【特別企画】

「ロードファイター」が稼働40周年! 逆ハンドルを駆使してコース疾走、懐かしのレースゲームを振り返る

【ロードファイター】

1984年12月 稼働開始

 コナミが1984年12月に発売したアーケードゲーム「ロードファイター」が、2024年12月で40周年を迎えた。

 本作は、左右2方向レバーとLOW、HIGHの2ボタンで真紅のマイカーを操作し、各コースでFUEL(ガソリン)がゼロになる前にゴールすればクリアとなるレースゲーム。1周全6コースで、6コースをクリアすると2周目に突入する。

 以下、筆者が当時プレイした記憶を頼りに、車もコースも2Dのドット絵で描かれ、上空から見下ろした視点で遊ぶ懐かしのレースゲームの魅力を改めて振り返ってみた。

【ロードファイター】
※写真は「アーケードアーカイブス」のNintendo Switch版で撮影(以下同)

超高速スクロールと逆ハンドルの衝撃

 筆者が本作を初めて見たのは小学生だった1985年の春休み頃、当時2、3カ月おきに遠征していたデパート内のゲームコーナーだったと記憶している。

 本作でまず驚かされたのが、今までにどのレースゲームでも見たことがない圧倒的なスピード感だ。マイカーが最高時速400キロメートルで走行し、目にも止まらぬスピードでコースがスクロールする、その光景には度肝を抜かれた。超高速で突っ走るコース上に、敵の車がすべてのレーンを覆いつくさんばかりにどんどん出現し、それぞれの位置を目で追うことすら難しい。どのコースでも、減速しないと曲がれない急カーブこそ出現しないが、レーンが2車線しかない場面がしばしば登場するのでスリル、恐怖感がハンパなかった。

最高時速400キロメートルで疾走できるスピード感は群を抜いていた
2車線しかないコース上でも、敵の車が容赦なく行く手を阻む

 敵の車のほかに、踏むとスリップ、または減速するオイルや水たまり、接触すると即クラッシュする工事中のマークなど、さまざまなトラップも出現する。これらのトラップを避けようと、勢い余ってマイカーをコース左右の壁にぶつけてしまうと、やはりクラッシュとなるので息を継ぐヒマがない。加えて、クラッシュするとリスタート時にFUELが減らされる重いペナルティを受けるので、最初のうちはコース1すらなかなかクリアできなかった。

 たまに出現する、ひと際派手なボディの「ボーナスカー」に体当たりすると、FUELが少しだけ回復する効果がある。しかし、高速で走行中にボーナスカーが遠くのレーンに出現したり、ほかの敵の車に囲まれた状態で出現したりすると、ぶつかりたくても間に合わないケースが多々発生するのが、これまた実にもどかしい。

高速で走行中に踏むと、マイカーの挙動が乱れて大きく減速する水たまり
「工事中」の現場にマイカーが触れると即クラッシュになる
ボーナスカーに体当たりするとFUELが増えるアイデアも、本作ならではの面白さだ

 本作を語るうえで絶対に欠かせないのが、逆ハンドル(カウンターステア)を利用してマイカーの体勢を立て直すテクニックだ。

 マイカーが敵の車に接触すると、車体が左右いずれかに傾き、やがてスピンして制御不能となり、左右の壁に激突してしまう。しかし、ぶつかった直後にすかさず逆ハンドルを切ると、車体を正面の向きに素早く立て直すことができる。

 当時通っていたゲームコーナーの筐体にインストカード(簡易的な操作説明書)が貼っていなかったこともあり、恥ずかしながら筆者はしばらくの間、逆ハンドルのシステムを知らなかった。ゲームの上手なお兄ちゃんのプレイを見て盗んだのか、それとも後に発売されたファミコン版のマニュアルを読んだのか、どんなきっかけで知ったのかは忘れてしまったが「まさか、こんな高度なテクニックがあったとは!」と、まさに目からウロコであった。

 本作では、全レーンを敵の車が埋め尽くす場面がひんぱんに登場することもあり、接触はどうしても避けられない。だが、逆ハンドルの操作を覚えて、車が混在する場面をうまく抜けられたときの快感は格別だった。思えば、筆者が生涯初めて「逆ハンドル」という単語を知ったのも本作のおかげであった。

 しかし、敵もさるもの。たまに出現する大型トラックだけは、接触すると即クラッシュとなるため逆ハンドルが通用しない。トラック出現時は低音の走行音が流れ、場合によっては触れるとやはり即クラッシュになるドラム缶をコース上にバラまくこともあり、その威圧感は凄まじいものがあった。

マイカーが敵の車に接触すると挙動が乱れ、やがてスピンして壁に激突してしまうが……、
逆ハンドルを素早く切れば、マイカーの体勢を立て直すことができる
ただ居るだけも邪魔なのに、ドラム缶までバラまくトラックは厄介極まりない存在だ

いまだに詳しい正体がわからない「隠れキャラクター」の謎

 本作には、特定の条件を満たすと出現する、いわゆる「隠れキャラクター」が多数存在する。

 その代表的な存在が、翌85年に登場したファミコンなどの移植版で、ゲーム専門誌やマンガ雑誌でも盛んに紹介されて有名になった、マントに「K」マークが描かれたスーパーマンならぬ「コナミマン」だ。ファミコン版「コナミマン」の出現条件は、各コースでスタート地点から全体の4分の3までノーミスで走行することで、出現させると1,000点のボーナス得点が加算されたと記憶している(※アーケード版は3,000点)。

 アーケード版では、各コースでスタート地点から特定の地点までノーミスで進むと、画面下部からコナミマンではなく、飛行機が出現して3,000点のボーナスが加算される。コナミマンはコース2などの特定の地点に、途中でミスをした場合でもしばしば出現する。筆者が幼い頃はスピードに付いていくのが精一杯で、得点表示やら画面内の演出やら、ほかの要素を見る余裕は正直まったくなかった。なので、これらの隠れキャラは自力で出した記憶がなく、上手なお兄ちゃんが出現させているのを見て、初めてその存在を知ったように思う。

各コースで、途中までノーミスで進むと隠れキャラの飛行機が出現する
コース2などに出現する、ファミコン世代にはおなじみのコナミマン

 本稿を執筆するために、本作を超久々にじっくりプレイしたところ、コナミマンや飛行機以外にも、実は数多くの隠れキャラが存在することに気が付いた。2コースと5コースに出現する列車、2コースの序盤に出現する雪ダルマ(?)、さらには2コースなどのゴール地点で、地面から突如現れるモグラ……。「まだ、こんな隠れキャラがいたなんて!」と、今さらながら本当に驚かされた。

 列車は、線路の見える地点までノーミスで走ると出現することはすぐに気が付いたが、雪ダルマとモグラの出現条件はいまだによくわからない。とはいえ、たとえまぐれでも出現させたとしても、いずれも3,000点のボーナスがもらえるのでとても嬉しい。レースゲームとしての楽しさはもちろん、数々の隠れキャラを織り交ぜることでプレイヤーを楽しませる、素朴な面白さにも改めて唸らされた。

コース2に出現する、道路のそばからレースを眺める雪ダルマのような隠れキャラ
まれにゴール地点に出現するモグラ。いったい何者なのだろうか……
こちらはコース2に出現する列車

 本作は、今でもハムスターの「アーケードアーカイブス」の1タイトルとして配信され、Nintendo SwitchとPS4の両方で遊ぶことができる。ファミコンやMSX版は知っていても、アーケード版をご存じない方はぜひ、この機会にプレイしてみてはいかがだろうか。スピード感も隠れキャラも、そのスケールの違いにきっと驚くことだろう。

PS4版「アーケードアーカイブス ロードファイター」のページ
Switch版「アーケードアーカイブス ロードファイター」のページ