先行体験
パイオニア、狭い部屋でも7.1chを構築するスピーカーセットを展示【TGS2024】
フロント、ネック掛けリア、サブウーファーの3種で実現
2024年9月26日 19:48
- 【東京ゲームショウ2024】
- 開催期間:9月26日~29日
- 会場:幕張メッセ
パイオニアは、東京ゲームショウ2024において、同社のカーオーディオ技術などを応用して開発されたという「デスクトップゲーミングスピーカー」を出展した。
3種類のスピーカーはコンパクトサイズのフロントスピーカー「TQ-FG3000」とサブウーファーとしては小型で、音を鳴らしても振動しない特徴を持つスリムパワードサブウーファー「TQ-WG3000」、有線接続で「TQ-F3000」と接続し、首に掛けて使用するネックバンドタイプのリアサウンドエンハンサー「TQ-RG3000」で構成されており、3製品を同時にセットで使うと、7.1chや5.1chサラウンドを実現できる。
発売時期は11月下旬~12月中旬を予定しており、価格は現在調整中だが、担当者によると最終的にはセットで10万円を切るところまで頑張りたいとしており、今から販売価格をチェックするのが楽しみだ。
本セットの中心となるのが、コンパクトなフロントスピーカー「TQ-FG3000」だ。5㎝コーン型のスピーカーユニットを内蔵し、スピーカーの中央には入力ソースの変更やモード変更などの操作が行なえるアルミ製ダイヤル型ボリュームノブを備えており、画面から視線を逸らさずとも直感的に操作できる仕組み。
デジタル音場補正技術として「Dirac Research AB」を搭載するほか、「BEAT BLASTER」と呼ぶ同社独自の特殊デジタル信号処理技術も実装しており、こうした技術により小型でも臨場感の溢れる高音質な音場を実現できるという。
スピーカー前面の周辺部に備えるLEDは「サウンドセンシングメーター」と呼ばれる同社独自の技術となっており、音の大きさを視覚的に表示し、音の方向によって光の強さが変わる。音と合わせて、どこから音が発生するのかが視覚的に分かるようになっているとのことだ。
PCとUSB接続することで7.1ch/5.1chの立体的な音場を楽しめるほか、Bluetoothによる無線接続にも対応する。背面端子は電源、USB Type-C、eARC(enhanced Audio Return Channel)対応HDMI出力、スリムパワードサブウーファー出力用のピンジャック端子、リアサウンドエンハンサー用のMini-DIN8極端子で、HDMI出力がeARC対応のため、テレビなど対応HDMI搭載機器からの音声信号が受け取れる。
本体サイズは210×91×91㎜(幅×高さ×奥行)、重量は約0.76㎏。
スリムパワードサブウーファー「TQ-WG3000」はスピーカーなどで採用する独自の「HVT方式」をサブウーファーに採用したことで、スリムな薄型設計が可能となり、モニター裏などにも設置できるようになったのが特徴。「HVT方式」を採用したユニットは不要な振動を相殺できる両面駆動方式のため、机上などに設置しても振動が発生せずに自然でタイトな重低音が楽しめるという。HVTユニットのサイズは18×10㎝の角型。
本体は薄型のデスクトップPCのようなコンパクトさで、基本的にはメインのフロントスピーカー「TQ-FG3000」の専用端子に接続して利用する仕組みだが、サブウーファー出力がある一般的なサウンドデバイスとも接続は可能で、本体上部に操作用のボタンなども備えるほか、背面には「TQ-FG3000」接続用のデジタル入力端子のほか、アナログ入力用端子も備える。アナログ入力時のみローパスフィルターセレクトなどの機能が利用できる。
本体サイズは344×255×74㎜(幅×高さ×奥行)、重量は約4.5㎏。
本製品で一際ユニークなのが、リアサウンドエンハンサー「TQ-RG3000」だろう。首に掛けて使用するネックバンドタイプの形状で一見すると単体で使えるネックバンド型スピーカーに見えるが、単体での利用は行なえず、「TQ-FG3000」の専用Mini-DIN8極端子に有線接続して使用する形となっている。専用ケーブル長は1.5m。
形状もかなり独自性を感じるビジュアルとなっており、左右それぞれにスピーカーが突き出した動物の耳のようなデザインとなっている。左側面にはチャットなどで使える単一指向性のエレクトレットコンデンサマイクのほか、ボリュームダイヤルも備える。ブースではスタッフ全員が「TQ-RG3000」を首から掛けており、ブース全体で見ると不思議なビジュアルとなっていた。
本体サイズは265×200×71㎜(幅×高さ×奥行)、重量は0.19gで、首から掛けても負荷の少なそうな軽さとなっており、3㎝のコーン型ユニットを内蔵。リアスピーカーのため、7.1ch/5.1ch音源の場合のみ音が出力され、通常のステレオ音源の場合は音が出ないようになっている。
今回展示会場で3製品セットの組み合わせを実際に使ってみたが、先ず驚かされるのがリアスピーカーのド迫力だ。今回は「エースコンバット7」のデモ動画を拝見したのだが、首に掛けているリアスピーカーの効果で背後から迫る飛行機の音がかなり鮮明にかつ怒涛の勢いで迫ってきて、自身を抜けていく様子が音だけで分かるほどの精細さが感じられた。
あまりの迫力に、リアスピーカーの音量が大きすぎるのでは? と思ったのだが、リアスピーカーを外して聞くと、フロントスピーカーからもしっかり音が届いており、リアとフロントの異なる音が合わさって、バランスよく迫力を作っていることがわかった。サブウーファーからは、おそらく飛行中に発生する低音域の音が出ており、これも迫力の一助となっていたようだ。
3製品ともあまり場所を取らないコンパクトな設計のスピーカー、サブウーファー、リアスピーカーのセットなので、あまり音響スペースが確保できない部屋でも十分なド迫力の音声が楽しめる。最小サイズで楽しめる7.1chスピーカーセットとして、ぜひ注目したい製品だ。