「ASTRO A50+BASE STATION」&「ASTRO A40 TR+MixAmp」レビュー

ASTRO A50+BASE STATION

MixAmpで真価を発揮する納得の音圧。「爆音」を心地よくさせるイコライザーにも注目

ジャンル:
  • ゲーミングヘッドセット
発売元:
  • ロジクール
開発元:
  • ロジクール
プラットフォーム:
  • Windows PC
価格:
37,750円(税別)
(50+BASE STATION)
31,250円(税別)
(40 TR+MixAmp)
発売日:
2019年8月1日
(50+BASE STATION)
2019年6月27日
(40 TR+MixAmp)

 ロジクールのプレミアムゲーミングブランド「ASTRO Gaming」より、リニューアルされた「ASTRO A40 TR+MixAmp」、そして日本で新登場となるフラッグシップモデル「ASTRO A50+BASE STATION」が6月に日本でも発売されることが発表された。「ASTRO A40 TR+MixAmp」は6月27日発売、「ASTRO A50+BASE STATION」はいよいよ明日8月1日に発売となる。

 「A40」は、プロユースを意識したリニューアルモデルとしてマイクの音質を改善、MixAmpを横型の配置に見直し、ツマミ部にLEDを仕込むことで薄暗い会場における視認性を高めたうえで入力面が奥に向かう形となり、ストリーマーにも使いやすくなった。

 新たなハイエンドモデルとなる「A50」は、ヘッドセットの煩わしさの一因であるコードがない無線モデル。最大15時間のバッテリーを備え、BASE STATIONに搭載されたMixAmpの機能とともに、無線でありながら「A40」と遜色ないスペックを実現。

 ASTRO Gamingのヘッドセットは、LEDイルミネーションが使えるというチープな意味での“ゲーミング”ではなく、音でゲーム体験を一段引き上げてくれるゲーミングデバイスだ。MixAmpと専用のアプリ「ASTRO Command Center」で実現する「イイ」音圧は、当然、オーディオを聴いても心地よい。

 筆者が本製品群を体験してなにより感じたのは、「オーディオに力を入れること」の重要さ。これまで筆者はロジクールの「G633s」を使用していたが、とくに「A40」にはとてつもない感動を覚えた。本稿では、「A40」と「A50」の魅力を可能な限り余すところなく紹介していきたい。

ますます使い勝手が向上した納得のプロユース「A40」

 まずは「A40」から見ていこう。「A40」の大きな変更点はマイクとMixAmpのリニューアル。またサウンドシステムが「ASTRO Audio V2」へバージョンアップされている。

 前バージョンとの最大の変更点であるMixAmpのレイアウト変更は、ストリーミングや大会シーンでケーブルワークをシンプルにするという点で大きなメリットとなった。デイジーチェインや各種入力が前モデルと比して格段に取り回しやすくなり、ツマミの位置やオーディオモード、イコライザー、PC/PS4入力といった必要な情報をLEDで光らせることでわかりやすく表示できている。

 40mmの大型ドライバーはそのままでもクリアな高音、迫力ある低音を表現してくれる。これにMixAmpのイコライザー機能を乗せた瞬間、高低音をブーストし音圧を高める「ASTRO」、そのままの音を表現する「NATURAL BASS」、全体的な音をはっきりとさせる「BALANCED」、「ASTRO」よりエッジの効いた高音を表現する「TOURNAMENT」の4つのプリセットで違う音響を楽しめるようになるのだ。

 筆者はこれまでロジクールの「G633s」を愛用していて、専用アプリの「Logicool G HUB」でイコライザーを設定して好みの設定を模索してもいた。だが「A40」は素の音質も良ければMixAmpと専用のイコライザーを挟んだ状態では段違いの聴き味が耳に飛び込んでくる。なかでも「ASTRO」のプリセットが運んでくる音圧は強力で、たとえばFPSタイトルである「バトルフィールドV」だと、銃の発砲音のはじまりに来る「うなり」が聞こえるし、「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」では刀を打ち合わせた瞬間に鋼のしなる音すら聞こえるようだ。低音の圧力と高音のノビをブーストしているため、残響もよく聞こえる。

 また、イヤーカップのカバー(スピーカータグという)がパカッと外れる点もちょっとした魅力。「A50」もそうだが、イヤーパッドに加えて「A40」はこのカバーも「Mod Kit」として拡張パーツが販売される。独自ブランドのものや自身のキャラクターをあしらったものを作れるとしていて、今後パーソナリティを出すポイントになればいいと思う。

パーツをすべて外した状態。このようになる

ただのオプションじゃない「MixAmp」の魅力

 「A40」の魅力はMixAmpの存在によるところが大きい。もちろん「A40」単体でも十分に味のある音を楽しめるが、MixAmpを使わなければその真価を発揮できないと言っても過言ではない。

 MixAmpのレイアウトはとてもシンプルで、音量ツマミ、ゲーム/ボイスのバランス調整ツマミ、そしてDolby Audioとソース音源の選択ボタン、イコライザープリセットの選択ボタン。PCとPS4の出力選択は背面にある。

つまみの位置にLEDが設けられ、レベルが分かりやすくなった

 前モデルとの最大の変更点は、PC/PS4の選択がボタンではなくスライドスイッチになったこと。前モデルではボタンを長押しすることでPC/PS4モードを変更していたが、このモデルではワンタッチで変更できる。前モデルを使用した際に困惑した点だ。この変更はとてもありがたい。

MixAmp手前側。中央にヘッドフォン端子、左にはPCかPS4か、接続したときにインジケーターとなる
奥側のコネクタ類。PCかPS4かはスイッチで区別するようになった
前モデル「A40」のMixAmp。新型とは随分と変わった

 全体的にマットな質感、白色に輝くLED、そしてコンパクトで直角で構成されたデザイン。LEDは本体を繋ぐコードに配されたインラインミュートを有効化すると赤く変色する。ここまでスマートでわかりやすいデザインがあるだろうか。冒頭でも述べたが、見てよし、触ってよし、使ってよし。実際の大会シーンを見学することで得られた知見によるリニューアルによって前モデルから大きく進化したというが、なるほど素晴らしい。前モデルでは色々な場所が光って主張していたが、今回のモデルでは余計な情報を廃した結果とてもわかりやすいものになったと感じる。

ワイヤレスでさらに全方位で戦えるようになった「A50」。VRデバイスにも最適!

 無線であることが特徴の「A50」だが、はっきり言って「A40」と音質に遜色はない。「A40」が持つMixAmpの機能はBASE STATIONに集約されていて、装着した状態で本体右側に音量調整ホイール、イコライザープリセットの選択やDolby Audioの有効化、通信の有効化ボタンも存在する。「A40」との違いは無線であること、そしてイヤーカップのカバーが固定されていてマイクが左側固定であることくらいだ。

A50をBASE STATIONに載せた状態
A50を開いた状態

 BASE STATIONだが、デイジーチェインはできないが本体を有線で充電するポートがある。前面は一見何もないように見えるが、接続すると充電状態やPC/PS4モードの選択がLEDによってわかるようになる。「A40」がアナログめいた格好よさなら、「A50」はSFチックなスマートな格好よさと言えるかもしれない。

接続しているときはインジケーターが表示される

 無線ということもあって、ケーブルが腕やら身体にひっかからないのはうれしい。なによりゲームに集中できるし、イスを動かした時にケーブルを踏まないように気をつける必要もない。これはとくにVRデバイスを使っているときに感じた。「Oculus Quest」のようなスタンドアロン型デバイスでなら別だが、PCに接続するケーブルがあるデバイスで心配になる「遊んでいる際のケーブルのひっかかり」を1本分気にする必要がなくなるのだから。高い品質を実現しながら様々なゲームとデバイスに対応できるのは、無線たる「A50」の強みだ。

「ASTRO Command Center」との付き合い方

 専用アプリである「ASTRO Command Center」は、「A40」と「A50」のオーディオ体験をさらに高みへ引き上げてくれる。これはスピーカーのイコライザーはもちろん、マイクの調整やストリーミングの際の音量バランスも調整が可能となっている。

 イコライザーの設定は単純で、プリセットを選択した状態でブースト、またはカットしたい周波数をドラッグして調整するだけ。もっとこだわりたいユーザーには「詳細設定」があって、調整したい周波数を選んで細かく設定できる。ただ事前に警告されるとおり、設定の内容によっては望ましくない結果になることもある。

イコライザーを変更した箇所は赤くなる。ここで「デバイスに同期」を選べばMixAmpに記憶される

 マイクはノイズゲートとレベル、サイドトーンを調整可能。ただこのマイクのノイズゲートなのだが、「ストリーミング」以外がとても使いにくい。筆者が実際に通話で使用したところ、「ストリーミング」以外だと小さな声がカットされてしまったり、発音しはじめの子音が消えてしまったりと、はっきり発音しなければならないのがネックだった。「ストリーミング」であればそういった難点はとくに無く、快適に通話できた。

「ASTRO Command Center」は英語サイトからダウンロードしよう

 ひとつだけ言いたいことがあるとすれば、「ASTRO」のゲーミング体験を確実かつさらに高みへ引き上げてくれるアプリ「ASTRO Command Center」が日本語版ロジクールのサイトからダウンロードできないことだ。同アプリは英語版サイトからダウンロードできる状態で、「ASTRO」のゲームパッド「C40」用コンフィグアプリの下にある。これがちょっとわかりにくい。

 だが、アプリ自体は日本語に対応しているし、ひとたび使い始めると「ASTRO」だからこそ楽しめる高音質なデバイスのイコライザーを設定し、さらにこだわりある音響体験を可能にする。以下にダウンロードサイトへのリンクを記しておこう。

○「ASTRO Command Center」ダウンロードページ
 https://www.astrogaming.com/customer-service/firmware-and-software/software.html

有線の「A40」、無線の「A50」。どちらも優秀かつ魅力的

 筆者の耳には、「A40」も「A50」も両方とも甘美で秀逸な音色を届けてくれた。そのクオリティは甲乙付けがたいどころか、どちらも1位タイだといいたい。プロユースでガッチリとクールに固めたいならば「A40」をオススメしたいし、無線で快適なゲームを楽しみたいならば「A50」だ。肝心の付け心地に関しても、どちらも遜色なく使える。フカフカのパッドは遮音性も高く、実際に6時間ほど使っても全く疲れなかった。

 筆者の個人的な視点でいえば、MixAmpの格好良さと有線の信頼性、なによりスピーカータグを付け替えられるというカスタム性で「A40」を選ぶだろう。だが、どちらを選んでもドキドキする迫力と魅力にまみれたオーディオ体験が可能なのは言うまでもない。これまで「音はとりあえず聴ければいいや」と思っていた筆者のようなユーザーにこそ、この「A40」と「A50」はオススメしたい。文字通り世界が違って見えるからだ。無線か有線か、その好みだけでチョイスしたとしても、後悔はないと思う製品だ。

【A40/A50】
左がA40、右がA50