レビュー
「ウルトラ怪獣モンスターファーム」レビュー
ウルトラ怪獣育ててみませんか。いつもと違うがちゃんと「モンスターファーム」!!
2022年10月20日 12:00
- 【ウルトラ怪獣モンスターファーム】
- 発売元:バンダイナムコエンターテインメント
- 開発元:コーエーテクモゲームス
- 発売日:10月20日
- 価格:
- 通常版 6,710円(税込)
- 特装版 12,210円(税込)
- CEROレーティング:A(全年齢対象)
バンダイナムコエンターテインメントは、10月20日にNintendo Switch用育成シミュレーションゲーム「ウルトラ怪獣モンスターファーム」を発売する。
本作は、モンスターを育成するシミュレーションゲーム「モンスターファーム」と国民的特撮作品「ウルトラマン」とのコラボレーションタイトル。通常の「モンスターファーム」シリーズとは違い、本作で育成するのはモンスターではなく、バルタン星人やゼットン、ゴモラなどの「ウルトラ怪獣」だ。プレーヤーはウルトラ怪獣が発生する島・ラトゥール島で“ブリーダー”となり、ウルトラ怪獣を育てバトルし、最強のウルトラ怪獣を育て上げることを目指す。
筆者は「モンスターファーム」シリーズのファンだが、「ウルトラマン」やウルトラ怪獣には詳しくない。それでも十二分に本作を楽しめたので、本稿でその魅力をお伝えしたい。
スケールの違いにビックリ! 大きな怪獣を誕生させて育てる
本作の最大の特徴は「ウルトラ怪獣」を育てられるところだ。本作で育てる怪獣は、楽曲のタイトル名やアーティスト名を検索し、好きな楽曲を選ぶことでウルトラ怪獣を誕生させる「楽曲再生」に、コントローラーに交通系ICなどのICカードをかざすことで誕生させる「NFC再生」で手に入る。そのほか、「ウルトラマンデッカー」に登場する変身アイテムの玩具「ウルトラディメンションカード」の怪獣デザインのものに掲載されている「UMF Code」から誕生させたり、1度手に入れた怪獣は図鑑に登録され、図鑑から誕生させることもできる。
育てたい怪獣を探すところから始まるが、これが本作の醍醐味のひとつでもある。
ちなみに、「楽曲再生」や「NFC再生」での誕生にはゲーム内マネーが必要だ。もしゲーム内マネーがない場合は無償で祭壇から怪獣を支給してもらうこともできる。支給される怪獣は季節と年数ごとに異なり、今回プレイした1年目の春は「ゴモラ」、夏は「バルタン星人」、秋は「セブンガー」、冬は「レイキュバス」となっている。
怪獣が誕生する際のBGMなどはウルトラマンを彷彿とさせるものになっており、いつもの「モンスターファーム」とは違うものを誕生しているのがよくわかってドキドキする。
実際に怪獣を誕生させると、怪獣は建物よりもはるかに大きく、その圧倒的な大きさにに若干不安を覚える。調べてみると、ウルトラ怪獣は身長が40mから50mほどの規模感のようなので、周りの建物よりずっと大きいのも納得だ。
いつもの「モンスターファーム」のようでちょっと違う
今回筆者は育成怪獣を「ダダ」にした。筆者が知っている「バルタン星人」と「ダダ」のどちらかを育てたいなと思っていた矢先に、楽曲再生で「ダダ」が誕生した。これも何かの縁ということでファームで育成する。名前は「だだみ」だ。
怪獣たちにはそれぞれ特性が設けられており、「ダダ」はブリーダーに対して恐れが上がりやすい「組織への従属」という特性を持っていた。ほかにも、大きな眼を持つ怪獣・ガンQは命中が上がりやすくなる特性「大きな瞳」を持っており、特性は育成やバトルで役立つものとなっている。なお、同じ怪獣でも個体によって特性も異なるようだ。
本作では、初代「モンスターファーム」に登場した助手のホリィさんが、ブリーダーの助手という立場でプレーヤーを補佐してくれる。「モンスターファーム」シリーズおなじみのキャラクターが出てくるのは「モンスターファーム」ファンにとって嬉しい要素だ。
またファームを貸してくれるカネゴンの「カネゾー」もサポートしてくれる。育成する怪獣と違ってサイズも小さく可愛らしい。
ファームに怪獣を連れて行くと、その大きさにさらに驚く。広大な土地を駆け回っているときは気にならないが、コミュニケーションをとるために近くに来させたり、時に拾ってくるアイテムを受け取ったり、毎月のエサを与えるときにその大きさを実感する。この大きさでも、敵意なく悠々とファームをかけているさまを見るのはちょっとかわいい。
ゲーム序盤のファームでの育成では、「モンスターファーム」シリーズ同様に「トレーニング」と「修行」から選んで怪獣を強化していく。トレーニングでは6つのトレーニング地でトレーニングすることができ、それぞれHPを表わす「ライフ」、ちから技で与えるダメージが増える「ちから」、かしこさ技で与えるダメージが増える「かしこさ」、高いほど技が命中しやすくなる「命中」、高いほど敵の技を避けやすくなる「回避」、高いほど敵から受けるダメージが減る「丈夫さ」を鍛えられる。
トレーニングでは失敗、成功、大成功の結果によって得られる能力値が異なり、また、失敗以前にサボることもある。
何度もトレーニングすることで、そのトレーニング地を怪獣の「ナワバリ」にすることができる。ナワバリにすると得られる育成値にボーナスが付加されるので、トレーニング地は積極的にナワバリにしたい。
しかし、トレーニング地にはノラの怪獣が出現することもある。ノラ怪獣をそのまま放置しておくとせっかく貯めたナワバリゲージが減り、ナワバリが解除されてしまう。トレーニング地に怪獣が出現したら積極的に倒しに行きたい。
もう1つの強化方法として、1カ月間怪獣を合宿させる「修行」がある。「モンスターファーム」シリーズの中でも過酷なトレーニングを強いるイメージがある「修行」だが、本作ではどちらかというとほのぼのとした印象を受けた。
というのも、本作での修行は、他のブリーダーに怪獣を預け、プレーヤーの怪獣とそのブリーダーが育てている怪獣の2体が一緒にトレーニングをするというものになっているからだ。お互いの怪獣が切磋琢磨してトレーニングに励む姿を見るとほっこりする。バトル以外で怪獣同士がコミュニケーションをとっている様は非常にかわいい。
修行では新技を覚えてくることがあるので積極的にいろいろなブリーダーに修行に出したい。
トレーニングや修行を行なうと、怪獣の元気が減って体調が悪くなっていくとともに、ストレス値を測る「ゲキリン」の数値も溜まっていく。この「ゲキリン」の値がMAXまで溜まってしまうと怪獣たちはたちまち暴走。暴走するとファームの至る所を破壊しようとしたり、家出をしたりと様々なデメリットがある。
規格外のスケールを持つ怪獣の暴走はプレーヤーたちではどうすることもできない。困っていると光の巨人「ウルトラマン」が現われ、怪獣を止めてくれた。筆者が育成した「だだみ」も暴走した際にはしっかりとウルトラマンにお仕置きされてしまった。
こうならないためにも、適度に「休養」して疲労を回復させてあげる必要がある。
怪獣は年齢ごとに、バトルやトレーニングなどで役立つ新しい特性を身に付けることができる。新たな特性は、特殊なクッキー屋さんでクッキーを焼いてもらい、それを怪獣に食べさせることで身に付く。クッキーはおまかせで焼いてもらうか、ICカードなどをかざして焼いてもらう「NFC再生」もある。どんな特性が出てくるかは焼き上がるまでのお楽しみ。クッキーはストックしておくこともできるので、育成している怪獣に付けたい特性が出るまでいろいろなクッキーを焼いてみるのも手だ。
怪獣がある程度育ったら、次は「大会」に出場しよう。「大会」に出場して優勝することで、怪獣のグレードを上げて、よりレベルの高い大会への出場させられるようになったり、さまざまなアイテムや、育成に必要不可欠なゲーム内マネーを手に入れられる。大会賞金はゲーム内マネーを手に入れられるポピュラーな方法になるので、ファーム存続のためにも何とか頑張って優勝したいところだ。
また、今後開催される大会を「予約」しておくこともできる。予約しておくと大会の前の週にホリィさんがアナウンスしてくれるので、大会を忘れてトレーニングしてしまうということを防げる。
怪獣同士のバトルでは、怪獣の移動や、使う技、技を使うタイミングなどをプレーヤーが操作する。相手との距離で出せる技が変わり、距離は隣接、近距離、中距離、遠距離の4つに分かれている。怪獣によって技の性能も違うので、個性豊かなバトルを楽しめる。ちなみにバトル中は、育成期間が短く、怪獣との信頼関係が成り立っていないと「意味不明」となって制御不能となってしまうこともある。
今まで優勝経験のある大会や、トレーニング場にいる怪獣とのバトル「ナワバリバトル」では、バトルの結果だけ知れる「らくらくバトル」というシステムも用意されている。
本作では「研究所」で怪獣同士を合成することができる。2体の怪獣を合成すると、それぞれの特性を引きついだ怪獣が誕生。今まで手塩にかけて育てた怪獣の能力を次の怪獣へと引き継ぐことができるのは非常にうれしい。
「モンスターファーム」でありつつ、「ウルトラ怪獣」でもある本作
本作は、育成するのは怪獣だが、ゲーム内容が「モンスターファーム」シリーズであることは変わりないと感じた。何よりも怪獣たちがのしぐさがかわいく、表情こそ変わっていないが、感情がよくわかる。今回育てた「だだみ」も、育てられなくなる「引退」時まで育てたが、引退するその最後の姿まで感情が伝わってきた。怪獣ってこんなに感情豊かなのか。通常の「モンスターファーム」シリーズでもモンスターたちの感情の豊かさに時には和み、時に困らされてきた。その辺りまでしっかり「モンスターファーム」だ。
もちろん「モンスターファーム」だけでなく、誕生時のBGMや怪獣たちの声や攻撃の音などから「ウルトラマン」シリーズを感じることもできる。怪獣が暴走した際に止めに入ってくれるのがウルトラマンというのも非常にワクワクした。
本作は「モンスターファーム」のいいところと、怪獣のスケール感が非常にうまく組み合わせられており、ウルトラ怪獣をよく知らない筆者もとても楽しめた。やはり「モンスターファーム」シリーズはどんなモンスターや怪獣を育てても、とにかく愛着が沸いてかわいく感じてしまう。どんなに大きな怪獣だろうとファームに連れて帰って育てれば「うちの子」になるから不思議だ。
「モンスターファーム」シリーズが好きな方も、ウルトラ怪獣が好きな方も十分に楽しめる1作。大きな怪獣を育てるのはいつもの「モンスターファーム」とは違う高揚感もあるのでぜひ興味が沸いた方はプレイしてみてほしい。
©円谷プロ
©Bandai Namco Entertainment Inc.
開発:コーエーテクモゲームス
モンスターファーム:©コーエーテクモゲームス All rights reserved.
※画像は開発中のものです。