【特集】

【PCゲーマーのためのAMD Ryzen特集】GALLERIA AXF(Ryzen 7 3700X)編

やってきましたメインストリーム対決! AMDのマルチコア戦略の結果やいかに!?

【GALLERIA AXF(Ryzen 7 3700X)】

発売中

価格:179,980円(税別)

 Ryzen 3000シリーズとCore iシリーズを比較して検討する企画の第3回目は、Ryzen 7とCore i7へと移る。Core i7と言えば、ゲーミングPCを欲しいと思っている人なら、誰もが選択肢に入れるCPUだろう。PCは高い買い物だし、できるだけ長く使える環境を得たいと思うのは当然のことだ。そういった意味からも、鉄板の組み合わせであるCore i7+GeForce RTX 20シリーズの環境を選ぶ人も多いのではないだろうか。

Ryzen 7 3700X(右)とCore i7-9700(左)

 さてそこでRyzenだ。前の回でも述べたように、AMDはインテルのCore iシリーズとナンバリングを同じにしてRyzenシリーズを投入してきた。つまりCore i7の対抗としては、Ryzen 7が相当するわけだ。このため次の評価としては、Ryzen 7 3700XとCore i7-9700について行なっていきたい。

 Core i7-9700と言えば、現状最新の第9世代のCore iシリーズであり、最高のパフォーマンスでゲームをプレイできる。これまで培ってきたCore i世代の最高傑作とも言え、以前Core i7-9700搭載マシンをテストしたときも、かなりよい結果が出ていたと記憶している。果たして結果はどうだろうか?

 前回に引き続き今回もマシンを提供していただいたのは、ゲーミングPCブランド「GALLERIA」シリーズを手がけるサードウェーブ。GALLERIAシリーズでは、Ryzen 7 3700Xについてはエントリーからヘビーゲーマー向けまで、ビデオカードのグレードに応じたラインアップがそろえられており、予算がないのでとりあえずGeForce GTX 1660Tiを購入して、後でアップグレードを検討するのでもいいし、予算が出せるのならいきなりGeForce RTX 2080 Tiを選んで無敵構成を選択するのもいいだろう。自分の好みに合わせた選択でPCを購入できるのがBTOのいいところ。このあたりをうまく活用するのがよいと思う。

メインストリームでRyzen 3000シリーズは勝利を得られるか

 Ryzen 7 3700XとCore i7-9700対決で利用するのは、サードウェーブのゲーミングデスクトップPC「GALLERIA AXF」と「GALLERIA XF」だ。詳しくは以下のような構成となっている。

GALLERIA AXF(右)、GALLERIA XF(左)。前面から見た外観は両方とも同じだ

【GALLERIA AXF(Ryzen 7 3700X)】
CPU:AMD Ryzen 7 3700X (3.6GHz-4.4GHz/8コア/16スレッド)
チップセット:AMD X570
GPU:NVIDIA GeForce RTX 2070 8GB
メインメモリ:16GB DDR4 SDRAM(PC4-25600/4GBx2/2チャネル)
ストレージ:1TB NVMe SSD (M.2 2280, 読込速度 3370MB/s, 書込速度 2030MB/s)、2TB HDD
光学ドライブ:光学ドライブなし
電源:650W 80PLUS BRONZE
OS:Windows 10 Home 64ビット
試用マシン:GALLERIA AXF(ビデオカードとストレージのスペックが標準構成と異なる)
価格:179,980円(税別)
https://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime.php?tg=13&tc=30&ft=&mc=8801&sn=0

 対するCore i7は次の構成だ。

【GALLERIA XF(Core i7-9700)】
CPU:インテル Core i7-9700 (3.00GHz-4.70GHz/8コア/8スレッド)
チップセット:インテル B365
GPU:NVIDIA GeForce RTX 2070 8GB
メインメモリ:16GB DDR4 SDRAM(PC4-21300/8GBx2/2チャネル)
ストレージ:500GB SSD NVMe SSD(M.2)、2TB HDD
光学ドライブ:光学ドライブなし
電源:700W 静音電源 (80PLUS GOLD)
OS:Windows 10 Home 64ビット
試用マシン:GALLERIA XF(※ビデオカードのスペックが標準構成と異なる)
価格:178,980円(税別)
https://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime.php?mc=8374&sn=3756

 GALLERIA AXFには、最新のチップセットである「X570」を搭載したASRockの「X570 Phantom Gaming 4」が使われているほか、メモリも最新のPC4-25600 DDR4 SDRAMを16GB搭載する。

 対するGALLERIA XFも負けていない。こちらも最新のインテルB365チップセットを採用するASUSTek Computer製「PRIME B365-PLUS」を搭載。メモリはGALLERIA AXFには速度が劣るが、それでも上位モデル向けのPC4-21000 DDR4 SDRAMを16GB搭載している。

GALLERIA AXFのCPU-Z計測データ(CPUとマザーボード)
GALLERIA AXFのCPU-Z計測データ(メモリ)
GALLERIA XFのCPU-Z計測データ(CPUとマザーボード)
GALLERIA XFCPU-Z計測データ(メモリ)

基本をきっちりと押さえた本体構成

 次にGALLERIA AXFとGALLERIA XFの本体回りを見ていこう。サードウェーブが発売しているミドルタワーケースは、前面パネルは同じ構成で、背面のI/Oパネルがマザーボードによって異なるといった感じだ。

本体正面には電源ボタンやリセットボタンのほか、オーディオのイン・アウト、microSD/SDカードスロット、USB3.0ポートが2ポート用意されている
GALLERIA AXFのI/Oポート回り。8ポートあるUSBポートはすべてUSB3.0対応
こちらはGALLERIA XFのI/Oポート回り。USB3.0ポートは4ポートのみであとの2つはUSB2.0対応
ビデオカードはどちらもGeForce RTX 2070なので背面ポートの構成は同じ
GALLERIA AXFの内部。Ryzen 5 3600よりも大型のAMD純正ファンが取り付けられている。ちなみに光るのはご存じの通り
GALLERIA XFの内部。CPUファンは12cmと大型だが強力に、静かに冷やしてくれる。クーラーはドスパラ独自の「DEEP COOL」だ

テストその1:ゲームのフレームレート計測

 ではここからはデータの測定に移っていこう。前回と同様に、対決のレギュレーションは以下の通りだ。

・Core i5にはRyzen 5、Core i7にはRyzen 7、Core i9にはRyzen 9という形で、それぞれのCPUを搭載するGALLERIAシリーズを使って比較する
・ビデオカードは「5対決」ではGeForce GTX 1660 Ti、「7対決」ではGeForce RTX 2070、「9対決」ではGeForce RTX 2080 Tiを利用する
・メモリ容量やストレージは同じとする

 この3つを条件として、以下のテストを行なう。

・「GAME Watch認定PC」の手順に従ってフレームレートを測定する
・「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下、FFXIVベンチ)、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(以下、FF15ベンチ)でテストする
・PCIe4.0対応の1TB NVMe SSDの速度を見るために「CrystalDiskMark」で計測

 最初はゲームをプレイした際のフレームレート測定だ。今回取り上げるゲームとしては、前回と同様に「Apex Legends」、「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(以下、PUBG)、「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」(以下、FFXIV)の3タイトルについて測定していく。

 まずは「Apex Legends」から見ていこう。「Apex Legends」は比較的軽めなゲームなので、Ryzen 7 3700XやCore i7-9700といったCPUと、GeForce RTX 2070のGPUを搭載したマシンであれば、高解像度でも満足のいくプレイが楽しめる。そういう意味では処理が重くなる4Kあたりではマシントータルの実力が見えるだろう。

 計測した画質だが、高画質の設定と低画質の設定、2つについて測定している。解像度はフルHD(1,920×1,080ピクセル)と4K(3,840×2,160ピクセル)の両方で測定した。なお「Apex Legends」はデフォルトでは144fpsが上限となってしまうが、垂直同期を「適応型」にすることでリミットが解除できる。このあたりは前回も述べているので参考にしてほしい。

ジャンプマスターを握るとどこに降りるのか決定できる
コンテナの中や落ちているパーツの中にはスコープもあり、これを装着できると精密な遠距離射撃ができるようになる
高画質の設定
低画質の設定

 そして得た結果が以下のようなグラフだ。

【「Apex Legends」フレームレート検証結果】

 「Apex Legends」の結果を見ると、4K高画質ではGALLERIA AXFが頑張っている。ビデオカードが同じ環境ではGALLERIA XFのほうが若干パフォーマンスが高いが、GALLERIA AXFはそれに迫る勢いの値を出してくれた。

 続いて測定したのは「PUBG」のフレームレートだ。細やかなグラフィック描写のある「PUBG」では、マシン全体のパフォーマンスが高ければ高いほど満足したプレイが楽しめるゲームだ。

建物が密集している場所は多くの武器が落ちているので人気も高い。ただし腕がないとすぐに殺されてしまう
建物や木の陰に潜んで敵を観察しつつ倒していく

 測定した結果は以下の通りとなった。

【「PUBG」フレームレート検証結果】

 4K高画質の重い処理ではGALLERIA XFマシンがわずかに有利となったが、そのほかの値ではGALLERIA AXFマシンのほうが上を行っている。4K高画質の場合も、フレームレートの差は僅差で、全体的にはGALLERIA AXFのほうがよいパフォーマンスを出している。数多くの建物に微細なテクスチャが張られているので高いPC性能が求められるが、GALLERIA AXFはその要求を乗りこなし、結果を出している。

 フレームレート測定のトリを飾るのは「FFXIV」だ。オンラインで楽しむ「FFXIV」は、登場当初は美麗なグラフィックを多用しているので重いベンチマークテストとして重宝したのだが、前回も書いたとおり、マシンスペックが上がってしまった今では、エントリークラスモデルでも十分に楽しむことができるゲームだ。だからといって低スペックで十分と言うことではなく、より高いスペックを持つマシンであれば、何の不自由もなくゲームが楽しめる、と言える。

「FFXIV」はコンシューマーにも最適化されているためパッドでの操作も簡単。スキルなどを登録しておけば一発で相手に攻撃をたたき込める
相手の攻撃を見つつスキルを使って攻撃をかける

 「FFXIV」については、設定で「最高品質」、「高品質」、「標準品質」というカテゴリがあり、そのプリセットに従って設定して値を測定した。その結果は以下の通りだ。

【「FFXIV」フレームレート検証結果】

 この結果を見ると、重い処理の4K最高品質ではGALLERIA AXFが健闘している。先ほどの「PUBG」と同様、GALLERIA XFに迫る性能を見せてくれている。

その2:ゲームベンチマークテスト結果

 では次に、ゲーム用のベンチマークテスト結果を示していこう。まずは「FFXIVベンチ」からだ。

【「FFXIV」ベンチマーク結果】

 こちらも4K、最高品質などの重い処理ではGALLERIA AXFマシンが健闘している。GALLERIA XFもそれなりの結果を出しているが、大きな差が開いているとは言えず、いずれもほぼ互角と言ってかまわないだろう。

 そして「FFXVベンチ」だが、こちらは「FFXIVベンチ」に比べてかなり重い処理を要求するテストで、ローエンドのものだと「普通」というコメントを得るだけでも大変だ。ただし今回のCPUもGPUもハイエンドモデルに搭載されるパーツなので、ベンチマークテストでもそれほど悪い結果が出ないと思われるが、測定した結果は以下の通りだ。

【「FFXV」ベンチマーク結果】

 こちらの傾向も「FFXIVベンチ」とほぼ同じ。GALLERIA AXFはGALLERIA XFに迫っており、性能の高さを見せつけてくれた。

番外編:CrystalDiskMarkによる計測

 GALLERIA AXFにはPCIe4.0対応の1TB NVMe SSDが搭載されている。これまでのベンチマークテストには影響がないが、ディスクドライブがどこまで高速になっているのか、GALLERIA AXFとGALLERIA XFについて、ドライブのベンチマークテストであるCrystalDiskMarkを実行してみた結果を掲載しておく。「動作速度が倍」という通り、転送速度に歴然と差が現れており、ゲームのインストールやゲームプレイ中のローディングなどでは、PCIe4.0対応のストレージは利点があると言えよう。

【CrystalDiskMarkテスト結果】
CrystalDiskMarkでの測定結果。PCIe4.0の実力を示したと言える
【CrystalDiskInfoによる情報】
CrystalDiskInfoによるGALLERIA AXFのストレージ情報。PCIe4.0で接続されていることが分かる
CrystalDiskInfoによるGALLERIA XFのストレージ情報

テスト結果で健闘するGALLERIA AXF

 これまでのテスト結果を見る限り、Ryzen 7 3700Xは性能がよいCPUの代表格であるCore i7-9700に肉薄しており、かなりよい結果を出すということが明らかになった。今回は「Navi」のコードネームで知られている「Radeon RX 5700」や「Radeon RX 5700X」を搭載したマシンだったらもっとよい結果が出たことだろう。Radeon RX 5700XTの価格は49,000円程度。GeForce RTX 2070と似たような価格帯だ。ビデオの処理能力のおかげで、トータルのパフォーマンスはさらによくなる。

 新世代のマシンを手に入れたいと思うなら、十分なコストではないかと思う。

【GALLERIA AXF】

GAME Watchは「Ryzen 7 3700X」搭載マシン「GALLERIA AXF」について以下の項目を認定します

・処理の重い「PUBG」ではCore i7-9700マシンを圧倒し、良好なパフォーマンスを実現
・PCIe4.0対応の最新チップセット「X570」採用により将来の拡張性を確保
・PCIe4.0対応の1TB NVMe SSDの搭載により高速な転送速度を実現

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