2019年7月4日 00:00
オープンワールド恐竜サバイバルアクション「ARK: Survival Evolved」のスピンオフである本作「PixARK(ピックスアーク)」は、恐竜が闊歩する本家「ARK」の世界をブロックで表現し、愛らしい見た目になった恐竜たちとのサバイバル生活を存分に味わえる一作だ。
本作は恐竜との戦いに勤しむもよし、拠点づくりや恐竜集めを楽しむもよしと、自由自在な遊び方ができるオープンワールドアクションだ。Steamや海外コンソール向けに先行発売されていたが、このたびスパイク・チュンソフトから日本版がPS4とNintendo Switch向けに発売された。大規模なマルチプレイが可能だが、今回は発売前のため、シングルプレイでのレポートとなる。
親しみのあるピクセル調の世界は、老若男女を問わず、子どもから大人までの幅広い年代のプレーヤーに訴求できる魅力を持つ。今回は、そんな本作の魅力をプレイレポートの形でお伝えしたい。
キャラクリなどの設定を経て、大地に立つ!
はじめに、スタート画面から「ゲームを作成」を選択すると「ゲーム設定」の画面に移る。ここではプレーヤーの攻撃力や、体力の回復速度などを自由に設定できるので、例えば「サクサク進めたい場合は攻撃力を上げる」、「難易度が物足りない場合は恐竜からのダメージを増やす」など、各自の好みに合わせた調整が可能だ。
次に、画面下のモードを選択。今回は発売前でマルチプレイが制限されるため、「シングルプレイ」でのレポートとなる。モードの選択後は、自分の分身となるキャラクターを作成する。性別や名前だけでなく、スタート時の衣装や髪型なども設定できるが、「キャラクタークリエイションで悩みすぎてしまう」という方は、右下にあるボタンでランダム生成するのもありだ。キャラクリが済んだら、「サバイバーを新しく作成!」を選択してゲームを開始しよう。その前に、画面の右側で降下地点も選べるが、後からいくらでもやり直しはきくので、今はそこまで深く考えなくても問題はない。
原始的な採取生活からのスタート
スタート地点に降り立ったら、いよいよサバイバル生活の開始だ。画面の左側にはチュートリアルや「クラフト」(モノづくり)解禁の情報が表示され、レベルが上がった時も画面の上側に知らせが入る。最初は情報が多すぎて混乱するかもしれないが、できることが増えるにつれ楽しさのほうが勝ってくるので大丈夫だ!
冷静に周りを見渡せば、そこは草が生え茂った緑豊かな土地だと気づくだろう。地面に生えている草からは「わら」、背の低い草木からは「せんい」や「ベリー」類が採取でき、また背の高い樹木からは「木材」を入手できる。いずれも今後のサバイバル生活に欠かせない素材なので、歩き回ってガンガン集めよう。
そうこうするうちに、恐竜以外にもウサギやターキーといった動物たちも集まってくるはずだ。これらの生物は一部の例外を除き、「テイム」する(手懐ける)ことで仲間にできる。テイムの方法は簡単で、近づいて表示されたアイテム(ベリー類など)を渡すだけ。序盤はこれでどんどん仲間にできるので、気になった恐竜や動物がいたら勇気を出して近づいてみよう。仲間になった彼らは、デフォルトでプレーヤーに追従し、戦闘でも加勢してくれるので心強いぞ。
クラフトで効率+生活力を向上
ある程度の素材が集まってきたら、次は「クラフト」に挑戦だ。手で木を殴っても木材は入手できるが、時間がかかるので非常に効率が悪く、たぶん手も痛い。木材があれば「木のオノ」は簡単に作成できるうえ、他にも武器である「木の棒」や、ブロックを削りとる「木のピッケル」などが作れる。アイテムは作って損はないので、クラフトできるものからどんどん作っていこう。
この頃には経験値も溜まって、レベルもそこそこ上がっているだろう。レベルが上がれば「エングラム」(工作図鑑のようなもの)に載っている道具の作成が解禁される。例えば、木のオノより1ランク上の「石のオノ」はレベル10から作成できる。当該レベルに達したら、レベル上昇時に入手できるポイントを消費して作成を解禁しよう。石のオノを使えば一度に入手できる木材の数が増えるので、より効率的に素材を集めることができる。はじめは原始的な道具しか作れないが、やがては金属製品や機械、魔法の道具まで作れるようになる。千里の道も一歩からだ。
各種ステータスも、レベルが上がった際に入手できるポイントで強化できる。様々な項目の中でも、筆者のオススメは「体力」と「重量」だ。体力が増えれば恐竜たちの攻撃に耐えやすくなり、重量が増えれば持ち歩ける荷物が増える。素材や道具などのアイテムは増える一方なので、いつの間にか重量制限に達することもしばしば。そうなると動きが極端に遅くなり、ジャンプもできなくなるので、迷ったら「重量」を増やしてみよう。荷物はクラフトで「収納ボックス」などを作れば保管できるが、持ち歩ける量は多いに越したことはない。
狩猟でおいしい食料+素材をゲット
素材の採取やクラフトに慣れてきたら、次は狩猟もやってみよう。悲しいかな、人間は雑食動物なのでベリー類だけでは満足できない。目の前においしそうな恐竜や動物がいたら、肉が食べたい!と思うのは自然な感情だ。本能だけの問題ではなく、切実な問題として動物からしか入手できない素材もある。それが「革」だ。後から入手する方法があるかもしれないが、少なくとも序盤は島の生物を狩るしか方法はないので、心を鬼にしてカワイイ生物たちに忍び寄ろう。
どうしても動物に手が出せないプレーヤーにも救済措置がある。それが「モンスター」だ。序盤に登場するスライムは革を落とすうえ、モンスター自体がテイムできない生物であり、襲ってくるものが多い。素材集めのために、遠慮なくフルボッコにしてやろう。序盤は木の棒で殴るのがお手軽だが、クラフトで弓を作成すれば遠距離攻撃も可能だ。
サバイバル拠点の構築
初日は素材の採取やクラフト、狩猟などに励むうちに、辺り一面が真っ暗闇に。星空の明かりなどはあるものの、自分が文明のない島にいることを痛感した瞬間だ。序盤は火を起こすことくらいしか明かりをつける手段がないので、「たいまつ」や「たき火」をクラフトして夜に備えよう。大自然の中、野宿も悪くはないが、素材もそろってきたので、次はいよいよ拠点づくりに取り掛かる段階だ。
まずは開けた場所を確保するため、高台を崩しにかかる。ブロックを削れば石などの素材も入手できるので、一石二鳥だ。平らになったところで、拠点づくり開始。レベル的には石の家を作ることも可能だったが、素材の入手のしやすさから、小手調べに「わら」と「せんい」だけでできる「わらの家」を作ることにした。しかし、これが思いのほか大変だったのである。
わらの土台を並べ、その上に「わらの壁」を積んでいくも、あっという間に資材が尽きること風のごとし! その後も、「わら」や「せんい」集めに走り回っては資材を作り、また走り回ってと、終わりが見えない日々。白状すると、完全に家づくりを舐めていた。
ただ、それでも何とかなるのがゲームのいいところ。素人が何の計算もせず、行き当たりばったりに作っても、それらしいものが出来あがる。「わらの家」なので防衛力は心許ないが、ゼロから1人で(草食恐竜の接近に怯えながら)家を作るという体験は、なかなかに刺激的で達成感に満ち溢れたものだった。ああ素晴らしき哉、マイホーム。完成度は大した問題ではない。この充足感は何物にも代えがたいのだ。
いざ、冒険の旅へ
拠点もといマイホームも作り終え、周りの草原の風景にも慣れてきた頃。うすうす気づいてはいたが、どの降下地点を選んでも最初は一番安全なエリアに下りるらしい。草原を囲む高い山を越えると、そこには「砂漠」や「氷の大地」、「闇の森」といった危険なエリアが広がっていた。最初に足を踏み入れた「闇の森」はBGMも暗く、犬も歩けばモンスターに当たる状態。木の棒なんぞじゃ何の役にも立たず、すごすごと引き返すことに。その後も砂漠などのエリアに挑んでみたものの、レベルを上げて装備を充実させないと、まるで歯が立たないと痛感した。
本作のマップはランダム生成であり、ゲーム開始時には6つの降下地点から1つを選ぶことになるので、回ってみたいエリアが集中している地点を選ぶのも一興だろう。ただ、デフォルトではかなり歯応えのある作りになっていると感じたので、必要に応じて「ゲーム設定」を調整することもオススメしておきたい。
未体験の農耕+金属加工や、マルチプレイにも期待!
今回のプレイでは原始的な採取・狩猟生活に留まったが、エングラムのアイテムリストを見る限り、恐竜たちのフンから肥料を作る装置や石油パイプなんてものまである。ゆくゆくは農耕生活を送り、金属加工を経て産業革命まで起こせそうな雰囲気だ。一方で、本家「ARK」にはないモンスターの存在や、魔法の道具といったファンタジー要素もあり、間口の広い世界観は万人に受け入れられると感じた。
また、1人で心ゆくまでサバイバル生活を送るのも面白かったが、渾身の力作であるマイホームを誰かに見てもらいたいと感じたのも事実だ。製品版で可能となるマルチプレイでは、気心の知れた友人だけでなく、まだ見ぬ世界のサバイバーたちとの邂逅も楽しみでならない。
本家「ARK」の魅力を最大限に引き継ぎながらも、幅広い年代層にアプローチできる可能性を秘めた本作。恐竜好きならずとも、ピクセル調の世界で自由自在な遊びを体験してみたい方には、ぜひ手に取っておきたい一作だ。
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