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「モニターの120Hz/144Hz化を推し進める!」 ゲーミングノートPCの雄MSI「G」シリーズの2018年の戦略を聞く

2月取材

会場:MSI台湾本社

 エムエスアイコンピュータージャパン(MSI)は4月12日、ゲーミングノートPCブランド「G」シリーズの春モデルを発表した。その詳細については、発表会レポート(参考記事)でお伝えした通りだが、GAME Watchでは今回の発表会に先立ち、台湾本社を訪れ、「G」シリーズ プロダクトマネージャのAlex Lin氏にインタビューを行なった。日本でも人気の高い「G」シリーズは今年どのような進化を遂げるのか。今回発表された最新モデルを含めた、その先の方針について取材してきたのでまとめておきたい。

2月に台湾本社に訪れた時は、まだ「GE63/73 Raider RGB」しか完成していなかった。「」ほかにも日本人好みの新モデルもある」と、「GS」新モデルの登場も予告していた

 今回発表した春モデルは、5シリーズ18モデル。第8世代インテルCoreプロセッサーの採用をはじめ、人気の薄型ハイスペック「GS」シリーズについては待望のフルモデルチェンジを果たし、ハイエンドモデル「GT」シリーズは、ノート向けとしては初採用となるCore i9プロセッサーをオーバークロックで駆動でき、「GE」シリーズは天板へのRGBライトを採用し、かつ一部のモデルのみに採用されていたRGBキーボードの全モデルでの採用など、PCゲーマーには嬉しいアップデートが実施されている。

 「G」シリーズに限らず、ノートPCのリニューアルは、CPUとGPUの新製品が登場するタイミングで実施される。それに伴うパフォーマンスアップは言わば想定内で、注目すべきはそれ以外の差別化要素だ。「G」シリーズは、いち早く新CPUやGPUを搭載するだけでなく、多彩なラインナップで、明確な差別化を打ち出すことにこだわっている。言い換えれば、性能以外の機能や価格で見比べやすくなっており、今、自分のPCのパフォーマンス不足を実感している人にとっては、手に取りやすいブランドといえる。

【「G」シリーズのラインナップ】

 さて、GAME Watchでは、これまでのMSI本社取材で、「G」シリーズの冷却システムや、VR Readyへの取り組み、アイトラッキング対応ゲーミングPCなど、差別化要素に着目して取材を行なってきた。

 個人的に今年は台湾取材でもっとも興味があったのは、「G」シリーズのモニターがどうなるのかだ。今年PCモニターは、大幅な進化が予定されている(関連記事)。解像度は4Kの割合が増え、リフレッシュレートは4Kで120Hzに対応したものが登場する。HDR対応も忘れてはならない。こうしたPCモニターのトレンドは、遠からずノートPCにもやってくる。ただ、ノートPCはバッテリー駆動を考慮しなければならないため、電源に接続して使用するPCモニターと同列には並べられない。ピーク時の性能を取るか、バッテリー駆動時間を重視するか、あるいはコストパフォーマンスを重視するか。メーカーによって明確にポリシーが分かれる部分だ。

 Lin氏に「G」シリーズのモニターのアップグレード計画についてストレートに質問してみると、Gシリーズに4K/120Hz/HDR対応のモニターを採用する計画はないという。理由は、まず4K/120Hzについては、4K/120Hz表示を実現できる「G」シリーズは自ずと「GT」、「GS」、「GE」シリーズに限定されるが、4K/120Hzを求めるコアゲーマーは、17インチモニターにこだわらず、外部モニターを接続するケースが多いという。言われてみればなるほどという感じである。

【「G」シリーズの用途はゲーム以外にも拡大】
「G」シリーズのデザイン性や機能性の高さは、ゲーマー以外にも支持されている

 HDRについては、HDR表示に必要な1,000nitクラスのバックライトは、モニター部分にこれまで以上のスペースの確保が必要となり、消費電力も跳ね上がってしまう。実現しようと思えば、天板はより厚くなり、ただでさえ性能重視のGシリーズにおいてバッテリー駆動時間もさらに短くなる。そこまでしてHDRを求めるユーザーは多くないという。

 それでは、Gシリーズのモニターは何も変わらないかというとそうではないという。現行のフルHD(1,920×1,080ドット)/120Hzモニターの採用率を高めていき、PCゲームの強みである120fpsのハイリフレッシュレートプレイをノートPCにおいても推進していく。さらにGT、GS、GEなど一部の上位モデルについては、フルHD/144Hzモニターの採用も始めていく。120Hzパネルの採用率は、昨年の10%程度から、30%程度まで引き上げたいとしている。

【「G」シリーズの120Hzモニター】

 一方、4Kモデルについては、ゲーマーよりむしろグラフィックスデザイナーに好まれているということで、リフレッシュレートは60fpsのまま、4K/60HzのIPSレベルタイプ液晶パネルの採用を継続する。“IPSレベルタイプ”液晶パネルというのはMSI独自の表現で、IPS相当の視野角と発色を備えたTNパネルのことを指す。IPSパネルそのものではないため注意が必要だが、ゲーミングでは必須とされる高い応答速度を実現している。4Kモニターは、現在の3%程度の割合に据え置くことを考えているという。

【4Kモニター採用は「GT」シリーズのみに】

 今回の取材は2月に行なわれたものだが、4月12日に行なわれた発表会では、Lin氏の発言通りの内容となった。まず、フラッグシップとなる「GS65 Stealth」には、144Hzモニターが初採用され、ハイエンドモデル「GT75 TITAN」はフルHD/120Hzモニターか、4K/60fps/IPSレベルタイプ液晶から選択できる。

 ハイパフォーマンスモデル「GE73/63 Raider RGB」は、17.3インチモデル(GE73)、15.6インチ(GE63)共にフルHD/120Hzモニターのみとなり、4Kモデルがなくなっている。メインストリームモデルの「GP63 Leopard」、「GF72」にもフルHD/120Hzモニターが採用されており、120Hz対応化を完了させている。

【「G」シリーズ初の144Hz対応】

 プロゲーマーやストリーマーのTwitchでの配信を見てもわかるように、多くのPCゲーマーは120Hzを上回るリフレッシュレートを備えたモニターでプレイしている。「G」シリーズが4KやHDR対応にこだわらず、ハイエンドからエントリーまですべてのモデルで120Hz対応したことは、ゲーマー視点から見れば当然の選択と言えるかもしれない。基本機能に120Hzモニターを加えた「G」シリーズ。そのほかの機能や価格を見比べた上で、自分だけの1台を選びたいところだ。

【「GF」シリーズまで120Hz化を完了】