レビュー
ゲーミングネックスピーカー「SC-GNW10」レビュー
迫力の音質に驚異のボイスチャット性能! ワイヤレス化でより快適に
2023年11月16日 00:00
- 【SC-GNW10】
- 11月17日 発売予定
- 市場想定価格:37,000円前後
据え置きゲーム機やPCでゲームをプレイする時、ゲーム音声はどのように聴いているだろうか。一般的にはテレビやPC内蔵のスピーカーのほか、ゲーミングヘッドセットやイヤホン、サウンドバーなどの外付けのスピーカーを用意して楽しんでいるだろう。
だが、スピーカーやヘッドセット、イヤフォンにもそれぞれメリット・デメリットがある。例えば、外付けの大型スピーカーはド迫力な音声が楽しめるが、集合住宅などではボリュームを小さくしなければならなかったり、設置する際に家族の理解が得にくい部分もある。一方のヘッドセットやイヤフォンは、周囲の環境を気にする事なく高品質な音声を楽しめるが、長時間利用していると耳が痛くなったり、周囲の音を遮ってしまうため、チャイムの音や家族が呼びかける声などが聞こえないこともある。
こうした中で選択肢の1つとして候補に入ってくるのが、11月17日に発売されるパナソニックの新型ゲーミングネックスピーカー「SC-GNW10」だ。本商品のような「ネックスピーカー」型の場合、両肩に掛ける形で装着するため、耳を一切塞がず、音を出すサウンドユニットのサイズを大きくできるため、高品質な音も期待できる。また、重量も比較的軽く、肩への負荷も殆どない。
今回は、ゲーミングネックスピーカー「SC-GNW10」のレビューをお届け。ゲーミングスピーカーとしての性能やボイスチャットのクオリティなど、本商品の特徴をチェックしていく。なお、基本的な仕様などの概要については、発表会でチェックした記事が公開済みなので、そちらも参照してみてほしい。
ワイヤレス化を果たした「SC-GNW10」。操作ボタンは左手側に集中
まずは「SC-GNW10」の外観を確認していこう。本商品は、パナソニックが展開するゲーミングオーディオブランド「SOUND SLAYER」の新モデル。2021年10月に第1弾となるゲーミングネックスピーカー「SC-GN01」を発売していたが、今回はその第2弾となる。
第1弾の「SC-GN01」は有線接続だったが、今回紹介する第2弾「SC-GNW10」ではワイヤレス接続に変更したのが最大の特徴と言えるだろう。また、ワイヤレス接続には一般的なBluetoothではなく、独自の2.4GHz無線接続を採用。ペアリング作業でのトラブルを軽減したり、音声の転送速度を安定して確保するなどの効果がある。
そのため、本体以外に専用の無線ユニットを付属し、PCやプレイステーション 5/プレイステーション 4、Nintendo Switch(TVモードのみ)と無線ユニットをUSBケーブルで接続して使用する。付属するUSBケーブルはType-C to Type-Aで、機器間の接続に関する問題はほぼない。実際に試していて、ゲームをプレイしたり、チャットをする範囲では、ワイヤレスに起因する音の違和感を感じる事はなく、全く問題なく利用できた。
ワイヤレス接続による恩恵は、何といっても用途が大幅に広がった事だ。例えばPC接続時には、音楽をかけてそのまま室内を移動しても途切れる事なく再生される。電波の通りやすい環境であれば、室内だけでなく、他の部屋にネックスピーカーを装着したまま移動できるのも嬉しい。
スペック表(本体) | SC-GNW10 | SC-GN01 |
---|---|---|
サイズ | 幅約256mm×高さ約56mm×奥行き約221mm | 幅約240mm×高さ約46mm×奥行き約209mm |
質量 | 約403g | 約244g |
アンプ(実用最大出力) | 8W | 4W |
フロントスピーカー(L/R) | 約38mm コーン型×2、インピーダンス4Ω | 約34mm コーン型×2、インピーダンス6Ω |
リアスピーカー(L/R) | 約38mm コーン型×2、インピーダンス4Ω | 約34mm コーン型×2、インピーダンス6Ω |
マイク | MEM型×2、ノイズ&エコーキャンセリング、高性能デュアルマイク(両側) | MEM型×2、ノイズ&エコーキャンセリング、デュアルマイク(片側) |
接続 | 2.4Ghz専用無線、USB Type-C有線 | USB Type-A有線 |
バッテリー持続時間 | 約9時間(当社規定音源時、Vol8) | なし |
充電時間 | 約4時間 | なし |
本体の作りはシンプルで、左手側に操作ボタンなどが集中している。本体左の首側には電源ボタン、イコライザー切り替えボタン、マイクミュートボタンが3つ並んでおり、左側先端にはボリュームダイヤルを搭載。肩側の下部には充電用のUSB Type-C端子を備えている。また、スピーカー本体の表面部にLEDが内蔵され、電源投入時は青く点滅し、ワイヤレス接続に成功すると青く点灯するほか、充電時やマイクミュート時などは赤色に点灯する。
PCやコンソール機に接続する無線ユニットについては、本体天面部にペアリングボタン、下部にはLEDを備えており、PCなどに接続すると青色に点滅、スピーカーとのワイヤレス接続に成功すると青色に点灯する。背面にはケーブルを接続するUSB Type-C端子と、サブウーファなどが接続可能なアナログ音声出力端子を搭載している。
一点気になったのは、スピーカーを装着した状態で電源をオンにした際に、電源が入った事を示すものが本体内蔵のLEDのみというところ。この位置のLEDは一応目視可能だが、装着した状態だと若干首の角度が辛くなるため、個人的には音声による電源オン、オフのアナウンスがほしかったところだ。
迫力のサウンドが楽しめる! 「SC-GNW10」の音質・音漏れをチェック
続いては「SC-GNW10」を実際に使っていこう。使用方法はとても簡単で、無線ユニットをPCやコンソール機などに接続。スピーカー本体を起動し、無線ユニット側のペアリングボタンを押せば接続完了だ。接続状況はスピーカー本体と無線ユニットの両方に搭載されているLEDで確認でき、青色LEDが点滅中は未接続の状態で、接続が完了すると点灯に変化する。
試しにPCへ接続すると、Windows 11の音量ミキサーにて「Panasonic SC-GNW10」と認識された。もし音が出ない時は、設定にて「SC-GNW10」が選択されているかを確認。選択しているのに音が出ない場合は、利用するアプリケーションやシステムの再起動を試みれば、ほとんどの場合で音が出るようになるはずだ。
音質についてだが、先ずはデフォルト設定のまま、セガのソーシャルゲーム「エラーゲームリセット(エラゲ)」のPC版をプレイしてみた。各所の秀逸なBGMを「SC-GNW10」で聴いてみると、テクノ調のサウンドの鳴動が心地よい。ボリュームを大きく場合でも、音質が破綻することはなく、腹の底に響く迫力のあるサウンドが楽しめた。
なお、気になる音漏れについて室内で試してみた。ネックスピーカー型のため当然だが音は漏れており、室内に人がいる場合はその人の耳に音が届く場合はあるだろう。ただし、その音が室外にまで漏れる事はほとんどないため、室外やお隣さんを気にせず、大迫力サラウンドを室内で楽しむのには最強の立ち位置だ。
補足だが、仮に「SC-GNW10」を肩に掛けた時に耳に届く音量と同程度を外付けスピーカーなどで鳴らした場合、しっかりした防音設備がないと、かなりの音が漏れてしまうので、それと比べると圧倒的に静かと言える。
イコライザー調整やプリセットも! 専用アプリ「SOUNDSLAYER Engine」をチェック
次にイコライザー調整などが行なえるアプリ「SOUNDSLAYER Engine」についてみていこう。本アプリはパナソニックのサポートページよりダウンロード可能で、PC接続時のみ利用可能。イコライザー調整以外にもファームウェアのアップデートなどが行なえる。
PCに「SC-GNW10」を接続した状態で「SOUNDSLAYER Engine」を起動すると、シンプルなインターフェイスの画面が表示される。画面左端には3つのタブがあり、イコライザーの調整や音量、疑似サラウンド設定などが行なえる「サウンドモード」、オートオフやLEDのライティング設定などが行なえる「アプリ情報/アプリ設定・デバイス情報」、サポートページからダウンロードしたファイルを使ってファームウェア更新が行なえるタブが用意されている。
先ずはメインとなる「サウンドモード」のタブから見ていこう。画面左側にはイコライザーのプリセットとカスタム設定が並んでおり、右側には50Hz~16KHzまでの低音~高音までの調節可能な周波数帯が表示されている。下部には音量やスピーカーバランス、パスレベル、疑似サラウンド、チャット音量、マイクテストなどの設定が並んでおり、実際に使用しながら好みに合わせて調整していくのがいいだろう。
プリセットにはゲーム用として「RPG」、「FPS」、「Voice」の3種類と、ゲーム以外の用途として「Cinema」、「Music」、「Stereo」の3種類を用意する。これらのうち「Stereo」のみ特殊なようで、フロントのみ音がなるモードとなっており、他のモードと比べると音量が控えめになる。また、カスタム枠は3つ用意されていて、これらはユーザー側で自由に調整して保存することが可能できる。
「アプリ情報/アプリ設定・デバイス情報」では、5分以上無音状態が続いた時に自動で電源がオフになる「オートオフ」と、本体前面に備えるLEDをオンオフできる「ライティング」が設定可能。ファームウェアのはサポートページよりファイルをダウンロードして、本アプリよりファイル先を指定することで更新可能となっている。
□パナソニック「SOUNDSLAYER Engine」のダウンロードページ
今回は、ゲーム用プリセット「RPG」、「FPS」、「Voice」の3種類の変化をチェックしてみた。プレイするのは、PC版格闘ゲーム「ストリートファイター6」より「WORLD TOUR」モードで、主にワールドでの音の違いを比較した。
最初に「RPG」の場合、BGMやフィールド内の環境音、効果音が主に聞こえてきて、周囲のモブキャラたちの会話などが若干抑えめになる印象を受けた。次に「FPS」に変更してみると、自身のキャラクターの両サイドや後ろの環境音や効果音、モブキャラたちの会話などが全て鮮明に聞こえてくる。これを「VOICE」にしてみると、位置関係を含めて各所の会話が耳に届きやすくなった印象だ。筆者はこれまでイコライザー調整をあまりやったことがなかったが、ゲームごとにベストのセッティングを探すと、プレイする景色が違って見えてくるのかもしれないと感じた。
なお、これらプリセットの変更は「SOUNDSLAYER Engine」上での変更はもちろん、プリセット一覧の丸いトグルに割り当てることで、本体側面にあるボタン操作で変更が可能になる。注意点としては、チェックを入れた設定しか選択できないため、事前に設定が必要だ。イコライザー切り替えボタンを1回押すと、現在のモードを音声で教えてくれるほか、標準で用意された6種類のプリセットについてはそれぞれ名前を読み上げてくれるため、非常に分かりやすい。
ただし、カスタム設定へ切り替える場合は、ユーザー側で付けた名前は読み上げず、“ピッ”という音のみが再生される。この音が1回ならカスタム1、3回ならカスタム3と言った感じだ。なお、イコライザーなどはPC上で設定したものだが、設定内容は無線ユニット側に保存されるため、PC上で設定してあと他のゲーム機器へ接続を切り替えても、同様の設定が利用可能となっている。
余計な音はシャットアウト! 「SC-GNW10」のボイスチャット性能をチェック
続いて、ボイスチャットのノイズキャンセリング機能も試してみた。これは、以前参加した発表会では試せなかった機能で特に注目していたポイントだ。特に気になるのは、ゲーム音と同時にボイスチャットがどこまで鮮明に聴けるのか、そしてチャットする相手側の音声がどのような状態になるかの2点だ。発表会では、ノイズキャンセリング機能により声以外の音が殆ど相手に届かないと説明されていたので、このあたりをチェックしていきたい。
今回は初期型PS4に「SC-GNW10」を接続。筆者の弟に協力してもらい、ゲームをプレイしながらPS4本体でボイスチャットを行ないつつ、スマートフォンアプリ「PS App」でも同じボイスチャット部屋に参加し、チャット相手の音声と、筆者側の音声の両方をチェックした。プレイしたゲームは「龍が如く7」となっている。
まずは筆者側に聞こえてくる音声だが、こちらはゲーム音声と同時にチャット音声が比較的鮮明に聴こえてきた。チャット相手の声がゲーム音とは異なる領域で聴こえてくるので、聞き逃しなどもなくボイスチャットを進められる。
一方で、筆者側の音声が相手にどのようなに音で聴こえてくるかだが、驚くべきことにチャットで話した声以外は“一切”聴こえていない。筆者側はゲームやボイスチャットに加えて、タブレット上で動画を再生していたのだが、その音声も拾わずに筆者の声だけが相手に伝わっている。何も会話せず黙っていても、相手には無音が伝わるのみ。最初はパーティーチャットが正常に動作していないのではと思ったが、装着した人の声しか拾わないという驚きの挙動を見せてくれた。
スピーカーとマイクが比較的近いにも関わらず、相手にゲーム音は聴こえていない。さらに、タブレットで流れていた動画の音声まで拾っておらず、筆者は予想以上の高機能っぷりで驚いた。これならチャット用途メインでも良い働きを見せてくれそうで、今回は試せていないが、PCに接続してリモート会議で使うといった用途にも対応できそうだ。
使い勝手と高音質の両立を実現する「SC-GNW10」。ヘッドセットが苦手な方にもオススメ
ここまで、パナソニックのゲーミングネックスピーカー第2弾「SC-GNW10」のレビューをお届けしてきた。初のワイヤレス型となった本商品だが、独自の無線接続による恩恵は大きく、ゲームプレイ時の音質や遅延に違和感を感じる事は殆どなかった点は見事だ。また、「SOUNDSLAYER Engine」でイコライザーなど細かな設定ができるのもありがたい。
一方で、市場想定価格が3万円以上という価格設定は、用途が限定されたデバイスである点を考えると、やや割高に感じるユーザーもいるだろう。だが、サウンドバーなどとは異なり大規模なシステムを必要とせず、かつ音質がかなり良好である点を踏まえると、個人的には許容範囲だと感じた。
性能については文句なしの一級品である「SC-GNW10」は、特に優秀なボイスチャットと高音質なスピーカーを手軽に購入できる点において、有力な選択肢の1つと言える。既存のヘッドセットで耳が疲れる人や、PCやテレビ内蔵スピーカーに物足りなさを感じている人は是非、チェックしてみてほしい。
(C) Panasonic Corporation