レビュー
「Dolmen」レビュー
”死ぬ”ほど楽しいSFホラーアクションRPG! やり応えが抜群すぎる新たなる死にゲー
2022年5月20日 00:00
- 【DOLMEN(ドルメン)】
- ジャンル:アクション
- 発売元:Koch Media/Prime Matter
- 開発元:Massive Work Studio
- プラットフォーム:PS5/PS4/Xbox Series X/Xbox One/PC
- CEROレーティング:A(全年齢対象)
- 発売日:5月20日
- 価格:
- 4,950円(税込)
- PC版のみ4,100円(税込)
皆さんは「死にゲー」というジャンルをご存じだろうか。どちらかというとネットミームから生まれた俗語のようなものだが、何度もゲームオーバーを重ね試行錯誤を繰り返す事を前提とした鬼のような難易度のゲームをそう呼ぶことがある。
基本的に(特に初見の)プレーヤーには優しくない設計のボスやダンジョンを繰り返し何度も遊ぶことで、自身の上達をダイレクトに実感できるのが特徴。数々の重圧を乗り越え、クリアした際の喜びが何とも言えない快感となっており、難易度に比例して骨太なゲームも多い事から数多のゲーマー達にこよなく愛されてきたジャンルとなっている。
今回レビューしていく最新作「DOLMEN(ドルメン)」は、そんな死にゲー界に突如として現われた期待の新人だ。SFホラーチックな世界観や高品質なアクションシステム、独自の「エナジーシステム」やレベリング・クラフトの自由さ等々、気になるポイントは山ほどある。
「ゲームオーバー毎に強くなれ」と公式から謳い文句が出るほど死にゲーとしての自覚に溢れた本作の魅力について、さっそく見ていきたい。
大宇宙を舞台としたSF×コズミックホラー!
まず始めに、本作の世界観と概要について軽く紹介しよう。「DOLMEN」は、宇宙テクノロジーと遺伝子操作を活用して人類が複数の星系を植民地化したSF世界を舞台としたコズミックホラーアクションRPGだ。プレーヤーはエイリアンや腐敗した企業、脅威となる未知の生命体等の脅威と戦いながら、惑星「レヴィオン・プライム」を探索する。任務は、謎に満ちたクリスタル「ドルメン」のサンプルを持ち帰ること。パラレルワールドにすら影響を及ぼす人知を超えた力を秘めた「ドルメン」を中心に壮大な物語が展開されていくのがストーリーの本筋となっている。
本作のゲームシステムは、三人称視点のアクションRPGが基盤となっている。恐ろしくも美しい荒廃した死の惑星「レヴィオン・プライム」は広大で、複雑に入り組んだダンジョンでは様々なギミックがプレーヤーに襲い掛かる。
さらにはクリーチャーや敵対者などの様々なエネミーが脅威として現われ、ダンジョンの最後には一筋縄では行かないボスが待ち受けている。プレーヤーは様々な武器・アクションを使いこなしながら敵対者を退け、ダンジョンを攻略し、武器・防具のクラフトや自由な成長システムを駆使して自分のキャラクターを成長させていく事となる。
バトルは、射撃戦や近接戦闘、あるいはそれらを組み合わせた様々なアクションが可能。武器の種類、それぞれに応じた攻撃モーションの種類も数多く用意されている。
さらには敵の攻撃をジャストガードする事で隙を作り出せる俗に言う「パリィ」などの特殊なアクション、敵の属性によって弱点を突いたりそれぞれデバフ効果を期待できる「火」「水」「酸」の3属性の存在、さらには本作ならではの「エナジーモード」という時間制限つきの強化状態の使いどころ等、これでもかと言わんばかりにバトル中に行なえるアクションが用意されているのも本作の魅力の1つだ。
そしてアクション性をより奥深くしているのが各アクションの際に必要なリソース「ヒットポイント」「スタミナ」「エネルギー」の概念だ。
「ヒットポイント」はつまり体力で、本作では想像以上に簡単に溶けやすいので常に注意する必要がある。アクション面で特に重要となるのは、「スタミナ」と「エネルギー」の2つ。「スタミナ」は近接攻撃・回避アクション・ダッシュなどで消費するステータスで、「エネルギー」は射撃攻撃・ヒットポイントの回復・エナジーモードの使用などで消費されていく。
「スタミナ」は自動で回復するためガンガン消費して大丈夫だが、敵を仕留めきれずに「スタミナ」が無くなってしまうと目の前で何もできず棒立ちの状態になる。「エネルギー」は戦況を有利にできるアクションが揃うが、消費すると回数制限のあるアイテムを消費しなければ回復できないため、使いどころを見極める必要がある。
この死の惑星で生き残るためには常に自分のリソースを管理しながら迫りくる脅威と戦っていく事が重要となるのだ。
雑魚敵でも余裕で死ねる! ”ド”が付くほど骨太なバトルシステム
ここからは本作を実際にプレーして筆者が魅力的に感じたポイントを紹介していきたいと思う。まずは本作の「死にゲー」としての魅力だ。
上記で挙げた通りプレーヤーは様々なアクションや要素を駆使して数多の敵やダンジョンに挑んでいくのだが、どのタイミングであろうと油断をすれば簡単に殺られてしまうほど本作は難易度の高い。
例を挙げるのであれば、雑魚敵が2体同時に襲い掛かって来たくらいであっても、少しミスをすれば簡単に死んでしまう。高い場所から操作ミスして足を踏み外し、落ちてしまっても呆気なく死んでしまう。
ダンジョン内のダメージギミックにハマり解決策が分からずにいれば当然のように死んでしまう。そしてこれらの死ぬ要因がそれぞれ絡み合いながら、相乗効果となってプレーヤーに襲ってくる。そのため、常に油断のできない状況が続いていくのだ。
そしてこの“死にやすさ”を、ストレスにならない丁度いい塩梅としてシステムに落とし込めているのもポイントだ。本作ではダンジョンを攻略して進んでいく際に「ビーコン」というリスポーン地点を開拓していく。
「ビーコン」は武器強化やキャラクターのレベリング、他のビーコンの場所にワープできる役割があるため、プレーヤーにとっての心の拠り所のような場所だ。ダンジョンを攻略していく際にはビーコンからビーコンを目指して次々に進んでいく事になるのだが、難しい箇所だと1区間を進むだけに何十回と死ぬこともザラではないため、プレー中は「まだビーコン無いのかよ!?」と思わず口にしてしまうほど焦燥感に駆られる事もあった。
そしてキャラクターは死んでしまった際にこの「ビーコン」にリスポーンしてやり直す事となるのだが、リスポーンした際にレベル上げに必要な「ナノマシン」とボスの再戦や様々な用途がある「ドルメンの欠片」を死んだ場所に残してしまう。
これを回収できないと、それまでの苦労が水の泡となってしまうので基本は絶対に回収しに行くのだが、その回収しに行く道中でまた死んでしまうと死亡場所が更新されて、その前に死んだ時に落とした「ナノマシン」と「ドルメンの欠片」が完全に消えてしまうのだ。
回収する前に死ぬわけにはいかないという強い想いがさらに焦りを生み、本作のゲーム性と相まって死の連鎖を生み出す。筆者は何度もこの連鎖に何度も苦しめられたが、その理不尽さとチャンスを与えられている感覚が死にゲーとしてとても楽しめる良い緊張感を生み出していると考えている。
とにかく“選択肢”が多い! だからこそダレないし試行錯誤が楽しい
続いて取り上げたい魅力は育成・クラフトを用いたキャラクター育成における自由度の高さだ。何度も取り上げている通り、本作は非常に攻略難易度の高いゲームとなっているが、プレーヤーのキャラクターメイキング次第でその難易度はさらに大きく上下する。
例えば出てくる敵に対して有効な属性を持つ武器を用意したり、多数の敵が一気に登場する場所に行く場合は広範囲に攻撃が可能な両手剣やショットガンを装備する等の対策が可能で、自分の用意した対策や作戦が上手く刺さった時の快感が半端ないのだ。
さらに装備する武器によってアクション自体が大きく変わる事もあるためクラフト自体が楽しく、クラフトする武器には追加効果の付与もできるため自分らしい戦術に基づいた装備品を駆使してオリジナリティのある自分だけのゲーム体験を楽しめる。
そんな様々な装備品を使う為にはキャラクターのレベリングが非常に重要な要素となっている。本作のキャラクターの育成は経験値となる「ナノマシン」を消費する事で対応するステータスを自分で割り振って上げるシステムとなっている。
近接攻撃が主軸なら「筋力」に、遠距離攻撃を主軸とするなら「射撃」に、防御面を強くしたいなら「体力」や「耐久」に振るなど、自分のスタイルに合わせたレベリングを楽しめる。
そして装備するアイテムにはステータスに一定のレベルを要求する物もあるため、装備したい武器や防具に準してレベリングするのも選択肢に入ってくる。単純に足りないステータスを強化するという選択肢もあるため、育成においても幅広い選択肢からプレーヤー毎のスタイルで楽しめるようになっている。
最後は本作の高品質なバトルアクションについてだ。本作のダンジョンは狭い通路や高低差のある複雑な地形となっており、視界外からの攻撃なども多々発生する。そのため、戦い方は試行錯誤する必要がある。
その場合に重要になるのが、近距離攻撃と射撃攻撃の使い分けをはじめ、武器の変更、敵の数が少なければ「パリィ」を狙って最速で倒す、敵が多ければ広範囲攻撃で一気になぎ倒すなど、戦いの中でどのような選択を取るかだ。
プレイの選択肢が多い反面、それでいてどんな場面でも基本死と隣りあわせなので、緊張感が続いてバトルはダレる事が一切ない。難所にぶつかった際には「詰んだ」と感じることもあるが、何度もリスポーンする事で戦い方が最適化されていき、最初は苦戦していた敵のラッシュを余裕で処理できるようになった時の爽快感は、死にゲーならではの醍醐味と言えるだろう。
この醍醐味をさらに楽しめるのが本作のボス戦だ。本作では当然のように雑魚敵の群れにも殺られることが多々あるが、ボス戦ではその比じゃない位死に続けるだろう。
加えてボス戦では、特殊なギミックや初見では避け方の検討が付かない強力な攻撃を繰り出すボスも多い。とてもじゃないが、初顔合わせでクリアーできる可能性はとても低い内容となっている。
ただ、何度も戦う内にボスの隙を見つけて攻略方法を確立し、徐々に与えられるダメージが増えていく感覚がとても心地いい。少しずつ理解を進め、最後に勝利した時に得られる喜びと達成感は計り知れないものがある。
序盤で“格の違い”を見せつけられる大ボス「クイーン・カニプテイ」を紹介
それでは本記事の締めとして、ここまで語って来た魅力を存分に堪能できた最初の大きな関門となる大ボス「クイーン・カニプテイ」との激闘について取り上げたい。筆者はこのボスを攻略する為に2~3時間を費やした。
このボスは最初のクリスタルを入手する際に戦うボスなのだが、ある程度操作が慣れてきてボスもそこそこ倒し、調子に乗っているタイミングで現われるためその格の違いに驚かされる。
地面から出てくる触手を躱しながら攻撃する第一段階、フィールドを狭めて直接攻撃を仕掛けてくる第二段階、そして最終段階ではさらにフィールドを狭めて超接近戦で殴り合う事となる。第一段階から避けるのにコツが必要な攻撃を2種類繰り出し、どちらも片方が避けられなかった場合にかなりの確率で1撃で殺られるという、初っ端から全力なボスとなっている。
では、こういう難敵はどうやって突破していくのだろうか。筆者自身の試行錯誤を紹介することで、本作の「攻略の楽しさ」を少しでも味わっていただければ幸いだ。
このボスをクリアする為にまず編み出した戦法は、第一段階のパターン化だ。第一段階の攻撃は避け方さえ知っていれば対処可能なモノが多かったため、まず地面からの触手攻撃全般の避け方を体に叩き込む。
そして時間短縮と余計なダメージを減らすために触手への攻撃をスピードは遅いが一撃の火力が高い両手持ちのブレードに変更。これによって一撃で触手を倒す事ができるようになったため、安定したダメージを与えられるようになり第一段階を安定して突破できるようになれた。
そして第二段階以降の触手攻撃は、ひたすらタイミングを覚える事に意識を向けてプレーし続ける。何なら自分の攻撃は二の次ぐらいの気持ちで、ひたすら避ける事だけを考えて練習した。そして攻撃も隙の少ない武器に変更し、攻撃回数が少なくてもダメージを確保できるようにエナジーと「エナジーモード」を温存できるように立ち回る事を意識する。
第三段階になったらひたすら顔の側面に回避行動をしながら、残ったリソースを全て吐き出すように攻撃を繰り出す。これを続けて、何とか勝利を収めることができた。対策を考え装備を用意し、何度も死にながら相手の攻撃パターンを覚える。最後は、気合と根性で何とか乗り切る事ができた。序盤の大ボスとして、本作をどのように楽しむのかを感覚的に教えてくれた非常に熱く素晴らしい戦いであった。
全くの新規IPとして登場したこの「Dolmen」だが、今回のプレーで確かな難易度の高さと育成とカスタマイズの自由度の高さ、そして何よりも「死にゲー」としてのゲーム全体の完成度の高さを実感できた。歯ごたえのあるゲームをどんどんやりたい! と感じているプレーヤーには強くオススメできる作品となっている。
Dolmen(C)Massive Work Studio. Massive Work Studio and Dolmen are registered trademarks of Santa Rita Studio LTDA. All rights reserved. Dolmen uses the Unreal Engine. Unreal is a trademark or registered trademark of Epic Games, Inc. in the United States of America and elsewhere. Unreal Engine, Copyright 1998 - 2022, Epic Games, Inc. All rights reserved. Developed by Massive Work Studio. Published 2022 by Prime Matter. Prime Matter is a division of Koch Media GmbH, Gewerbegebiet 1, 6604 Höfen, Austria. Prime Matter and its respective logos are trademarks of Koch Media GmbH. All other trademarks, logos and copyrights are property of their respective owners. All rights reserved.