2017年12月1日 10:47
歴史上の武将を題材にしているゲームは数多くあるが、その中でも突き抜けているのが、「戦国BASARA」シリーズだ。今月のPS Plusのフリープレイで配信しているプレイステーション 4/3用スタイリッシュ英雄(HERO)アクション「戦国BASARA4 皇」はボリュームもたっぷりなオススメのゲームである。
本作はPS3「戦国BASARA4」に新たなストーリーやプレイアブル武将、さらに新システムなどの様々な要素を追加したシリーズ10周年記念作品。本作の舞台は戦国時代。もちろん登場人物も戦国時代を生きた有名武将たちなのだが、設定や世界観が良い意味でとにかく無茶苦茶! 武田信玄と真田幸村は暑苦しいほどの熱血師弟で、伊達政宗は流暢な英語を喋り、さらには茶人の千利休までも参戦している。
本作の利休はもちろんただの茶人ではあらず。「二重人格の茶人サイキッカー」というツッコミ所満載の型破り過ぎる設定だ。そんなぶっとんだやつらを操り、敵軍を蹴散らして天下統一を目指すのである。本稿では「戦国BASARA4 皇」の魅力を紹介したい。
戦国乱世に自分だけの歴史を刻め!
本作のメインモードとなる「戦国創世・極モード」では総勢40人の中から操作する武将を選択し、武将ごとのストーリーを楽しむことができる。
数ある敵軍(ステージ)の中から進軍する先を選ぶと合戦に突入する。群がる敵を蹴散らして進み、敵総大将を討ち取ればクリアとなり相手の領土を自分のものにできる。平たく言えばオーソドックスなステージクリア方式の流れなのだがタダそれだけじゃない。本作の面白いのは自分が戦っている間も他の軍同士も潰し合いをしているというところ。どことどこの軍が戦ってどの軍が滅亡していくかは全くのランダムで、プレイするたびに展開が変わる。なので、同じ武将で何度も遊んでも全く同じ展開になることはなく、毎回新鮮にプレイすることができるのだ。
「戦国BASARA4 皇」の基本は、多数の敵がひしめくフィールドを敵をなぎ倒しながら進んでいく。本作の最大の特徴は個性豊かな武将達だ。戦国時代をモチーフとしていながら、武将達は一癖どころか“1億癖”あるんじゃないかという超人ばかりだ。特に「戦国BASARA4 皇」では40人も武将がいる。誰を使おうか悩むところだ。今回、筆者は迷いに迷った挙句、うんと強い武将で楽しんでやろうじゃないかと、戦国最強の異名を持つ本多忠勝で始めることにした。
「戦国BASARA4 皇」の本多忠勝は、全身を包むぶ厚い装甲、赤く発光する目、背中のブーストを吹かせて空を飛び回るなど、明らかに人ではなくロボットの忠勝。だが仲間たちは皆そこに疑問を持たず、徳川軍に普通に溶け込んでいるのがシュールで笑える。
武将を決めたら、インターミッション画面に移行する。ここではバサラ屋(いわゆるショップ)でアイテムの購入や武器の強化などができる。バサラ屋や武器強化の話は後で語るとして、今はとりあえず置いておきステージ選択に移る。
初めに攻め込むことができる敵軍は7つ。上杉謙信や石田三成などの名だたる名将が揃い踏みだ。弱い国から潰していくという国取りのセオリーに乗っ取り、恐らく1番弱いであろうと予想した大友宗麟の軍へと進軍することにした。筆者は歴史に疎かったので大友宗麟という武将を知らなかったが、彼は史実ではキリシタン大名だったとのことだ。
「戦国BASARA4 皇」ではこの設定を活かし(?)、「ザビー教」という胡散臭い宗教の猛信者となっていた。そんな猛信者の宗麟が建設した“ザビーランド”という大型テーマパークが合戦の舞台。かなりおかしな世界観だが、「戦国BASARA」なのだから、これが本作の持ち味なのである。
ようやく待ちに待った初陣だ。フィールドには大友軍の兵がワラワラと溢れかえっている。忠勝の武器は巨大なドリル。こいつをぶん回せば、敵の大群を一薙でバッタバッタと蹴散らせられ、これがたまらなく爽快なのだ。
そんな爽快感を与えてくれる雑兵の中には、ルーレット盤を持っている兵が存在する。こいつを倒すと画面にルーレットが出現する。ルーレットが回り、その出目によって様々なことが起こる。
自身が特殊な武将や巨大カラクリに変化したり、大量のメダルが降ってきたりなど良いことがたくさんある。しかし良いことばかりではなく逆に悪いことが起こる場合もあるのだ。ハズレの出目を出してしまうとタライや巨大爆弾が頭上から落ちてきてダメージをもらってしまう。そして数あるハズレの中でも1番厄介なのは剣豪、宮本武蔵の乱入だ。
武蔵はそこら辺の総大将なんかと比べても桁違いに強く、序盤で武将が成長していない時点では正直勝てる相手じゃない。筆者がプレイしたときは運悪く最初のステージで遭遇してしまった。何の前知識もなかったので正面切って勝負を挑んだところ、攻撃を食らわすも体力の減りがやたらと少なく、逆に相手の一撃でこっちの体力はごっそり持っていかれてしまった。ヤバイと気づいたときには討死寸前まで追い詰められ、戦うのは諦め逃げに徹した。一定時間経つと武蔵は撤退するので、序盤に遭遇したらまともに相手をせず逃げることをオススメする。
予想外のピンチに見舞われたが、ステージに落ちている回復アイテムでなんとか状況を立て直し、それからは順調に敵武将や拠点を落としていった。勢いで押し込んでいき、残すところは敵本陣のみとなった。本陣に乗り込むと敵総大将の大友宗麟の姿が見える。教祖のザビーの顔を模した一風変わった乗り物に乗りながらの登場だ。
本陣では大量の信者たちが決戦を見届けながら祈りを捧げている。先手必勝! 登場のムービーが終わると同時に、祈りを捧げる信者もろとも宗麟を叩きまくってやり、そして溜まったバサラゲージを消費して必殺のバサラ技も見舞ってやる。広範囲に雷の雨を降らせて敵を一網打尽にする大技。バサラ技を食らわせると、こっちが強過ぎたのか相手が弱過ぎたのか宗麟の体力をみるみる奪っていく。結果苦戦を強いられず敵総大将を討ち取ることができた。
初陣は勝利を飾り、リザルト画面へ。合戦終了後は合戦中に拾った武器やアイテム、上がったレベルなどが確認できる。レベルが上がると体力、攻撃力、防御力などのパラメーターが上昇し、さらに固有技や攻撃のバリエーションが増えたりもする。成長すればするほど戦いの幅がどんどん広がっていくのだ。
先に少し出た、バサラ屋と武器強化の話をしよう。バサラ屋では合戦中に拾えるお金を使って武器やアイテムを買うことができる。商品ラインナップはステージをクリアするたびに変わるので、高性能な武器を売り出したら必ず購入だ。
武将は戦わせていれば勝手にレベルが上がって強くなるが、武器は強化をしていかないと強くはならない。武器強化の方法は2通りあり、1つは合戦中に拾える「砥石」を消費して武器の能力を上昇させる方法。もう1つは2つの武器を掛け合わせる合成だ。合成素材にした武器は消滅してしまうが、パラメーターの上昇に加えて武器に備わっていたスキルも継承することができる。
スキルはバサラ技の威力アップや経験値アップなど様々な効果を発揮するのでかなり役立つ。強さはイマイチだけど優秀なスキルが付属している武器などは、合成でスキルをメイン武器に継承させてしまうのが吉。強化と合成を重ねれば自分だけの最強武器を作ることもできるのだ。
世界を廻す帝王、命を賭けて、戦場を駆ける!
忠勝のストーリーはクリアしたが、せっかく40人も武将がいるのだから他の武将でもプレイすることにした。いろいろな武将を1ステージ使っては武将を変えるのを繰り返し、一通りの武将で遊んでみた。その中でもプレイしていて特に面白かった武将は「足利義輝」。かつては敵武将としてのみの登場で、プレーヤーは使うことができなかったが本作ではプレアイブルの武将として追加された武将だ。
ストーリーの中心的な人物で、義輝は自分が将軍であるこの時代は平和過ぎ日本から活気が失われていると憂い、自らの将軍の地位を返上し、再び天下取りの戦国時代を引き起こした張本人。運命を賭けて誰もが天下を狙う熱き時代を望んでいるのだ。この圧倒的な存在感のある義輝、声優も池田秀一と室町幕府のかつての王の風格がハンパじゃない。
声優含めて良い味を出している武将なのだが、設定だけではなくアクション面でも様々な固有システムがあって面白い武将なのだ。
全能の義輝らしい変幻自在な戦闘スタイルが特徴だ。義輝が使う笏は攻撃や技によって形状が変化する。刀や槍、さらには弓矢などに変わり、様々な武器を使いこなす事ができる。近距離、遠距離、どんな状況でも真価を発揮できるまさに敵なしの性能なのだ。
すごいのは武器だけじゃない。義輝は特定の技でルーレットを出現させることができる。このルーレットは先で述べた、敵を倒して発動するルーレットとは演出から出目まで全くの別物だ。ルーレットには4種類の出目が存在し、黒い目に止まれば攻撃力が大幅にアップ! 防御力の高い敵総大将が相手でも体力をガンガン減らすことができる。
ステージによっては2つの軍を相手にする場面もある。石田三成と徳川家康の2人の総大将が相手となったとき、筆者は黒の出目で攻撃力が上がっている状態で大技のバサラ技を繰り出した。義輝のバサラ技は次々と武器をチェンジさせての怒涛のように斬り込む乱舞技だ。その1発でまさか2人まとめて撃破してしまったのだ。MAXだった敵の体力が一気に0になったときの爽快さはたまらなかった。
赤の出目を当てれば、赤いオーラを全身にまとい、移動と攻撃速度が大幅に上がる! 台詞も相まってまさに彗星の如き速さで敵を圧倒できる。そして1番の当たりは金の出目。時間を止めて自分以外の動きを一定時間止めてしまうというもの。時が止まっている間は当然ガードもできない完全無防備な状態なので、強敵相手でもこの隙に一気に畳み掛けることができるのだ。
どの出目も戦局を変えるほどの効果を得られるのだが、当然リスクもつきまとう。紫の出目を出してしまうと移動、攻撃速度の低下。さらに固有アクションが封じられ通常攻撃しかできなくなってしまうのだ! マイナスの効果も一定時間すれば戻るのだが、総大将との戦闘中にこの効果が出てしまうと窮地に追い込まれることも……。ルーレットはうまく回れば効果は絶大だが、リスクもともなうので使うタイミングが重要。何が起こるかわからない、読めない未来を楽しむ義輝のキャラクター性をうまく落とし込んだシステムだ。
その濃いキャラクター性が目立ってしまう本作だが、熱い展開も「BASARA」の特徴だ。中でも筆者が心震えたのは足利義輝のストーリー。日本という国を愛し過ぎるが故、人々の活気を蘇らすため、誰もが天下を目指す戦乱の時代を再び蘇らせた義輝。
物語終盤。天下に最も近い男、織田信長に挑む伊達政宗と真田幸村が火花を散らしている。義輝が求めていた“天下を望む闘争”、“ライバルとの競争”、日本に失われていた熱がそこにはあった。眼前には渇望していた光景が広がっている。義輝はニヤリと笑い、その戦いの渦中に自らも身を投じる。義輝の手のひらの上で回っている感じも否めないが、天下=最強の座を求め命を掛けて戦う展開は見ていて熱く滾るものがあった。
今回紹介したストーリーはほんの一部で、キャラクターごとにストーリー分岐もあり、40キャラクター全ての物語を合わせると、なんと89本ものストーリーが用意されているのだ。
全エンディングを見るだけでもかなりの遊びごたえがあり、1人のキャラクターを使い込んで最強レベルまで育成なんかもしたら、冬休みを丸々使っても遊び尽くせないボリュームだ。
ストーリーとゲーム性のどちらの面でも直感的に楽しめるのが最大の魅力のBASARAシリーズ。今月のフリープレイには今回紹介した「戦国BASARA4 皇」の他に、烈伝シリーズの「戦国BASARA 真田幸村伝」も配信されている。PS Pulsに加入して、12月5日までにDLすればいつでも無料で遊べてしまう。BASARAシリーズに興味はあったけど未プレイの人は、またとないこの機会にぜひプレイしてみて欲しい。
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