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「ディアブロ イモータル」地域限定でαテスト開始、ただし日本は時期未定

モバイル&MMOで成長要素も増量。基本無料で全てのコンテンツをプレイ可能

価格・配信日未定

 Blizzard Entertainmentは12月17日、iOS/Android用MMOアクションRPG「ディアブロ イモータル(Diablo Immortal)」に関するオンラインプレゼンテーションを実施した。

 プレゼンテーションには、リードプロデューサーのカレブ・アーセナー(Caleb Arseneaux)氏と、リードゲームデザイナーのワイアット・チェン(Wyatt Cheng)氏が参加し、本作の概要を説明するとともに、日本のメディアからの質問にも答えた。モバイル向けでMMO型に変化しつつも、シリーズの伝統であるハック&スラッシュの面白さを存分に楽しめる内容となっている。

 さらに同社は、本作のパブリックテクニカルαテストを実施すると発表した。ただし提供地域はオーストラリアを中心とした一部地域に限られており、残念ながら日本の一般ユーザーは参加できない。正式リリース時には日本でもサービスされる予定だが、日本での先行テストの実施、またサービス開始時期については現時点では未定としている。

リードプロデューサーのカレブ・アーセナー氏
リードゲームデザイナーのワイアット・チェン氏

パブリックテクニカルαテストの概要

 本作は過去の「ディアブロ」シリーズとは異なり、MMO型のモバイルゲームとして開発されている。今回のパブリックテクニカルαテストは、サーバーの安定性やクライアントのパフォーマンスをチェックするために行なわれる。

 ゲームの内容についても大まかに明かされたので、ひととおり紹介していきたい。

 舞台となるのは「ディアブロ II」と「ディアブロ III」の間にある20年間。「II」で破壊され、「III」で移転した新トリストラムの村はまだできておらず、ワーザムの町はずれにある岸辺がゲームのスタート地点となる。シリーズの語り部的存在であるデッカード・ケインが登場し、最初のクエストをくれるという。

スタート地点となるワーザム
デッカード・ケインが今回も登場

 パブリックテクニカルαテストで使用できるクラスは、バーバリアン、モンク、ウィザード、デーモン・ハンターの4つ。クルセイダーとネクロマンサーは正式リリース時には追加するとしている。

パブリックテクニカルαテストでは4クラスが使用可能
正式リリース時には6クラスが使える予定

 ゲームシステムは従来と同じく、俯瞰視点でのハック&スラッシュ型アクションとなる。バーチャルパッドによる操作で、左に移動、右にボタン類というスタイル。ゲームパッドなどの外部デバイスは現状非対応だが、今後は対応を検討していくという。

「ディアブロ」の伝統である俯瞰視点のハック&スラッシュ型アクションを継承

 アクション面では、新たにアルティメット・アビリティが追加された。敵を倒すとアルティメット・メーターが上昇し、満タンになると敵を一掃するような強力なスキルを発動できる。

 フィールドはオープンワールドが7つ、ダンジョンが6つ登場する。オープンワールドはMMOスタイルとなるため、他のプレーヤーがモンスターと戦う様子も見える。多くのプレーヤーが一緒になって戦う特殊なモンスターも登場するという。ダンジョンは最大4人のパーティで参加。ノーマル、ナイトメア、ヘルといった難易度も設定でき、高難易度になるほど報酬が良くなる。ちなみにヘル以上の難易度では4人パーティ必須という。

 ゲームの進行は、メインとなるストーリークエストのほか、サイドクエスト、突然発生するポップアップイベントなどを用意。この辺りはMMOらしい仕組みになっている。

 冒険の中心となるのは、ウェストマーチの街。ここには装備品の強化など様々な機能が用意されているほか、他のプレーヤーとのコミュニティの拠点にもなる。ナイトメアやヘルといった難易度の設定機能もウェストマーチでアンロックできるという。

本作の中心地となるウェストマーチには、様々な施設がある

 オープンワールドとダンジョンのほか、「III」で登場したリフトもアレンジした上で実装される。エルダーリフトはランダム生成された短いダンジョンのモンスターを倒すことでゲージが貯まり、満タンになるとボスモンスターが登場。短時間で経験値と戦利品が手に入るシステムとなっている。プレイ回数にも制限はない。

 チャレンジリフトはシステムが変わり、自分のキャラクターを使ってプレイする。参加するリフトにティアが設定されており、ティアに応じた報酬セットを受け取れるというもの。さらに週末には他のプレーヤーとのランキングに応じた報酬も与えられる。

武器や防具は売買不可。成長要素はより多彩に

 「ディアブロ」シリーズで最も気になるキャラクターの成長要素については、従来よりも多くのシステムが用意されている。

 まず装備品については、他のプレーヤーとトレードできず、モンスターを倒して自力で手に入れなければならない。宝石などの装備を強化する素材はトレードできるが、基本的な装備品はモンスターから入手するしかないというのがポイントだ。不要な装備品は分解して加工用素材にできる。

 装備品は、兜、鎧、肩当、下衣、メインハンド武器、オフハンド武器の6スロットに、指輪などのサブスロットが6つ、さらに新要素となるチャームが1つで、計13スロット。装備品には特殊な能力を持つレジェンダリーアイテムも存在する。

 チャームはクラススキルのランクを上昇させる効果を持つもので、最大5つのスキルを強化できる。カスタマイズも可能だが簡単ではなく、他の成長システムの先にあるやり込み要素的な存在となる。

メインスロットとサブスロットが各6つ。キャラクターの右上にあるのがチャームのスロット

 装備品を強化するジェムも利用できる。ジェムは通常のものと、レジェンダリーのジェムがあり、装備スロットごとに1つずつ使用できる。各装備品は強化してランクを上げられる。最高20ランクで、5ランクごとにランダムな追加能力が得られる。能力は再鍛造システムで再抽選も可能。

装備品にはジェムをはめ込むソケットがある
強化して得た追加能力は再鍛造システムで再抽選できる

 キャラクターのレベル上限に達した後、さらに強化を進めるパラゴンシステムも実装。今回のパラゴンはツリー形式になっており、特定のプレイスタイルに特化した強化ができるようになっている。

 さらに新システムとして、ホラドリムの怪物にまつわる書物が登場。倒したモンスターが書物に記録されることで、プレーヤーの能力が向上する。モンスターの種類は「III」よりも多いという。

 アイテムの取り引きには、システムとしてマーケットが用意される。「III」のオークションハウスとは異なり、装備品の売買は不可。チャームの加工用素材と宝石をトレードできる。RMT対策のため取引は匿名となり、現金化もできない。

全てのコンテンツは基本プレイ無料で楽しめる

 本作は基本プレイ無料で提供予定としている。ストーリーやクラスなどゲームコンテンツは全て無料で利用できる。これについてチェン氏は「モンスターを倒して装備を手に入れるという本作の核の部分を、課金で回避できてはならない」としている。

 課金要素はいくつかあり、そのうちの1つがエルダーリフトで使用する要石というアイテム。使用するとダンジョンに何かしらの変化が起こり、難易度が上下することがあるが、報酬が増える。1人が使用するとパーティ全員が恩恵を受けられる。

 もう1つは再鍛錬の石。アイテムのランクを上げた時に付与される能力を再抽選するもので、通常のゲームプレイでも入手できるが、課金で入手できるものは、登場する特性をある程度絞り込めるようになる。

 最後はバトルパス。毎月、様々なゲームプレイを通して各種の報酬が得られる仕組みで、無料でも利用できるが、課金するとより豪華な追加報酬が得られる。

 いずれの課金要素も、あれば嬉しいがなくても遊べるというもの。同社としてはあくまでもゲームプレイが第一にあり、有料の要素はあくまでもおまけという位置づけで考えているという。

今後のスケジュールは未定

 この先のスケジュールについては、今回のパブリックテクニカルαテストを踏まえてテストを繰り返していくとしている。ただ正式リリースのタイミングがいつなのか、また世界同時リリースになるのかなどは一切明らかにされなかった。はるか前に先行登録を済ませたユーザーとしては、やきもきさせられる状況だ。

 日本のメディアに向けた発表でこの内容というのは不満が残るものの、その他のゲームに関する質問にはいくつか答えていただいたので紹介しておく。

 本作はMMOということでソーシャル系の機能が充実している。パーティ編成は、他のプレーヤーをグローバルチャットで募るほかに、ダンジョン入場前に検索して参加したり、ギルド機能を使ったりもできるという。

 ギルド機能では、ギルド向けのアチーブメントが用意されるほか、15秒のボイスメッセージを残す機能なども搭載される。今後も新機能を実装検討していくという。

 ゲームのシステム面では、「III」にあったシーズン制は導入されず、ゲーム自体をパッチで拡張していく形になる。

 対応言語はサービス提供地域に合わせて用意され、日本語も提供予定としている。ファンの中には、日本語設定があっても英語でプレイしたいという人もいると思うが、言語はオプション設定で選べる予定だという。

 プラットフォームは、現時点ではiOSとAndroidの2つ。MMO型という従来と異なるゲームだけに、他のプラットフォーム展開も期待したくなるところだが、現在はあくまでモバイル向けにプレイしやすいことに注力して開発しており、他のプラットフォーム展開はリリース後に改めて検討したいという。

 本作は中国NetEaseとの協業で開発されているが、開発は順調だという。プロジェクトには両社から100人以上が参加しており、現在は新型コロナウイルスの影響でリモートワークの形が増えているものの、元より2社間はリモートで作業していたため、さほど困難は感じていないそうだ。

 最後に開発者からのコメントがあった。チェン氏からは、「新たなストーリーラインを楽しんで欲しい。過去のシリーズよりソーシャルに力を入れ、モバイル端末でより多くの方と遊べるものになっている点にも注目して欲しい」。

 アーセナー氏は、「本当に新しい『ディアブロ』をお届けできることが今回のポイント。既存ユーザーにはハック&スラッシュを楽しんでいただき、初めての方にはハック&スラッシュを知って欲しい。モバイル端末で新規プレーヤーと既存プレーヤーが一緒に遊べる場所ができ、これまで語られていなかったストーリーが綴られる。日本と全世界のプレイヤーに届けられることを楽しみにしている」と語った。

 今回の発表からも見えるように、既にゲームの方向性は固まっており、多くのコンテンツをプレイできる状態にあるのは確か。時期は未定とはいえ、遠くない未来であろうと信じて続報を待ちたい。

【「ディアブロ イモータル」プレイムービー - GAME Watch】
【スクリーンショット】