2017年12月1日 12:00
TSUKUMOから、コンパクトゲーミングPC「G-GEAR mini GI7J-B92/ZT」が発売された。本製品の特徴は、最新の第8世代CoreプロセッサーであるCore i3-8100が採用されているほか、ビデオカードとしてGeForce GTX 1060を搭載していることにある。従来低価格帯であるCore i3シリーズは2コア4スレッドだったが第8世代より4コア4スレッドと物理コアが2コア上昇しているのだ。それでいながら10万円を切る価格で購入できるのがうれしいところ。
では、このマシンはどの程度の実力を持つのか、ここから見ていくことにしたい。上記を含めたスペックについては以下の通りとなっている。
【G-GEAR GI7J-B92/ZTの主なスペック】
CPU:Core i3-8100
GPU:GeForce GTX 1060(ビデオメモリ 3GB)
チップセット:Z370 Express(ASRock製 Z370M-ITX/ac)
メインメモリ:8GB DDR4
ストレージ:240GB SSD
電源:HEC製 定格 500W 80PLUS BRONZE対応
OS:Windows 10 Home(64ビット版)
コンパクトにまとめられた筐体
まずは外観だ。183×300×390mm(幅×高さ×奥行き)とコンパクトなミニタワーケースには、ASRock製のMini-ITXマザーボードが収められている。正面右にはヘッドフォン端子とマイク端子、USB3.0ポートが2基用意されている。USBメモリなどを使うときには前面の端子を使用すればいいので便利だ。
背面は、マザーボードに用意されている出力端子に加えて、ビデオカードの出力端子が用意されている。マザーボード側は上からUSB2.0ポートが2基、PS2端子が1基、USB3.0端子が6個、有線LANのRJ-45端子が2基、無線LAN用のアンテナ端子が2基、マイクイン端子、LINE OUT端子、LINE IN端子が配置されている。ビデオカードにはDisplay Portが3基、HDMIポートが1基、DVI端子が用意されている。
また、筐体の前面や上部、側面、底部はメッシュ構造となっているので、非常に通気しやすくなっているのも特徴だ。これであれば排気熱が多くなりがちなハイエンドビデオカードでも、十分に動作できる。
次に内部を見てみよう。側面パネルは背部からのネジ止めになっているが、手で十分に回せるのでアクセスも簡単になっている。パネルを開いた後はもう1枚のサイドパネルが3カ所のネジ止めで取り付けられているので、これを外すと内部にアクセスできる。
試用したマシンには、内部側のサイドパネルにサンディスク製のSSDが取り付けられていた。マザーボードにはビデオカードのほか、4GBのメモリが2枚差されていることが確認できる。ビデオカードはZOTAC製のGeForce GTX 1060が搭載されていた。
CPU性能のパワーが若干不足気味だが、グラフィックス機能は充分
では本機の性能について、ベンチマークテストをした結果から見ていこう。テストは3DMarkのほか、CINEBENCH、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター」ベンチマークだけでなく、VRについての性能を見るためVRMarkとSteamVRパフォーマンステストも実施した。
3DMarkだが、HD画質での性能を測る「Fire Strike Extreme」、「Fire Strike」では画像の表示も問題なく良好な結果を出している。ただし4K対応でのベンチマークテストを行なう「Fire Strike Ultra」では動きがカクカクになってしまうなど、さすがにCPUパワーが足りない気がした。
ただ、このFire Strike Ultraのスコア2,715とはどの程度のものだろうか。通常弊誌ではハイエンド系の製品を取り上げることが多いため比較できないが、3DMarkの公式サイトで面白いスコアを見つけた。検証環境も異なるため、一概に比較し論することはできないがどうやら4年前のハイエンドCPU「Core i7-2600K」の定格クロックとほぼ同等のスコアを本CPUで発揮しているようだ。
当然Core i7-2600Kの魅力はその単純性能だけでなく、オーバークロック向上の伸びしろもあるので一概に製品でのいい悪いの比較ではなく、参考という形でとどめていただきたい。ただ、GPUと比べると進化の違いがわかりづらいCPUではあるが、着実に進化を感じ取られる結果だろう。
DirectX 12環境でのベンチマークテストとなる「Time Spy」についても同様で、ハイエンドゲーミングPCと比べると多少のパワー不足感は否めないが、通常のゲームプレイの設定範疇では十分すぎるパワーを発揮してくれそうだ。このあたりは価格のことを考えれば、十分すぎる性能だろう。そのほかの「Sky Diver」、「Cloud Gate」、「Ice Storm Extreme」は問題なくよいスコアをたたき出している。
「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター」のベンチマークだが、「最高品質」、「高品質(デスクトップPC)」のどちらの設定でも「非常に快適」という結果となった。CPUがCore i3のため多少の不安があったのだが、まったく問題なし。「ファイナルファンタジーXIV」をプレイしたい場合でも十分に遊べる環境であると言える。CINEBENCHについても同様で、CPUの値は若干低いものの、OpenGLの結果は良好な値を出している。
最後にVRの性能だ。GeForce GTX 1060を搭載しているので、VRコンテンツを楽しもうと思う人も多いと思う。VRのコンテンツに関しては描画性能ばかりに注意が行きがちだが、CPUを含めたPCの総合力が発揮されたのか、VRMark、SteamVRパフォーマンステストの両方とも「SUPER」、「VR Ready」という結果となっているので、VRコンテンツは十分に楽しめそうだ。
最新タイトルで実際にゲームをプレイしてみた!
ベンチマークテスト結果でも性能についてはある程度把握できたが、実際のゲームをプレイした場合はどうなのだろうか。今回は最新ゲームタイトルとなる、「Call of Duty WWII」、「アサシン クリード オリジンズ」、「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」(PUBG)の3つのゲームについてプレイしてみた。
まずは「Call of Duty WWII」だが、リアルタイムレンダリングされたストーリー部分もカクつきが全くなくなめらか、かつキレイに表示されるのはさすがだ。そこからシームレスにつながるプレイシーンでも違和感なく遊ぶことができた。
「アサシン クリード オリジンズ」も非常にプレイしやすい。高いフレームレートと細やかな描画で、建物や崖を登るパルクールシーンのアクションもくっきりと表示される。「セヌ」の力を借りて敵地を偵察する際のアイコンのアニメーションや飛行中の模様もカクつきなく動き、HD画質での表示はもしかしたらプレイステーション 4版よりもキレイに表示されているような気がした。
グラフィックスの負荷が意外と高い「PUBG」もまったく問題なくプレイできる。照りつける日射し、揺れる木々や草花といった環境の演出もばっちりで、非常に少ない遅延と高い描画性能で楽しめる。プレーヤーの腕にもよるが、ここまで快適にプレイできるなら“ドン勝”もグッと近づきそうだ。