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ASUS JAPAN、厚さ16.15ミリのゲーミングノート「ROG ZEPHYRUS S」を発表

「ROG ゲーミングPC テクニカルセミナー」で自社の有意性をアピール

 ASUS JAPANは3月29日、東京・赤坂にあるASUS Store Akasakaにて、メディア向けの「ROG ゲーミングPC テクニカルセミナー」を開催した。会場では同社のゲーミングPCに関する技術的な情報が開示されたほか、ゲーミングノートPCの最新モデルである「ROG ZEPHYRUS S GX531GX/GX531GW」を発表した。4月6日に発売予定で、価格は323,500円(税別)より。

最新のRTX 20xxシリーズ搭載モデルの技術概要を解説

ASUSTeK ROG グローバルテクニカルマーケティング パンダ・パン氏

 セミナーにはASUSTeKのROG グローバルテクニカルマーケティング パンダ・パン氏が登壇し、同社の技術について解説した。

 ゲーミングノートPCを開発するにあたっては、「ユーザーの不満を解消し、満足度を上げ、欲張りな部分に応えることが大事だ」とパンダ氏。自分自身も昨年1月にノートPCを買ったが、最初は最新のゲームをプレイしても90fps以上でヌルヌルのプレイだったのが、6月にはすでに60fps程度しかでなくなり、12月に発売された「コール オブ デューティ」をプレイしたときには30fps程度でラグが出てしまう状況だった。「ノートPCに関して、性能をアップデートし続けるのは限界はあるが、ROGではこれを解消したいと思った」(パンダ氏)。

 「今後ノートPCを買おうと思ったときにはGeForce RTXシリーズを選ぶのが賢明」と語るパンダ氏だが、同社ではゲーミング向けをうたうスマートフォン「ROG Phone」もリリースしており、同社のノートPCで動作するAndroidエミュレーターを使うことができる。これを活用するためには、プロセッサやメモリについても高いパフォーマンスが求められることになる。「マルチウインドウを開いてエミュレーターを起動するにはSSDのパフォーマンスが重要になってくる」(パンダ氏)。

 そこでキーとなるのが、HyperDrive ExtremeテクノロジーとRAID 0の技術だ。「HyperDrive Extremeでは8700MB/sの転送速度が出せる。マルチウインドウの読み込みスピードも24倍になる」(パンダ氏)。

 RAID 0構成についてだが、PCH(Platform Controller Hub)にSSDをぶら下げるだけだと転送速度に余裕がないため、速度が出せない。この問題を解決するためにインテルと協力してHyperDrive Extremeを考えたとのこと。RAID 0により1つのSSDとしてPCHに接続させることで、ボトルネックの問題を解決。これによりスマートフォンのエミュレーターとPCをシームレスにつなげることができたと語る。

無線LANを高速化できるIEEE802.11axをサポート

 パンダ氏は続いてネットワーク環境について言及した。5対5のLANパーティーをするには、ハブに5ポート以上の空きが必要となるが、もし3つや4つだとどうなるか。他の人は無線で繋がなければならず、不公平な環境となる。そのため同社のゲーミングノートPCではIEEE802.11axの規格をサポートしたほか、RangeBoost機能も搭載した。

 IEEE802.11axは、旧規格のIEEE802.11acの約3倍も速いネットワーク環境を得られるほか、RangeBoost機能により、無線LANでも優先波の速度を実現したという。これを搭載した「Mothership」においては、アンテナには特別なデザインを採用したとのこと。「かつてiPhone 4sでアンテナの問題があり、無線チップがうまく機能しなかったことの教訓をくみ取って技術を取り入れている」(パンダ氏)。

同社が参考出品として展示していた「Mothership(GZ700GX)」。IEE802.11axを搭載する
キーボードとディスプレイを分離しても使えるようになっている

時代はHDR標準の時代へ

 ディスプレイについては、パンダ氏は「2019年はHDR元年」と語る。NetflixやYouTubeでもサポートするようになってきており、同社のノートPCもそれを見越してHDR対応となっている。

 ゲームにおいてもHDRは重要な要素だ。「暗い場所にいる敵を発見できるか、できないかは、やるか、やられるかの違いとなる」(パンダ氏)。これに加えて音響効果もハイパフォーマンスなものが採用されており、目を閉じても敵農法光がわかるようになっているとのこと。

 筐体に使われている素材だが、アルミニウムマグネシウム合金により構成されている。これらは114ものプロセスを経て作られているそうで、20時間もかかるのだとか。「まさに手作りの芸術品と言えるほどのもの。自信作だ」(パンダ氏)。

薄い筐体にハイエンドのグラフィックスチップを搭載した「ROG ZEPHYRUS S」

 続いて説明されたのはゲーミングノートPC「ROG ZEPHYRUS S」について。CPUにCore i7-8750、グラフィックスチップとしてGeForce RTX 2080/2070を搭載するこのモデルは、ハイエンドでありながらも暑さが16.15ミリととても薄い筐体で構成されている。

 またコンパクトにもかかわらず、広視野角のディスプレイが採用されている。リフレッシュレートは144Hz。応答速度も3msと高速。色の再現性についてもこだわりがあり、PANTONEのカラーキャリブレーションを採用。鮮やかに映し出すことが可能だ。「コンセプトとしてスモールボディ、ビッグワールド」(パンダ氏)。

 GPUについては、GPU Switchによりパワーが必要なときはGPU駆動、それほど必要ないときはGPUをオフにして内蔵グラフィックスによる描画へと切り替えることも可能だ。ちなみにこれは、武田信玄の「風林火山」から発想を得ているのだとか。「動くときは風のように、素早く動く」(パンダ氏)。なおGPU Switchは17インチモデルの「GX701」にのみ搭載されている(日本では今回未発表)。

このほか「ROG ZEPHYRUS S」ではUSB Type-Cによる充電「USB PD」もサポートされている

排熱効率のよいシステムを採用

 「ROG ZEPHYRUS S」では「HyperCoolテクノロジー」が採用されており、効率のいい吸排気システムとなっている。またホコリについての対策も立てられていて、ファンの内部に余計なゴミがたまらない構造だ。このシステムを取ることで、これまでより20%早く回転させているほか、空気流量も43%増えている。

排気量のデモ

AAS+Max-Qで前世代より大幅に性能を向上させた「ROG ZEPHYRUS S」

ASUS JAPANテクニカルプロダクトエンジニアの西康宏氏

またASUS JAPANテクニカルプロダクトエンジニアの西康宏氏から、「ROG ZEPHYRUS S」についての補足説明があった。

「ROG ZEPHYRUS S」にはAAS(Active Aerodynamic System)が採用されている。AASとは同社独自のエア機構のことで、ノートPCのディスプレイを持ち上げると底面が開いて吸気と排気を効率よく働かせる仕組みだ。

前世代のMax-Q搭載「GX 501」と比較すると、RTX 2070でも前世代のハイパフォーマンスGPUであるGTX 1080を上回る性能をたたき出していると西氏。RTX2080+Max-Qでも大きく性能を伸ばしている。加えてAASはGPUのパフォーマンスを向上させるため、DLSSの効果により1.3倍の結果となっている。「これが、AASがMax-Qと実現した高い性能であると自負している」(西氏)。

 なお、AASを採用することにより、ノートを開いたときには特殊な変形機構となっているが、高い堅牢性を実現するために、米軍が採用している「MIL規格」の耐衝撃性能を含めた複数のテストを行なっているとのこと。このため高い堅牢性を持つのだという。

 これを実現しているのが採用されている素材だ。天板とアームレストにはアルミニウム合金が採用されているが、負荷がかかる底面に関してはアルミニウムマグネシウム合金を使用した。

 このほか、開閉テストについてもスローで2万回、クイックで2万5,000回のテストをしている。「このため特異な構造ながら、高い堅牢性を実現している」(西氏)。

 なお「ROG ZEPHYRUS S」では「Armoury Crate for Performance」というアプリを採用。パフォーマンスをコントロールする機能があり、必要なときに必要なだけのパフォーマンスを提供するとのこと。スマートフォンとの連携も可能で、スマホ側からAASをコントロールすることができる。「AURA」システムにも対応しており、デバイスをシンクロしてのカラー変化もできるようになっている。