2019年7月31日 10:00
「クラッシュ・バンディクー」が好きだ。筆者が小学生だったころ、テーマパーク「ユニバーサルスタジオジャパン」に「クラッシュ・バンディクー」の着ぐるみがいたことがある。それを知った筆者は、親に頼み込んでわざわざ広島から連れて行ってもらった。「クラッシュ・バンディクー」のぬいぐるみを持って、「クラッシュ・バンディクー」の着ぐるみと写真を撮るために。
本作は「クラッシュ・バンディクー」のキャラクターが登場し、ゲームの世界観を活かしたレースゲームだ。1999年にプレイステーションで発売された「クラッシュ・バンディクー レーシング」に多数の新要素を追加したリメイク作品となっている。キャラクターもコースもストーリーも当時のままで、懐かしさを感じた。
だが、懐かしさを感じる一方で、本作のゲーム性に新鮮味も感じられた。コース上に落ちたアイテムを使って敵を妨害しながら1位を目指すというオーソドックスなレースゲームでありながら、いつでもどこでもドリフトし、常に加速しながら走れるスピード感と達成感は、第1作目となる「クラッシュ・バンディクー レーシング」の発売から約20年経った今でも、新鮮味を感じさせるほどに新しいゲーム体験をもたらしてくれた。
どこでもドリフト、いつでもターボ!
本作の最大の特徴は、ドリフト中に加速できるシステム「ターボブースト」にある。ドリフト中に加速できるシステムは、同じレースゲームである「チームソニックレーシング」や他社のレースゲームなどにも採用されているが、本作のそれは他作品と比べると訳が違う。コースにもよるが、「ターボブースト」を使用するとしないとでは、1周近く離れるほどタイムに差がでるからだ。それほどタイムに差が出るのには2つの理由がある。
1つ目は、1回のドリフトで3回まで加速できるという点。1回目の加速を「ターボ」、2回目を「ターバー」、そして3回目を「ターベスト」といい、2回目、3回目と加速速度が上がるだけでなく、加速時間まで伸びる。また、「ターボブースト」には「1回のドリフトで3回まで」というルール以外に使用制限はないので、ドリフトし直すたびに何度だって使用可能。「ターボブースト」を途切れさせずに連続して使えれば、常に加速したまま走れる。
2つ目は、まっすぐの道でもドリフトできるという点。本作のドリフトは、まっすぐの道でもドリフトしながら進めるほどに曲がる角度を調整できる。極端に細い道でなければ、どこでもドリフト状態で走ることが可能だ。
上記2点の理由から、本作のレース中は常にドリフトし「ターボブースト」を途切れさせないよう走るのがセオリーとなる。「ターボブースト」自体は簡単なテクニックだが、加速状態の中で壁にぶつからないよう走るには練習が必要になる。また、本作には「ターボブースト」以外にも、早く走るためのテクニックがいくつかある。その全てを使いこなし、完璧にゴールまで走りきれるとかなり気持ちがいい。「ターボブースト」を繋げられたときのカタルシスと、常に加速状態で走れるスピード感は本作ならではの魅力だ。
やりこみ要素満載! 1つのコースで4つもの遊び方が可能
本作は対戦型のレースゲームだが、1人用のやりこみ要素も存分に用意されている。CPU、もしくはフレンドとの対戦を楽しめる「とにかくレース」に、純粋にベストタイムを目指す「ひたすらトライアル」、コース上に散りばめられたタイムストップ箱を壊して定められたクリアタイムを目指す「タイムアタック」、コースにある「C」・「T」・「R」の3文字を集めながらレースの勝利を目指す「チャレンジCTRメダル」といった複数のモードがあり、同じコースでもそれぞれのモードに合わせた走り方を求められる。
さらに、コースが左右反転する「ミラーモード」も本作から追加。本作には30以上のコースが用意されているので、上記4つのモードと「ミラーモード」を合わせると、遊び方はかなりの数になる。
シリーズおなじみのキャラクターが登場!キャラクターには性能差も
本作では、「クラッシュ・バンディクー」シリーズでおなじみのキャラクターが多数登場する。主人公のクラッシュ・バンディクーや、その妹となるココ、因縁のライバル(?)であるコルテックスはもちろんのこと、ボスとして登場するリパー・ルーやコモド・ジョーなどのキャラクターも、ストーリーを進めることでプレイアブルキャラクターとしてアンロックできる。
さらに、アクアクとウカウカは、無敵になれるアイテムとして登場するほか、「クラッシュ・バンディクー レーシング」では使用できなかったエヌ・オキサイドもついにプレイアブル化された。「クラッシュ・バンディクー」好きにとってのオールスターっぷりだ。
また、それぞれのキャラクターは4つのタイプに分かれており、性能差が設けられている。全ての性能が平均値の「バランスタイプ」、小回りがききやすい「ハンドルタイプ」、最高速度に達するのが早い「かそくタイプ」、最高速度が高い「スピードタイプ」の4つ。色々なタイプのキャラクターを使うことで、また違ったプレイ体験がもたらされる。
多くの新要素が追加!第1作目から正当進化
本作は「クラッシュ・バンディクー レーシング」をもとに、多くの新要素が追加されている。「クラッシュ・バンディクー レーシング」仕様に作り直した「クラッシュ・バンディクー 爆走!ニトロカート」のコースが追加されていたり、キャラクターの見た目を変えるスキンやカートの見た目を変えるカスタマイズ要素の追加、「おはなしモード」の難易度追加など、「クラッシュ・バンディクー レーシング」の正当進化作品だと感じた。
筆者は「クラッシュ・バンディクー レーシング」をプレイしたことがあるが、グラフィックスのクオリティーが上がったことも相まって、新鮮な気持ちでプレイできた。さらに、ゲームのBGMを当時のものに変える機能もある。「クラッシュ・バンディクー レーシング」をプレイしていた人にはうれしい機能だ。
さいごに
本作は、「クラッシュ・バンディクー レーシング」シリーズの集大成といえる出来栄えだ。「クラッシュ・バンディクー レーシング」をプレイしたことがある人はもちろん、そうでない人にもオススメできる1本となっている。今回は発売前のプレイということもあってオンライン対戦は叶わなかったが、全国の「クラッシュ・バンディクー」ファンと対戦できるかと思うと今から楽しみだ。
©2019 Activision Publishing, Inc. ACTIVISION, CRASH, CRASH TEAM RACING and CRASH NITRO KART are trademarks of Activision Publishing, Inc.