【特集】
【PCゲーマーのためのAMD Ryzen特集】GALLERIA AXF(Ryzen 7 3700X)編
やってきましたメインストリーム対決! AMDのマルチコア戦略の結果やいかに!?
2019年8月21日 00:00
- 【GALLERIA AXF(Ryzen 7 3700X)】
- 発売中
- 価格:179,980円(税別)
Ryzen 3000シリーズとCore iシリーズを比較して検討する企画の第3回目は、Ryzen 7とCore i7へと移る。Core i7と言えば、ゲーミングPCを欲しいと思っている人なら、誰もが選択肢に入れるCPUだろう。PCは高い買い物だし、できるだけ長く使える環境を得たいと思うのは当然のことだ。そういった意味からも、鉄板の組み合わせであるCore i7+GeForce RTX 20シリーズの環境を選ぶ人も多いのではないだろうか。
さてそこでRyzenだ。前の回でも述べたように、AMDはインテルのCore iシリーズとナンバリングを同じにしてRyzenシリーズを投入してきた。つまりCore i7の対抗としては、Ryzen 7が相当するわけだ。このため次の評価としては、Ryzen 7 3700XとCore i7-9700について行なっていきたい。
Core i7-9700と言えば、現状最新の第9世代のCore iシリーズであり、最高のパフォーマンスでゲームをプレイできる。これまで培ってきたCore i世代の最高傑作とも言え、以前Core i7-9700搭載マシンをテストしたときも、かなりよい結果が出ていたと記憶している。果たして結果はどうだろうか?
前回に引き続き今回もマシンを提供していただいたのは、ゲーミングPCブランド「GALLERIA」シリーズを手がけるサードウェーブ。GALLERIAシリーズでは、Ryzen 7 3700Xについてはエントリーからヘビーゲーマー向けまで、ビデオカードのグレードに応じたラインアップがそろえられており、予算がないのでとりあえずGeForce GTX 1660Tiを購入して、後でアップグレードを検討するのでもいいし、予算が出せるのならいきなりGeForce RTX 2080 Tiを選んで無敵構成を選択するのもいいだろう。自分の好みに合わせた選択でPCを購入できるのがBTOのいいところ。このあたりをうまく活用するのがよいと思う。
メインストリームでRyzen 3000シリーズは勝利を得られるか
Ryzen 7 3700XとCore i7-9700対決で利用するのは、サードウェーブのゲーミングデスクトップPC「GALLERIA AXF」と「GALLERIA XF」だ。詳しくは以下のような構成となっている。
【GALLERIA AXF(Ryzen 7 3700X)】
CPU:AMD Ryzen 7 3700X (3.6GHz-4.4GHz/8コア/16スレッド)
チップセット:AMD X570
GPU:NVIDIA GeForce RTX 2070 8GB
メインメモリ:16GB DDR4 SDRAM(PC4-25600/4GBx2/2チャネル)
ストレージ:1TB NVMe SSD (M.2 2280, 読込速度 3370MB/s, 書込速度 2030MB/s)、2TB HDD
光学ドライブ:光学ドライブなし
電源:650W 80PLUS BRONZE
OS:Windows 10 Home 64ビット
試用マシン:GALLERIA AXF(ビデオカードとストレージのスペックが標準構成と異なる)
価格:179,980円(税別)
https://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime.php?tg=13&tc=30&ft=&mc=8801&sn=0
対するCore i7は次の構成だ。
【GALLERIA XF(Core i7-9700)】
CPU:インテル Core i7-9700 (3.00GHz-4.70GHz/8コア/8スレッド)
チップセット:インテル B365
GPU:NVIDIA GeForce RTX 2070 8GB
メインメモリ:16GB DDR4 SDRAM(PC4-21300/8GBx2/2チャネル)
ストレージ:500GB SSD NVMe SSD(M.2)、2TB HDD
光学ドライブ:光学ドライブなし
電源:700W 静音電源 (80PLUS GOLD)
OS:Windows 10 Home 64ビット
試用マシン:GALLERIA XF(※ビデオカードのスペックが標準構成と異なる)
価格:178,980円(税別)
https://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime.php?mc=8374&sn=3756
GALLERIA AXFには、最新のチップセットである「X570」を搭載したASRockの「X570 Phantom Gaming 4」が使われているほか、メモリも最新のPC4-25600 DDR4 SDRAMを16GB搭載する。
対するGALLERIA XFも負けていない。こちらも最新のインテルB365チップセットを採用するASUSTek Computer製「PRIME B365-PLUS」を搭載。メモリはGALLERIA AXFには速度が劣るが、それでも上位モデル向けのPC4-21000 DDR4 SDRAMを16GB搭載している。
基本をきっちりと押さえた本体構成
次にGALLERIA AXFとGALLERIA XFの本体回りを見ていこう。サードウェーブが発売しているミドルタワーケースは、前面パネルは同じ構成で、背面のI/Oパネルがマザーボードによって異なるといった感じだ。
テストその1:ゲームのフレームレート計測
ではここからはデータの測定に移っていこう。前回と同様に、対決のレギュレーションは以下の通りだ。
・Core i5にはRyzen 5、Core i7にはRyzen 7、Core i9にはRyzen 9という形で、それぞれのCPUを搭載するGALLERIAシリーズを使って比較する
・ビデオカードは「5対決」ではGeForce GTX 1660 Ti、「7対決」ではGeForce RTX 2070、「9対決」ではGeForce RTX 2080 Tiを利用する
・メモリ容量やストレージは同じとする
この3つを条件として、以下のテストを行なう。
・「GAME Watch認定PC」の手順に従ってフレームレートを測定する
・「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下、FFXIVベンチ)、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(以下、FF15ベンチ)でテストする
・PCIe4.0対応の1TB NVMe SSDの速度を見るために「CrystalDiskMark」で計測
最初はゲームをプレイした際のフレームレート測定だ。今回取り上げるゲームとしては、前回と同様に「Apex Legends」、「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下、PUBG)、「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」(以下、FFXIV)の3タイトルについて測定していく。
まずは「Apex Legends」から見ていこう。「Apex Legends」は比較的軽めなゲームなので、Ryzen 7 3700XやCore i7-9700といったCPUと、GeForce RTX 2070のGPUを搭載したマシンであれば、高解像度でも満足のいくプレイが楽しめる。そういう意味では処理が重くなる4Kあたりではマシントータルの実力が見えるだろう。
計測した画質だが、高画質の設定と低画質の設定、2つについて測定している。解像度はフルHD(1,920×1,080ピクセル)と4K(3,840×2,160ピクセル)の両方で測定した。なお「Apex Legends」はデフォルトでは144fpsが上限となってしまうが、垂直同期を「適応型」にすることでリミットが解除できる。このあたりは前回も述べているので参考にしてほしい。
そして得た結果が以下のようなグラフだ。
「Apex Legends」の結果を見ると、4K高画質ではGALLERIA AXFが頑張っている。ビデオカードが同じ環境ではGALLERIA XFのほうが若干パフォーマンスが高いが、GALLERIA AXFはそれに迫る勢いの値を出してくれた。
続いて測定したのは「PUBG」のフレームレートだ。細やかなグラフィック描写のある「PUBG」では、マシン全体のパフォーマンスが高ければ高いほど満足したプレイが楽しめるゲームだ。
測定した結果は以下の通りとなった。
4K高画質の重い処理ではGALLERIA XFマシンがわずかに有利となったが、そのほかの値ではGALLERIA AXFマシンのほうが上を行っている。4K高画質の場合も、フレームレートの差は僅差で、全体的にはGALLERIA AXFのほうがよいパフォーマンスを出している。数多くの建物に微細なテクスチャが張られているので高いPC性能が求められるが、GALLERIA AXFはその要求を乗りこなし、結果を出している。
フレームレート測定のトリを飾るのは「FFXIV」だ。オンラインで楽しむ「FFXIV」は、登場当初は美麗なグラフィックを多用しているので重いベンチマークテストとして重宝したのだが、前回も書いたとおり、マシンスペックが上がってしまった今では、エントリークラスモデルでも十分に楽しむことができるゲームだ。だからといって低スペックで十分と言うことではなく、より高いスペックを持つマシンであれば、何の不自由もなくゲームが楽しめる、と言える。
「FFXIV」については、設定で「最高品質」、「高品質」、「標準品質」というカテゴリがあり、そのプリセットに従って設定して値を測定した。その結果は以下の通りだ。
この結果を見ると、重い処理の4K最高品質ではGALLERIA AXFが健闘している。先ほどの「PUBG」と同様、GALLERIA XFに迫る性能を見せてくれている。
その2:ゲームベンチマークテスト結果
では次に、ゲーム用のベンチマークテスト結果を示していこう。まずは「FFXIVベンチ」からだ。
こちらも4K、最高品質などの重い処理ではGALLERIA AXFマシンが健闘している。GALLERIA XFもそれなりの結果を出しているが、大きな差が開いているとは言えず、いずれもほぼ互角と言ってかまわないだろう。
そして「FFXVベンチ」だが、こちらは「FFXIVベンチ」に比べてかなり重い処理を要求するテストで、ローエンドのものだと「普通」というコメントを得るだけでも大変だ。ただし今回のCPUもGPUもハイエンドモデルに搭載されるパーツなので、ベンチマークテストでもそれほど悪い結果が出ないと思われるが、測定した結果は以下の通りだ。
こちらの傾向も「FFXIVベンチ」とほぼ同じ。GALLERIA AXFはGALLERIA XFに迫っており、性能の高さを見せつけてくれた。
番外編:CrystalDiskMarkによる計測
GALLERIA AXFにはPCIe4.0対応の1TB NVMe SSDが搭載されている。これまでのベンチマークテストには影響がないが、ディスクドライブがどこまで高速になっているのか、GALLERIA AXFとGALLERIA XFについて、ドライブのベンチマークテストであるCrystalDiskMarkを実行してみた結果を掲載しておく。「動作速度が倍」という通り、転送速度に歴然と差が現れており、ゲームのインストールやゲームプレイ中のローディングなどでは、PCIe4.0対応のストレージは利点があると言えよう。
テスト結果で健闘するGALLERIA AXF
これまでのテスト結果を見る限り、Ryzen 7 3700Xは性能がよいCPUの代表格であるCore i7-9700に肉薄しており、かなりよい結果を出すということが明らかになった。今回は「Navi」のコードネームで知られている「Radeon RX 5700」や「Radeon RX 5700X」を搭載したマシンだったらもっとよい結果が出たことだろう。Radeon RX 5700XTの価格は49,000円程度。GeForce RTX 2070と似たような価格帯だ。ビデオの処理能力のおかげで、トータルのパフォーマンスはさらによくなる。
新世代のマシンを手に入れたいと思うなら、十分なコストではないかと思う。
GAME Watchは「Ryzen 7 3700X」搭載マシン「GALLERIA AXF」について以下の項目を認定します
・処理の重い「PUBG」ではCore i7-9700マシンを圧倒し、良好なパフォーマンスを実現
・PCIe4.0対応の最新チップセット「X570」採用により将来の拡張性を確保
・PCIe4.0対応の1TB NVMe SSDの搭載により高速な転送速度を実現
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