2018年11月16日 15:30
ASUS渾身のゲーミングスマホ「ROG Phone」がついに情報解禁となった。発売日は11月23日で、価格は119,500円(税別)。
「ROG Phone」は、プロセッサーにSnapdragon 845を搭載するゲーミングスマホ。Antutu Benchmarkの公式発表数値は30万を超えるなど、スマホをゲーム機器として使っているユーザーなら要注目の製品だ。
しかし「ROG Phone」の真骨頂は、同時に発売されるアタッチメント製品群と組み合わせて使うことにある。アタッチメントを合体させることでプレイスタイルはPCゲームライクにもコンソールゲームライクにも変化し、単なるスマホとしての領域を飛び越える遊び方を可能としている点が非常に尖っている。
いわば、“ASUS発の合体変形ゲーミングスマホ”が誕生したような印象だ。それではさっそく、その使い心地などを見ていきたい。
製品名 | 価格 |
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バッテリー内蔵デュアルスクリーン拡張ユニット 「TwinView Dock」 | 34,800円(税別) |
IEEE802.11ad対応ワイヤレスドック 「ASUS WiGig Display Dock」 | 34,800円(税別) |
ROG PhoneをPCのように使えるようにするドック 「Mobile Desktop Dock」 | 22,800円(税別) |
ROG Phoneにアナログスティックや十字キーなどを追加するコントローラー 「Gamevice for ROG Phone」 | 8,980円(税別) |
ROG PhoneにUSBポートやLANポートなどを追加できる拡張アダプター 「ASUS Professional Dock」 | 11,980円(税別) |
ROG Phoneの背面を保護する専用ケース (ROG Phoneに1セット付属しています) 「ROG Phone Case」 | 4,580円(税別) |
仮想ボタンを増やすAirTriggerで拡張への第1歩を体験
まずは本体そのもののスペックから振り返りたい。
【ROG Phone】
型番 | ZS600KL-BK512S8 |
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プラットフォーム | Android 8.1(ROG UI) |
プロセッサー | Qualcomm® Snapdragon 845(2.96GHz オーバークロック版) |
メインメモリ | 8GB |
ストレージ | 512GB(UFS 2.1) |
ディスプレイ | 6型ワイドAMOLEDディスプレイ(2,160×1,080ドット表示) |
スピーカー | デュアルフロントスピーカー |
カメラ | アウトカメラ:1,200万画素メインカメラ+800万画素広角カメラ、インカメラ:800万画素 |
無線機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ad、Bluetooth 5.0 |
バッテリー駆動時間 | 約14.7時間(Wi-Fi通信時) |
防水機能 | IPX4 |
サイズ | 約76.1×約158.8×約8.3mm(幅×高さ×厚み) |
質量 | 約200g |
価格(税別) | 119,500円(税別) |
上記スペックシートからもわかるように、プロセッサーはSnapdragon 845、RAMは8GB、ストレージは512GB、さらに90Hz駆動、応答速度1ms、2,160×1,080ドット表示の6型ワイド有機ELディスプレイを搭載している。
ストレージ512GBというところにやや凄まじさを感じるし、Snapdragon 845は2018年夏モデルのサムスン「Galaxy S9」および「S9+」で採用されているが、ROG Phoneで採用されているのはカスタムバージョン(2.96GHz オーバークロック版)の845だ。
ゲーミングスマホとしての特徴は、ROG Phoneオリジナルのツール「Game Center」に入っている機能によって感じられる。「Game Center」を開くと、中央にスマホの温度が表示され、周囲にはCPUやGPUの温度、メモリの使用量などをリアルタイムの数として知ることができる。
その下には「Xモード」と書かれたボタンがあり、これを押すことで「ブオン」と画面が明るくなる。「コアのスイッチが入る」という演出と共に、ゲームプレイに特化したマシンの駆動へと切り替わるというモードだ。
ASUSの説明によれば、Xモードをオンにすると、バックグラウンドにあるアプリのメモリを除去し、CPUのクロックスピードを限界の性能まで引き上げるという。
つまり「今プレイするゲームアプリに全性能を注ぎ込む」のが、Xモードとのことだ。ちなみにASUS社内での検証されたAtutu Benchmarkの30万超えというスコアは、このXモードの時に確認できた。通常モードでは30万を少し割るくらいに推移したので、確かに効果はあるようだ。
もう1つ、ROG Phoneらしい機能に「AirTrigger」がある。これは本体を横持ちにしたとき、両手の人差し指のかかる部分に「L1」と「R1」ボタンを設定できるというもの。物理的には何もないが、トンという感覚で叩くと「ポコッ」というリアクションがあって入力が確認できる。
使い方は、画面右端から内側に向かってスワイプしてメニュー画面を開き、その最上部にあるゲームパッドのアイコン「Game Genie」から設定できる。L1とR1のタップ位置をエミュレートするような要領で設定し、位置はゲームごとに保存できる。
たとえば、「PUBG Mobile」などで操作設定画面を開き、指の届かなそうな位置に射撃ボタンを置き、そこにAirTriggerのR1を設定したとする。筆者が「PUBG Mobile」をプレイしていると視点移動で誤射することもあったのだが、R1に射撃ボタンが配置されることでプレイ時に誤射の割合は少なくなった。
AirTriggerの使い方は、使い手によって工夫の余地が大きくあると感じる。本体の設定だけでもゲームプレイの拡張が可能になっているのは、ROG Phoneらしくて面白いところではないだろうか。
ROG Phoneはアタッチメントとの合体変形が特徴的なスマホであるが、本体のみを購入しても、その片鱗を見ることができる。つまり本体購入で付属する冷却ファン「AeroActive Cooler」のことだ。
AeroActive Coolerは、スマホ横向きの時、中央を縦に挟むようにして使うアタッチメントで、設定によって装着時にブオーンとファンが回りだすもの。背面にはROGのロゴを象ったLEDライトがあり、Game Centerで好きな色と光り方を設定可能だ。
PCゲーマーなら「Dock」2種類への合体がアツい!
さて、ROG Phoneに合わせて発売されるアタッチメントは、大きく分けて3種類ある。つまりPCゲームライクに遊べるようになるもの、ゲームパッド風に操作を拡張させるもの、そしてモニターに無線接続できるものだ。
まずPCゲームライクな合体変形アタッチメントは、「Professional Dock」、「Mobile Desktop Dock」の2つ。「Professional Dock」は、HDMIポート、USB 3.1 Type-A×2、USB 3.1 Type-C、Gigabite Ethernetポートを搭載したアタッチメント。
ROG Phoneの画面をHDMIケーブル経由でモニターに出力し、USB Type-Aにキーボード、マウスを繋げばPCゲームのようにAndroidアプリを楽しめるという製品だ。試しに「ダンジョンメーカー」をプレイしてみたが、マウスのクリックで進めるプレイはかなり快適で、大画面で動く魔王やモンスターを見るのはとても新鮮だった。
またGame Genieにはキーマッピングという項目もあり、各キーをAirTriggerの要領でマッピングできる。普段からPCゲームに慣れているようなゲーマーなどは、「Professional Dock」とキーマッピングを利用することで絶大な力を発揮できるのではないだろうか。
タイトルによっては少しチートっぽくなるような使い方だが、「あのゲームをマウスとキーボードでやってみたかったんだよね」という思いを叶えられる点で注目したい製品だ。
「Mobile Desktop Dock」は、Professional Dockの上位版となっている。4K UHDモニターへの出力が可能となり、USB Micro-B 3.0かDisplay port 1.3とPCを接続することで、モニターへの出力をROG PhoneとPC間で切り替えることもできる。
よりリッチな環境でのゲームプレイを求めるなら、Mobile Desktop Dockも候補の1つとなるだろう。
コンソールゲーマーなら「Gamevice」との合体がアツい!
続いてゲームパッド風に合体変形するプロダクトについて。こちらは「Twinview Dock」と「Gamevice for ROG Phone」の2つ。
まずTwinview Dockは、大型のゲームパッド風製品にROG Phoneをはめ込むようにして使うもので、上と下の2つの画面を使ってゲームをプレイするというものだ。
見た目としてはROG Phoneの画面が上下に2つあるような状態。下画面については見た目こそROG Phoneだが単なるディスプレイだそうで、実際は上のROG Phoneが2つの画面に映像を出力している形となる。
使い方については下画面でウェブブラウザを開いて、攻略サイトなどを見ながら上画面でゲームを進めるといったことを一例として想定しているそうだが、まだ研究の余地がありそう。ROG Phoneクラスのディスプレイが2つあるというだけで迫力があるので、さらなる使い方はぜひ研究を重ねていただきたいところだ。
また「Gamevice for ROG Phone」は、個人的には最もオススメの拡張デバイスだ。これはROG Phoneを左右から挟み込むようにしてアナログスティックや操作ボタンを取り付けるアタッチメントで、コンソール機のゲームパッドとほぼ同じ感覚で操作可能になる。
使い方はこれまでと同様、GameGenieのキーマッピングで配置を設定するだけ。タイトル側が対応しているかどうかが唯一気になるポイントだが、例えば「崩壊3rd」のような操作の激しいアクションゲームはプレイしやすさが段違いになる。
移動操作、カメラ操作、通常攻撃、長押しの強攻撃からキャラクターの交代までがパッド操作で可能になる。ROG Phoneならグラフィックス設定も高くできるので、スマホのゲームということを忘れてしまうくらいのプレイ体験だった。
さらにもう1つのアタッチメント「WiGig Display Dock」をご紹介したい。こちらはWiGig Display DockとROG Phoneを無線接続することで、モニターへの映像出力ができる製品。
今回お伝えしたいのは、このWiGig Display DockとGamevice for ROG Phoneの相性が素晴らしいということ。試しに先程の「崩壊3rd」をモニターに出力し、Gamevice for ROG Phoneを使ってコンソール機風に遊んでみたのだが、もはや最初からそういうゲームだったのではと思うほど快適にプレイできた。プレイにラグを感じることもなく、想像以上に違和感なくプレイに没頭できたというのが正直なところだ。
ROG Phoneはそのままでも十分に素晴らしい性能を備えているが、PCゲーマーならPCゲーム寄りの、コンソールゲームを中心にプレイしているプレーヤーならコンソール機寄りのプレイへと合体変形できるところが素晴らしい製品となっている。
自分の嗜好に合わせてROG Phoneを変形させれば、それは単なるスマホゲームに留まらないような体験が待っている。全ゲーマーにROG Phoneを届けようとする心意気を感じる、“Republic of Gamers(ゲーマー共和国)”の名にふさわしいゲーミングスマホではないだろうか。