インタビュー

「Diablo Immortal」クリエイターインタビュー

「Diablo II: Lord of Destruction」と「Diablo III」の空白の20年を埋めるエピソード

11月2日、3日開催

会場:Anaheim Convention Center

 「Diablo Immortal」のファーストインプレッション(参考記事)に続いて、本稿ではクリエイターインタビューをお届けしたい。

 インタビューでは肝心のサービス開始時期やビジネスモデル、マルチプレイの人数、ゲームモードなどはまだ語ってくれなかったが、スマートフォン上で「Diablo」を表現することへのこだわりや、ストーリーの内容、そしてゲームパッドやオフラインプレイへの対応など、細かい話をいくつか確認することができた。ぜひ最後までお楽しみ頂きたい。

【ゲームプレイ紹介トレーラー | ディアブロ イモータル】

【インタビュイー】
Matthew Berger氏とRichie Marella氏

――モバイル版の発表はサプライズだった。開発経緯を教えて欲しい。

 発表についてはタイミングがすべてだったと思う。モバイル版になったからといって「Diablo」のゲームの一部しかできないというと困るので、妥協せずに「Diablo」らしい経験が必要で、テクノロジーがようやく追いついたと言うこともあると思う。PCやコンソールに比べてスマートフォンを持っている人は多いので、この機会により多くの人にサンクチュアリを体験して貰いたい。

――たくさんの人にプレイして欲しいということだが、「Diablo」をよく知らない人に対してどのようにストーリーをカバーしていく予定なのか?

 良い質問。「Diablo」はこれが初めてという人も多いので、「Diablo」のどのシリーズをプレイしていなくても遊べるようになっている。ゲームの中でシネマティック等を通じてワールドストーンとは何なのかといった情報を解説するようにしている。もちろん、「Diablo Immortal」をプレイした後に、「あのキャラクターはどこから来たんだろう?」と気になったら、「2」や「3」をプレイして貰うとより楽しめると思う。

――「2」をプレイして貰えればということだが、ということは「Diablo II: Lord of Destruction」のリマスター版も今後出ると考えて良いのか?

非常に良い質問だが、このインタビューでは「Diablo Immortal」に関する情報しか話すことができない(笑)。

【Diablo II: Lord of Destruction】
「Diablo II: Lord of Destruction」は2001年、SVGA(800×600ドット)でリリースされたゲームだった)

――なぜ中国Neteaseが関わっているのに、ChinaJoyではなくBlizzConを発表の場に選んだのか?

我々は開発者なのでアナウンスメントのタイミングについては決定権がない(笑)。

――なぜナンバリングではなく、「Immortal」としたのか?

タイトルについては「4」といってしまうと、続編となり、新しいストーリーを提示しなければならないが、今回は新しいプラットフォームへの展開であり、背景や、時代設定など、まったく違うゲームとして認識して欲しかったからだ。過去にPS4向けに展開した時も「Diablo III Reaper of Souls Ultimate Evil Edition」と名前を変えてリリースした。違うゲームとして認識して欲しいということ。

【Diablo III Reaper of Souls Ultimate Evil Edition】
PS3/4向けにリリースされた「Diablo III Reaper of Souls Ultimate Evil Edition」

――ビジネスモデルは? フリートゥプレイか?

現時点ではまだアナウンスできない。クオリティの高いゲームを作ることに集中している。

――PvP要素は?

現時点ではまだアナウンスできないが、PvPは大事に思っている。大事なのはゲーム開発にあたって正しい決定を下していくことだ。

――アドベンチャーモードやシーズンシステムについてはどうか?

同じ回答になるが、それらは「Diablo III」で評判がよかったので、基本スタンスとして評判がよかったものは改善してやっていこうと考えている。

――ゲームエンジンはオリジナルか? 「Diablo III」のエンジンか?

異なるエンジンだ。細かい話はできないが、スマートフォン向けにゲームを作るに当たって適切なゲームエンジンがあったので使うことにした。

【Diablo Immortal】
そしてこちらが「Diablo Immortal」

――共同開発ということだが両社の役割分担はどうなっているのか?

2つの開発チームが掛け合わさって良いシナジーを作っている。役割分担とか、どちらかだけで開発しているということはない。私はリードアーティストだが、NetEaseにもリードのアーティストがいる。それぞれフルサイズの開発チームを持っている。

――開発者としてはどういう人にプレイして貰いたいと思うか?

「Diablo」をリリースするときはいつもそうだが、ゲームコミュニティに対して両手を広げてオープンにして、誰が来ても、誰でもサンクチュアリと地獄の軍勢と戦うことを経験して貰いたいと考えている。お母さんでも、かつてプレイしていた人でも帰ってくれるのは嬉しいし、その子供がプレイするのも嬉しい。

【NetEase Games】
「Diablo Immortal」のセッションでは、共同開発しているNetEaseの開発者も紹介された

――ゲームパッドには対応するか?

今のところその予定はない。どのプラットフォームでも、その特性を活かしたゲームプレイを実装したい。たとえば、移動操作とエイムが一緒にできるのがいいので、そういう特性を活かしたゲームプレイを実現したい。

――オフラインプレイは可能か?

できない。オンラインに繋ぐ必要がある。なぜなら「Diablo Immortal」はモバイルMMOを基本コンセプトにしているからだ。

――オンラインマルチプレイは最大何人で遊べるのか?

まだ具体的な数字はまだ出せないが、MMOのライブコミュニティであり、「Diablo」らしさ、携帯ゲームであるという、3つを考慮に入れて、それらが損なわれない数を目指している。

――ということは、必ずしも「ディアブロ III」と同じ数を目指すわけではなく、モバイル向けに最適化していくイメージか?

もちろん、モバイル向けに最適化するつもりだが、その結果「Diablo III」の4人プレイよりもずっと多くなると思う。

――「Diablo」らしさを表現する上で苦労したところは?

「Diablo」のゲーム性を損なわないように、特に今回は操作性がまったく異なるので、左指で操作、右指でアビリティを操作するということを実現するところに苦労した。そこさえできれば、あとは良い「Diablo」ゲームを作るだけなので。

――正式サービス以降もアップデートを定期的に行なうと言うことだが、その内容と、アップデートサイクルを教えて欲しい。あと有料なのかどうかも。

細かいタイミング、サイクルでというのはまだ話せないが、新しいクラス、ゾーン、ストーリー、そして倒すべきモンスターが追加されると思って貰って良い。ビジネスモデルについては申し訳ないが、まだ話せない。

――「Diablo III」でケインもリアも居なくなって、エイデンから始まった物語が終わったが、「Diablo」は1~3のトリロジーでストーリーは完結したと考えて良いのか?

「Diablo」が1263年、「Diablo II」が1264年、「Diablo II: Lord of Destruction」が1265年、「Diablo III」が1285年。「Diablo II: Lord of Destruction」と「Diablo III」の間に20年の空白があり、「Diablo Immortal」はこの空白を埋めるエピソードが描かれる。トリロジーで終わったと思わせつつ、実はまだ話していないストーリーがたくさんあって、「Diablo Immortal」は空白を埋める話になっている。

――「Diablo IV」はどうなったのか?

「Diablo」チームは、複数のプロジェクトが同時平行して動いている。それぞれのチームがそれぞれ別のプロジェクトを動かしている。我々は「Diablo Immortal」の開発チームなので、他のチームが何を作っているかは把握していない(笑)。

――日本にも初代「Diablo」から遊んでいる熱心なファンが多い。「Diablo」ファンに向けてメッセージを。

「Diablo」からプレイして下さっている方に、開発チームとして新しい「Diablo」ゲームを提供できることがとても嬉しい。「2」と「3」の間に発生したまだ語られていないストーリーをぜひ楽しんで頂きたい。「Diablo Immortal」は、これまで語られなかった20年間が語られることで、シリーズ全体のストーリーを補完する存在になっている。今まで知らない事実を保管してくれる。そうそう、新しいアイテムもあるのでぜひ見つけて欲しい!