【特集】

【PCゲーマーのためのAMD Ryzen特集】GALLERIA AXZ(Ryzen 9 3900X)編

究極ハイエンド対決! 最強のゲーミングCPUはRyzen 9か? Core i 9か?

【GALLERIA AXZ(Ryzen 9 3900X)】

発売中

価格:333,333円(税別)

 ここまでお届けしてきたAMD RyzenとIntel Core iを比較して検討する企画もいよいよ最終回。最上位に君臨するRyzen 9 3900XとCore i9 9900Kについて見ていきたい。両方とも超ハイグレードなマシンに使われているCPUだけに、最強ゲーミングCPUはどちらなのか気になるところだろう。

Ryzen 9 3900X(右)とCore i9-9900(左)

 Core i9は2017年5月に登場したCPUで、その歴史はまだ浅い。それまで最上位だったCore i7に代わり登場したCore i9だが、ゲーミングPC向けとしてCore i9が採用されている場合、本体はCore i7のマシンよりも当然ながら価格が高い。Core i9が登場したばかりの時は、ベースクロックがCore i7よりも低く、ゲームなどシングルスレッド能力が物を言うアプリケーションでは、Core i7の方が処理が速かったりしたが、今ではCore i9-9900KはCore i7-9700Kと同じ3.6GHzで、ターボブースト時も5.0GHz(Core i7-9700Kは4.9GHz)と処理が速くなり、まさに“最高峰”の名をほしいままにしている状態だ。

 このCore i9-9900Kを念頭に登場したのが、Ryzen 9 3900Xだ。Core i9-9900Kが8コア16スレッドであるのに対し、Ryzen 9 3900Xは12コア24スレッド。物理コアの数を増やして処理能力を上げてきた。加えてRyzen 9 3900Xはベースクロックが3.8GHz、ブーストクロックはCore i9-9900Kよりもやや劣るものの、4.6GHzだ。

 ただゲームソフトに限ってみれば、シングルコア処理が多く求められるため、コア数よりも動作周波数のほうが物を言う。このため正直言ってコア/スレッド数はそれほどゲーミング体験には関係ない。しかし動画処理や配信など、映像系のマルチメディアコンテンツを処理する場合には、コア数が多いCPUのほうが有利だ。つまり、ゲームをプレイしながらライブ配信するとか、マルチスレッド処理をする用途には向いている。このあたりを踏まえながら、ゲームソフトによるフレームレート変化を見て検証していきたい。

 最後となった今回も、マシンはサードウェーブから「GALLERIA」シリーズを提供していただいている。合計6台ものマシンをテストしてきたのだが、このような体験はひさびさでとても楽しかった。こうしてマシンをいじってみると、GALLERIAシリーズのマシンは本当によくできていることがわかる。グレードに応じてマザーボードも変えてあるし、最新のPCIe4.0対応もしっかりとされている。使われているパーツのチョイスも「なるほど」と思わせるほどだ。PCは高い買い物。できるだけ長く使いたいのはもちろんなので、信頼性のあるパーツで組み上げられている、GALLERIAシリーズのようなマシンであれば、十分満足できるに違いない。

 なおハイエンド向けとなるRyzen 9 3900Xが搭載されているのは「GALLERIA AXZ」。詳細は後ほど述べるが、PCIe4.0に対応する1TBのM.2 SSDを採用しており、最新の規格にもしっかりと対応。ビデオカードはGeForce RTX 2080 Tiを搭載するなど、最高のゲーミング体験をするためのパーツで構成されている。

スーパーハイエンドな本体構成

 ではここからはハードウェア回りの状況について確認していこう。今回サードウェーブに用意していただいたのは「GALLERIA AXZ」と「GALLERIA ZZ」だ。まずGALLERIA AXZだが、マシン構成は以下のようになっている。

GALLERIA AXZ(右)とGALLERIA ZZ(左)

【GALLERIA AXZ(Ryzen 9 3900X)】
CPU:AMD Ryzen 9 3900X (3.8GHz/12コア/24スレッド/L2キャッシュ8MB、L3キャッシュ64MB)
チップセット:AMD X570
GPU:NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti 11GB
メインメモリ:16GB DDR4 SDRAM(PC4-25600/8GBx2/2チャネル)
ストレージ:1TB Gen4 NVMe SSD (PCIe Gen4x4, 読込速度 5000MB/s, 書込速度 4400MB/s)、3TB HDD
光学ドライブ:光学ドライブなし
電源:CORSAIR 850W (80PLUS PLATINUM HX850i)
OS:Windows 10 Home 64ビット
試用マシン:GALLERIA AXZ
価格:333,333円(税別)
https://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime.php?tg=13&tc=30&ft=&mc=8799&sn=4178&st=1&vr=10

 対するGALLERIA ZZは次の構成となる。

【GALLERIA ZZ(Core i9-9900K)】
CPU:インテル Core i9-9900K(3.60GHz/8コア/16スレッド/キャッシュ16MB)
チップセット:インテル Z390
GPU:NVIDIA GeForce RTX 2080 Ti 11GB
メインメモリ:16GB DDR4 SDRAM(PC4-21333/8GBx2/2チャンネル)
ストレージ:512MB NVMe SSD(M.2)、3TB HDD
光学ドライブ:光学ドライブなし
電源:SILVERSTONE 750W 静音電源 (80PLUS PLATINUM / SST-ST75F-PT)
OS:Windows 10 Home 64ビット
試用マシン:GALLERIA ZZ(※CPUとメモリが標準構成と異なる)
価格:269,980円(税別)
https://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime.php?tg=13&tc=30&ft=&mc=8358&sn=3798&st=1&vr=10&tb=2#tabContents

 以上のように、ハイエンドなCPUを表す「9」なだけでなく、ビデオカードとしてGeForce RTX 2080 Tiを搭載するなど、GALLERIA AXZはスーパーハイエンドな構成だ。GALLERIA AXZでは、採用されているマザーボードもPCIe4.0に対応しているチップセット「X570」を搭載する、ASRockの「X570 Phantom Gaming 4」。対するGALLERIA ZZも最新のチップセット「Z390」を採用しているASRockの「Z390 Phantom Gaming 4」を搭載している。特にGALLERIA AXZはPCIe4.0に対応するM.2 SSDを搭載しており、ゲームをインストールしたり、途中発生するローディングなど、とてもキビキビとした動作が期待できる。

【GALLERIA AXZ】
GALLERIA AXZのCPU-Z計測データ
【GALLERIA ZZ】
GALLERIA ZZのCPU-Z計測データ
【GeForce RTX 2080 Ti】
GeForce RTX 2080 TiのGPU-Z計測データ(両マシン共通)

 なお今回テストしたCore i9-9900Kマシンと、販売されているGALLERIA ZZではCPUとメモリのスペックが異なるのでその点はご了承いただきたい。ちなみに検証機で使用したGALLERIA AXZはGen4 SSDを搭載しているためGALLERIA ZZとの間に約6万円の価格差があるが、カスタマイズでより低価格のストレージに変更もできる。

ハイエンドマシンにふさわしい構成

 ではGALLERIA AXZとGALLERIA ZZの内部など、本体回りを見ていこう。先ほども述べたとおり、ビデオカードは両方共通でGeForce RTX 2080 Tiが搭載されている。

【正面】
本体正面はGALLERIA AXZとGALLERIA ZZともに共通。というか前回紹介したGALLERIA AXFと同じだ。正面には電源ボタンとリセットボタン、オーディオのイン、アウト、SD/microSDカードスロット、USB3.0ポートが2基ある
【GALLERIA AXZ】
GALLERIA AXZのI/Oパネル回り。USB3.0ポートが8ポート用意されている
【GALLERIA ZZ】
GALLERIA ZZのI/Oパネル。こちらはUSBポートの数がGALLERIA AXZよりも数が少なく、全部で5ポートしかない
【GeForce RTX 2080 Ti】
GALLERIA AXZ、GALLERIA ZZともにビデオカードはGeForce RTX 2080 Tiを搭載している
【GALLERIA AXZの内部】
CPUクーラーはAMD純正で空冷式。これでも十分冷えるということだろうか
【GALLERIA ZZの内部】
CPUクーラーは大型のファンが取り付けられている、ドスパラで発売している「DEEP COOL」を使用

テストその1:ゲームのフレームレート計測

 検証に入る前に最後にもう一度、検証方法について振り返っておこう。レギュレーションは以下の通りだ。

・Core i5にはRyzen 5、Core i7にはRyzen 7、Core i9にはRyzen 9という形で、それぞれのCPUを搭載するGALLERIAシリーズを使って比較する
・ビデオカードは「5対決」ではGeForce GTX 1660 Ti、「7対決」ではGeForce RTX 2070、「9対決」ではGeForce RTX 2080 Tiを利用する

 これを条件として、以下のテストを行なっている。

・「GAME Watch認定PC」の手順に従ってフレームレートを測定する
・「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下、FFXIVベンチ)、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(以下、FF15ベンチ)でテストする

 なおGALLERIA AXZとGALLERIA ZZのみ、さらに高負荷状態でのパフォーマンスを検証するために、OBS Studioで配信しながらゲームのフレームレート計測も追加で行なっている。

 では比較へと移っていこう。まずはゲームをプレイした際のフレームレート測定。今回取り上げるゲームとしては、「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下、PUBG)、「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」(以下、SEKIRO)の2タイトルだ。

 ではまず「PUBG」から。このゲームについてはこれまでの回でも取り上げているので、あまり多く述べることはないが、知らない方のために一応おさらいしておくと、大きなフィールドを最大100人で闘い合うバトルロワイヤル形式のゲーム。そのフィールドにいる人はすべて敵。部屋などに落ちている武器や防具を身につけ敵を倒すのが目的だ。木々や石、建物などに隠れつつ相手を撃ち殺していく。最後の1人までに残ると「ドン勝」と表示されてたたえられる。

【PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS】
建物が密集している場所では武器がかなり見つかるのだが、そこを目的として降りる敵も多いため、つわものでないと生き残れない
スコープがあればこのような精密射撃も可能だ

 なお、フレームレートの測定に際しては高画質と低画質に分けている。以下がその設定だ。

高画質の設定
低画質の設定

 処理能力の高さを要求される「PUBG」だが、GALLERIA AXZでも、GALLERIA ZZでも4K高画質となると60fpsをなんとか越えているという状況だ。しかし今回は、前回のGALLERIA AXFとは異なり、すべての条件でGALLERIA AXZのほうが平均フレームレートが高くなっている。つまり、GALLERIA ZZよりもGALLERIA AXZのほうが性能がよい、と言うことだ。

【「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」フレームレート検証結果】

 続いては「SEKIRO」に移ろう。「SEKIRO」はフロムソフトウェアのファンが待ち望んだ作品で、今でもかなりの人気を博している。ダークな世界を彩る暗い雰囲気の建物、城など、フロムソフトウェアが手がける「DARK SOUL」のような、特徴的なテイストで描かれている。またプレーヤーキャラが移動するために、屋根のてっぺんなどに放つワイヤーアクションも爽快だ。

【SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE】
屋根から屋根へと移り渡るアクションが気持ちいい
赤い丸で表される敵の急所が見えたら即座に倒そう

 「SEKIRO」についても高画質と低画質、2つの設定を変えて計測している。

高画質の設定
低画質の設定

 「SEKIRO」のフレームレートは以下のような結果となった。GALLERIA AXFとは異なり、すべてのグラフで平均フレームレートではGALLERIA AXZの方が上となっている。AMDが発表している、CPUのL3キャッシュをはじめとしたキャッシュシステムを「Game Cash」と呼んでいるが、ビデオカードが同じという条件を考えても、CPUの実力が差になって表れたと考えてよい。

【「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」フレームレート検証結果】

その2:ゲームベンチマークテスト結果

 それではおなじみとなっているゲームのベンチマークテストを実行して検証していく。まずは「FFXIVベンチ」から。

 先ほどのフレームレート測定とは異なり、GALLERIA ZZの方がよい値を出している。ただしGALLERIA AXZも大きな差を付けられたというわけではなく、かなり肉薄している。特に「高品質」のように負荷がかかるテストになると、その差はほぼないと言ってよい。

【「FFXIVベンチマーク」結果】

 続いては「FFXVベンチ」に移ろう。こちらも先ほどのFFXIVベンチと傾向性はほぼ似ており、負荷がかかるほどGALLERIA ZZと遜色ない結果を出している。この程度の差であればゲーミング体験が大きく変わることもなく、十分に楽しめるだろう。

【「FFXVベンチマーク結果】

OBS Studioでの配信時のフレームレートを比較

 最後に配信時の能力を測るために、OBS Studioで配信をしたときの、「PUBG」、「SEKIRO」のフレームレートを測定した。条件としては先ほどのフレームレート測定のときの最高画質設定にし、負荷をかけるためにOBS Studioに入力するのは4K画質、出力も4K画質に設定している。

【OBS Studioでの配信】
「SEKIRO」の配信
「PUBG」の配信
【OBS Studioの設定】
OBS Studioの設定は上記の通りとした

 測定した結果は以下の通りだ。先ほどのフレームレート計測と比べると分かるが、明らかに負荷が高くなっている。しかし「SEKIRO」ではGALLERIA AXZのほうが、わずかだがGALLERIA ZZよりもよい結果を出しているし、「PUBG」ではかなりの差が開く結果となった。今回は高負荷をかけての測定だったにもかかわらず、これだけの成績を残したのは、GALLERIA AXZの実力があってのことだろう。

【OBS Studioでの配信中フレームレートの測定結果】
「SEKIRO」のフレームレート
「PUBG」のフレームレート

番外編:CrystalDiskMarkで計測

 前回のGALLERIA AXFと同じように、GALLERIA AXZに搭載されているM.2 SSDもPCIe4.0対応のものが採用されている。現在のPCIe3.0対応M.2 SSDとどの程度差が開いているのか、CrystalDiskMarkで検証してみた。

 結果を見れば一目で分かるのだが、「速度が倍」のうたい文句通り、シーケンシャルReadが1.5倍、Writeが2倍という結果が出ている。ゲームのパフォーマンスに大きく影響を与えるものではないが、インストール時やロード時の読み込みなどでは威力を発揮する要素だ。

【CrystalDiskMarkベンチマーク結果】
GALLERIA AXZ
GALLERIA ZZ
【CrystalDiskInfoの情報】
GALLERIA AXZ
GALLERIA ZZ

ゲーミング性能は明らかにRyzen 9 3900Xマシン「GALLERIA AXZ」の方が上

 GALLERIA AXZは、「FFXIVベンチ」、「FFFXVベンチ」では僅差でGALLERIA ZZに及ばなかったが、フレームレートの実測では結果が好転し、配信時のフレームレート計測では「PUBG」で圧倒した。

 GALLERIA AXZならば活用できるゲームキャッシュやPCIe4.0など、次世代のアーキテクチャー環境が手に入るわけで、パフォーマンスを求める、配信を含めて、PCゲーミングを存分に楽しみたいと考えているコアゲーマーならGALLERIA AXZはベストチョイスなCPUと言えるだろう。

 さて、4回に渡ってお届けしてきたRyzen特集はいかがだったろうか。「5」から「7」、そして「9」と見てきた感想だが、一瞬影に隠れてしまっていたAMDが、久々に凄いCPUを作ったな、という印象だ。いつもAMDはインテルに迫るものの、今ひとつのところでインテルに水をあけられてしまう。ただ、今回はしっかりインテルを捉え、Ryzen 9 3900Xのように同世代で完全に追いこしているモデルも存在するのは心強い。一方、インテルも第10世代のCore iシリーズが出荷開始となっており、その動きも気になるところ。ただ、競争があれば技術はより進歩していくわけで、これからもAMDには追いつけ追いこせで頑張ってもらいたいところだ。

【GALLERIA AXZ】

GAME Watchは「Ryzen 9 3900X」搭載の「GALLERIA AXZ」について以下の項目を認定します

・フレームレート計測では全面的にCore i9-9900Kを上回るパフォーマンスを実現
・「FFXIV/XV」ベンチでは処理の重い高画質でCore i9-9900Kより良い結果を出した
・配信を行ないながらのゲームプレイでも、Core i9-9900Kを上回るパフォーマンスを実現

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