【特別企画】
「スーパーダライアス」PCエンジン版が35周年! アーケード版さながらの迫力を家庭用に持ち込んだ、名作シューティングをプレイバック
2025年3月16日 00:00
- 【スーパーダライアス】
- 1990年3月16日 発売
NECアベニューが発売したPCエンジン用ソフト「スーパーダライアス」が、本日2025年3月16日で発売35周年を迎えた。
本作は、1987年に発売されゲームセンターで大人気を博した、同名のアーケード用横スクロールシューティングゲームを移植したもの。家庭用ゲーム機では初となるCD-ROMドライブ「CD-ROM2(ロムロム)」の対応ソフトとして発売されたことでも、本作は注目を集めていた。
以下、筆者が友人たちとプレイしていた当時の体験を元に、本作の面白さを改めて振り返ってみた。
CD-ROM2の高性能と迫力に衝撃
筆者が本作の存在を最初に知ったのは、確かゲーム雑誌「Beep」に掲載された紹介記事だったと記憶している。筆者は元々アーケード版が大好きで、記事中の写真を見たらアーケード版とそっくりそのままのカッコよさだったので、すぐに「機会があれば遊んでみたいな……」と興味を持った。
しかし、当時の筆者はCD-ROM2どころか、PCエンジンの本体すらお金がなくて買えなかった。友人の何人かはPCエンジン本体を持っていたが、CD-ROM2も持っていた友人は誰もいなかった。当初、CD-ROM2は本体とは別売りで、しかも値段が非常に高い(※CD-ROM2と、本体に接続するためのインターフェースユニットを合わせた価格は59,800円)せいもあったからだろう。
その後、確か1991年になってからだと思うが、友人経由でCD-ROM2と「スーパーダライアス」を持つ同級生がいるとの情報が入った。早速、その同級生に「ぜひ、遊ばせてほしい!」とお願いしたところ、自宅が筆者宅から数十キロ離れているにもかかわらず、PCエンジン一式をチャリンコに積み込み、わざわざ当家まで持って来てくれたのだ(感謝!)。
元祖アーケード版「ダライアス」と言えば、モニターを横に3台並べて、1つの巨大な画面としてプレイする専用筐体を使用し、多くのプレイヤーの度肝を抜いたことでも有名だ。PCエンジン版の記事を読んだときに、ビジュアルは確かにスゴいと思ったが、初めは「『ダライアス』は3画面あってこそのゲームだし、移植されても『そこそこ』の内容になっちゃうんだろうなあ……」と正直タカをくくっていた。
だが、いざCD-ROM2を起動したら良い意味で裏切られた。画面サイズこそアーケード版には及ばず、2人同時プレイは非対応となったが、ビジュアルだけでなくステージ構成や敵の配置、行動パターンまでもが、アーケード版をソックリそのまま再現されているではないか。
さらに衝撃だったのがサウンドで、BGMもSE(効果音)も、アーケード版とまったく変わらないクオリティで見事に再現していた。筆者は本作の曲が大好きで、生まれて初めて買ったゲームミュージックアルバムがまさに「ダライアス」だったこともあり、聞いていて涙が出るほど嬉しかった。また、筆者は体験する機会がなかったが、本作はドルビー5.1chサラウンドに対応しており、アーケード版の曲に合わせて動く振動板を搭載した筐体とは違った形で、迫力のあるサウンドが楽しめるようになっていたことも特筆すべきだろう。
あの「ダライアス」が自宅でも遊べるようになった感動と、生まれて初めて触ったCD-ROM2の優れた性能を同時に体験できたという意味でも、本作のインパクトは今なお強烈に残っている。
新登場の巨大戦艦たちに悪戦苦闘。「もうひとつの『スーパーダライアス』」との貴重な出会い
水棲生物をモチーフにした、数々の巨大戦艦(ボス)と戦えるのも「ダライアス」ならではの面白さだ。
アーケード版のボスは、ほぼ1画面をまるごと占拠してしまうほどの巨大サイズで描かれているが、PCエンジン版でもそれに近いサイズだったので、こちらの迫力にもビックリさせられた。1画面しかない家庭用テレビゆえ、ボスの攻撃に対して逃げ場が狭いこともあり、かえってアーケード版よりも威圧感が増し、なおかつ攻略が難しい印象すら受けた。また、自機を最後部(画面左端)まで下げると、機体が画面から半分消えてしまうのは正直かなり違和感があったが、「あの『ダライアス』が自分の部屋で遊べる!」との興奮が、それをはるかに上回っていた。
本作で、とりわけ筆者が驚き、感動したのが、アーケード版よりもボスの種類が多いことだった。
アーケード版は、最終面にあたる7面以外は、どのゾーンを選んでも出現するボスは同じだが、本作ではA~Zの全26ゾーンに出現するボスがそれぞれ異なり、すなわち26体ものボスが登場する。筆者は「Beep」や「マイコンBASICマガジン」など、当時の雑誌に掲載されていたアーケード版「ダライアス」の紹介記事で、「ビッグラジャーンヌ」や「ガードサベージ」など、製品版ではボツになったボスの写真を見たことを覚えていた。なので、本作でこれらのボスと初めて戦えたこともあり、プレイ中はワクワク感が止まらなかった。
本作オリジナルのボスの半分以上は、初見で倒していたように記憶しているが、中には何度プレイしてもなかなか倒せない強敵がいた。とりわけ、4面(Gゾーン)に出現する、レーザーと炸裂弾を放つ「マイホームダディ」と、Jゾーンの針状の弾をバラまく「スチールスピン」には、さんざん手を焼かされたことも、今なお鮮明に記憶している。
すでにアーケード版は何度も1コインクリアしていた筆者は、本作でエンディングをまだ見たことがないという友人に「じゃあ、俺がエンディングを見せてやるよ」と自信満々に宣言した。だが、初めて戦ったボスたちに行く手を阻まれ、結局どこのルートを通ってもクリアできず大恥をかいたのも忘れ難い思い出である……。
本作を持っていた友人のおかげで、筆者はさらなる貴重な体験をさせてもらったことも忘れられない。
実は、友人は本作とは別に、もうひとつの「スーパーダライアス」を持っていた。その正体とは、おそらく現在の中古市場ではほとんど出回っていないであろう「ダライアスα」である。こちらはメーカーのキャンペーン賞品として作られた非売品ソフトだったが、友人は幸運にもそれに当選していたのだ。
「ダライアスα」では、1面(Aゾーン)のボス「キングフォスル」から順に対ボス戦だけを戦う、当時の流行語にかけた、その名も「16体戦えますか?」モードが遊べた。もう随分昔のことなので詳細は忘れてしまったが、本モードではボス1体を倒すごとに自動でショット、ボム、アームの各パワーアップが2~3個ずつ、自機に装着されるシステムになっていたと記憶している。
こちらはCD-ROMではなく、従来のHuカードで作られていたため、サウンドはPCエンジン本体の音源を使用して流すので原曲とはかなり違っていたのが、私的には少々残念だった。とはいえ、当時CD-ROM2どころか本体すら持っていなかった筆者に対し、非売品も含めてハード・ソフト一式を快く貸し出し、幸運をおすそ分けしてくれた友人には本当に感謝している。
本作は、2020年コナミデジタルエンタテインメントが発売した復刻ハード「PCエンジン mini」に収録されている。本作にはコンティニュー機能は付いていないが、「PCエンジン mini」にはプレイ中にいつでもセーブ、ロードができる機能と、コントローラーには連射機能も搭載されているので、手軽に遊べるのが実に嬉しい。
かつて、エンディングまで進めず涙をのんだ人も、本作を未プレイの人もアーケード版しか知らない人も、本機で全26ゾーンを存分に楽しんでいただきたい。
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