2017年12月1日 07:00
いよいよ12月1日に発売を迎えるNintendo Switch用RPG「ゼノブレイド2」。この冬にプレイする大型のRPGタイトルの筆頭と言っていいだろう。こちらを先行してプレイできたので、冒頭シーンを4時間ほどプレイしてのファーストインプレッションをお伝えしていこう。
冒険マンガテイストの王道ストーリーを、探索しがいのある広大な世界と鮮やかな楽曲で味わえる、期待に応える作品
物語の舞台となるのは、果てしなく広がる雲海を超巨大生物「巨神獣(アルス)」が行き交う世界「アルスト」。この世界では人々は、巨神獣の上に独自の文化を築いて生活している。
そこで日々の稼ぎを得てたくましく生きているレックスという少年が本作の主人公。レックスは表裏のない真っ直ぐな性格をした、まさに少年漫画の王道主人公のような少年で、屈託のない明るい笑顔を見せる。等身大のスタンスであり性格や感情も理解しやすく親しみのわく主人公となっている。
そんなレックスはある日、大きな巨神獣が死を迎え、雲海に沈んでいく姿を目撃する。人々が住む巨神獣の背。その巨神獣そのものが死に絶えていき、このままいけば人々はいつか住まう世界がなくなってしまう。この世界の人々が暮らす世界はゆっくりと終わりを迎えようとしている。
伝承にあるという“世界樹の上に広がる豊饒の大地”。それを想いながら、レックスは心の中で神に問いかける。
冒頭シーンで語られる、この世界に訪れている危機。そこには滅びゆく世界の美しさも、特有の悲壮感も、レックスのやりきれない気持ちも、多くのものが込められている。
独特な世界観を持つ本作だが、このシーンはその独特さも複雑な色合いも、それに対するプレーヤーのスタンスも、いずれもがスッと入ってくる秀逸なプロローグとなっている。
そんな神妙なプロローグから始まっていく本作だが、ここからはレックスの明るくたくましい性格が、物語をぐいぐいと引っ張っていく。王道の冒険マンガやアニメを思わせるテイストに包まれているのが大きな特徴であり、本作の個性と言える。
イベントシーンではレックスたちキャラクターの表情を豊かに見せ、コミカルさも随所に交え、あらゆる場面で前向きであり、明るいトーンを展開していく。昨今の作品にはこうしたものが少なく、それが新鮮に映る。斜に構えたものやねじれたセンスがなく、まっすぐに明るく、強く生きている世界が描かれている。
そうしたまっすぐで王道な冒険の色を、濃く、鮮やかにしているのが“楽曲の存在”だ。前作同様にシームレスなフィールドを進むのにあわせて曲もシームレスに切り替わっていくのだが、いずれの場面の曲もインパクトがあり、耳に残るものになっている。
こうした話題だと、前作をプレイした人なら「ガウル平原」の高揚感が思い出深いと思うが、今作でもそれに近いカタルシスがしっかりとある。「ゴルドア大平原」を進むときに「あぁ、これは間違いなく『ゼノブレイド』の最新作だ、今それをプレイしているんだ」と実感できるはずだ。
ゲームプレイや難易度のバランスについて触れると、前作「ゼノブレイド」もそうだったが、広いシームレスな世界を探索することが大切で、その中でレベルを上げていくことが必要になっていく。その歯ごたえの強さに、最初は少し驚く人もいるかもしれない。
フィールドを移動中にも高レベルのモンスターに襲われ、一撃で倒されてしまって何が起きたのかわからないままにリスタートするなんていう場面もある。
そうした、良い意味での荒削りさというかむき出しのゲーム性があり、良い意味で丁寧過ぎないところがある。それは好みのわかれるところかもしれないが、自分で考えやりこんでいきそれが反映されるゲームを楽しみたいと考えている人なら、本作はしっかりと応えてくれる。
バトルは、画面の切り替わりなくバトルが始まる、リアルタイムかつシームレスなもので、バトル中はキャラがオートアタックしているなかを自分の操作で移動させアーツを放っていくという、前作譲りの方式になっている。
このバトルもまた、油断すればすぐにやられてしまうようなシビアな歯ごたえがある。同じ戦闘でも、プレーヤーの戦い方次第で勝敗の行方が大きく変わっていくところがあり、特にアーツの特徴を把握し上手く使っていくのは重要だ。前作をたっぷりとプレイしたという人でも、その感覚を思い出すまでは苦戦するかもしれない。
バトルシステムについては、1度のお試しチュートリアルだけでは身につかないぐらいに用語混じりの種類があり、頭に入りづらいと感じたのは気になるところ。それらはプレイしながら覚えていくというほかないのだが、バトルシステムへの理解が進まないままに序盤のイベント的なバトルで敗北してしまい、ちょっと途方に暮れるなんていうこともあり得るように思えた。
バトルは前述のようにプレーヤーの操作や戦い方次第で大きく結果が変わってくるものになっているので、バトルの理解度が高まると本作の面白さそのものも大きく変わってくる。バトルシステムへの理解は乗り越えるべきハードルと言えるものかもしれない。
王道RPGの魅力をこれでもかと味わえる、がっつりプレイできる1本
今回はファーストインプレッション用のプレイとして約4時間ほどプレイしたのだが、たどり着いたのは物語のプロローグやチュートリアルを抜け、本格的なプレイがいよいよ始まったばかりというところまでだった。プレイ時間のスケールが非常に大きく、この先に途方もないボリュームが待っているのを思わせる。
真っ直ぐで明るい性格の王道主人公たる少年のレックスをはじめとしたキャラクターたち、シームレスに広がる美しい世界と、そこを自由に探索していく楽しさ、そして楽曲の良さ。遊びこんで理解が進むほどにあれもこれも試したくなるようなゲーム性の豊かさ。隙のない王道の魅力を持ったRPGであることを、これでもかとばかりにたくさん味わうことができたプレイとなった。
そうした、がっつりと遊べるRPGを求めている人に、強くオススメしていけるであろう1本だ。
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