バウヒュッテ「ダメ着4G ネクスト」レビュー

　筆者は、普段屋内ではTシャツ、短パンで生活している。空調の効いた室内ではこれでも十分快適に過ごせるのだが、冬場はゲームをよくプレイする深夜から早朝にかけて、手・足先など末端部の冷えが気になる事が多い。

　暖房器具を使ったりすれば室内の温度はあまり下がらないが、手・足先の寒さを解消するのはなかなか難しい。特にゲームをプレイする場合、寝る前やちょっと早起きして出勤前の時間を割り当てている人も多いと思われるので、こうした冷え対策は重要だ。

　そんな冷えに悩むゲームプレーヤーに最適なのが、ビーズの展開するゲーミングブランド「バウヒュッテ」が発売する、ゲーミング着る毛布「ダメ着」シリーズだ。初代モデルは2019年に発売。USB電熱ヒーター内蔵モデル「ダメ着4GW ヒーター」を2020年に発売していたが、今回、初代モデルのバージョンアップモデル「ダメ着4G ネクスト（HFD-4G-24）」が2023年10月より販売開始した。カラーはBlack/Gray/Whiteの3色がラインナップ。サイズはBlackとGrayがM/L/XL、WhiteはS/Mが用意されており、参考価格は12,480円より。

　最新モデル「ダメ着4G ネクスト」は着る毛布の何がパワーアップしたのか、今回は同社よりサンプルをお借りして実際の着心地や使用感をあれこれ試したので、その強化ポイントを簡単に紹介していきたい。なお、2019年発売の初代モデルは現在も併売されているが、USBヒーター内蔵モデル「ダメ着4GW ヒーター」は現在販売していないようだ。

「ダメ着4G ネクスト」のブラックモデルのLサイズ。筆者の身長は166㎝くらいなので、参考にしてみてほしい

グレーモデル。本体の材質はブラックモデルと同じ

ホワイトモデルは本体材質がブラック/グレーと異なる。なお、こちらのサイズはSサイズのため、若干窮屈に感じた

参考までに普段の筆者の自宅の様子。寒さを感じた時はバスローブを羽織っていたが、バスローブだと下半身全体がスカスカである

細部がアップデートされ使いやすさが強化！

　今回紹介する「ダメ着4G ネクスト」だが、「ダメ着」シリーズ自体は2019年発売の初代モデルで、かなり完成形に近い形となっており、頭から足先、手の指先まで全身を覆えるスタイル、ふわふわした着心地、スマートフォンを収納可能な大型ポケット、顔を全て覆うスタイルから、口周りのみ、頭部のみなど各部を覆えるフードとマスクの組み合わせによる「ヘッドギア」、気になるお手洗い利用時に臀部が開放できる「トイレシステム 5.0」など、着たままでも生活に支障のないレベルで対応可能な人型毛布となっていた。

　今回の「ダメ着4G ネクスト」もパッと見た感じのビジュアルは前モデルとあまり変化はないが、まずは手を覆う手袋機能「可変ミトン」が強化された。前モデルでは、手を全開放するか、全体を覆うか、親指のみ出して使うか、といった選択肢しかなかったが、今回の「可変ミトン」はガントレットモードとして、指を固定するゴムを装備、手の甲のみを暖める用途にも対応が可能となった。

「ヘッドギア」は目元まで覆えるゆったりしたフードとフロントファスナーを最上部まで上げることで口周りを保護する機能のセットの呼称だ

可変ミトンのガントレットモードでは、ミント部に指を固定するゴムが備えられており、3本の指で固定できる

可変ミントは袖部に収納することも可能

　そして、前モデルでも注目だったお手洗い時に使う「トイレシステム 5.0」も「FUNDOSHI Vol.7.0」としてパワーアップ。さらに股間前面部も全開放が可能になっている。

　ポケットサイズについても、これまでスマートフォンが収納可能とされていたポケットには「Nintendo Switch」が入るサイズに大型化されている。

　足の部分もすっぽり覆う「ダメ着」シリーズだが、「ダメ着4G ネクスト」では前モデルから更にアップデートされている。まず足先のソックス部を足首部分から開放可能となった。そのため、素足で歩いたり、好みの靴下を併用する事が可能だ。さらに足先にはボア生地を採用する事で冬場でも暖かく室内を移動出来たり、長時間のゲームプレイ時に足元が冷えずに快適に楽しめる。

　また、袖と裾の部分に備える絞りについては、これまでゴム紐タイプだった物を、面ファスナー式の「袖アジャスター」に改良した。面ファスナーとは平たく言えばマジックテープのことで、これにより留めやすさが向上しているという。

　カラーバリエーションはブラック、グレー、ホワイトの3色展開。ブラックとグレーはふわふわのフリース生地、ホワイトモデルのみがもふもふのフリース生地を採用している。

ソックス部が展開可能になったことで、素足で歩いたり、好みの靴下を装着する事が可能になった。着脱には「袖アジャスター」同様の面ファスナーを使用する

袖部と裾部には絞りが行なえる「袖アジャスター」を装備

着心地の良さは満点！細部の改良はいい点も悪い点も……

　ということで、早速「ダメ着4G ネクスト」を装着して数日間生活してみることにした。着心地についてはふわふわした感触が心地よく、着たまま生活してもほぼ遜色なく室内での活動が捗る。2～3着用意して着まわしたくなるレベルだ。

　個人的には足先のソックス部の改良がかなり魅力だ。作業中など、椅子に座っている時は足先は暖かくしてほしいが、移動時は素足で移動したいため、立ち上がる際に足元を解放できるこの機能はかなりありがたい。ソックス部先端にはゴムのような物が入っており、これをすねの部分にあるボタンに引っかけることで、ソックス部を固定できるのも非常に便利だと感じた。

　ただ、1点だけ個人的にお願いしたいポイントが、ソックス部の底面についてだ。ソックス部を装着した状態で室内を歩いていると、底面部に室内のゴミなどを持ってきてしまう場合が多々ある。そのため、底面部の材質を変えるなどして、他の部位と区別してほしいのだ。

ソックス部を展開したあとは、脛あたりに備えるボタンと先端のゴムを引っかけることでかなりしっかり固定できるのは嬉しいポイント

　下半身周辺を開放する「FUNDOSHI Vol.7.0」について実際に試してみたが、臀部の開放がスムーズに行なえるので、急なお手洗いの際にも快適に利用できる。一体型の人型毛布には必須機能の1つと言える。

　一方で今回改良されたことで、前面部も解放されるようになったが、こちらについてはぶっちゃけると筆者にとっては少々微妙だ。と言うのも、洋式トイレにおいて用を足す際、女性は「座り」派が多数なので、この前面開放の機能は男性の「立ち」派向けと想定される。ところが筆者はここ10年くらい前から早めに「座り」派に改心しているため、不要な機能だからだ。

　また、実際のファスナー開閉についても膝下周辺の足部分を展開する仕組み上、足周りの開閉時にややファスナーが引っかかりを起こすため、スムーズに開閉しにくい。さらに今回はフロントファスナーがかなり下にまで下がるようになっているため、「立ち」派の人が使う場合も「FUNDOSHI Vol.7.0」による開放機能よりフロントファスナーを下ろす方が使いやすいように感じられた。

臀部のみ開放した状態

「FUNDOSHI Vol.7.0」では前面まで開放が可能となったが、足回りのファスナー開閉に難あり

フロントファスナーを全開にするとここまで開くので、「立ち派」の人ならこれでも十分に感じた

こちらはファスナーを全部閉めた状態だ

　サイズが大型化したポケットについてだが、「Nintendo Switch」が入るなら他のゲーミングUMPCはどうだろう、と気になったので、Valveの「STEAM Deck」とASUSの「ASUS ROG Ally」も入るか試してみた。こちらは残念ながらコントローラーの部分がはみ出てしまう結果となった。ポケットの形状が縦長になっており、「Nintendo Switch」を入れる場合は、本体を縦に向ける事ですっぽり収納できる仕組みとなっているためなので、ゲーム機以外の物を収納したい場合は、この辺を気にしてみるのがいいだろう。

公式情報通り「Nintendo Switch」はポケットにすっぽり収納できる

同様に「STEAM Deck」を入れてみたが、かなりはみ出る

「ASUS ROG Ally」を試したがこちらもコントローラーが僅かに出てしまう

7型サイズのAndroidタブレットも試したところ、こちらもすっぽり収納できた

　また、足首周辺や袖の絞りをきつめにしたり開放できる「袖アジャスター」だが、これについては同社が「面ファスナー」と呼ぶマジックテープで着脱する仕組みなので、寝転んでいる時などに足や腕を痛める事なく使えるメリットはあるが、一方で耐久性や外した際に他の物を引っ付けてしまう難点がある。実際に筆者が気が付くと足元に転がっていた掃除用の不織布がくっついてきたことがあり、ちょっと切ない気分になってしまった。

　マジックテープは万能な面もあるが、耐久面といった観点からこれが別の何か、より優れた物にアップデートされるとさらにうれしいと感じた。

　なお、本製品はカラーバリエーションとして、ブラック、グレー、ホワイトの3色が用意されているが、グレーカラーのみカラーバリエーション以外のメリットが1つある。それは「袖アジャスター」こと面ファスナーの色が黒色のため、判別しやすい点だ。ホワイトカラーやブラックカラーの場合、面ファスナーの色が本体カラーと合わせてあるため、逆に保護色になってしまい、判別がしにくい。個人的にはグレーのように明確に分かる方が使いやすく感じた。特にソックス部の固定も面ファスナーを利用するため、これが分かりやすいのはありがたい。

「袖アジャスター」には面ファスナーを採用する。他にもソックス部の固定にも同じ物が使用されている

不織布などが引っ付いてしまうため、ちょっと気になってしまった

「袖アジャスター」のカラーはブラックとホワイトは同じ色が採用されている

グレーモデルには黒色の「袖アジャスター」が付いているため、見分けやすくてこちらの方が使い勝手はよいように感じた

全身を覆う人型毛布の集大成！さらなる改良も期待

　以上、バウヒュッテ「ダメ着4G ネクスト」について簡単に紹介した。今回紹介する写真はいずれも筆者自撮りによるもので、ややむさくるしい点はご了承いただきたい。目の保養には是非、同社公認モデルの福田みゆ氏や瀬戸みえるか氏の写真が公式サイトや両氏のXに公開されているので、そちらも参照してみてほしい。

　ネーミングのおふざけ感とは裏腹に、機能としては必要十分な人型毛布として完成度はかなり高く感じた。前モデルで気になった点やユーザーからの指摘などを受けて、細部が改良されている点は大いに評価したい。

　一方で面ファスナーの採用や、「FUNDOSHI Vol.7.0」など、折角の新機能が人によってはちょっと微妙な改良に感じられる点は気になるところだ。筆者の個人的な好みと実際のユーザーの意見に差異はあるだろうが、次モデルの際には更なる進化を期待したい。

　また、もう1点洗濯についてだが、本製品は抗菌・防臭加工が施されているほか、洗濯機による丸洗いにも対応する。ただ、このサイズを丸洗いしようとすると、サイズが大きいため、ちょっと苦労する。特に水を吸った後はかなり重量が増い、筋力も必要になってくるため、次モデルでは上下分割の機能があれば、環境に応じて単体で着たり、洗濯の際の労力も軽減できるため、検討してほしいところだ。

　今年は夏から秋にかけてあまり気温の変化が感じられにくかったが、一気に寒さが増してきた今日この頃。そろそろ暖房器具を出すべきか、着るものはどうするか悩んでいる人も多いと思うが、そんな方にもこの「ダメ着」はオススメだ。一度着用すると「これだけでいいや」となってしまうまさに“ダメ”な着る毛布をぜひ一度試していただきたい。