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WWIIにカムバックした「Battlefield V」、Grand Operationsファーストインプレッション
圧倒的な映像表現、凝りに凝ったゲームモードで“ナルヴィクの戦い”を見事に表現
2018年6月10日 12:25
Electronic Artsは米国時間の6月9日、E3 2018の開幕に先駆けてプライベートショウEA PLAYを開催し、「Battlefield V(バトルフィールド V)」をはじめ、EAの新作タイトルをお披露目した。午前中に行なわれたプレスカンファレンスに続いて、午後からはゲーム関係者やメディアに加え、一般ユーザーも招いて試遊イベントを実施した。
目玉タイトルのひとつである「Battlefield V」は、5月23日の正式発表直後にも関わらず、早くも試遊台を公開。メインのマルチプレイモードとなる「Grand Operation(グランド・オペレーション)」のお披露目を行なった。本稿では「Grand Operation」のファーストインプレッションをお届けしたい。
「Grand Operation」は、前作「Battlefield 1」の「Operation」を拡張した最大64人によるマルチプレイモード。複数の部隊、複数のマップで、複数回にわたって戦いを繰り広げるところはOperationと同じだが、Grand Operationでは1ラウンドが1作戦日となり、作戦日毎の結果を踏まえながら、有利不利が差が付き、3作戦日で決着が着く。作戦日が進むことによって戦況の状況、主戦場の位置、時間帯、天候などが変化し、極めてドラマティックだ。
今回体験できたナルヴィクの戦いは、ノルウェイ ナルヴィク港を舞台に、途中沖合での2度の海戦を交えながら、ドイツ軍と連合軍の間で2カ月に渡って行なわれた戦いだ。“1940年4月”というドイツ軍が全盛期の頃の戦いであるにも関わらず、ヒトラーはこの戦線に十分な戦力を割かず、ナルヴィクを奇襲によって占拠したドイツ軍に対して、ノルウェイ、英国、フランス、ポーランドによる連合軍が数倍の戦力でこれを包囲。ドイツ軍の降伏は時間の問題という局面で、西部戦線において電撃戦が始まり、オランダ、オランダが相次いで敗北し、主力の英軍もダンケルクから撤退してしまう。これにともない、ナルヴィク戦線から連合軍の撤退が決定し、ドイツ軍は辛くも勝利……という戦いだ。
ナルヴィクの戦いは、第二次世界大戦の中では、同時期に行なわれたドイツ軍のフランス侵攻や、英軍のダンケルク撤退戦などの影に隠れて非常に地味な存在だが、スターリングラードやエル・アラメインなど、映画やゲームでお馴染みの戦いと同じように、戦力差の近い状態で行なわれた長期戦で、このマイナーでマニアックな戦線をあえてゲーム化したところに、「Battlefield V」最大の魅力があると感じた。
今回筆者は防衛側のドイツ軍でプレイしたが、南方の海以外の至る所から敵兵が出現し、こちらは港のギリギリまで押し込まれ、油断すると丘のスナイパーから狙われる。とてもドイツ軍が勝ったとは思えないほど辛い戦いだった。こういう局面にも関わらずなぜか戦車が配備され、一気に攻勢に転じられたりするところは「BF」らしいところだが、個人的には「BF1」以上に良い手応えを感じた。
ちなみにナルヴィクの戦いは、港以外は山岳地帯で、各国の降下猟兵部隊が活躍したが、この要素も「エアボーン」として再現されている。エアボーンは、攻撃側で実行でき、カノン砲などの攻略拠点に対して奇襲攻撃を掛けることができる。今回筆者は、防衛側のドイツ軍でカノン砲を守る役割を演じたため、この「エアボーン」は体験できず、遠くから見上げるだけだったが、地上のみならず、上空も目を配らなければならない感覚は新鮮でおもしろかった。
その防衛側で重要になるのがコンストラクション要素だ。「Battlefield V」では家屋や塹壕、防衛拠点などで、土のうを組み上げたり、穴の空いた壁に板を打ち付けたり、対空砲などを設置することができる。処理の仕方は1つ1つオブジェクトを運ぶ必要はなく、「Fortnite」のような感じで、リソースやロール等の条件を満たせば、オブジェクトがいきなりボンと出現する。
このあたりはいかにもゲーム的な表現だが、砲撃や爆撃、装甲車両の進入によって崩壊した防衛拠点をひとつひとつ修繕していくのも長期戦のGrand Operationでは重要な要素で、もちろん、これらの操作も戦功にしっかり反映されるため、サポート好きには堪らない新要素と言えるかもしれない。
今回、「Grand Operation」はドイツ軍側で1回プレイしただけで、連合軍側はプレイできず、5種類あるロールもすべて体験できなかったため、その全体像は見えないままだったが、史実を大胆に解釈しながら、ダイナミックな表現で戦場の凄惨さを表現するという「Battlefield」シリーズの醍醐味は存分に味わうことができた。このあたりはやはり「Call of Duty」や「Medal of Honor」とは異なる部分で、手触りの良さ、臨場感は「BF」ならではのものだ。対空機銃の射撃で輸送機にガンガン当たるあたりも「BF」的で楽しい。
β開始前の現時点で強いて難を言えば、相変わらずスナイパーゲーになっているところだろう。「Battlefield 1」から引き続き「Battlefield V」においてもスナイプするとスコープが光るようになっているが、スナイパーの特性上、光ったからといってスナイパー以外は対処のしようがない場合が多く、うまいスナイパーが1人いるだけでつるべ撃ちにされて戦線が崩壊してしまう。光った位置が全軍に共有されるとか、史実に則り射撃そのものの難易度をもっと上げるか、何らかのバランス調整が望まれるところだ。
最後に、今回筆者が体験した内容は、「Battlefield V」からPC版のプラットフォームパートナーとなったNVIDIAが独占公開した映像に綺麗に収められている。筆者と同じ防衛側のドイツ軍の映像で、連合軍がエアボーンで降下する様子や、壁を補修したり、土のうを積み上げる様子も収められている。ぜひ見てみて欲しい。