レビュー

「シアトリズム ファイナルバーライン」レビュー

シンプルながら奥深いリズムアクションゲーム、再び蘇る!

【シアトリズム ファイナルバーライン】

発売元:スクウェア・エニックス

開発元:インディーズゼロ

ジャンル:シアターリズムアクション

プラットフォーム:プレイステーション 4/Nintendo Switch

CERO:B(12才以上対象)

発売日:2月16日

価格:
通常版 6,380円(税込)
デジタルデラックスエディション 9,680円(税込)
プレミアムデジタルデラックスエディション 11,880円(税込)

 2月16日に発売されるプレイステーション 4/Nintendo Switch用シアターリズムアクションゲーム「シアトリズム ファイナルバーライン」(以下、「シアトFBL」)。

 本作はニンテンドー3DSで発売された「シアトリズム ファイナルファンタジー」の派生作品で、直感的に遊べるシンプルな操作感で楽しめるリズムアクションゲームとなっている。

 本作でも、主軸となるのは「ファイナルファンタジー(FF)」シリーズの楽曲たちで、「FFI」〜「FFXV」までのナンバリング作品はもちろんのこと、「FFVII REMAKE」や「FF TACTICS」、「FF零式」など、多数の派生作品の楽曲も収録しているのが特徴だ。

 また、ダウンロードコンテンツでは、「サガ」シリーズ、「LIVE A LIVE」、「クロノトリガー」、「クロノクロス」、「ゼノギアス」、「すばらしきこのせかい」、「NieR Replicant/Gestalt」、「NieR:Automata」、「オクトパストラベラー」など、「FF」以外の楽曲が追加されることも決まっている。

 収録楽曲だけでも非常に魅力的な作品となっているが、リズムゲームは苦手……という人も安心してほしい。普段リズムゲームは全くやらない筆者だが、「シアトリズム」シリーズだけは遊んでおり、全く問題なくプレイできている。もちろん、リズムゲームが得意という人も楽しめる高難易度譜面もあるので、本稿ではそれも含めて紹介していこう。

【『シアトリズム ファイナルバーライン』アナウンスメント トレーラー】

まずはパーティメンバーを決めてアビリティなどを組もう

 本作には、曲に合わせて敵を倒すバトルステージなどがあり、「FF」シリーズキャラクター総勢104人の中から最大4人のパーティを編成してステージに挑むことが可能だ。

 編成したキャラクターは、随時「アビリティ」を修得していく。アビリティは攻撃手段から、ミスで減ったHPゲージを回復してくれるようなものもあり、キャラクターによって覚えるアビリティが異なる。なお、アビリティはレベルが上がれば自動的に覚え、パーティ画面でセットしておけばあとは自動で使ってくれる。

最初のうちはパーティに入れられるキャラクターも限られているが、シリーズを解放していけばどんどん仲間キャラクターが増えていく
仲間になったキャラクターをどのように組み合わせていくかはプレーヤーの好み次第。シリーズ縛りでもいいし、筆者のように好きなキャラクターや欲しいアビリティを持っているキャラクターから選ぶのも有り

 本作ではリズムと共に流れてくるノーツのことを「トリガー」と呼ぶ。トリガーには、タッチトリガー(赤い丸印)、スライドトリガー(矢印)、ホールドトリガー(緑の伸ばし棒)、ホールドスライドトリガー(緑の伸ばし棒+矢印)の4種類があり、この4種類の組み合わせで遊ぶ。

ゲームを開始するとチュートリアルがある。3DS版とは操作が違うので、3DS版を遊んでいた人もチュートリアルを遊んでおこう

 リズムにあわせてトリガーが流れてくるので、テンポよく任意のボタン(十字キーも可)を押せばいい。時には2つ同時にトリガーが出てくることがあるが、その時は好きな2つのボタンを押すと対処できる。

 ホールドトリガーの時は長さの分だけボタンを押しっぱなしに、スライドトリガーの時は矢印の方向にスティックを倒すと成功となる。

このようにふたつ同時にホールドトリガーが出てきたら「〇+L1」や「〇+△」などを同時に押しっぱなしにする

 ボタンと十字キー、スティックまで使うため、最初のうちは操作が混乱しやすいが、何回か遊んでくるうちに慣れてくる。特に2つ同時にトリガーが流れてくるところは非常に混乱しやすく、中でも混乱しやすいのは矢印が2つあるスライドトリガーが流れてくるところ。矢印が2つあるスライドトリガーが流れてきた場合は、左右のスティック2本を操作して処理しなければならないのだ。

 これについては今回の試遊がSwitch版で、Joy-Conのスティックの位置は左右で違うことにも原因があったように思う。DUALSHOCK 4のようにスティックが2本とも下についているコントローラーのほうが混乱しにくいので、遊びやすさを追求したい人は導入を考えてみてほしい。

 だが、リズムゲームで最も重要とも言える、トリガーの流れてくるタイミングは絶妙で、リズムに乗りながら、とても快適に遊べるゲームとなっているのは間違いない。

 基本的にはミスをするとHPバーが減っていき、HPバーがゼロになる前に楽曲を演奏しきればクリア。逆に曲の途中でHP残量がゼロになってしまうとクリア失敗となる。

 なお、1曲終わるごとにパーティに入れたメンバーに経験値が入り、レベルアップすると様々なアビリティを覚えていく。HPバーを回復するアビリティ(ケアル等)を覚えるキャラクターもいるので、リズムゲームが苦手な人はそういった回復系のアビリティを覚えたキャラクターを多く組み込んでおくといいだろう。たまにHPゲージが全然減っていないのにHP回復アビリティを使われたりもして残念な気持ちになることもあるが、敵を倒したり、HPバーを回復してもらったりというのは、あくまでリズムゲームのサブ要素でしかないので、個人的にはあまり気にしなくていいように感じた。

 召喚石は装備しておくと、バトル中に自動で発動し、召喚獣が強力な攻撃で敵をなぎ倒してくれたり、様々なプレーヤーのサポートをしてくれる。

 シリーズクエストの各楽曲には、クリアとは別に「クエスト」が用意されており、「ボスモンスターを登場から●秒以内に倒す」、「敵を●体以上倒す」、「HPを回復しない」など、様々な内容がある。達成すると様々な報酬が手に入る。

クエストは漠然と遊んでいると達成しにくいものが多く、キャラクターのレベルを上げたり、アビリティや召喚獣を見直したり、より正確にトリガーを入力したり、と試してみてほしい
アビリティや召喚獣などは、パーティ画面でセットしなければならないので、注意しよう。いちいち自分でアビリティを組むのが面倒な人は、自動で最適なアビリティをセットしてくれるオートモードもあるので安心だ

難易度にパーティ、色々組み合わせて楽しもう

 上記のシンプルなプレイを踏まえて、本作のさらなる特徴を挙げていこう。

 本作は初めてリズムゲームを遊ぶ人でも楽しめるように、様々な難易度やゲームモードが登場する。

 まず一番シンプルなのが「BMS」と呼ばれるモード。主にバトル曲などで採用されており、左から流れてくるトリガーをジャストサークルに重なるところでタイミングよくボタンを入力するシンプルなモードだ。

 次は「FMS」と呼ばれるモードで、主にフィールド曲で採用されている。左から流れてくるトリガーをジャストサークルに重なるところでタイミングよくボタンを入力するのはBMSと同じなのだが、緑のトリガーが上下にゆらゆらと動くので、そこではジャストサークルをスティックで上下に合わせて動かさなければならない。

この緑トリガーのジャストサークルを動かすのが非常に難しい。3DS版ではFMSのほうが得意な筆者だったが、本作ではFMSのほうが完全に苦手になってしまった……

 難易度は「基本」、「熟練」、「究極」の3段階と、曲によってはそのさらに上の「超絶」という4段階目の難易度がある。

リズムゲームが苦手な人は「基本」から。得意な人はいきなり「熟練」あたりからチャレンジを始めても問題ないはずだ

 まずは好きな「FF」タイトルを選び、そのシリーズの楽曲を1曲ずつ決められた順番にクリアしていくことになる。数曲クリアすると他のシリーズを解放できるシリーズキーがもらえる。そのままそのシリーズのフルコンプを目指してもいいし、次の新たな「FF」シリーズを解放しにいってもいい。特定のシリーズでは、最後のステージをクリアすると、「EMS」というムービーを楽しみながらプレイするステージが解放されるので、好きなシリーズの最終ステージクリアを目指すのもオススメだ。

EMSでは美麗なムービー(イベントシーン)が流れる。このモードは手に入れた楽曲を遊べる「ミュージックセレクト」のみで選ぶことができる

 ミュージックセレクトはシリーズクエストで遊んだ曲が追加されていくようになっているので、プレイの基本的なサイクルは、とにもかくにもシリーズクエストで楽曲を解放していきながら、ミュージックセレクトで好きな楽曲を様々な難易度で遊んでいく、という形になるだろう。それもあって、シリーズクエストは必ずクリアできる難易度で挑戦しておく、というのがオススメの遊び方となる。

シリーズをクリアしたあとに解放されるEMSをプレイしたい場合は、一度メインメニューに戻り、ミュージックセレクトに行こう

 ちなみにこちらのEMSに収録されているムービーは、別途「ミュージアム」の「シアター」で見ることができる。トリガーなく美麗なムービーを存分に楽しめるので、ぜひこちらも楽しみにしてほしい。

まったく同じシーンだが、上がEMSで遊んだ時のもの、下がシアターで見たもの。リズムゲーム中はじっくり見られないと思うが、シアターであれば思う存分ムービーを堪能できる

 なお、EMSは全てのシリーズに収録されている。「FFVII REMAKE」なども主題歌の「Hollow」と共に美麗なムービーが流れたり、他のシリーズでも懐かしいムービーが見られるので、シリーズのクリアを目指してプレイしてみてほしい。

「FFVII」とは独立した形で「FFVII REMAKE」のシリーズもある
「FFT」などの昔の作品も、ドット絵のイベントシーンが流れていく
筆者激推し「FF零式」のEMS。楽曲はもちろん「我ら来たれり」

ほかにも様々な遊び方が! 膨大な楽曲数にも驚く

 本作は、一般的なプレイ方法となる「スタンダード」以外にも多彩なモードで遊ぶことができる。ふたりで一緒に遊ぶ「ペア」や、ひとつのボタンでプレイできる「シンプル」など。どうしてもリズムゲームが苦手という人はシンプルにするのもありだろう。もちろん、自信がある人はどんどん上の難易度にチャレンジしていってほしい。

高難易度だと譜面もどんどん複雑になる
一方、「基本」や「熟練」くらいだと、鈍臭い筆者でもフルチェインSS評価でのクリアもできる

 他にも最大4名でオンラインマルチ対戦ができるモードなどもあるようだ(今回は試遊のため、未プレイ)。

 また、解放した楽曲を自由に鑑賞する「ミュージックプレイヤー」などもあり、「FF」シリーズの楽曲が好きな人には嬉しい要素だ。

 「ミュージアム」では、コレクションボーナスや様々な記録なども閲覧できるので、色んな楽しみ方をしてほしい。

ちなみに、この13回チャレンジした「ノーマルバトル」はFF10の「ノーマルバトル」。モードは究極で、クリアできるまで何回もやり直したため、試遊の段階で13回ものプレイに及んでしまった

 本作に収録される楽曲はデフォルトで 385曲 にも及ぶ(新曲は167曲)。そこにデジタルエディション限定楽曲が27曲、DLC楽曲が90曲と、総楽曲数はなんと502曲。「FF」シリーズだけに限らず、スクウェア・エニックスの人気ゲームの楽曲が多数収録されるのも嬉しいところだ。

 個人的に嬉しかったのは、シリーズ最新作となる「STRANGER OF PARADISE FF ORIGIN」などの楽曲や、スマホタイトルの「メビウスFF」、派生タイトルの「光の4戦士」、「WORLD OF FF」などの楽曲も豊富に収録してくれた点だ。

「SOPFFO」から「Jack’s Theme」などが収録されている
すでにサービスは終了してしまったものの、名曲が多かった「メビウスFF」
「WOFF」からは「バトル・ワールド」が収録されている

 なお収録楽曲については公式サイトで確認することができるので、気になる人はぜひそちらで確認してみてほしい。

※楽曲リスト
https://www.jp.square-enix.com/t_fbl/music/

大人気シリーズMMORPG「FFXIV」は、シリーズクエストの中でも最大曲数、33曲を収録! 新曲「ロングフォール 〜異界遺構 シルクス・ツイニング〜」、「ライズ 〜機工城アレキサンダー:天動編〜」、「龍の尾 〜神龍討滅戦〜」、……まだまだ新曲が追加。3DS版「カーテンコール」時は9曲だったので、24曲も増えている

 とにかく名曲が多い「FF」シリーズの楽曲でリズムゲームを楽しめる、というのが本作の最大の魅力。ついつい時間を忘れてプレイをしてしまう時間泥棒ゲームでもあるが、1曲ずつは短いので非常にプレイしやすくなっている。プレイをしたことがないシリーズでも、「このシリーズ、こんな楽曲があるのか……好みだからプレイしてみよう」なんていうこともあるかもしれない。全ての派生作品まで網羅している猛者にとっては、言うまでもなく最高のリズムゲームである。

 本作の無料体験版も配信されているので、装い新たとなった「シアトリズム」を楽しんでみてはいかがだろうか。