「ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~」レビュー
ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~
その魅力は、太ももや濡れ透けばかりではなかった!
- ジャンル:
- RPG
- 発売元:
- コーエーテクモゲームス
- 開発元:
- ガスト
- プラットフォーム:
- PS5
- PS4
- Nintendo Switch
- 価格:
- 8,580円(税込)
- 発売日:
- 2020年12月3日
2020年12月2日 00:00
「ライザのアトリエ」シリーズの続編「ライザのアトリエ2 〜失われた伝承と秘密の妖精~」が12月3日に発売となるが、今回そのプレイステーション 4版を一足先にプレイする機会を得たので、そのレビューをお伝えしよう。
本作は2019年に発売された「ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜」の続編にあたり、同じキャラクターが主人公を務めている。長い歴史をもつ「アトリエ」シリーズだが、主人公を続投したのは本作が初めてとなる。
続編作品は往々にして、前作をプレイしていないと話の繋がりがわからなかったり、ゲームシステムについていけなくなることがあるが、それに関してはまったくの杞憂だったと最初に断言しておこう。物語は、こうして始まる。
前作「ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜」から3年。島に残ったライザが錬金術の修行に励む日々を送っていると、王都アスラ・アム・バートに住む友人タオから“錬金術と関係があるかもしれない遺跡が見つかった”との誘いの手紙が届く。時を同じくして、光を放つ謎の石を調べて欲しいとの依頼を受けたライザは、海を渡りアスラ・アム・バートに行くことを決意する。そこでは、3年ぶりとなる友人たちとの再会だけでなく、新たな一夏の冒険も待っていた……。
プレーヤーは主人公のライザを操作し、タオたちと共に遺跡の調査を行ないながら更なる冒険へと足を踏み出すことになる。
移動も戦闘も、ユーザーフレンドリーなシステムに感心
プロローグが終了すると、まずは港から王都へと移動することに。道中ではシリーズお馴染みの「ぷに」を相手に、戦闘のチュートリアルが行なわれる。システムは前作同様のリアルタイムで展開され、画面右下に表示されている顔アイコンが左から右へ移動し、中央に来た時点で各種コマンドが選択可能になる仕組みだ。通常攻撃で敵を攻撃するとAPが溜まり、これを消費してスキルを繰り出していく。複数人でパーティを組んでいる場合は、操作するキャラを任意で選ぶことも可能だ。敵の攻撃は△ボタンでガードができるが、押しっぱなしにしていると、いつまでたっても自分のターンが回ってこない点には注意したい。
最初からできることが多いのでチュートリアル時には難しく感じてしまうが、習うより慣れろで、何度も戦っているうちに自然と体が覚えてくれるので問題はないはず。実際、一見すると非常に早いテンポでバトルが展開しているのだが、コツが分かると余裕を持って戦えるので安心して欲しい。筆者も、最初はこんな早い戦闘についていけるか不安はあったが、しっかりとユーザーフレンドリーに作られていたため、むしろ回を重ねるごとに楽しくなっていったほどだ。
無事王都に辿り着くと新たな住処がアトリエとなり、そこから各所へ出かけられるようになる。マップが広いため、最初のうちはダッシュを使っても移動が面倒だと思うが、しばらくするとタッチパッドボタンを押すことでワールドマップが表示され、そこから移動先を選べるようになる。これが非常に快適で、どれほど遠くても移動出来るだけでなく、どんなところからでも一瞬にしてアトリエに帰宅出来るので、便利なことこの上ない。特に、旅先で採取しすぎてカゴが一杯になってしまった時や、探索中にパーティメンバーのHPが少なくなってピンチの時などは、そのありがたさが身に染みてわかるだろう。一度、この楽さを知ってしまうと、そうじゃないRPGが苦痛に思えてしまいそうだ(笑)。
調合だけでなく、採取方法にもやり込み要素が追加に
「アトリエ」シリーズと言えば、錬金術で使用する素材を集めるための採取が欠かせない。これまでも、さまざまな工夫がなされてきた部分だが、本作ではより進化したシステムとなった。光っているオブジェクトの近くで○ボタンを押すか、□ボタンでスイングを当てれば素材を回収することが可能だが、ライザのスキルや採取道具の効果や採取ランクによって、同じ対象から異なる素材が採取出来る。これにより、同じ場所でもゲームが進行すると違う素材が採れるようになるため、“あの場所は序盤に必要な素材しか見つからないから用済み”という事がおきないのだ。
また、□ボタンを長押しするチャージスイングを使っての採取や、特定の採取道具を用いなければ採れないオブジェクトなど、バリエーションも非常に豊かになっている。正直なところ、フィールドで敵から逃げて採取だけを行なっていても楽しかったほど(笑)。敵は常に見えているので、触れさえしなければ戦闘になることもないため、ひたすら避けて行けるところまでいってしまう、ということもできる。
フィールドだが、跳んだり跳ねたりはもちろんのこと、水中を泳いだり潜ったり、岩場のツタを登ったり、崖っぷちをすり足で移動するなど、驚くほどにアクションが増えた。四つん這いで人1人がやっと通れるほどの穴をくぐるなどのアクションは前作から引き継がれており、多種多様な行動を取ることが可能だ。一部アクションはアングルも変更できるので、いろんな角度から楽しめる(!?)だろう。エメラルドバンドという冒険具を手に入れればターザンのように飛んで移動出来る場所があったり、釣り竿を調合することで釣りが楽しめるポイントも用意されているなど、遊びきれないほどたくさんの要素が詰まっている。
素材が調達出来たところで、いよいよ本シリーズのメインとも言える調合を開始。今作での調合方法は、創りたいアイテムごとに表示される“マテリアル環”に、手持ちの材料を投入していくというもの。マテリアル環には丸形と六角形型などさまざまな形があり、最低でも最初からオープンされている丸形のベースマテリアル環に材料を投入しないと、調合を始めることはできない。簡単に言えば、最初から選択出来るマテリアル環に手持ちの材料をドボドボと突っ込めば良いだけなので、ある意味とてもシンプル。創られる個数はアイテムにより最初から決まっているが、材料に余裕があるならたくさん用意しておくに越したことはない。
周囲にある、鍵がかかったマテリアル環は、それぞれに書かれている条件を満たすことでロックが解除され、材料を入れられるようになる。ただし、投入できる回数はレシピごとに指定されているので、制限内で何をどのマテリアル環に入れるのか?を考えなければならない。ある程度慣れてくると、ここで頭を悩ませるのが非常に面白くなるのだ。Aという材料をXのマテリアル環に投入するか、それとも材料BをYに突っ込むか……その違いで、完成するアイテムは同じでも、内包する特徴や品質などが変わってくる。まさに、十人十色の調合が可能に!なお、調合初心者やいちいち材料を投入するのが面倒になった時は、R1を押すことで現れる“おまかせ材料投入”を使うのが楽。
新しいアイテムを創りたい場合は、基本的には錬金術スキルツリーでSP(スキルポイント)を消費してスキルツリーを成長させ、新たなレシピを解放する必要がある。SPがあり、かつラインが繋がっている場所ならば、○ボタンを長押しするだけ。新レシピだけでなく、投入回数を増やしたり採取品質がアップするなどのスキルも習得可能だ。
このあたりまでは、チュートリアルのオンパレードとなる。早い段階で“あれもこれも”と畳みかけるように教えられるので、もう少しゆっくりでも……と思ったのだが、プレイしていたらアッという間に飲み込んでしまったので、まったく問題が無かった。忘れたとしても、ヘルプからいつでも参照出来るのは嬉しい配慮だ。ただ、そのヘルプでは説明がかなり簡易なものになっていたので、できればチュートリアルをそのまま再生してほしかった。
プレイスタイルの自由度は高く、冒険三昧や調合三昧といった遊び方もOK!
序盤を突破するとプレーヤーがやれることが格段に増えるため、いくつもの選択肢ができる。そこで、ストーリーそっちのけで採取や調合に勤しむスタイルを取ってみた。ライザは24時間365日営業が可能と、ブラック企業もビックリの働き者(笑)。それを活かして、素材を採取してきては調合し、SPを溜めてスキルツリーを解放し、さらに調合を繰り返していたのだが、飽きずに延々と遊べてしまう。素材の採取も、採取道具が増えれば、同じ対象から違う素材が採れるので、場所を変え道具を変え1時間近くアトリエと採取地の往復を繰り返していた。
また、王都などで発生するクエストを受注し達成するという脇道も大量に用意されているため、あまりの楽しさにストーリーを放置してしまうこともしばしば。そのクエストも、ちょっとした話が盛り込んであったりするので、そちらの展開も気になってしまうという、まさにハマりどころしかない状態に。
逆に、ストーリーをガンガン進める遊び方もある。地道に敵を倒しつつ遺跡の探索を行なっていくことで、新たな素材なども次々と見つかっていく。それらを貯め込みつつパーティを鍛えていくことで、より先のシナリオが見たくなるような展開が待っているのだ。
なお、ストーリーの節目となるタイミングでは強敵が登場するので、そこに至るまでにしっかりとパーティを鍛えておく必要があるほか、フィールドマップ上に特別なアイコンで表示されている敵は、とんでもなく強い。軽い気持ちで挑むと、簡単に全滅させられてしまうので要注意。
ちなみに、パーティが全滅すると採取したアイテムのうち一部が消えて、強制的にアトリエから再スタートとなる。どこででも採れる素材なら問題ないが、レア素材をゲットした後に全滅して消滅ということもありうる。シャレにならないので、こまめなセーブを忘れずに。筆者は、夢中でプレイしていてセーブを忘れていたために、採取しまくった遺跡の奥でボスに倒されてしまい、大事な素材を失った経験アリ……。
完成度の高さと、持って行かれた時間に驚かされた数日間
正直なところ、原稿を書くのを放置してでも遊びたかったほど、久しぶりに夢中になれた1本だった。よくあるソーシャルゲームのような「デイリーのために周回プレイしなきゃ……」といった“やらされている感”がまったくなく、むしろ「ずっと素材を集めて調合していたい!」や「早くストーリーを先に進めたい!」といった“やりたい感”が非常に強かった。一度始めたら、時間を忘れて没頭してしまうことは保証したい。
昔からプレイしているユーザーにお馴染みの、うにやアイヒェ、レヘルン、フラムといったアイテムが残っていたり、たるや妖精さんモチーフの小物などが登場するのも嬉しいトピックだろう。PS5版のパッケージソフトが発売中止になってしまったのは残念だが、PS4版を購入すればPS5でプレイすることもできるし、Nintendo Switch版でプレイするのもアリだ。待てる人ならSteam版でもいいかもしれないが、個人的にはネタバレが流れてこないうちにプレイ開始することを強烈にプッシュしておきたい。
何かとバズっている「ライザ」を初めてプレイしてみようかと思っている人はもちろん、しばらくシリーズから離れていたユーザーや、前作をプレイ済みで発売を待っていたプレーヤーなど、誰にでも推せる作品だ。このご時世、年末年始は帰省や旅行に出かけず自宅に引きこもりゲーム三昧という人も多いかもしれないが、その時間をすべてつぎ込んでも、本作のすべてを堪能することはできないかもしれないほどのボリュームなので、腰を据えてじっくり遊んでほしい。
※PS5版はダウンロード版のみ発売
※PS4パッケージ版から、PS5版へアップグレードをする場合、PS5本体(ディスクドライブ搭載モデル)が必要となります。
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