「ベヨネッタ」、「ベヨネッタ2」レビュー

ベヨネッタ / ベヨネッタ2

ロードもプレイも超快適で今1番快適に遊べる「ベヨネッタ」

ジャンル:
  • アクション
発売元:
  • 任天堂
開発元:
  • プラチナゲームズ
プラットフォーム:
  • Nintendo Switch
価格:
3,480円(税別)(「ベヨネッタ」ダウンロード版のみ)
 
5,980円(税別)(ベヨネッタ2)
 
9,980円(税別)
(「ベヨネッタ ∞CLIMAX EDITION」パッケージ版のみ)
発売日:
2018年2月17日
シリーズ2作がNintendo Switchで登場!(「ベヨネッタ」より)

 任天堂はNintendo Switch用クライマックス・アクション「ベヨネッタ」および「ベヨネッタ2を2月17日に発売した。価格は「ベヨネッタ」がダウンロード専売で3,480円、「ベヨネッタ2」が5,980円、1作目と2作目を同梱した「∞CLIMAX EDITION」が9,980円。開発はプラチナゲームズ。

 「ベヨネッタ」シリーズは、眼鏡をかけた妖艶な魔女「ベヨネッタ」が天使たちと戦うアクションゲーム。初代は2009年10月にXbox 360/PS3、Wii U版が2014年(Wii U版「ベヨネッタ2」に付属)、Steam版が2017年に発売。「ベヨネッタ2」は2014年9月にWii U版がリリースされている。

 Nintendo Switch版は、ロード時間が大幅に短縮されている。ディスクメディアではなくなった影響が大きいのかもしれないが、とにもかくにも幕間はノンストレス。これまで発売されていた各プラットフォーム版では、処理が重いと感じた場面でも安定したフレームレートを実現している。既にプレイしたことがあるコアなファンは、ロード時間とフレームレートだけでも改めて2本揃える価値があるのではないだろうか。

「ベヨネッタ2」は2人協力プレイモード「タッグ クライマックス」がオンラインに加えローカル通信にも対応。一風変わったところとしては、「ベヨネッタ」、「ベヨネッタ2」ともに携帯モードのタッチパネル操作に対応。シビアな難易度でのプレイには正直向かないかもしれないが、難易度を下げればアクションに不慣れな人でも楽しく遊べそうだ。

「ベヨネッタ」、「ベヨネッタ2」どちらもタッチ操作に対応
どちらもローディングが滅法早い。コンボを試す時間がほとんどないほど(ロード中にマイナスボタンを押せば練習を継続することも可能)

8年超の歳月を経て再確認する「ベヨネッタ」の姿

今でも十二分に美しいと感じられるグラフィック(「ベヨネッタ」より)

 初代Xbox 360/PS3版から8年超……今回の2作品は“移植”につき、一部をのぞきグラフィックスの解像度などはほぼオリジナル仕様のまま。とはいえ元々作りこまれた作品だったので、TVモード/携帯モードのどちらのモードも内部解像度720pで十二分に美しいと感じられる。個人的に「ベヨネッタ」シリーズはアクションとしての手触りが重要なので、このへんを下手に変更されてフレームレートなどに悪影響が出るよりは全然いい。

 両手両足に好きな武器を装備して暴れまくる「バレットアーツ」、敵の攻撃を紙一重でかわし時の流れを緩やかにする「ウィッチタイム」、拷問器具でお仕置きする「トーチャーアタック」、髪を触媒に魔界の住人を召喚する「ウィケッド ウィーブ」、ボス級の相手にトドメを刺す「大魔獣召喚」などに代表されるケレン味あふれるアクションは「最近こういうゲーム減ったよね」とアクション好きの渇きを癒してくれる。

 個人的に1番楽しいのは、なんといってもザコ戦。「えっ、普通はボス戦が1番楽しいんじゃないの?」といわれそうだが、本作のボス戦はイベント風に構成されたものが多く、それぞれとても楽しいのだが、オールドスクールな“立ち回り”を重視したアクションはザコ戦がもっとも旨味にあふれている。

 ボス戦は、ステージ演出などと同様にプレーヤーの度肝を抜くスケール感と大胆な演出が特徴。当時は世界的大ヒット作「God of War(2005年)」の影響から、多くのアクションゲームがイベント的なボス戦に傾倒しており、本シリーズはそれを独自の世界観のもとさらに発展させている。今や“悪しき風習”とされがちな「Quick Time Event(QTE)」も一部で使われているが、いずれも即リトライ可能で多くのQTEのようにイライラさせられずに済む。

あくまでも個人の趣向だが、筆者はザコ戦がとても好みだ
ボス戦は序盤から出し惜しみなし! 圧倒的な迫力とスケール感で過激に迫ってくる

今1番快適に遊べる「ベヨネッタ」、「ベヨネッタ2」

 久々にシリーズ作品をプレイして実感させられたのは、本作の並々ならぬ作り込みだ。ゲーム制作が多人数のチーム制になって久しい今、キャラクターや世界観、繊細さと大胆さを織り交ぜた地殻変動級のステージ演出、高レスポンスのアクションパートをここまで濃く深く練り込むのはなかなか難しい。いい意味で昨今のインディーズに近いスタンスというか「好き勝手やってるなあ!」と改めて思う。

 直近の「ベヨネッタ2」はもちろん、約9年が経過した初代も今なお抜群の存在感を放つ。逆にいえば、それが鼻について「こういう悪ノリは生理的にダメ」という人もいるだろう。恐らく予算や開発期間との折り合いをつけたのだろうが、一部のカットシーンが静止画を中心とした映画フィルムコマ風などの演出になっているのも「俺たちはこういうのが好きなんだ!」とグイグイ迫ってくる。「そういえば最初はプレイパートの合間が長く感じたことも多々あったなあ」というくらいで、今回初めてプレイされる方は“作り手の熱量”を存分に感じて頂きたい。

 コアなファンは各プラットフォーム版をすでにお持ちかもしれないが、前述のとおりロードは爆速、フレームレートは安定とNintendo Switch版はいいことづくめ。「3」がアナウンスされたのだから「2」の価格がもう少し安ければなあと思わなくもないが、両方買っても約1万円なら納得の範疇ではないだろうか。ゴアでセクシャルでダイナミックでひたすら激しいゲームだが、アクション好きでノーチェックなのはもったいないの一言。パッと見で本能が拒否したなら仕方ないが、逆に求めたり興味を抱いたのならぜひチェックしていただきたい。

アクションパズル的な要素も散りばめられている(「ベヨネッタ2」より)