【特集】

【PCゲーマーのためのAMD Ryzen特集】GALLERIA RT5(Ryzen 5 3600)編

手を出しやすい10万ちょい越えのエントリーモデル。ゲーマーがチョイスすべきマシンは?

【GALLERIA RT5(Ryzen 5 3600)】

発売中

価格:109,980円(税別)

 7月7日に発売されたAMDの新CPU「Ryzen 3000シリーズ」。発売当初はインテルの「Core iシリーズ」と比べて価格性能比がよいということで、とても人気を博した。筆者のようにかつての「Athlon対Pentium」を覚えている世代としては、ひさびさに「AMDが来たー!!」という感想を持つ(今も残るこのCPU名も、すでに廉価版という位置づけでしかないのだが)。そんなときにこの、Ryzen 3000シリーズ対Core iシリーズという企画があることを告げられた。

Ryzen 5 3600(右)とCore i5-8500(左)

 個人的にもどのような性能差があるのか気になっていたし、エントリーからハイエンドまで、自分で買いそろえたらこれまた目玉が飛び出るような価格になるマシンを、自由に試せるのはありがたい。前回の記事でRyzen 3000シリーズの概要について、その歴史とともにご紹介した。次はいよいよCPU対決へと移っていきたい。

 その前に「5」シリーズの意味について考えてみたい。インテルの例だが、CPUとなる「Core iシリーズ」は、Core i3、Core i5、Core i7、そしてCore i9のグレードがあるのはご存じだろう。基本的に数字が高いほど高性能で、「3」シリーズは10万円以下のPCなど、PCはネットサーフィンとメールくらいしか使わない、という用途に使うPCが対象となる。

 「5」になってくるともう少し重い処理をするPCにも使われる。ゲーミングPCに採用されるのもこの「5」からだ。多くのエントリークラスモデルではCore i5を使ったマシンが販売されている。そして「7」となると、ハイエンドゲーミングPCや動画処理、3DCG作成など、さらに重い処理をするためのマシンとして使われる。これは最高グレードとなるCore i9も同じだ。

 そこで「5」シリーズが持つ意味について考えると、ゲーミングPCとしては、例えばHD画質でリフレッシュレート240Hzまで出るディスプレイを購入したとしても、その能力は十分に発揮できないが、60fps程度のグラフィック能力で遊ぶ分には問題がない。もっとも最近のゲームは60fpsを基準としてゲームデザインされているので、それほど性能が低いというわけではなく、十分に楽しめる。ただしプロを目指す、大会で勝利したいとなると、もっとハイグレードなゲーミング体験が必要で、「5」シリーズでは不足を感じる部分が出てくるだろう。こうした点を踏まえて以下の記事を読んでいただくと、エントリークラスモデルにはどのようなマシンが最適なのか分かってくるだろう。

 今回マシン提供に協力していただいたのはサードウェーブが展開するゲーミングPCブランド「GALLERIA」シリーズだ。新しいRyzen 3000シリーズのラインアップもそろっており、今回紹介するRyzen 5 3600を搭載するマシンだけでなく、Ryzen 7 3700X、Ryzen 9 3900Xマシンまで含めると全15種類。これなら自分の要望に合わせたマシンが見つかるに違いない。もちろんRyzen 3000シリーズだけでなく、インテルのCore iシリーズも用意されているので、予算に合わせた選択ができるはずだ。

エントリークラスとはいえ、ゲームプレイには十分なスペック

 ここからはハードウェア回りの状況について確認していこう。テストマシンはご紹介の通り、サードウェーブの「GALLERIA」シリーズからチョイスしている。まずRyzenだが、マシン構成は以下のようになっている。

GALLERIA RT5(右)とGALLERIA DT(左)

【GALLERIA RT5(Ryzen 5 3600)】
CPU:AMD Ryzen 5 3600(3.60GHz/6コア 12スレッド/L2キャッシュ3MB、L3キャッシュ32MB)
チップセット:AMD B350
GPU:NVIDIA GeForce GTX 1660 Ti 6GB
メインメモリ:8GB DDR4 SDRAM(PC4-21333/4GBx2/2チャンネル)
ストレージ:240GB SSD、1TB HDD
光学ドライブ:光学ドライブなし
電源:500W 静音電源 (80PLUS BRONZE)
OS:Windows 10 Home 64ビット
試用マシン:GALLERIA RT5
価格:109,980円(税別)
https://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime.php?tg=13&tc=30&ft=&mc=8816&sn=0

 対するCore i5搭載モデルは次の構成となる。

【GALLERIA DT(Core i5-8500)】
CPU:インテル Core i5-8500(3.00GHz/6コア 6スレッド/キャッシュ9MB)
チップセット:インテル H310
GPU:NVIDIA GeForce GTX 1660 Ti 6GB
メインメモリ:8GB DDR4 SDRAM(PC4-21300/4GBx2/2チャンネル)
ストレージ:240GB SSD、1TB HDD
光学ドライブ:光学ドライブなし
電源:500W 静音電源 (80PLUS BRONZE)
OS:Windows 10 Home 64ビット
試用マシン:GALLERIA DT
価格:109,980円(税別)
https://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime.php?tg=13&tc=30&ft=&mc=8624&sn=0

 構成を見ればお分かりかと思うが、GALLERIA RT5に搭載されているマザーボードは「AB350M-HDV R4.0」で、チップセットは前世代の「B350」が採用されている。Ryzen 3000シリーズは「Zen2」アーキテクチャを採用しており、PCIe4.0対応の最新のチップセットとして「X570」が利用できるのだが、コストを抑えるためか採用していない。もっとも、ビデオカードは「Navi」のコードネームで知られる、PCIe4.0対応の「Radeon RX 5700」を使用していないので特に問題となることはないだろう。

 またB350のマザーボードは1万円前後から高くても15,000円程度で購入できるのに対し、X570は安くても2万円程度と価格にかなりの開きがある。エントリークラスモデルとしては最適なチョイスだろう。

 ちなみにRyzen 5 3600のCPU単体での実勢価格は26,400円程度。発売当初は25,800円程度だったものが、人気のためか価格が微妙に値上がりしている。

【Ryzen 5 3600】
Ryzen 5 3600のCPU-Z計測データ

 対するCore i5-8500を搭載するGALLERIA DTだが、第8世代と1つ前のCPUであるものの、実勢価格が23,400円程度とRyzen 5 3600よりも1,500円ほど安い。搭載されているチップセットであるH310も1万円以下で購入できるので、こちらもエントリー向けとしてはちょうどいい形だ。

【Core i5-8500】
Core i5-8500のCPU-Z計測データ
【GeForce GTX 1660 Ti】
GeForce GTX 1660 TiのGPU-Z計測データ(両マシン共通)

本体回りを確認

 ではGALLERIA RT5とGALLERIA DTの本体回りを見ていきたい。マザーボードが異なるので、当然ながらI/Oパネル回りの仕様がそれぞれ異なる。具体的にはGALLERIA RT5には背面にUSB3.0ポートが4基あるのに対して、GALLERIA DTでは2基しか用意されていない。ビデオカードは両方ともリファレンスのGeForce GTX 1660 Tiだ。

本体正面は「GALLERIA RT5」、「GALLERIA DT」ともに変わらない。電源ボタンとリセットボタン、オーディオのイン、アウト、SD/microSDカードスロット、USB3.0ポートが2基ある
GALLERIA RT5のI/Oパネル回り。USB2.0ポート2ポートのほか、USB3.0ポートが4ポート用意されている
GALLERIA DTのI/Oパネル。こちらはUSB2.0ポート2ポートは同じだが、USB3.0ポートが2ポートしかない
GALLERIA RT5、GALLERIA DTともにリファレンスのGeForce GTX 1660 Tiを搭載。
GALLERIA RT5の内部。CPUクーラーはAMD純正のものだ
GALLERIA DTの内部。CPUクーラーはドスパラで発売している「DEEP COOL」を使用

テストその1:ゲームのフレームレート計測

 では比較へと移っていくが、その前に今回のテストの概要を紹介しておきたい。レギュレーションは以下の通りだ。

・Core i5にはRyzen 5、Core i7にはRyzen 7、Core i9にはRyzen 9という形で、それぞれのCPUを搭載するGALLERIAシリーズを使って比較する
・ビデオカードは「5対決」ではGeForce GTX 1660 Ti、「7対決」ではGeForce RTX 2070、「9対決」ではGeForce RTX 2080 Tiを利用する

 これを条件として、以下のテストを行なった。

・「GAME Watch認定PC」の手順に従ってフレームレートを測定する
・「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下、FFXIVベンチ)、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(以下、FFXVベンチ)でテストする

 まずはゲームをプレイした際のフレームレート測定。今回取り上げるゲームとしては、「Apex Legends」、「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下、PUBG)、「ファイナルファンタジーXIV」(以下、FFXIV)の3タイトルだ。

 まずは「Apex Legends」から見ていこう。計測した画質だが、高画質の設定と低画質の設定、2つについて測定している。解像度はフルHD(1,920×1,080ピクセル)と4K(3,840×2,160ピクセル)の両方で測定した。なお「Apex Legends」はデフォルトでは144fpsが上限となっているが、垂直同期を「適応型」にすることでリミットが解除できる。

 「Apex Legends」は、この手のバトルロワイヤル系ゲームの中では若干軽めのゲームで、それほどスペックが高くないマシンでもしっかり設定すれば快適にプレイできるタイトルだ。

 下記グラフを見ると若干の差がでしかないようにも思えるが、平均値に注目すると有意な差が現われている。高画質側ではGALLERIA RT5、低画質側ではGALLERIA DTの方がよいスコアを出しているようだ。実際にプレイした感覚でいうとあまり差を感じることがなかったのだが、ビデオカードが同じなので、この値は素直にCPUの性能差、画質が高くなるとGALLERIA RT5の方が優位にあるといってもかまわないだろう。

【Apex Legends】
3人対3人でのチームプレイが楽しめる「Apex Legends」。どのエリアに落下するかによってそのあとの戦略が変わってくる
敵を素早く見つけて倒すことが求められる
高画質の設定
低画質の設定
【「Apex Legends」フレームレート検証結果】

 続いてテストしたのが「PUBG」だ。作り込まれたテクスチャと広いワールド、さまざまな構造物が存在する「PUBG」の世界はそれなりに重く、ミドルクラス以上のCPUとGPUが必要となる。

高画質の設定
低画質の設定

 結果は以下の通りとなった。

 今回の場合はHD高画質ではGALLERIA DT、HD低画質ではGALLERIA RT5、そして4K高画質ではGALLERIA RT5、4K低画質ではGALLERIA DTと、傾向がクロスしてしまっている。ただ、4K高画質というもっとも負荷のかかるテストではGALLERIA RT5が頑張っているという印象だ。

【PUBG】
飛行機から飛び降りて戦うのは「PUBG」も「Apex Legends」と同じだが、本家は「PUBG」
乗り物に乗れるのも「PUBG」の特徴
【「PUBG」フレームレート検証結果】

 最後は「FFXIV」だ。登場した当初はその美しいグラフィックスに衝撃を受け、動作する環境もミドルからハイエンド以上でないと厳しかったものだが、現在はリリースから時間が経ったこともあり、エントリークラスのビデオカードでも楽しめるようになってきた。このテストをしているエントリークラスのモデルであれば十分で、テストプレイしていたときも時間を忘れるほど。「なんだ、Ryzen 5(かCore i5)で十分じゃないか」という発見(?)があった。

サービス開始から今年で9年を迎える「FFXIV」
「FFXIV」はオーソドックスなMMORPGのスタイルだ

 「FFXIV」については、設定で「高品質」、「標準品質」、「軽量品質」というカテゴリがあり、そのプリセットに従って設定し、値を測定した。そのグラフは以下の通りだ。

【「FFXIV」フレームレート検証結果】

 「FFXIV」のフレームレートテスト結果を見ると、平均値では総体的にGALLERIA RT5が健闘していると言ってよいだろう。性能の優劣が大きく付くか、というとそれほどでもないが、例えばHD標準品質では最大のフレームレートが20fpsも異なっているので、ここまで来ると、良好なパフォーマンスでプレイできるのはGALLERIA RT5であると言ってもよいだろう。

その2:ゲームベンチマークテスト結果

 ゲームをプレイして感触を確かめたあとは、ベンチマークテストを実行して検証していく。まずは「FFXIVベンチ」から。

「FFXIV」ベンチマーク結果

 結果を見ると、GALLERIA RT5もGALLERIA DTもそれほど変わらない。ただし軽い品質の処理ではCore i5、高画質の多少重くなる処理だとGALLERIA RT5のほうがわずかに上だと言える。ちなみにベンチマークの最終結果は、4Kの高画質であっても、両PCとも「とても快適」。それ以下のものだと「非常に快適」だった。

 続いては「FFXVベンチ」に移ろう。「FFXVベンチ」は「FFXIVベンチ」に比べてかなり重い処理を要求するテストで、エントリークラスのものだと「普通」というコメントを得るだけでも大変だ。GeForce GTX 1060 6GB以上でないと快適なプレイは望めない。このため、負荷をかけたテストをするには格好のサンプルと言える。その結果は以下の通りだ。

 こちらではGALLERIA DTの値のほうがわずかではあるが高く出ている。高品質から軽量品質までにかけて、その差は確かにあるだろう。

【「FFXV」ベンチマーク結果】

価格性能比は僅差ながらGALLERIA RT5に軍配

 これまでGALLERIA RT5とGALLERIA DTについてテストをして検証してきたが、結果として言えるのは、両者ともほぼ互角ながら、Ryzen 5 3600を搭載するGALLERIA RT5の方に多少は分があるという印象だ。GALLERIA DTよりもCPUの世代が新しい分、性能の差が出たといった感じだ。

 エントリークラスモデルではGALLERIA RT5が優位という結果が出たが、はたして「Zen 2」アーキテクチャは総じて、インテルのCore iシリーズよりも性能が上と言えるのかどうかについては、より上位モデルの検証を待たなければならない。

 こちらについてはこのあとのRyzen 7、Ryzen 9の検証レポートを通じて明らかにしていきたい。いずれにしても、前世代の価格帯で、よりパフォーマンスの優れた新世代のCPUを手に入れられるのはとてもうれしいところ。最新のゲーム環境を手に入れたいと思った場合は、Ryzen 3000シリーズを視野に入れるのは間違いがないと思う。

 以上の内容をもってGALLERIA RT5をGAME Watch編集部による認定PCとしたい。

【GALLERIA RT5】

GAME Watchは「Ryzen 5 3600」搭載マシン「GALLERIA RT5」について以下の項目を認定します

・フレームレート計測で4K高画質、HD高画質でCore i5-3600より良いスコアを収めた
・「FFXVベンチ」でも「快適」をたたき出す良好なグラフィックスパフォーマンス
・10万ちょいで快適なゲーミング環境を手に入れられる

「GALLERIA RT5」購入ページ