔法使い達はどんな学校に通い、魔法を学ぶのか? 現実世界とどうリンクしているのか? 小説や映画に触れた人たちは誰もが「もし自分がホグワーツに入ればどんな学園生活を送るか?」を夢想するだろう。「ホグワーツ・レガシー」はその夢を叶えてくれるゲームだ。

 「ホグワーツ・レガシー」は、「ハリー・ポッター」の世界を歩き回れるゲームである。「グリフィンドール」、「スリザリン」、「レイブンクロー」、「ハッフルパフ」。4つの寮のどれかに入るかも選択することができる。憧れの魔法使いの学園生活をしっかり体験できるのだ。

「ホグワーツ・レガシー」は「ホグワーツ魔法魔術学校」として生活できる、ファンの夢を実現したゲームだ

 「呪文学」、「闇の魔術に対する防衛術」など、この世界ならではの授業を受けられるし、生徒同士で魔法の試合を行うことも可能。小説や映画で語られる学園生活はほんの少し。ゲームではこの部分を膨らませ、ホグワーツでの学園生活を満喫することができる。原作以上に各寮が掘り下げられているのも楽しいところだ。もちろん魔法世界のスポーツである「クィディッチ」にも参加できる。

 そしてゲームならではのエピソードもある。ゲームの時代設定は1800年代。原作のキャラクターの先祖が登場し、ファンをニヤリとさせる。密猟者から魔法生物を守るなどの要素や、ドラゴンとの出会いなどこの世界ならではの冒険が待っている。、「ハリー・ポッター」ファンはもちろん、本作をきっかけにこの世界に足を踏み入れるのも良いだろう。

【Hogwarts Legacy - Official Cinematic Trailer 4K】

「バルダーズ・ゲート3」

【バルダーズ・ゲート3】
開発元:Larian Studios
発売元:スパイク・チュンソフト
ジャンル:RPG
プラットフォーム:PS5/PC
発売日:12月21日(PC版は8月4日)
価格:8,580円

 ライトノベルズや漫画で描かれる「異世界もの」の中世ファンタジーゲーム世界、それらの源流はトールキンの「指輪物語」と、「指輪物語」の世界をゲームとして翻案した「ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)」があるだろう。この2つがなければ「ウィザードリィ」や「ドラゴンクエスト」は生まれなかったかもしれないのだ。「バルダーズ・ゲート3」は「D&D」で作られたオリジナル世界の1つフォーゴトン・レルムを舞台とし、かなりダークなファンタジーが展開される。

 日本における年末最大の注目作と言えるのが、スパイク・チュンソフトが12月21日に発売したPS5版「バルダーズ・ゲート3」だろう。海外では8月4日の発売直後から話題を集め、Golden Joystick Awardsに続き、The Game Awardsでも最優秀賞の「Game of the Year」を受賞した。その「バルダーズ・ゲート3」が日本語で楽しめるのだ。

「D&D」のルールでキャラクターを作成する。ストーリーもTRPGのテイストがたっぷり盛り込まれている

 「バルダーズ・ゲート3」はTRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ第5版」のルールを採用、世界観はフォーゴトン・レルムというところで「D&D」ファンには思い入れの深い世界だが、もちろん前知識がなくても楽しめる。主人公が脳に植え付けられた寄生生物「マインド・フレイヤー」の影響で謎の能力を得るという、かなりエキセントリックなプロローグとなる。寄生生物の命じるまま悪を目指すか、必死に抗うか、プレーヤーの選択で物語は変わる。

 本作は非常に高い自由度がウリだ。キャラクターをどう育て、仲間を誰にするかはもちろん、NPCとの会話やプレーヤーの選択で様々な事柄が変化する。D&Dならではの"ダイス運"もゲームに盛り込まれていて、クリティカルやファンブルといった運でも変化が訪れる。自分の選択が世界に影響を及ぼす。他の作品以上にゲーム世界への没入感をもたらしてくれるシステムと言える。

 メインのストーリーでもボリュームたっぷりだが、ゴブリンといった悪の種族に友好的に接するような、アプローチを変えたプレイも可能。何度も選択を変えてプレイしたくなってしまう。ちなみにSteamではLarian StudiosSteamから8月から販売されていたが、12月21日に日本語化された。PCゲーマーも要チェックだ。

【PS5『バルダーズ・ゲート3』プロモーショントレーラー】