レビュー

「WILD HEARTS」レビュー

最強メカギミック「からくり」を駆使して狩場も獣も思いのまま!? 和風狩りゲーのニューホープ

【WILD HEARTS】

発売元:エレクトロニック・アーツ

開発元:コーエーテクモゲームス

ジャンル:ハンティングアクション

プラットフォーム:プレイステーション 5/Xbox Series X|S/PC

発売日:2月17日

価格:
9,700円(スタンダードエディション)
12,000円(Karakuri Edition)

 エレクトロニック・アーツは2月17日に、狩りゲー界に新たな旋風を巻き起こすプレイステーション 5/Xbox Series X|S/PC用ハンティングアクション「WILD HEARTS」を発売する。コーエーテクモゲームスが開発する本作は、自然と動物が融合した幻想的なモンスター”獣”を狩猟するタイトルとなっており、世界観にマッチした特徴的な武器による華麗なバトルアクションや、今までにない独自のクラフトシステムである「からくり」を用いた様々なアクションを楽しむことができる。美麗なグラフィックスで表現された美しき大自然と古き良き日本の“和”を体現した世界観は圧巻であり、新しいタイプの狩りゲーとして期待を集める作品なのだ。

 今回はそんな本作を一足早く先行プレイする事ができたので早速レビューして行こうと思う。コーエーテクモゲームスが手掛けるアクションゲームは「無双」シリーズや「仁王」シリーズを始めとしてどれも1級品な作品ばかりなので今回も非常に楽しみだ。

【「WILD HEARTS」 | 生きろ、立ち向かえ。】

ゲーマーよ“獣狩”となれ!! 古の日本を舞台に新たなる狩猟生活が始まる!

 まず初めに本作の世界観について触れておきたい。「WILD HEARTS」の舞台となるのが中世の日ノ本、「あづまの国」と呼ばれる場所だ。かつては多くの人々が暮らし栄えていた場所だが、自然と融合し独自の進化を遂げた強大な“獣”による侵攻によって、今では常に危機的状態にあるボロボロな国となっている。

 そんな「あづまの国」に主人公は獣を狩る存在「獣狩(シシガリ)」となって降り立ち、内に眠る古代の技術「からくり」を駆使して襲い来る獣を狩ったり、衰退してしまった「あづまの国」の都市「湊」を復興させるために奮闘する事となる。湊に住む鍛冶屋の娘「なつめ」や飲んだくれの元獣狩「氏繁」といった魅力的なキャラクター達との交流や、自身の体に古代の「からくり」を埋め込んだ謎の老人「六科」と関わりながら、純和風に彩られた世界観の中で神秘的な狩猟ライフを送る事ができる作品となっているのだ。

プレーヤーは純和風で彩られた世界観の中で、強大な自然に抗って生きる「湊」の人々と共に「獣狩(シシガリ)」としての生活を楽しめる。この世界での獣狩は1つの職業のような立ち位置にもなっている
景色を見ているだけでも圧巻の“和”を感じとれて楽しいほど世界観の作り込みがエグい……!
ゲーム冒頭で瀕死状態になる主人公に特殊な「からくり」である「種」を植え付けて助けてくれる「六科」
物語が進む場面になると不意に登場してプレーヤーにアドバイスを残して去っていく良いお爺さん……ってだけでは無さそうだが、本作のキーパーソンである事には違いない

 本作は狩りゲーの中でも特にストーリーに寄り添った形で、内容も面白くまとまっていると筆者は感じた。全体的にキャラクターがそれぞれ立っていて魅力的かつ、狩猟する新規獣の開放や新要素の開拓などもキャラクター達との交流やストーリーに沿って広がるため、「あ~今自分は湊のために頑張ってる~」という感覚を強く感じることができた。キャラクター達との関わりが多い分、彼らに自然と愛着が湧いてきてしまうし、強大な獣を協力して追い払ったり湊が1歩ずつ復興していくストーリーがしっかり描かれたりすると自然とストーリーに引き込まれてしまうのである。

 狩りゲーはアクション性が命と言っても過言ではないが、近年の作品はそれでいてストーリーもしっかりしている物も多く、今作もそれに漏れず面白い仕上がりとなっているので是非期待してプレイして欲しい。

 カプコンが手掛けたハンティングアクション「モンスターハンターライズ」の舞台「カムラの里」に愛着を持ってしまったタイプのプレーヤーは今作でも同じ感覚を味わう事ができると筆者は思っている。

物語が進むにつれて「湊」もキャラクター達も1歩ずつ復興に向けて成長していく様がしっかり描かれる
流れ者のプレーヤーに対する態度も徐々に変化していき「あ~人情あったけぇ……」と感じる場面も多い。キャラクターが魅力的なゲームは強いのだ

多彩かつ華麗なるアクションで獣を撃て!世界観にマッチした8つの武器がとにかくクール!

 とは言え、やはり狩りゲーとして一番気になるのはバトルアクションの部分だろう。ここがしっかりしてなければいくらストーリーが良くても狩りゲーとしての魅力が大きく損なわれてしまう。だが安心して欲しい。本作のバトルアクションは狩りゲーとしてしっかり爽快感と戦略性がギッチリつまりつつも、どの武器や攻撃も他のゲームでは味わえない独自性の高い体験ができる仕上がりとなっている。

 今作のバトルアクションで基本となる操作は3つの攻撃ボタン、回避、ジャンプ、ダッシュの4つ。ゲームの進行もクエストやストーリー等で自由にマップに降り立ち広大なフィールドを駆け巡ってモンスターを狩るというオーソドックスなタイプとなっていて、基本的な操作感と合わせて狩りゲーやアクションゲームをプレイした事のあるプレーヤーならスッと頭に入ってくるような流れと言えるだろう。ここに武器毎の特性や「からくり」等の様々な本作独自の要素が付随する事によって、本作でしか味わえない中毒性の高いアクションを可能とするのだ。

基本的な操作は直感的に理解でき、フィールドを駆け巡って獣を見つけて狩猟するといった狩りゲーの鉄板をベースとしているため操作感やゲーム進行に悩む事は無いだろう

 ではいよいよ全プレーヤーが気になっているであろう各種武器の使用感について触れて行こうと思う。今作ではからくり刀、野太刀、弓、槌、和傘、大筒、飛燕刀、変形棍といった合計8種類の武器を獣狩は使用できる。中世日本を舞台としているためランスや銃などの武器は存在せず、全体的に和テイストでしっかり固めているのはポイントが高い。

 そして今作の武器はそれぞれ強みと戦略が明確に定まっていて、適当にブンブン振り回すだけでは満足にダメージを与えられないという共通点を持っている。一番扱いやすい武器であるからくり刀でも攻撃与えるたびに増えていく「開放ゲージ」を使った必殺アクションが存在しているため、何も考えず攻撃をするだけではどの武器も宝の持ち腐れになってしまうのだ。

基本武器である「からくり刀」であれば一応ただ武器を振り回すだけでもダメージを与えられるが、武器の特徴である「解放ゲージ」を使ったアクションを交えるとそのダメージ差は歴然
アクションも蛇腹剣のように伸びた刀で華麗に多段ヒットさせる攻撃に変化するため、武器の特徴やルールを覚える事で真に面白くてカッコいいアクションが可能となる作品となっているのだ

 武器の強みを活かした戦い方をしなかった場合のダメージ効率は、パッと見5倍以上違うと言っても過言ではないレベルである。操作や立ち回りが上級者向けのゲームっぽく聞こえるかもしれないが、武器の特徴やルールさえ掴んでしまえば操作は簡単かつ、しっかり立ち回ることで、どの武器も爽快感を感じられる仕上がりになっているため、遊ぶ際には武器の扱いを極める位の気持ちで遊んでみて欲しいと筆者は考えている。

もう1つの威力がわかりやすく違う武器としては「飛燕刀」が挙げられる
素早い動きで翻弄しつつ攻撃途中にジャンプ可能なため空中戦も得意な武器だが、一番の特徴である相手に鉤爪を括りつけて連続攻撃を行なう「飛燕刺し」を上手く活用できなければダメージは雲泥の差がある

 そんな中で本作で筆者が特にオリジナリティに溢れていて感動した武器は「和傘」と「変形棍」だ。どちらも和のテイストを大切にしつつ、全てのアクションが他のゲームでは味わえない完成度となっている。

 まず「和傘」についてだが、この優雅なアイテムを武器にしようとする発想がまず凄い。アクションの特徴としては相手の攻撃を傘を使った防御アクションで華麗にパリィしながらカウンターを決めていくスタイルが可能な武器となっている。攻撃も傘による突進や傘を回した多段ヒット攻撃、空中でのアクションでフワッと浮くなど非常に傘らしさを活かしきったアクションが多数存在する。和傘の優雅なイメージを攻撃を受け流して華麗に立ち回る姿で表現するのは天才的なデザインセンスだ。カウンターのタイミングがシビアなため上級者向けの武器と言えるが、ダメージを一切受けずに攻撃を受け流し続けられた時の爽快感は他の武器にはない強みだろう。

一番近いイメージとしては「モンハン」シリーズでいう「太刀」なのだが、それとも若干違う事から今までに無い武器だという事が良くわかる
アクションの1つ1つが本当に雅であり、カウンターを基盤とする戦い方と合わせて上手く立ち回れた時の強者感はとんでもない! “華麗なアクション”という言葉がここまで似合う武器も珍しいだろう

 もう1つオリジナリティの強い武器として「変形棍」を取り上げる。この武器は攻撃の中で長棍、戦矛、刃圈、双牙といった4形態に姿を変える変形ギミックを兼ね備えた武器となっている。そしてこの4形態がそれぞれ武器として独立したアクションを持ちつつも、攻撃の連携中に武器変形を組み込む事で形態を変化させながらコンボ攻撃ができる。状況に合わせてガチャガチャと武器を変えて戦うという男の子が大好きな要素をこれでもかとぶち込んだ武器となっているのだ。

 変形ギミックによるコンボを駆使して専用ゲージを溜める事で、切札となる5形態目のモード「巨劔」に変形可能。超ド派手な攻撃の威力をMAXまで引き上げることもできるため、ここもロマン砲が大好きな男の子の心をくすぐるポイントとなっている。変形ギミックによる豊富な攻撃手段、ゲージを管理して必殺の一撃を叩きこむ立ち回りなど、あまりにも独特すぎる操作感を求められるが、使いこなした時の玄人感は凄まじいため、本作を遊ぶのであれば是非触って欲しい武器となっている。

漢字だとどんな武器なのか想像しずらいが、イメージで言うと双牙はトンファー、刃圈は手裏剣、戦矛は槍、巨劔はデカい剣といった感じだ
変形ギミックを組み込んだコンボは武器チェンジのタイミングを覚える必要があるがそこまで難しく無いため、どちらかと言うと全ての形態の特徴をしっかり掴んでしっかり攻撃を当てれるようになることが重要になりそうだ

 とは言え和傘はカウンターが難しく、変形棍は物語の途中まで使用できない武器なため、筆者はゲーム内だと野太刀と弓を多く使用していた。野太刀は大剣のような感じで、重量があるため少し移動やアクションが遅くなってしまうが、チャージ可能な居合攻撃による1撃大ダメージが狙える事が魅力の武器だ。

 ゲージの溜まりが遅くなるが居合チャージ中も動き回れる事で初めて戦う獣でも緊急時には攻撃を避ける事が可能だったり、1撃1撃を確実に当てていくスタイルが筆者にはマッチしていた。慣れてきたら相手の動きを読んで一歩も動かない事で居合チャージを爆速で溜めて攻撃するといったシブいカッコ良さを演出できたりなど、シンプルながら非常に立ち回りが楽しい武器となっていた。

居合中に最低限の動きで獣の攻撃を避けつつ、最大限まで溜めた溜め切りをブチ当てれば脳汁ブシャー間違いなし!
居合攻撃はマックスまで溜めたくなるが、溜め切らなくても威力がそこそこ高いため、状況にあわせてしっかり攻撃を与えていくように立ち回ると狩猟が楽になったぞ!

 遠距離武器としては「弓」を使っていたのだが、こちらは従来のゲームで想像される弓とは異なるシステムとなっている。どんな武器かを端的に説明すると獣に布石を撃ちまくってバカでかい一撃で一気にダメージを与える武器といった感じだ。

 弓は2つのモードで矢を発射する事ができ、横に弓を構えて素早く複数の矢を放てる「甲矢」と、縦に弓を構えて溜め撃ちによる高威力な1撃を放てる「乙矢」を使い分ける必要がある。さらに、アクションを最大2段階強化できるチャージ技のようなモノも備わっており、この強化段階によって放たれる甲矢と乙矢のアクションが変化するといった、器用な立ち回りが求められる武器といえる。

 だがここまでは序の口、この武器が本当に最高なのは甲矢と乙矢を使った連鎖爆撃にある。素早く放てる甲矢は獣に当たると杭のように刺さり続け、その状態で乙矢の一撃をぶつけると刺さっていた甲矢が爆裂して連鎖ダメージを与えるのだ。つまり甲矢で相手に布石を撃ち、乙矢で爆裂させるのが弓の戦い方になるのである。大量に刺さった甲矢を一気に爆発させる事ができた時の気持ち良さは効果音も相まって凄まじく、筆者はこの本作のシステムが気持ち良すぎて中毒になってしまっている。

大量に甲矢が刺さった状態で2段階強化+最大チャージの乙矢をぶち込めた時の爽快感は異常!
甲矢を2段階強化した状態で放てる「済射・甲矢」は、空から大量の矢を降らせる技だが、サイズがデカい獣にはボコボコと当たりまくるし、懐で放つと確定全ヒットになるためこれもまた気持ちいい! 操作していて気持ち良さしか無い武器となっているのだ

 他の武器も形状は他作品で見た事あるような武器であっても、そのアクション性が全く異なるというのが本作の面白い所。どの武器もオリジナリティ溢れる特徴とルールを持っているため1つの武器を極めるだけでも相当やり込み度が高い。しっかり立ち回れた際には確実に大ダメージを与えられる手段が用意されているため、直感的に選んだお気に入りの武器を極めてほしいと筆者は思っている。

俗に言うガンナー武器に該当する「大筒」は連続発射によるオーバーヒートをコントロールしつつ、それすら利用して本当の意味のロマン砲をぶっ放せたり、ハンマーにそっくりな「槌」もタイミングよく攻撃ボタンを挟む事で如意棒の如くリーチが伸びていくという他作品ではあまり見ない特徴を持った武器となっている

攻撃・サポート・マップ改築と本当に何でもござれ! 本作の最重要ギミックとなる「からくり」アクションがハチャメチャに面白い!

 武器種だけでも相当お腹いっぱいになったとは思うが、なんと本作はここからがマグマなんです。「WILD HEARTS」1番の魅力と言っても過言ではないのが、ゲーム中本当に何でもやってのけてくれる「からくり」なのである。

 この「からくり」は指定した場所に任意の「からくり」を生み出して様々な効果を発揮してくれるのだが、その用途がありえないほど広いのだ。狩り中に敵の攻撃を避けるために高台を作ったり、マップを探索している時に自分の好きな場所に野営地を作れたり、武器に火つけて攻撃力を上げてくれたり、空を飛んだり等もうやれる事を挙げたらキリが無いレベルである。

 「からくり」は大きく分けて3種類存在する。1つ目はMAP上に存在する龍脈の力を開放することでポイントを溜め、拠点作りやショートカットの作製等のフィールドに様々な効果を及ぼす「龍脈からくり」だ。これだけ聞くと他作品で言う所の指定ポイントに第2の拠点を作れるだけのように聞こえるかもしれないが、この「龍脈からくり」は使用する事で自分の好きなようにフィールドを改築できるのだ。

 例を挙げると死んだ際のリスポーン地点となる拠点も自分の好きな場所に作れるし、特定の場所同士を繋ぎロープウェイのように長距離移動を可能とする「飛蔓(とびかずら)」を活用すれば崖を超えてショートカットができたり等、自在にフィールドを改造できるのだ。「龍脈からくり」は貴重なポイントを消費して設置するため好きなだけボンボン置きまくるという事はできないが、自分だけのオリジナリティ溢れる狩場を構築できるのは今までに無い体験となるだろう。

フィールドマップはかなり広いが拠点同士でファストトラベルが可能かつ、好きな場所に拠点を決められるためフィールド移動でストレスを感じる場面は殆ど無い
拠点にはモンスターを探索してくれる「獣探しの櫓」やフィールドでも武器作成が行える「鍛冶場」等も自由に設置できるため、オリジナルの拠点を構築する事が可能
筆者的に一番驚いたのがこの「飛蔓」によるショートカット。もう尋常じゃないレベルで遠くまで一気に行けるのにこれを自由な場所に設置して良いのだから驚きだ
壁や崖を渡る為のショートカットにしても良し、高台からいつでも好きな場所に降りれるような作りにしても良し、獣を逃がさないために道中に設置しても良しと本当に何でもできる

 2種類目の「からくり」はアクション中に瞬時に作製できる「基礎からくり」だ。積み上げれば高台となって攻撃や壁登りなどに応用できる「匣(はこ)」、プレーヤーを瞬時に押し出して高速移動や回避を可能とする「発」、暗闇を照らし触れることで武器に火の追加ダメージ属性を付与できる「灯」、上空に飛び上がりゆっくりだが飛行を可能とする「羽」の4種類が該当し、プレーヤーはこれらを狩猟アクションに組み込みながらフィールドを駆け巡る事となるのだ。

 この4つの使い方が本作を攻略する際に超重要となっていて、例えば匣は高台として足場にする事で各武器がそれぞれ持っている特殊な空中攻撃を行なう事が可能だったり、羽は上記でとりあげた飛蔓と組み合わせる事でさらに長距離の移動が可能になったり等、基礎というだけあってかなりの応用が効くのだ。

 使用する際にはコストとして「天つ糸」を消費する必要があるが、これはフィールドに落ちている木や岩を破壊する事で頻繁にゲットできる。そのため「基礎からくり」は「龍脈からくり」よりも全然日常的に利用する事が可能となる。狩りの最中は天つ糸を回収する余裕があまり無いため、戦闘中に素材が切れて「からくり」が作り出せずにピンチになる事もあるという良くできたバランスになっている。ゲーム全体がこの「基礎からくり」を中心に作られていると言っても過言ではないため、本作を遊ぶ際にはしっかりとそれぞれの効力をマスターしてアクションに取り入れることが重要となる。

「基礎からくり」で行なえるアクションは豊富かつどれもゲームを進行する上で必要不可欠なモノばかり
「匣」でジャンプからの攻撃、「発」でダッシュ攻撃、「灯」で炎攻撃、「羽」で空中から奇襲など、攻撃面においても非常に優れている。確実に使い方をマスターしておく必要がある

 そして最後の「からくり」が「基礎からくり」を特定の形式に設置する事で発動する「連結からくり」だ。これが本当に面白いシステムになっている。

 例を挙げると足場としての役割を持つ匣を3個重ねて設置し、同じ物をその隣にもう1つ作ると「壁」と呼ばれる「連結からくり」に早変わりするのだ。この壁は文字通り壁なのだが獣の攻撃をある程度ブロックできたり、匣よりも移動させやすい高台にもなって空中攻撃がしやすくなったりなど、匣だけの頃には無かった利点がいくつも生まれるのである。さらには獣の突撃攻撃に対してこの壁をぶつければ攻撃を止めるだけでなく、壁にぶつかって大きな隙が生まれるなど絶大な効力を発揮してくれる。

 壁以外にも発を3つを重ねれば高威力で攻撃してくれる「仕掛け槌」が完成。羽3つを重ねると周囲のプレーヤーを回復する「癒やし香」を作り出せたりなど、非常に強力かつ上手く使えば獣の攻略がグッと楽になるのが「連結からくり」なのだ。

一番お世話になるであろう「壁」は、目の前に壁が出てくるだけなのにここまで戦略が変わるのかと感動した要素の1つ
時には盾に、時には高台にと役割を変えて何度も獣狩を救ってくれるのだ!
「連結からくり」は他にも戦いの中で絶大な効果を発揮するモノばかりが揃っている
濫用したいところだが当然「基礎からくり」よりも「天つ糸」を多く消費するため、使いどころが重要になるシステムとなっている。

 この多種多様な3種類の「からくり」を駆使しながらフィールドの探索と獣の討伐をしていくのが本作の醍醐味であり、他ゲームには無い本作ならではの独自性を生み出している。

 本作の場合、フィールドマップが他ゲームに比べてかなり広く筆者は感じていたのだが、それも「からくり」を上手く組み合わせる事でショートカット生み出したり、適切な場所に拠点を置くことが可能となり移動において時間短縮ができる。さらに、近距離武器であれば匣と発を駆使すると素早い相手の攻撃にも抗いやすかったり、大筒や弓といったある程度獣と距離をとりたい武器は壁を利用する事で一部の攻撃を安全に受け流せたりなど、攻略していく根底に多くの「からくり」がある事で様々なゲーム性を生み出している。この体験は他作品では絶対に味わえないため、実際に触ってみて欲しい要素だと筆者は強く思っている。

今までにない全く新しい狩りゲー! 戦略を練って攻略していきたいプレーヤーに強くお勧めできる作品に!

 このように独自の武器や「からくり」の存在から、基本的な操作部分は従来のハンティングアクションを踏襲しつつも、そこから味わえるゲームとしての体験や戦略の考え方は完全に本作独自のモノとなっている。正直、アクションが苦手な筆者は最初「からくり」を用いたアクションに慣れるまで時間がかかってしまったのだが、随所に入るチュートリアルや、扱える「からくり」やアクションが徐々に増えていくゲームスタイルだったため、序盤を超えた辺りから快適にプレイできるようになっていた。

 獣たちの強さも「からくり」を上手く扱う事前提で作られているため、かなり強力でやり応えがあり、どんな「からくり」や攻撃が有効なのかを1つずつ手あたり次第に調べていく感じはゲーム体験として非常に濃かった。個人的には攻略サイトなどをは一切見ずに、自分の手で徐々に開拓していく感覚を味わってほしいと感じている。気になる人はぜひ「あづまの国」を救いに「獣狩」になってみては如何だろうか。