レビュー
「Marvel’s Guardians of the Galaxy」レビュー
2021年10月25日 22:00
距離を取って戦場を分析、仲間のスキルを活用し、チーム一丸となって戦え!
「Marvel’s Guardians of the Galaxy」において戦闘は楽しい要素だ。ガーディアンズの敵は強力で数が多い。彼らを倒すにはチームの結束が不可欠だ。戦闘中は「ガーディアンズモード」を発動することで、チームのスキルの使用を指示できる。スキルは範囲攻撃、1体向けのものといった性質の違いがある。
そして「よろめき」という要素がある。スキルの中には敵のよろめきゲージを上昇させるものがありこのゲージがいっぱいになると敵はよろめき受けるダメージが大きくなる。弱った敵にはチームが一丸となってダメージを与える特殊攻撃が使える。
例えばロケットのスキルで敵をまとめてからグルートの範囲攻撃で打ち上げ、さらにガモーラでまとめてダメージを与えるなど、スキルを組み合わせることで大ダメージを与えられる。ドラックスは単体攻撃のスキルが多いが敵のよろめきゲージを上昇させる技が多い。
加えて、ピーターは「エレメントガン」という特殊攻撃が使える。最初は氷の攻撃で、ゼリー状の怪物を凍らせたり、敵のシールドを剥がしたりと有効だ。エレメントガンはゲームが進むとさらに多くの属性を使えるようになる。後半では敵に合わせ属性を使い分けることで戦いを有利にできる。ピーターのエレメントガンは効果的に使うことで援護しやすい。
ピーターは銃での攻撃が中心となる。アウトレンジで戦況を分析し、仲間のスキルを積極的に使って戦うという本作の戦闘は面白いと感じた。さらに周囲にはチームメンバー達が利用できるオブジェクトがある。ドラックスが大きなものを投げつけたり、ロケットが地雷を埋め込むなど、オブジェクトを使うことでさらに有利に戦える。
本作では体力は敵を倒した時に得られるアイテムで回復できる。このため体力が減っても敵が倒せない場合、リカバーできずあっという間に倒されてしまう場合もある。仲間の能力をうまく活用し、敵に囲まれたり、狙撃されないように気をつけて戦っていきたい。
さらに戦闘を楽しくする要素が「ハドル」だ。ハドルゲージがたまった時発動でき、メンバーを一カ所に集めピーターが「スピーチ」を行なう。このときメンバーのいうことに声を傾け、最善のスピーチを行なうために、プレーヤーは最善の言葉を探さなくてはいけない。メンバーの盛り上がったテンションを一端落ち着かせたり、けしかけたり、こちらも経験を積むことで、よりよい選択ができるようになる。間違った選択でチームから「何言ってんだこいつ?」と扱われるのも、それはそれでピーターらしくて面白い。
戦闘で得たアビリティポイントでチームやピーターを成長させることで戦略はさらに奥深くなる。フィールドにあるリソースを使うことでピーターの装備もアップグレードできるので、マップの隅々まで探索するのが楽しくなる。ゲームが進むと多くの敵、強力な敵を相手にすることになるが多彩になった戦術で敵に対処することができるようになっている。チームの戦闘力が増していく感覚も、"絆"を感じる大きな要素なのだ。
銀河の危機に試される絆、凸凹チームは銀河を救えるか!?
ストーリーが進んでいく中で、ガーディアンズは「銀河の危機」に直面することとなる。その兆しは罰金を払いに出頭したノバ軍警察の宇宙ステーションに現われる。ここの職員達は今や何者かに支配されていて、まるで反乱のように同士討ちをはじめていた。ガーディアンズ達にも攻撃をしてきて、ピーター達は間一髪で逃げる。
心配なのはコ・レルとその娘ニッキーだ。ピーターはかつてコ・レルと恋人だった。コ・レルとその娘ニッキーの行方がわからない状況にピーターは大きく動揺する。一方ロケットはカンカンだ。彼は罰金なんて無視してとんずらしようと主張していた。その意見を押し切ってノバ軍警察に出頭したのに、出会ったのは最悪を越える事態だった。ロケットはついにグルートを連れチームを離れると言い出してしまう。
そして宇宙ステーションを支配した謎の力は支配を伸ばしていく。その中心は「真実の宇宙教会」。彼らは突如として強大な力を持ち、その大きな力で星々を支配しようとしている。ガーディアンズはこれに対抗する力を探そうとするが、レディ・ヘルベンダーの復讐の手までが迫ってくる。愛する者の、チーム崩壊の、そして銀河の危機……。クラクラするようなピンチの連続、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーはチームの絆を取り戻し、この絶望的な状況を覆せるのか?
正直、本作をプレイする前は少し不安があった。マーベルコミックを扱う映画「マーベル・シネマティック・ユニバース」で、筆者が見ていなかったのが「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のストーリーだった。地球を舞台にしていないスペースオペラは、他のヒーロー達とはちょっとノリが違っていたからだ。正直とっつきにくいかな、と思ったのだ。
しかしこういった心配は杞憂だった。銀河を駆け巡る壮大な冒険と、クリエイターの創造力のすごさを見せつける驚異の星々の自然と異星の生き物、小さな兆しが大宇宙の危機につながっていく展開……。これぞスペースオペラだ。そして、これだけの危機やチームのつながりのもろさを描きながらも、基本のノリは明るく、楽観的なのがいい。
どんなに仲間の心が離れても、世界が闇に染まっても、ピーターの冗談やはったりは止まらない。その明るさと、心の奥にある絆への憧れが、チームメンバーの心の闇を払い、そして今や銀河を覆い尽くそうとする危険に立ち向かっていく力を与えてくれるのだ。
このストーリーを支えてくれるのが濃密なゲーム要素だ。ゲームを進めることでどんどん強くなっていくチームの戦力と、広がる選択肢。マップ探索もせっかちに進めるよりもたっぷり探索しギミックを楽しむ方が色々な恩恵がある。誰のスキルを、ピーターのどの能力をパワーアップさせていくか、コツコツ育てていく感覚も楽しい。
チームの雰囲気の面白さは、日本語吹き替え声優達の熱演に寄るところも大きい。クールなガモーラが苦労しながら冗談を言ったり、吹っ切れて歌い出したりするし、堅物のドラックスはカチカチの頭で天然ボケをかます。ロケットはとげとげしい口調のまま軽口や憎まれ口を叩く。ピーターは真面目なことをいってもいまいち決まらないし、突っ込まれてタジタジになることもあるが、決める時はビシッと決めるのだ。
凸凹なチームがその個性のまま結束していく、この展開がプレーヤーの心を熱くしてくれる。「Marvel’s Guardians of the Galaxy」は魅力的な作品である。ぜひチェックして欲しい。
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