レビュー
「Them’s Fightin’ Herds: Deluxe Edition」レビュー
かわいい上にかっこいい。格ゲー初心者にもオススメできるストーリーモードも見どころ
2022年10月26日 00:00
- 【Them’s Fightin’ Herds: Deluxe Edition】
- 発売元:H2 INTERACTIVE
- 開発元:Mane6
- ジャンル:格闘ゲーム
- 発売日:10月27日(PS4、PS5)、未定(Nintendo Switch)
- 価格:4,950円(税込)
H2 INTERACTIVEは、2D格闘ゲーム「Them’s Fightin’ Herds: Deluxe Edition」(ゼムズ ファイティン ハーズ)のプレイステーション 5、プレイステーション 4版を10月27日に発売する。Nintendo Switch版は発売延期のため発売日未定。価格は4,950円(税込)。
本作は、かわいい姿をしたウシなどのキャラクターたちで戦う2D格闘ゲーム。開発はアメリカのMane6。元々はアニメ「マイリトルポニー ~トモダチは魔法~」のファンゲームとして制作していたが、権利関係の問題でオリジナル作品へと切り替えた経緯がある。
開発では「マイリトルポニー ~トモダチは魔法~」の原作者であり製作総指揮などを務めたローレン・ファウスト氏が正式にチームに参加。クリエイティブディレクターとして、本作のオリジナルキャラクターたちを生み出している。「Them’s Fightin’ Herds」は2018年にPCで発売され、今回コンソール版として未実装だった日本語への対応に加え、新たにストーリーモードなどが追加されている。
今回、日本語版となる本作のNintendo Switch版をプレイすることができた。オフラインモードのアーケードモードやストーリーモード、練習モードなどを体験することができたので、その魅力をお伝えしたい。
かわいいキャラクターたちが戦う新感覚の格闘ゲーム
本作最大の特徴は戦うキャラクターたちが海外アニメのようなカートゥーン調で描かれたウシやヒツジなどの有蹄類ということだ。プレイアブルキャラクターはウシの「アリゾナ」、シカの「ベルベット」、ヒツジの「ポム」、ユニコーンの「オーリアンダー」、アルパカの「パプリカ」、龍馬の「ティアンフー」、ヤギの「シャンティ」の7頭。シカのベルベットは高慢でプライドが高く、ヒツジのポムは気弱で怖がり、アルパカのパプリカは陽気でポジティブと性格も豊かだ。
本作では戦い方として弱、中、強の通常攻撃とキャラクターそれぞれがもつ特殊な魔法攻撃を組み合わせて戦うことになる。ただし、すべてのプレイアブルキャラクターが四足歩行の動物のため、動きはかなり独特。前足で叩く、頭突き、後ろ足蹴りなど、動物特有のものや身体能力を利用したものが多く登場するため、プレイしていても見ていても楽しい。
また、通常攻撃は地上と空中でそれそれ攻撃が異なっており、組み合わせてコンボをつなげると無数に戦い方が増えていく。魔法攻撃はそれぞれキャラクターに合わせたものが用意されており、ウシのアリゾナは投げ縄、シカのベルベットは氷の塊を遠くに飛ばすなどとなっている。
その性格がしっかりとそれぞれのキャラクターの動きに反映されており、キャラクターによってはかなりトリッキーな動きをするものもいる。たとえばアルパカの「パプリカ」は、高速移動をするほか、ブロッコリーやリンゴを飛ばして攻撃もしてくる。様々な動きでとにかくこちらを翻弄してくるので、パプリカが対戦相手になったときはかなり苦戦した。
同じように、どのキャラクターたちも個性が際立っており、かわいい見た目と相まって新感覚の格闘ゲームを楽しむことができる。
なお、対戦にはオンライン対戦とオフライン対戦があり、オフライン対戦ではコントローラー2つで友人や家族と対戦を楽しむことができる。
アーケードモードでは、プレイアブルキャラクターたちとの勝ち抜き戦を楽しめる。アーケードモードでは難易度選択があり、赤ちゃん、見習い、挑戦者、王者などから選ぶことができる。赤ちゃんは格闘ゲームをプレイしたことがないプレーヤー向け、見習いは少し格闘ゲームを遊んだことがあるプレーヤー向け、挑戦者は普段格闘ゲームをプレイするプレーヤー向け、王者は本作をプレイしたことがあるプレーヤー向けと幅広い対応で、さらにその上の難しい難易度も用意されている。
ストーリーモードで楽しみながらスキルアップ
本作ではオンライン対戦、オフライン対戦のほかにストーリーモードが実装されている。
ストーリーモードでは、ウシのアリゾナが主人公となっている。物語の舞台は偶蹄類、奇蹄類が暮らすフーナムと呼ばれる国となっている。物語は突如現れた肉食動物の姿をした黒い影「プレデター」が封印を解くために、有蹄類が持つ鍵を奪うと告げる。フーナムの「有蹄評議会」はその鍵を探し出し守るフーナムの守護者を各種族から募ることにした。その守護者になるためにアリゾナが旅立つところから始まる。
アリゾナは幼いウシだが、正義感が強くかなり勝気な性格の女の子だ。非常に素直なのでかわいらしさも兼ね備えている。
ストーリーモードでもアーケードモード同様、難易度選択ができ、初心者、中級者、上級者、ハードコアから選ぶことができる。初心者は格闘ゲームが苦手な人でも戦いやすくなっており、対戦相手の強さも一定。中級者は簡単な難易度から、上級者はノーマルな難易度から、ハードコアはハードの難易度から始まり進行に応じて段階が上がるようになっている。
ステージは見下ろし型の2Dアドベンチャーで、フィールド上を歩き回りながら進める道を探していく。フィールド上の重要な場所に到達すると特殊な2Dステージに移動する。特殊なステージは格闘中の画面と似ているが、足場などがあってステージの移動がメイン。かなり細かい繊細なコントローラー操作を求められるが、そのスキルはそのまま対戦にも使えるので、クリアを目指すとともに習得もしていきたい。
バトルは格闘ゲームとなっているが、ステージが普通のフラットな単一ステージではなく奥行きがあったり高さがあるなど多岐にわたる。ボスとの戦闘は一筋縄ではいかないものが多く、格闘ゲームとアクションゲームを足した感覚に近い。戦闘に加えて攻略方法も考える必要があるので、失敗しては試すというトライ&エラーを繰り返す感覚だ。ボス戦の攻略は少し癖があるものの、戦い方をマスターすることでかなり操作がうまくなっている感覚を覚えた。
ストーリーモード全体を通して、楽しみながら格闘ゲーム特有のコントローラー操作を覚えられるように設計されていると感じた。筆者はほとんど格闘ゲームをやったことがなかったが、クリアしたときには相当格闘ゲームのいろはが覚えられていると思う。
練習モードでさらにスキルを磨ける
本作では対戦モードやストーリーモードのほかに、プレーヤーが各キャラクターたちの戦い方を練習する練習モードが実装されている。練習にはトレーニングモードとチュートリアルがあり、トレーニングモードではコンボ練習や、キャラクターたちの動きを確かめる、攻撃の強さなどを数値として確認する、といったことができる。コンボ練習は実際の成功例を見てから練習できるので、どのように繋がるか分かりやすく実践しやすい。
チュートリアルでは基本的な格闘スキルの確認やキャラクターたちそれぞれの魔法練習など基礎的な攻撃から特殊攻撃まで戦い方を学ぶことができる。
またチュートリアルではキャラクターそれぞれの攻撃方法を一覧で表示。練習や知識の習得に必要なサポートは一通り揃っているので、全体的に練習しやすいと感じた、
筆者はこの練習モードにかなり助けられた。筆者のように格闘ゲームにそこまで詳しくなくても、ここでしっかり基礎を学んで戦い方を身につけられるのは非常にありがたい。ストーリーモードでうまくコツが掴めなかった技もここでしっかりおさらいできるので上手に使って更なるスキルアップを目指すことができるのはうれしい。
たとえ格闘ゲームが苦手でも、しっかり楽しめる要素が満載
本作をプレイして感じたことは、たとえ格闘ゲームジャンルが苦手でもかなり本作を楽しむことができるということだ。
ストーリーモードでストーリーを楽しむことができるし、その上格闘ゲームのスキルを身に着けることができる。また、練習モードやアーケードモードでは対戦に慣れるための感覚を掴むことができる。かわいいキャラクターたちとともにさまざまなスキルを身に着けることができるので、これから格闘ゲームを始めたい、プレイしてみたいと思うプレーヤーにもおすすめできる。
さらにオンラインモードを含めるとより一層プレイできる幅も広がるので、より楽しみだ。蹄をもつかわいいキャラクターたちがガンガン戦う様はかわいい上にかっこいい。この変わった格闘ゲームをぜひ体験してほしい。