レビュー

「ライザのアトリエ3 〜終わりの錬金術士と秘密の鍵〜」レビュー

新要素の鍵&オープンフィールドで遊びやすさと奥深さを両立!調合の楽しさが極まったライザの冒険最終章

【ライザのアトリエ3 ~終わりの錬金術士と秘密の鍵~】

開発・発売元:コーエーテクモゲームス

ジャンル:錬金術RPG

プラットフォーム:PS5/PS4/Nintendo Switch/Steam

CERO:C(15歳以上対象)

発売日:3月23日

※Steam版は3月24日発売予定
価格: 通常版 8,580円(税込)

プレミアムボックス 11,935円(税込)
スペシャルコレクションボックス 22,550円(税込)
Digital Deluxe 10,010円(税込)
Digital Deluxe with Season Pass 14,520円(税込)
※スペシャルコレクションボックスはガストショップ、GAMECITY、Amazon、ソフマップ限定販売です。
※「Digital Deluxe」、「Digital Deluxe with Season Pass」、Steam版はダウンロード版のみの販売です。

 コーエーテクモゲームスは、2023年3⽉23⽇(Steam版は3月24日)に「アトリエ」シリーズ作品である『ライザのアトリエ3 〜終わりの錬⾦術⼠と秘密の鍵〜』を発売する。前作、前々作から続いた「秘密」シリーズ最新作となる今作の発売に先駆けてPS4版をプレイすることができたので、その先⾏レビューをお届けしよう。

 1997年に1作⽬となる『マリーのアトリエ 〜ザールブルグの錬⾦術⼠〜』が発売されて以来、現在まで続く息の⻑い作品となった「アトリエ」シリーズ。

 その「アトリエ」シリーズの25周年記念作品でもあり、「秘密」シリーズ最新作でもある今作でのキャッチコピーは「最後の夏、最後の秘密――」。プロデューサーの細井順三氏⽈く「彼⼥たちの⽴ち位置を今⾵に表現するならば、⼤学最後の年で、就職活動を⾏っているところに近い」とのこと。錬⾦術の根源に関わっていく物語になるので、ライザとしても錬⾦術⼠としてどうありたいのか、というところに向き合っていくストーリーとなっている。

【『ライザのアトリエ3』ストーリートレーラー】

 また、「最後の夏」という部分から、⾼校3年や⼤学4年の夏休みを思い出す⼈もいるかもしれない。今作でも、ゲーム中に前作や前々作の印象深いシーンが表⽰され、振り返るモノローグ的な演出が盛り込まれている。シリーズをプレイしてきた⼈たちにとってはライザたちと同じく、きっと懐かしい想い出に違いない。

 そんな今作のストーリーはシリーズ1作⽬から続いているものの、既発売の2作品を遊んだことがない⼈でもわかるようにダイジェスト映像が⽤意されているので、いきなりプレイしても問題ないのはありがたい。

 『ライザのアトリエ3』の物語は、前作の1年後から始まる。クーケン島で過ごすライザたちのもとに、突如として近くに群島が現れたとの⼀報が届く。カーク群島と名付けられたそれらを調べると、どうやらクーケン島に悪影響を及ぼしていることがわかる。⾃分たちの住む島を救うべく⾏動を開始した彼⼥たちは、徐々に鍵と錬⾦術の根源に近づいていく……。

ゲーム中に△ボタンを押すとメインメニューが表示されるのだが、パーティメンバーが増えるごとに画面に表示される人数も増え賑やかになっていく。システムに関わる大きな要素ではないが、こういう変化を見ると是が非でも早く仲間を増やしたくなってしまう。
タイトル画面から「Prologue Movie」を選ぶと、「秘密」シリーズ1作目と2作目のダイジェスト映像を見られる。これならば、両作品を遊んでいない人でも安心してプレイできるだろう。
以前のシリーズを思い返すような演出も盛り込まれている。これまでの作品をプレイしてきた人であれば、感慨深いものがあるだろう。

 今作は1作目から数えると4年、前作からも1年が経過しているということもあり、各キャラクターたちはそれぞれ見た目が“より大人っぽく”なっている。もちろん内面的にも成長しており、シリーズをプレイしている人であれば会話時の落ち着いた話し方を見て「みんな大人になったなあ」と、まさに大きくなった子供を見る親心のようなものを感じられることだろう。キャラクター設定が若いとありがちな猪突猛進系イベントが今回プレイした範囲ではほぼないと感じたが、ライザの思い切りの良さは健在で、キャラクターたちの成長した部分と変わらぬ部分を安心して見ていられるのも個人的に高ポイントだった。

イヤミを言っても素直に反応したり、落ち着いた答えを返してくれるといった精神面での成長を、そこかしこで感じられる。

 また、モデリング自体も前作から一新されただけでなく、表情周りにもの凄く力を入れているとの話を聞いていた。確かに以前の作品よりも各キャラクターの感情表現が生き生きしているのがわかる。イベントや戦闘シーンなどでも喜怒哀楽が読み取りやすくなっており、キャラクターの気持ちがよりプレーヤーにダイレクトに伝わりやすくなっているのには感心した。

パーティメンバー全員それぞれしっかりと成長しているのだが、特にライザの太ももは言うに及ばず、いろいろなところが育ちすぎではないかと思ったり思わなかったり。それも彼女の魅力ではあるのだが。

世界が広くなったぶん、採取も走って行なえるなど快適に

 「アトリエ」シリーズは基本的に素材の採取と調合、そして戦闘という3要素をメインとして構成されている。フィールドを歩き回り素材を集め、それをもとにアトリエで調合し、新たなアイテムを産み出すのだが、調合に必要な素材は採取するだけでなく敵を倒さなければ入手できないものもあるので、戦闘も欠かせないのだ。

 今作でも例外ではなく、錬金術を駆使してクーケン島を救うべく冒険に出かけることになるので、各地で素材を集めて必要なアイテムを調合、それを使ってさまざまな難題を解決していくのだ。

 その3要素の一つである採取のためにも必要な探索に関してだが、今作のフィールドは複数のマップがシームレスに繋がったオープンフィールドが導入されている。実際にプレイするまではあまり実感が湧かなかったが、実際に歩き回ってみると「広いようで狭い……ようで、やっぱり広い」ということがよくわかった。

オープンフィールドなので、一つの地方内であればどこへでも走って移動できる。その間、ロードは挟まないので非常に快適。

 フィールドでは、ライザは歩くだけでなく走って移動することもできるが、各地方内の広さは尋常ではないため、駆け回っても目的地への到着には時間を要する。そこで活用していきたいのが、ランドマークだ。これは、マップ上に点在しているランドマークという目印になりそうな建物などに近づくと自動的にその場所がマップ上に登録され、次からはエリアマップでランドマークを指定するだけでそこへ移動できるファストトラベルという機能が使えるようになる。

ランドマークに近づいて発見すると、エリアマップで雲がかかっていた場所が晴れ、隠されていた地図が明らかになる。これがなかなかに気持ち良く、無理に遠出をしてでもすべてのランドマークに辿り着きたくなってしまう。

 これが非常に便利で、最初は実際に移動してランドマークを見つけなければならないが、次からはエリアマップで移動したい場所の近場で発見済みのランドマークを選べば、一瞬で行きたい場所へ行けてしまう。これが、「広いようで狭い」の意味だ。

ファストトラベルは、エリアマップから移動したいランドマークを選んで決定するだけで、いつでもどこでも使える。なお、近場でもファストトラベルで移動するとロードが発生するので、距離が短い時は走りながら向かいつつ、採取や戦闘に励むのがオススメ。

 では、最後の「やっぱり広い」は何を意味するのかというと、採取できる場所としては「広い」ということ。どれだけファストトラベルが便利でも、素材の採取には実際に各地を歩き回らなければならない。もちろん従来のように図鑑が用意されており、それを見れば一度採取した素材が、どのランドマーク付近で採れた素材なのかはわかるようになっている。それでも、“そのランドマーク付近”自体が非常に広範囲を指すため、「あれ、この素材はどこで採ったかな?」となりながら彷徨うこともしばしば。これが、最後の「やっぱり広い」の正体だ。その分、素材の種類も多岐にわたるため集める楽しみも広がっている。ゲームの進行と共に図鑑が埋まっていくのを確認するのは、実に気持ちが良い。

各種素材は、図鑑にはランドマークの写真入りで掲載される。図鑑のページからランドマークを選ぶとエリアマップに切り替わり即座に移動できるのだが、そこから素材を探すのに一苦労することも。

 移動に関しては、ファストトラベルのほかに新たにジップラインが導入された。これは一部を除く地方内に設置されていて、少し離れた場所どうしでペアになっているプラットフォームをそれぞれ開放することで、そのプラットフォーム間を高速で移動できるようになるというもの。特に、高低差の激しい場所に設置されたジップラインは、利用することで移動がかなり楽になった。

高い場所から降りて(落ちて)いくのは簡単なのだが、その逆は大変。そんなところにジップラインがあると、移動が格段に楽に。

 ほかにも、前作からお馴染みの水中移動や狭い通路の通り抜け、ツタを登るといったアクションは健在だ。それ以外にも、ゲームを進めて、とある道具を装備すると、ライドモンスターを呼び出して背中に乗って移動できるようにもなる。ライドモンスターは複数いてそれぞれに特徴があるようなので、それを踏まえて場所ごとに乗り換えればより快適に移動できるだろう。乗れると言えば、カーク群島付近の湖にいるイルカの存在は東京ゲームショウ2022でプレイしたので知っていたが、まさか前作同様に霊獣にも乗れるとは思っていなかっただけに、プレイしながら「そんなこともできるの!?」と、思わず言ってしまった。

前作までにもあった、狭い場所で体勢を変えて進んだり、四つん這いになって通り抜けたりするアクションも健在。あまりガン見しないように。
水面では、イルカに乗ると若干小回りが効きづらくなるものの移動速度が大幅にアップする。傍目からは、イルカに乗った少年ならぬイルカに乗った少女状態に。「イルカに乗った少年」の意味がわからない人は、お父さんお母さんに聞いてみよう!
霊獣は、地面を掘って素材を見つけられる。徒歩やファストトラベルではなく霊獣で移動すれば、これまでにはゲットできなかった新たな素材発見に繋がるかもしれない。なお、これまで公開された情報から、ライドモンスターには滝を登れる水獣もいることが判明している。
フィールドには、焚火が置かれている場所がある。そこでは休憩で時間帯を変更したり、料理が行なえたりする。料理を作ればパーティを一定時間強化することが可能だ。

 移動だけでなく、○ボタンでの素手による採取方法も新しくなった。従来は、素材のある場所で○ボタンを押すと、一度立ち止まって素材を拾っていたが、今作ではなんと“移動しながらの採取”が可能になったのだ。

 これは本当に楽で、採取効率が一気に上がったと素直に感じた。□ボタンを押す道具を使った採取も、これまでより速度がアップしているため、さらにきびきびと行なえる。とはいえ、一度走りながらの採取を覚えてしまうと楽しすぎて、止まって行なう□ボタンの採取をおろそかにしてしまうことがしばしばあった。おかげで、一時期は偏った素材しか集まらなかったので、どちらも分け隔てなく行ないたい。

ライザたちが移動できる地方は上の写真にある2か所を含めて全部で4地方あるのだが、当然ながらそれらすべての場所に素材が置かれている。辺境の地だからと言って行かないでいると、貴重な材料を採り逃すことにも!?
デフォルトではR1を押しながら左スティックの操作で走るとなっているが、ゲーム中のオプションでダッシュ移動の操作を変更すると、R1を押すごとに走ると歩くを切り替えるようにもできる。常に走る状態にしておくと、○ボタンでの採取が捗ること間違いなし。
衣装は『ソフィーのアトリエ2』とのセーブデータ連動特典「不思議な夢の錬金術士」。
採取時には、どの道具を使うと何が採れるかが一目でわかるようになっている。ほしい素材に合わせた道具を使おう。もちろん、特定の道具を使わないと採れないものもあるので、臨機応変に。

 今作で新たに導入されたシステムのうち、最も大きな要素が「鍵」だ。鍵はランドマークもしくは敵から生成することで入手できる。

 ゲームを一定以上進めると各地のランドマークで鍵を生成できるようになり、ランドマークごとに違った鍵が入手できる。ランドマークや敵から生成した鍵のうち、“アドベンチャー効果”と書かれている鍵は、使用することで採取時に素材の品質がアップするなどのメリットがあるのだ。

キーメイクで産み出された鍵には、さまざまな効果が付いている。そのうちのアドベンチャー効果と書かれている鍵は、使うことでフィールド探索に際して効果を発揮してくれる。効いている間は、画面右上に鍵のマークが表示される仕組みだ。
鍵を使用すると、結界で通れなかった場所を解除して進めるようになったり、サプライポートと呼ばれる宝箱を開けてアイテムを入手できる。サプライポートには金色のレアなものも存在し、そこからは一際貴重なアイテムがゲットできる可能性がある。

 メインクエストを達成していかないとシナリオは先に進まないが、そこまででもやれることが大量にあるので、本当に飽きなかった。筆者は、最初のボスキャラが見えた時点で先に進む前にキャラを鍛えようと思い引き返したのだが、気づけば各地のランドマークまで歩いてファストトラベルができるようにしたり、行ける限りの場所を巡って素材集めに奔走したりと、序盤にも関わらずとんでもなく自由度が高い。こういったところが、本シリーズの良き部分だなと改めて思った。

 ちなみに探索中に拾った素材などがストックされる「カゴ」は、デフォルト状態では300個までしか入らない。だが、ワールドマップを表示させて□ボタンを押せば、すぐに現在いる地方の拠点に戻ることができ、カゴの中身が自動的にコンテナに送られる。また鍵の中には、カゴの素材をコンテナへ転送する効果のものもあるため、カゴの容量を気にすることはないだろう。

フィールドなどを歩いていると、突然ランダムクエストが発生することがある。クリアすれば報酬をもらえるが、受けるかどうかは自由だ。
広大なフィールドの随所には、宝箱が眠っている。ワールドマップでは、各地方に置かれた宝箱と開けた数が明示されているので、それを目安に宝探しに奔走するのも面白い。
今作では、動物と触れあうこともできる。フィールドにいる動物に近づいて○ボタンを押すと撫でたりできるだけでなく、素材が手に入ることも。
新たに、地方ごとにアトリエを建築することができるようになった。建築スタイルごとに効果が変わるほか、装備を強化することができたり小物を置いて内装をカスタマイズすることも可能。自分好みのアトリエに仕上げよう。

戦闘システムは前作をより改良し、シンプルかつ派手

 前作同様、今作でも新規にゲームを始めると最初のほうにチュートリアルの戦闘シーンがある。バトルシステムの基本は前作ベースなので、シリーズをプレイしている人ならばスキップしても問題ない。初めての人は、簡単ではあるものの軽く目を通しておくのがいいだろう。

 基本的には、○ボタンで通常攻撃をしてアクションポイント(AP)を溜めていき、それを消費して大きなダメージを与えるスキル攻撃を行なう。パーティメンバーが4人以上いれば後衛と交代して連携攻撃を加えることもできる。一見すると慌ただしそうだが、慣れれば非常にシンプルだ。システムが追加されていくたびに毎回チュートリアルが入るようになっているので、混乱することもない。

戦闘では、画面右下に表示されている円形のゲージ(Wait Timeゲージ)が一周すると、操作キャラクターの行動が可能になる。これは敵味方とも同じ。相手のほうが先に行動を開始しそうだと思った時は、△ボタンでガードしよう。攻撃が当たるピッタリのタイミングでガードできればジャストガードが発動し、ダメージを大幅に減らせる。自信がなければ△ボタンを押しておけば確実にガードできるが、その間は円形のゲージは増えていかないので注意。
基本的には○ボタンで通常攻撃を行ないつつ、APが溜まったところでR1ボタンを押しながら△や□ボタンなどのスキルでアタック。さらに、L1を押しながら○や□でシフトスキルを発動させつつ後衛と交代し、たたみ掛けるのがセオリーだ。

 戦闘でも、新たに導入された鍵のシステムが味を出している。敵のHPを80%以下にし、かつタクティクスレベル(T-Lv.)が2以上のときに画面右下に鍵のマークが表示される。このときに「キーメイク」を行なうことで確率で敵から鍵を生成できるようになる。同じく、戦闘中に鍵のマークが表示されている時に「キーチェンジ」をすることで鍵を使うことができ、鍵使用中は連続で攻撃を行なうことができるようになるなど、戦闘を有利に運べるのだ。

 通常の戦闘でも連続攻撃が比較的決めやすいために爽快感があるが、鍵を利用した戦闘はそれを上回る快感が待っている。一定時間内ではあるが、文字通り相手をフルボッコ状態で殴りまくれるのだ。一度鍵を使うと、その気持ちよさにヤミツキになってしまうほど。

T-Lv.2以上で敵のHPが80%を下回れば、いつでもキーメイクが可能になる。敵ごとに作れる鍵が変わってくるので、コンプリートを目指したくなるはず。成功率と、鍵にどんな付与効果が与えられるのかは、あらかじめ表示される。
鍵を使うと、画面右下でカウントダウンが始まり、時間内は何度でも攻撃ができる。日頃の鬱憤を晴らす勢いで、ボタンを連打!
前作同様、CCを溜めることでアイテムが使える。装備しているアイテムは何度使用してもなくならないので、遠慮せずにガンガン使おう。

簡単に行なえる調合システムは健在。奥深さもしっかりあるので、やりこみ派の人も満足

 シリーズのメインとなる調合システムは戦闘システムと同様に、基本的な部分は前作を踏襲している。作りたいアイテムごとに表示されるマテリアル環に、材料となるアイテムを選んで投入すればOKだ。非常にシンプルで分かりやすく、今作で始めて調合を経験するという人でも問題なくプレイできるだろう。

 材料を入れられる回数はレシピやスキルツリーの習得状況に応じて変わるが、必要最低限の場所に材料が入っていれば投入回数に満たなくてもアイテムは調合できるので、いきなり根を詰める必要がないのも良いところ。もちろん、前作同様にお任せで調合してくれる「おまかせ材料投入」も健在だ。

調合は、ベースとなる「マテリアル環」というマスに材料を投入するだけ。これで調合を開始すれば、最低限の効果を備えたアイテムが完成する。

 しかし、品質や特性を突き詰めていくのであれば「どこに」「どの材料を」「いくつ入れるのか」を吟味する必要がある。そして、ここからが本当に面白くなっていくところなのだ。調合画面を開いて、「こっちのマテリアル環にこの材料を3つ入れる」のか、それとも「残り回数を考えて、あちらのマテリアル環にあの材料を入れるか」などなど、各アイテムの調合ごとに脳内の思考ルーチンをフル回転させて悩み、考え込み、そして実行してしまう。今作でも中毒性の高さが健在なのは嬉しいことだ。

1つのマテリアル環に複数の材料を投入できるので、同じ場所へ材料を入れていくのか、それとも周囲のマテリアル環に投入して効果を増やしたり特性を追加するのか? と毎回悩みながら調合するのが本当に楽しい。例えば「爆粉うに」を作成する場合でも、効果2のマテリアル環に材料を追加するか、それとも特性枠に入れるかで完成するアイテムの効果が変わってくるので、そういった部分で常に悩み、それが面白いのだ。

 新システムの鍵は、調合でも大活躍する。最低限のマテリアル環に材料を投入すると、△ボタンでシンセサイズ効果を持つ秘密の鍵が使用可能になる。このとき、画面のレシピLvと書かれた部分の条件と鍵の特徴が一致するほどに、調合時にさまざまな恩恵が得られるようになっているのだ。

 このため、新たなランドマークを発見したり敵などからキーメイクすれば、それを調合に使用することで、それまで使っていたアイテムより強力なアイテムを作れる可能性も出てくる。そのことに気づいてからは、本当にシナリオを先に進めるのを忘れてしまったほど調合にのめり込んだ。もちろん、どのように遊ぶかはプレーヤー次第なので、そういう意味でもこれまで以上にユーザーが好き勝手に楽しめる仕様に仕上がっていると感じられ、感心してしまった。

鍵を使用する際、レアリティやモチーフ、シンセサイズ効果がマッチするほどに、品質上昇やCC低下、さらには追加効果が得られるなどアイテムを強力にできる。こうなると、やはり是が非でもすべての鍵を集めて調合を行ないたくなるというもの。今作でのやり込みは、これまで以上に茨の道かもしれない……。

 ほかにも、クエスト達成時や調合時に得られるスキルポイント(SP)を消費して新たなレシピなどを産み出していくスキルツリーや、調合で杖以外の採取道具を作り出して使用し、これまでにない素材を入手するなど、調合に関してもやり込み要素が豊富に用意されているので、いくら時間があっても足りないほどだ。

アイテムには、これまでの特性に加えて超特性という項目も追加されている。これは通常の特性と違い1度しか引き継げないものの、名前通り超強力な力を持っているのだ。制限もあるが、上手に使えばさまざまな場面で効果を発揮するのは間違いないだろう。
メニュー画面から選択できるスキルツリーでは、新たなレシピを獲得できるだけでなく、採取カゴの上限がアップしたり採取時の品質上昇といった効果も得られる。スキルツリーの要素は多数用意されているので、スキルツリー解放のために必要なSPをゲットするためにクエストや調合をしまくりたくなること間違いなし。
過去の「アトリエ」シリーズ作品の中には、妖精さんに素材の採取をお願いすることができるものもあったが、今や「ぷに」が代わりに請け負ってくれるのだ。

初心者は取っつきやすくなり、経験者には奥深くへと誘う秀逸な鍵システムと共に、ますますやり込めるタイトルに

 基本的なシステムは前作までを踏襲しつつも、プレイの幅を広げる方向での新システムが導入されたことで、これまで以上に遊びやすくなっていると感じられた『ライザのアトリエ3』。今作でライザ達の物語が完結するというシナリオも、どのような形でエンディングを迎えるのかが気になるところだ。

 今作では、フィールドが広がったことで採取の回数は増えたものの、その分走りながら採れるなど快適になる要素も盛り込まれ、差し引きでも大きなプラスになったのではないだろうか。戦闘や調合に関しても、前作から洗練された印象を受けただけでなく、より奥深い方向に進化したと感じられた。

 新システムの鍵に関しては、さまざまな要素に絡んでくるものの、シンプルに表すならば“バフ”と言えるだろう。つまり、「戦闘時にバフをかけて攻撃しまくる」「調合時にバフをかけて品質向上を狙ったり完成個数を増やす」「採取時に採れる材料の品質を上げる」といったバフ効果が得られると考えれば、最初は複雑に感じるかもしれないが実は非常に分かりやすい要素なのだ。このおかげで、プレーヤーの詰めが甘くてもそれなりの戦果や成果を出せるため、これまで以上に初心者に優しくなったと感じた。そして、わかってしまえば平均+αを産み出すためにも使えるので、より高見を目指してプレイできるようになるのも面白い部分。

 「秘密」シリーズでは、ライザの見た目が話題になりがちだが、ビジュアルだけでなくシステム面でもしっかり成長したと感じられたタイトルなので、これまでのシリーズをプレイしてきた人はもちろん、聞いたことのある作品名なので今作から始めてみようかな、と思っていた人がプレイするにもピッタリのタイミングだ。