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東京モーターフェス2018にて「グランツーリスモ ネイションズカップ アジア・オセアニア選手権決勝」開催!!
2018年10月10日 20:36
入賞した3人の選手にインタビュー
――レースを終えて、今の感想をお願いします。
Jonathan Wong選手:トップ3に入るという目的が達成できて、とてもうれしいです。次のワールドファイナルでは今回のようにファーストコーナーでミスをせず、いいレースをしたいと思います。
Yamanaka選手:ワールドファイナルに行けることになってまずはホッとしています。今日は予選をちょっと失敗してしまって、その流れが最後まで戻らず、どのレースでも勝てませんでした。よくも悪くも2位とか3位といったポジションにいられたので今日の結果があるのかなと思います。ワールドファイナルではリベンジできるように頑張ります。
Kokubun選手:こういったオフラインイベントに参加するのは初めてだったのですが、この舞台で優勝ができて本当にうれしいです。ワールドファイナルでは今回優勝したことを誇りに思って挑んでいきたいと思います。
――練習時間を教えていただけますか。
Jonathan Wong選手:時間のあるときは4時間くらい、難しいときでもせめて1時間は走れるようにしています。
Yamanaka選手:社会人で仕事をしていることもあって、週に2回くらい、2~3時間走るくらいです。
Kokubun選手:平日は基本的に2時間くらいで、休日は長いときは4時間くらい走ったりします。
――今回の2日間を通じてのベストレース、あるいは重要な意味を持ったレースを教えてください。
Jonathan Wong選手:1回目の鈴鹿で皆さんと走ったときは守るのが大変でしたが、あれがもっともいいレースだったと思います。
Yamanaka選手:予選に尽きると思います。1回目のアタックでいいタイムが出て、あとは最後の1周に賭けようと思っていたんですが、時間の配分にミスがあり、3秒くらい足らずにタイムアタックができませんでした。それが上手くいっていればポールポジションを取れたのではないかという感触があったので、そこがとても残念でした。
Kokubun選手:ファイナルレースではタイヤにおける戦略と駆け引きがあり、抜きつ抜かれつするシーンも多く、熱い戦いになったと思います。
――皆さんの「グランツーリスモ」歴と、実際のモータースポーツに進出する予定はあるか教えてください。
Jonathan Wong選手:はじめて「グランツーリスモ」を遊んだのは5歳の頃で「グランツーリスモ2」でした。本格的にレースをはじめたのは2年くらい前からです。いつかは本物のレーサーになる夢もありますが、今はまだ第1歩を踏み出したばかりですね。
Yamanaka選手:初めてプレイしたのは4歳の頃、初代「グランツーリスモ」で、プレイ歴で言うと21年ほどになります。本物のレーサーになりたいという気持ちは昔はありました。ただ働く歳になって、レーサーになる道はなかなか厳しいものがあり、それを実現する熱量を保つのは難しいと思っています。
誰もが気軽に遊べる「グランツーリスモ」はある意味競争率で言えば本物のモータースポーツよりも高いかもしれないと自分は感じています。そのなかで競争できることは、僕のなかでは生きがいみたいなものも感じていています。
自分でもS2000というクルマに乗っているのですが、それでサーキットを走り、バーチャルな「グランツーリスモ」で学んだことをリアルのサーキットで活かすといったことをしていきたいです。今の若い人たちにもっとクルマを好きになって欲しいという想いもあり、そういう活動ができたらいいと思っています。
Kokubun選手:自分は3歳の頃に初代「グランツーリスモ」をはじめて、本格的にレースを始めたのは「グランツーリスモSPORT」からです。今は自動車免許を持っていないこともあり、ひとまずはeスポーツの道を選びたいと思っています。
――今日のレースに臨むにあたって考えていた戦略はありましたか? またワールドファイナルに向けた戦略はありますか?
Jonathan Wong選手:レースはそのときのいろいろな要素で変わりますから、レースの前や途中でまた変わると思います。ワールドファイナルもその場の雰囲気で臨機応変に走ろうと思っています。
Yamanaka選手:今日の戦略というところで言うと少ない練習時間のなかでタイヤがどれくらい持つかをまず計算して、ある程度の戦略を立てていました。あとは予備のパターンを2つ持っていて、そのなかでレースをしていました。
とはいえレースはやっぱり生き物で、ほかのクルマが走っていることでそのなかで戦略を変えていかなければなりませんし、相手より先にピットインする「アンダーカット」がセオリーかといわれると必ずしもそうではなかったと感じています。ゲームでは相手の動きを自分ですべて把握しなければならないので、練習して確実な作戦を練り、ワールドファイナルへ挑みたいと思います。
Kokubun選手:戦略というよりも自分のペースを維持することが大事だと考えていたので、とにかく周りにつられないよう、自分のペースを維持することを考えて走りました。ワールドファイナルでは周りの走りを見て戦略を考えるのももちろんですが、やはり自分のペースを保つことをいちばんに考えて走ろうと思います。
――レースで勝つために1番大切なことはなんですか?
Jonathan Wong選手:とにかく速く走ること。そのためには、同じドライバーを尊敬すること、練習すること、自分でベストを尽くすこと、ペースを保つことが大事だと思います。
Yamanaka選手:モータースポーツなので相手をリスペクトする気持ちは大事だと思います。そういった面で今日のレースではそれが僕には欠けていたところがあったかもしれません。普段の練習から出てくるところだと思うので、そこを気をつけて次からのレースに挑みたいと思います。
Kokubun選手:自分が前に出たいという思いはありますが、周りを敬うことが大事ですね。周りを敬いつつ順位をひとつでも上げられるような走りをしたいと思います。
――本日はありがとうございました。
山内氏「スポーツには人を成長させていく力がある」
――今日の選手権を終えたご感想をお願いします。
山内氏:この選手権の構想は今から6年前にFIAと僕らで未来のモータースポーツを作ろうとスタートしたものなんです。その後、5年かかって「グランツーリスモSPORT」ができ、それから1年のチャンピオンシップをやってきて、今日初めての公式戦としてライブイベントを開催できました。最初に構想を持って走り出してから本当に長い時間がかかりました。今日この日を迎えられたことは僕にとっては本当に嬉しいですね。感無量です。
――今回の大会に至るまでの経緯や、苦労した点をお聞かせください。
山内氏:この話はもともとはFIAの皆さんから僕らへの呼びかけがあって始まったことなんですね。FIAの皆さんはおよそ120年くらい前から現在のモータースポーツに取り組んでこられていて、今後は「グランツーリスモ」と組んで未来を作っていきたいうご提案をいただきました。
ビデオゲームの制作には長い時間がかかりますから、FIAの皆さんを随分お待たせしてしまいました。なんだかんだと言いながらスポーツを本当にやるために必要なゲームの構造などを作っていくのは時間がかかるんですね。今でもパーフェクトだとはぜんぜん思っていなくて、あれも直したい、これも直したいというところが沢山あるんですけれども、とにかくこうして大会をはじめられたということが大きいですね。
――今日のレースをご覧になっての感想をお聞かせください。
山内氏:スポーツをはじめるとなったときに、何がキーになってくるだろうということをずっと考えていました。スポーツはやはり人が輝くのがいいんですよね。「グランツーリスモ」のシステムやグラフィックス、サウンドなどはある意味裏方でいいと思っていて、主役は選手だと思うんです。
今日も初めて出場された方がアジア・オセアニア地区の頂点に上り詰めましたけれど、おそらく次のワールドファイナルで会ったときにはまったく別人になってると思うんですよ。スポーツには人をどんどん成長させていく力があって、より強いオーラを放ち始める。それは恐らく他の選手たちも同じで、そういったことが今後起きていくことを考えると、ちょっとゾクゾクしますよね。
――「SPORT」という単語がタイトルについたゲームが出て1年が経ちますが、eスポーツ全体を取り巻く状況も含めて、当時ここまでユーザーさんたちが盛り上がることを想像されていましたか?
山内氏:こういう未来を作りたいということと、実際にそれが起こるかどうかは別物なんですよね。今この瞬間でもそれはその通りなんです。ただ、すごく大事なことはそこで確かに価値のあるが行なわれているとか、確かに価値があることが起こったとか、確かに素敵なことが現にあるとか、そういう事実こそが大事なんですよね。今はそういった手応えは感じています。
――ワールドファイナルでの日本人選手の活躍について期待していることなどはありますか?
山内氏:「グランツーリスモ」の世界でとりわけ日本人選手が高いパフォーマンスを持っている、優秀な選手が揃っているということは10年以上前からわかっていたんですね。ただ、日本人の選手にとっては「GTアカデミー」っていうプログラムがヨーロッパやアメリカでは行なわれたけれども、日本では行われなかったという経緯もあって、なかなか日の目を見るチャンスがなかったんです。
今回、FIAグランツーリスモチャンピオンシップが全世界規模で行なわれることで、いよいよ日本人選手が世界で活躍する舞台が整ったということになります。今日のレースを見ても日本人はとても強かったんですけど、ヨーロッパにも強豪プレーヤーが沢山いますから、どんなレースを見せてくれるのか、今からとても楽しみです。
――ファンの反応は山内さんから見ていかがでしたか?
山内氏:今年何回かこういったイベントをやってきて、公式戦は今回が初めてなんですね。これが日本から始まって、このあとヨーロッパ、アメリカと移動していくわけですけれど、人が共感して初めてその輪が広がっていくという意味で、例えばYouTubeだったりインターネットの反応はすごくいいと思います。
――優勝はどの国になると予想していますか?
山内氏:先日、オーストリアで「グランツーリスモワールドツアー」と称してエキシビションを行なったんですね。そのときに12カ国から36名のオンラインでのトッププレイヤーを招いて大会をやったんですけれど、優勝したのはハンガリーでした。イギリスもかなり強豪国ですし、どうでしょうね? どこが勝つというのはなかなか……。
今日のレース中にも解説のYAM君が言ってましたけど、日本人選手って単独で走っていると速いんですよ。ただ競い合いになるとヨーロッパの選手は瞬間瞬間の勘がすごく鋭いんです。いったいどんなレースになるのか、私自身楽しみです。
――今後、eスポーツの大会としてスポンサーをつけたり、賞金を設定した大会を開催したりといった構想はありますか?
山内氏:サッカーがはじまったときはどうだったんだろう?とか、F1がはじまったときはどうだったろう?とかいつも考えているんですけれど、何にせよ参加している人が楽しめて、それを見ている人が楽しめるという、小さなところからはじめていくしかないと思うんですね。
ですから僕らはあらかじめ何か壮大なビジネスプランがあって着々と進めているという感覚は実は無くて、まずは選手たちに楽しんで欲しい、それを見ているお客さんに楽しんで欲しいと、まずはそういうところからはじめていきたいと思います。
でも今日ね、国際大会で優勝者が日本人でしたけど、「君が代」が聴けるって素敵ですね。今年はル・マンでトヨタさんが優勝したので「君が代」が聴けましたけど、また今年聞けるとは思っていなかったので。ワールドファイナルでもう1回聞けることを期待しています。
――10年後の「グランツーリスモ」はどうなっていますか?
山内氏:「グランツーリスモ」にはここまで20年の歴史がありますが、この20年は実質的に家庭用ゲーム機の進化とともにあったと思います。今後の「グランツーリスモ」というのは今回「SPORT」をはじめたことからもわかるように、単純に「もっとグラフィックスがスゴい」とか「もっとサウンドがスゴい」とか、そういうことだけではない、「どうやって遊ばれるのか」あるいは「遊んでいるところをどうやって楽しんでいただけるのか」ということに変化していくと思います。
――本日はありがとうございました。