「METAL GEAR SURVIVE」レビュー

METAL GEAR SURVIVE

クリーチャーが跋扈する極限状態でのサバイバル。ネズミとニンジンで生き残れ

ジャンル:
  • サバイバルアクション
開発元:
  • KONAMI
価格:
4,980円(税別、通常版)、6,980円(税別、PS4デジタル・デラックス版)
発売日:
2018年2月21日

 ――”地獄(ディーテ)”へようこそ。復讐のために地獄へ堕ちた「METAL GEAR SOLID V:THE PHANTOM PAIN」だが、今作「METAL GEAR SURVIVE」ではマザーベースを守るために戦った兵士が地獄に落とされる。それだけではない。「潜入」が主体であった「メタルギア」シリーズのアクション性に加え、さらに基地の「防衛」、飢えと渇きをしのぐ「生存」が加わったのだ。

 本作の舞台である「ディーテ世界」、そこは飢えと渇きとクリーチャーが支配する、まさに「地獄」。敵と戦うだけならともかく、本作は「生き残る」ことが非常にシビアだ。本稿では地獄に体当たりでぶつかり、どうすれば戦えるか、どうすれば生き続けられるか学んだことを記していく。

武器だけでなく、食料も現地調達の異次元生活

 ”武器や装備は現地調達……食料もだ”とは「METAL GEAR SOLID 3」でゼロ少佐が口にした言葉だ。ディーテ世界においても、戦い抜くために必要な物資はすべて現地調達。ワームホールを介して次元を超え漂着した物資を糧に、武器をクラフトし、広大なフィールドの各地に存在する食料を求めて探索する。

 プレーヤーのライフは空腹度、スタミナは渇きに最大値が比例しており、これらのステータスを可能な限り満たすことでディーテ世界を安心して探索できるようになる。スタミナはしゃがんだり匍匐での行動、スプリントを行なうことで消費され、ライフは攻撃を受けると減少する。それぞれのステータスは時間経過で回復するが、ライフはスプリントを行なうと一時的に回復がストップする。

空腹度が減少しすぎると視界がぼやけだす

 序盤はこのステータスの維持に苦心する。食料はヤギやオオカミなどの動物を狩猟したり、食料になる植物を採集することで獲得できる。しかしそれら食料源の再発生にはかなりの時間を要し、狩猟と採集のみで生き残ることは非常に難しい。

 そこで活用されるのが、拠点である「ベースキャンプ」周辺に生えている「ブラックキャロット」と廃墟に生息している「アレチネズミ」だ(タイトルはここからきている)。「ブラックキャロット」は250、「アレチネズミ」は調理することで最大300の空腹度を回復できるため、最序盤の食うに困った瞬間を乗り切る手段となる。なぁに、ボスが食べるんだ。俺たちだって食べられるさ。――こういう「生き物すべて食料」なシーンを見ていると、何となく「MGS3」を思い起こさせる。

 なお、水や食料は生のままで摂取すると感染症のリスクがある。ストーリーを進めるとベースキャンプに「トライポッド付きキャンプファイヤー」を建設できるようになるが、それまでは生水と感染症による嘔吐による行動不能リスクが親友になる。狩猟した肉の調理は最序盤からできるため、できる限り調理して食事を摂ろう。

いつでもどこでもステータス減少!タンマなんて存在しないぜ

 ディーテ世界を探索していると、当然飢えと渇きに襲われる。――これはベースキャンプでのクラフト中やメニューを開いている最中もそうだ。

 ここがちょっと辛いところ。SINGLEプレイ中はタッチパッド左側を押すことで時間を止められるものの、それ以外は基本的に常時同じ速度で時間が流れる。せめてクラフト中は時間を止めることなどはできなかったのだろうか……。時間を止められないにしろ、クラフト中やマップ閲覧中のステータス減少は難易度の高さを感じさせる。

豊かな生活には探索が必須

 ディーテ世界を探索し、ストーリーを進めることでベースキャンプに建設できる施設が増えていく。ストーリーを進めることで解放されるガジェットは重要なものばかりで、食料を自動生産してくれる「畑」や水を生産する「雨水タンク」などはディーテ世界での生活を豊かにしてくれる。この「畑」と「雨水タンク」、そして「トライポッド付きキャンプファイヤー」を解放することでやっと安心できる生活体制が整うため、それまでの探索は覚悟して耐え忍ぶほかない。

コンテナ捜索は探索のキモ。鍵開け技術を磨こう

 建設できるガジェットに加え、防御力に関する「装身具」や必需品である武器をクラフトするためのレシピを得られるのがディーテ世界の各地に点在する「コンテナ」。これを解錠することで、アイテムやレシピを獲得できる。

 コンテナは「EASY」、「NORMAL」、そして「HARD」の3つの難易度が存在する。鍵をピッキングしてから錆び付いたハンドルを回す。このハンドル回しがコンテナ開封の要となっており、開封中に表示される白い扇状の範囲を外れると大きな音が発生、周りのクリーチャーに位置がバレてしまう。難易度が上がるごとに扇状範囲は狭まるため、細心の注意を払って解錠すること。

「塵の海」を泳ぐ

 ベースキャンプ周辺は、「塵の海」と呼ばれる人体によろしくない粒子が充満した空間となっている。これを探索するには、「塵の海」の中での呼吸を可能にする「エアタンク」が必要だ。

 エアタンクさえあれば、酸素が続く限り「塵の海」を縦横無尽に駆け回れる。ただし内部ではスタミナの消費が多くなるため、無闇なスプリントは危険だ。スタミナが少なくなると動きが鈍り、なくなれば行動不能に陥る。スプリントはスティックを戻せば停止するが、これでは隙が生まれてしまう。姿勢変更ボタン(○ボタン)を素早く2回押してしゃがみ→立ち、と切り替えることで隙なくスプリントを終了できる。筆者は「MGSV」でこの操作に気づいたが、まさかここでも活用できるとは。

ポケットは空けていこう

 探索中、様々な資材を獲得することだろう。ただしこれらにはすべて重量が存在し、プレーヤーの所持限界を超えるとスプリントが行なえなくなるなどのデメリットが発生する。クリーチャーの群れに気づかれたとき、とっさに逃げるという選択ができなくなってしまうため、資材集めをするために持ち物を減らすか、安全に探索するため十分に準備をするかはその時に応じて要相談といったところ。

もし「塵の海」で倒れてしまったら

ダンボールの場所はマップに表示される

 ――そうは言っても、死ぬ。とくに筆者は猪突猛進タイプのゲーム下手の横好きマンなので、頻繁に力尽きる。

 しかし本作のゲームオーバーはペナルティが比較的軽いのが良ポイント。それまでに集めた資材をその場に「ダンボール」として残してベースキャンプへ緊急帰還するか、セーブポイントを再読み込みするかを選択できる。ベースキャンプへの緊急帰還を選んだ場合、もし探索中にレシピなどを拾っていた場合はそのまま保持されてベースキャンプへ持ち帰れる。

 ただし、後述の「防衛」中に倒れた場合は例外。ベースキャンプへの帰還が選択できないため、無理な立ち回りをせず、生存を優先して戦おう。

闘いの基本は格闘だ!クリーチャー退治マニュアル

 ディーテ世界の探索、そこについてまわるのが「放浪するもの(ワンダラー)」をはじめとしたクリーチャーたちとの戦闘だ。

 「METAL GEAR SOLID」でサイボーグ忍者――フランク・イェーガーが発した言葉を覚えているだろうか。”闘いの基本は格闘だ”。そう、この世界では格闘こそ主戦法、銃器や銃弾なんてものは貴重なため使用したくてもできないのだ。クラフトに使用する素材もレアなものが多いし。

 そんなわけで、クリーチャーとの戦いは格闘がメイン。片手で振り回す「ワンハンドウェポン」、大振りで攻撃範囲と隙が大きい「ツーハンドウェポン」、槍のように突き刺す「スラストウェポン」、そして重量武器「ヘビーウェポン」があり、弓や銃火器が存在する。

ひと振りが速いワンハンドウェポン
振りが遅いが攻撃範囲が広く、強力なツーハンドウェポン
銃器は強力で、大ダメージを手軽に与えられる

 筆者が好みなのは「ワンハンドウェポン」。クリーチャーの攻撃の隙を突き、軽い動作で強力な一撃をたたき込める。「スラストウェポン」は金網のような「攻撃貫通」の特性をもったユニットを貫通して攻撃できるなど、便利な武器だ。「ツーハンドウェポン」、「ヘビーウェポン」については少々苦手で、相手との間合いに”置く”ようにして攻撃するのが重要な印象を受ける。

 銃火器は言わずもがな、強力な攻撃力をもってクリーチャーをひと息で殲滅できる最終兵器だ。コンテナから見つかる「AM MRS-4」などは高い攻撃力とそこそこの生産性を両立しており、銃弾のレシピもそう重くないため、追い詰められたときの必殺技のように扱える。

死んだふりも(敵の)戦法のうち

 クリーチャーたちは活動していると頭部に突き出した結晶が赤く輝くのだが、たまに”死んだふり”をして地面に突っ伏していることもある。これをうまく見破れればいいのだが、うっかり踏んだり近づいてしまうと攻撃を受ける。ときには掴みかかってくることもあり、掴まれると行動できなくなるうえにダメージも受けるため非常に危険だ。見慣れない死体らしきものはとりあえず攻撃してみよう。

敵を知り、ガジェットを知れば百戦危うからず

 格闘戦となれば、相手から攻撃を受けるのは必至。しかし「ガジェット」をうまく使いこなすことができればそれを回避できる。

 まずはユニットの召喚。あらかじめベースキャンプで「フェンス」や「バリケード」といった防衛ユニットを生産、装備しておくことでプレーヤーの周りにユニットを召喚できるようになる。「攻撃貫通」の特性をもったユニットならスラストウェポンや銃火器の攻撃を貫通させクリーチャーに当てられるほか、「スパイク」の特性があればユニットを攻撃したクリーチャーに反撃ダメージを与えられる。

 次に「投擲武器」。こちらに気づいていない敵をおびき寄せる「クバン結晶」や、草むらに投げれば燃え広がり、敵を焼き払える「火炎瓶」など、これも戦いを有利に進められるものが多い。投擲武器は放物線を描いて飛ぶため狙った場所に当てるのは少々苦労するが、うまく使いこなしてクリーチャーを手早く殲滅しよう。

クリーチャーがフェンスに気を取られている間に火炎瓶を投げつける

ステルスして弱点を突く、「メタルギア」らしさを感じる瞬間

 クリーチャーには頭部、背面に弱点が存在する。戦闘中にはこれを狙って攻撃することで、通常より高いダメージを与えられるのだ。

 また、クリーチャーに気づかれないように背後から接近すれば大抵の敵をワンアクションで仕留められる強力な攻撃「バックスタブ」を繰り出せる。ただしクリーチャーにも視覚と聴覚が存在するため、しゃがんだり匍匐で死角から近づくなどして静かに、しかし素早く近づく必要がある。「クバン結晶」を落として注意をそらすのも有効だ。

 こういったシーンでみられる、敵の誘導や視線をかわす瞬間に「メタルギア」らしさを感じる。実際視線をかわして逃げるのではなく倒す必要があるのだが、一瞬のミスが命取りとなるこのスリルは「メタルギア」でなければ味わえないだろう。

「クバンエナジー」を獲得せよ

 クリーチャーを倒すと、その死体に含まれる「クバンエナジー」を抽出できる。「クバンエナジー」はクラフトやステータスの成長、ベースキャンプの施設建設など様々な用途に必要となる。

 クリーチャーを倒す際、バックスタブで仕留めればワームホールを使用して回収できる。ワームホールを使用した回収では通常の1.5倍の「クバンエナジー」を回収できるため、積極的にステルスからの攻撃を使って敵を倒したい。

 また、「クバンエナジー」はフィールドの各地に「クバン結晶」として生えていることもある。これを攻撃して壊せば、ある程度の量の「クバンエナジー」を得られる。

レベルアップで生存性アップ。様々なアクションも追加

 ベースキャンプに存在する「スキルトレーナー」では、探索で得た「クバンエナジー」を消費して自身の強化(レベルアップ)が可能。レベルが1上昇するごとにスキルポイントを1得られ、このポイントを使用することでステータスを強化したり、新たなアクションを覚えられる。

 最初は基礎ステータスの上昇、アクションの追加などスキルポイントを使用できる箇所の多さに戸惑うが、筆者が早めに取っておくことをオススメしたいスキルは資源収集アクションが素早くなる「クイックハント」、次いで武器を構えながらステップ移動が可能になる「コンバットステップ」、そして移動速度や構え速度が上昇する「DEXアップ」だ。とくに「クイックハント」は獲得できる物資が多いコンテナや廃墟の探索、時間がかかりやすいクリーチャーからの資源収集といったアクションに必要な時間を格段に短縮してくれる。時間がかかればその分だけ空腹や渇きも進行するため、時間短縮は必須といえる。

防衛する、生きるために。

 ストーリーを進めると、エネルギーを採掘する「ワームホール採掘機」や移動ポイントとなる「ワームホール転送装置」を防衛するミッションが登場する。これが本作における「防衛」要素だ。

 「ワームホール転送装置」の防衛は、敵が侵攻してくるルートが限定されており戦いやすい。自分が防衛ユニットを置かずともすでに設置されている場合もあり、これをうまく利用すれば容易く防衛できる。設定された時間防衛に成功すると、ベースキャンプとつながる移動ポイントとして使用できるようになる。活動できる範囲が限定された「塵の海」での重要な中継地点のため、見つけたら積極的に開放していこう。

 「ワームホール採掘機」の防衛は、「転送装置」のそれと違い「WAVE」で分かれた敵の波が継続して押し寄せてくる。しかも侵攻ルートはWAVEごとに異なるうえ、時間も長い。ガジェットをできる限り多く持ち込み、ジリ貧にならないよう節約しつつ、それでいて採掘機を破壊されないように細心の注意をはらって戦う必要があるのだ。

 この防衛が序盤の難所だと感じた。得られる食料が少なく、ライフの最大値が低く抑えられるため一挙手一投足がリスクの塊、命取りとなる。ここで活きてくるのが先ほど述べた「コンバットステップ」や「DEXアップ」といったスキルの取得で、ステップ移動ができればクリーチャー攻撃をかわしやすいし、構え速度が速いと素早く攻撃に移れる。

 なおこれは少々外道な戦法かもしれないが、あえて採掘機や転送装置を囮に使うという戦い方もある。それぞれ一定量のダメージを受けると敵を一掃する衝撃波を放つため、極限まで追い詰められた場合に、ここぞという場面にのみ使える戦法となる。

なんとしても生き残れ!死んだら全てが水の泡

 先ほど述べたとおり、防衛中に力尽きるとセーブポイントから再開することになる。もし力尽きれば精神的ダメージも大きいため、できるだけ避けたい。筆者の場合ゲームの腕はポンコツなので、何度も力尽きる。そのたび悶絶しながらやり直す。死なない立ち回りを心がけ、なるべくダメージを受けずに切り抜けよう。

ベースキャンプの発展はディーテ世界の生命線

 探索から帰還すると、取得した資材がすべて自動的に倉庫へ収納される。収納されるのは資材のみで、武器や食料といったアイテム類は回収されない。

 探索で得た資材は積極的にクラフトによる装備の充実や、ベースキャンプの発展に回そう。ストーリーを進めたり探索先のコンテナから獲得した施設のレシピがあれば、自分だけのベースキャンプを作り上げられる。基地らしく堅牢なデザインにするか、畑や飼育施設を多く配置して牧歌的なベースキャンプを構築するか、それはプレーヤーの自由となる。

 ここで重要なのが、強力な武器、装身具などのクラフトには上位の施設が必要となること。これもストーリーをすすめることで上位の施設が開放されることがある。

クルーの生活維持はキャプテンの役目

 プレーヤーはディーテ世界を生き残るサバイバーでもあり、ベースキャンプの住人(クルー)たちを守る「キャプテン」でもある。

コモンリソースの状況はヴァージルが教えてくれる

 クルーたちも人間であるので、生きるために水や食料資源を必要とする。ただしプレーヤーとは異なり、通常の食料、水ではなく「コモンリソース」と呼ばれる資源となっていて、これらは専用の施設から産出するか「配給施設」を建設し、そこからプレーヤーが直接補給を行なうことでコモンリソースとなりクルーへ配られる。

 コモンリソースが枯渇してしまった場合、クルーたちは作業への意欲を失ったり感染症などの病気にかかったり、負傷することもある。クルーたちの士気を高めるためにも、コモンリソースはできるだけ枯渇させないように気をつけよう。

家族が増える!救難信号

新たなクルーを迎え入れる

 ベースキャンプと「塵の海」を行き来していると、時々クルーが「!」マークのフォルダのようなアイコンを出すことがある。このほかにもマップに自然発生することがあるのだが、これは動物を発見したとか、「クバン結晶」の強い反応がある、などの「サイドミッション」のサインだ。マップに示された場所に向かうことで、様々な報酬を獲得できる。

 このサイドミッションのなかでも最重要といえるものが「救難信号」。プレーヤーと同じように、ワームホールを介してディーテ世界に”漂着”した人間がいるのだ。これを追いかけ、指定された場所にいる漂流者を助け出すことで新たなクルーとして迎え入れられるのだ。地獄へようこそ。

 クルーたちはベースキャンプの中心にいる「ヴァージルAT-9」に話しかけることでその所属する「班」を設定できる。「拠点開発班」、「糧食班」などストーリーが進むにつれて開放されていく班にクルーを振り分ければ、ベースキャンプを豊かにするために手を貸してくれる。

 クルーが増えたベースキャンプは少しだけ寂しさが減る。クルーを見ているとサボっていたり、植物に話しかけたりと様々な行動をとるため、地獄における小さな癒し要素となるだろう。

装備を強化して安定感を獲得

 ベースキャンプに設置する作業台では、武器や装身具のクラフトのほかに「カスタマイズ」が可能。それぞれ強化すると攻撃力や防御力、耐久力が上昇する。とくに武器はクリーチャーを素早く片付けるのに重要なので強化は必須だ。

協力しあって一攫千金?大量の報酬が期待できるCO-OPプレイ

ステージングエリアに大きく映し出される仲間のプロフィール

 本作のもうひとつの舞台、CO-OPプレイの代表的なミッションである「サルベージミッション」。ここでは最大4人のプレーヤーが集まり、ワームホール採掘機を防衛するミッションにあたる。

 サルベージミッションでは、主目的のほかにサイドミッションとしてターゲットの回収などが設定される。これをこなしつつ、主目的を達成することで獲得したポイントを競う。獲得したポイントに応じて様々な資源を獲得できるのだ。

 もし採掘機が破壊されてしまった場合でも、それまでに獲得したポイントでクリアランクが付けられる。ここでまたランクに応じて様々な報酬を獲得できる。

「ステージングエリア」でやりたい放題

自由にガジェットを配置できる

 CO-OPプレイのミッション準備を行なう「ステージングエリア」は、飢えと渇きに襲われるディーテ世界とはうってかわって非常に過ごしやすい場所だ。ステータスの減少もなく、武器は振り回し放題、撃ち放題。ガジェットも使い放題、防衛ユニット建て放題、そしてクラフトは(素材を使用するが)自由にでき、クリーチャーを模した練習台も出現させられる。とても自由度が高いため、ミッションそっちのけで遊び続けられる。

 素材を消費せず好きなだけ防衛ユニットを建てられるため、ちょっと変わった遊びも可能だ。たとえば足場やフェンスを組み合わせてアスレチックを組んだり、皆で防衛陣を構築する手立てを考える作戦会議をしたり。仲間に攻撃が当たる「フレンドリーファイア」が存在するかは検証していないが、模擬戦のようなPvP形式の遊びも可能かもしれない。

クラフトや射撃、攻撃訓練も行なえる

ディーテ世界は殺伐、しかし悪い場所ではない

 約30時間ほどプレイしてみて、本作をレビューするに至った筆者。プレイ前の印象は複雑な心境で、正直なところあまり良いものではなかった。

 しかしいざプレイしてみたらどうだろう。確かに何度も倒れ、序盤はプレイしにくい点も多くもどかしさを感じる。ただ地獄のような世界を生き抜くサバイバルアクション、という点ではかなり手応えのあるゲームだ。ここまで「戦う」ことではなく「生き残る」ことが大事なアクションゲームは珍しく、念入りに探索することでゲームを拡張できるという点は確かな魅力だ。

 しかし、最序盤の難易度の高さはネック。レビュー前半で述べたように、やむを得ず生水を摂取し、ネズミの丸焼きとブラックキャロット、わずかなカラクルヒツジのグリルで生き延びる生活がある程度続く。ここのモチベーションをいかに維持していくかが本作最大の峠だ。

 本作の面白さ、魅力に気づきだすのはワームホール転送装置をいくつか解放し、安定的に食料と水を確保できる「畑」と「トライポッド付きキャンプファイヤー」を解放してからだと思われる。これらを解放すればステータスを最大に保つことも容易になり、探索に安心感が出てくる。

 ここまで読んで頂けた読者の方々に、本作はけして悪い作品ではなかったことを伝えておきたい。確かに本作は「メタルギア」シリーズ正史とは別のスピンオフ作品であるが、筆者は「METAL GEAR SOLID」以来のファンのひとりとして、本作デジタルデラックス版の購入特典である「サイボーグ忍者ヘッド」を付けてちょっと楽しんでいる。力尽きることはもどかしいが……しかし、ペナルティが軽いゆえの戦いやすさがハードルを下げているといえる。

 またネタバレを避けるため触れてこなかったが、ストーリーに登場するベースキャンプのAI「ヴァージルAT-9」との会話は見ていて可愛らしさを感じさせる。ちょっと不出来なところもあるが、それがまた無機質メカ萌えを加速させるポイントといえる。ストーリー鑑賞の際は、ぜひとも「ヴァージル」の言動をよく聞いてあげてほしい。