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【魂レビュー】「DX超合金 VF-31E(チャック機)」、レドームの展開、収納を再現! 他の機体とは一味違う早期警戒/電子戦機
2019年8月15日 12:15
【ライター:勝田哲也】
超合金と洋ゲーを愛するライター。「S.H.Figuarts ブラックキング」を購入したのだが、改めて怪獣のデザインや、強いものへの憧れと畏れという、怪獣そのものの魅力に改めて気がつかされた。キャラクター性を越えて、怪獣という存在の魅力に気がついたという強い衝撃は、自分でも面白かった(絵:橘 梓乃)
「DX超合金 VF-31E ジークフリード(チャック・マスタング機)」は、ある意味コアな商品である。人気の高い「DX超合金マクロス」シリーズの最新作であるが、縁の下の力持ち的な早期警戒/電子戦を担うという地味な役柄に加え、キャラクターの多さに割を食らったか、劇中での活躍の場面が少なかった。結果あまりフォーカスされない機体となってしまった面がある。
しかし筆者はチャック機の「DX超合金」を待ち望んでいた。これまでと異なる装備、「マクロス」伝統であるレドームを装備した機体。地味な役柄も筆者の心をくすぐった。今回で筆者は何とチャック機をはじめとしたアラド小隊所属機を3機、そして量産機である「カイロス」も含めると4機も購入している。なぜなのか? と問われれば多くの理由があり、結論としては「好きだから」という答えにたどりつく。
本商品は基本的には弊誌で紹介した「DX超合金 VF-31Jジークフリード(ハヤテ・インメルマン機)」、「DX超合金 VF-31Aカイロス(一般機)」と同じものである。変形の手順や使用などはそちらの記事を参照していただき、本稿ではチャック機ならではの特徴を語っていきたい。
巨大なレドームを装備した早期警戒/電子戦機、待望の商品化
VF-31Eは歌姫「ワルキューレ」を守るために結成された「Δ小隊(デルタしょうたい)」の一機で、チャック・マスタングが搭乗する。VF-31は“コンテナシステム”を装備しており、双発のメインエンジンの間にコンテナを搭載可能で、これにより様々な機能を発揮できる。
VF-31Eは巨大な皿状の“レドーム”を展開できるコンテナを搭載、索敵・分析用の機器が強化されており、他の機体より幅広い索敵範囲を持つ早期警戒機であり、様々な情報を収集/分析できる電子戦機の機能も持っている。
筆者が「DX超合金 VF-31E ジークフリード(チャック・マスタング機)」を注目したのはまさにここで、他の商品と装備が大きく異なっているのだ。他の機体はビームガンポッドと、ドローンに給電できるユニットを装備した全く同じコンテナだった。この部分は新規パーツであり、レーダーユニットがどのような物になるか、そしてどう変形するか、それを手にして確かめたかったのだ。
今回商品を手にしてみて、その詳細を確認できた。レドームは外縁部分と中央部分に分離し、さらに折りたたまれることで足の間に収納できる。展開する場合は足と翼のロックを外し、可動域を確保してからジョイント部分を動かしてユニット自体を胴体の下から上へ持ちあげる。
機体上部にユニットを持ちあげたらレーダーの展開だ。外縁部分を内部に押し込み、左右のパーツを展開、円盤状にしていく。外縁パーツは中央のパーツに隙間なく密着させることも、隙間を調節させることも可能。円盤はジョイント基部から回転させることができる。細かい設定はないが、広域を探査する場合は外縁部分を離して、より詳細な分析をしたいときにはぴったりとした円を作る、といった自分設定を考えるのも楽しい。
コクピットは他の商品と同様復座式に変形させることができ、後部にはワルキューレの1人レイナ・プラウラーが搭乗したシーンを再現できる。このギミックはこれまでの商品共通の仕様だが、チャック機の場合は劇中でレイナが搭乗するシーンがあるので、これはうれしいところだ。
レドームは収納状態の時外縁部分を内側にさらに折りたたむことができる。当初、筆者は勘違いして「レドームを折りたたんだときはスタンドやランディングギアが使えない」と書いてしまったのだが、読者の指摘で間違いだと確認できた。外縁を内側に畳むことでさらにコンパクトにでき、スタンドでも駐機状態でもディスプレイ可能だ。
劇中の特殊変形ももちろん再現! 練り込まれた変形システム
そしてバルキリーの華、“変形”である。変形システムは過去のレビューを参照して欲しいが、チャック機はアニメでファイター時腕だけを変形させ戦うシーンがあった。可変戦闘機ならではのスタイルで、空気抵抗が存在しない宇宙空間ならではの戦い方と言えるスタイルだ。
本商品はきちんとこの姿も再現できる。VF-31は両腕にミニガンポッドを装備しており、これにより強力な攻撃を様々な角度で行なうことができる。チャック機のこの形態は他の機体と違いビームガンポッドを装備していないため、その火力の少なさを補うための戦い方をしたのでは? と考えるのも楽しい。
「DX超合金 VF-31」シリーズの大きな特徴は変形システムの完成度が高く、玩具として練り込まれているため、変形させやすく、遊びやすいところだ。部品の耐久度、足の関節にクリック式を採用しているため関節がへたりにくいなど、触ることでそのポテンシャルを実感できる。もちろん設計そのものは非常に精密で、変形システムも複雑だが、シリーズを通してみるとその進化には驚かされる。本商品は1つの“変形玩具の到達点”に達したアイテムであると思う。
戦闘機から手足が伸びるバルキリーならではのガウォーク形態もピシリと決まる。チャック機の場合、上部にレドームがあるのが独特のアクセントとなっている。
そしてバトロイド形態である。腕の細いスマートなスタイルが特徴的だ。両腕のミニガンポッドを自在に振るい、様々な角度に素早く射線を向けられるVF-31の戦闘スタイルは、至近距離で高機動の敵に対応するためのものという印象を受ける。
ミサイルを撃ち落とす頭部機銃、ファイター形態でも展開できるようになったピンポイントバリアなどにより、戦いを決するための1つの戦い方として、超接近戦での決定力を増すための設計と考えるのは面白いかも知れない。バトロイドの操縦に長けたパイロットならば、「ガン=カタ」の様な戦いもできるのではないか、といった妄想もふくらむ。
今回はせっかくなので筆者のコレクションであるハヤテ機、ミラージュ機と並べて撮影してみた。実際の飛行ではあり得ない近さだが、他の機体にはない、チャック機のレドームの面白が実感できると思う。
アニメではハヤテ機が交代してしまうため、この3機が並ぶシーンは多くはないのだが、Δ小隊として機体を並べるのは楽しかった。また念願の“コンテナ換装”もやってみた。この玩具ならではのギミックはやはり楽しい。実現は難しいと思うのだが、商品オリジナルのコンテナも登場して欲しい。
実は、筆者が「DX超合金 VF-31E ジークフリード(チャック・マスタング機)」を購入したのにはもう1つ理由がある。アラド機向けであるが、劇場版に登場した重装備を再現した、「DX超合金VF-31S ジークフリード(アラド・メルダース機)用アーマードパーツセット」が8月末に発売する。これをチャック機に装備させたいのである。こちらは入手できたらレポートしたい。
完全変形ができ、設計として練り込まれ、遊びやすい「DX超合金 VF-31」シリーズはチャック機に限らずオススメの商品だ。高価であり、人気の高さのために入手しづらいが玩具史に残る、アニメデザインと玩具の精密さの到達点を示した商品だと思う。興味を持った人は、ぜひ手に取って欲しい。
※読者の指摘で、レドーム収納部分の記述を修正させていただきました。
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