【特別企画】
アーケードゲーム「平安京エイリアン」が稼働45周年! 東大生が開発した、黎明期の傑作穴掘りアクションをプレイバック
2024年11月9日 00:00
- 【平安京エイリアン】
- 1979年11月 稼働開始
電気音響が1979年11月に発売したアーケードゲーム「平安京エイリアン」が、2024年11月で45周年を迎えた。
本作は、主人公の検非違使を4方向レバーと穴掘り、穴埋めの2ボタンで操作して、エイリアンを穴に埋めて倒していくアクションゲーム。すべてのエイリアンを倒すとステージクリアとなって次のステージに進み、エイリアンに捕まるとミスとなり、検非違使のストックがゼロになるとゲームオーバーとなる。開発スタッフが東京大学の学生だったことでも、当時から有名だった作品だ。
かなり昔のことなので細かい部分は忘れてしまったが、以下、筆者が実際にゲームセンターなどで遊んだ当時の記憶を頼りに、本作ならではの面白さ改めて振り返ってみた。
想像を絶する難しさに悶絶
筆者が本作の存在を最初に知ったのは、1980年の夏頃。場所はゲーセンではなく、マンガ雑誌「コロコロコミック」で連載されていた「ゲームセンターあらし」を、本誌だったか単行本だったか、主人公のあらしが本作でハイスコア勝負をしている回を読んだのがきっかけだった。
初めてプレイしたのは、夏休み中に子供会の行事で出掛ける際に、途中で寄ったドライブインにあったゲームコーナーだった。ちょうど「平安京エイリアン」が空いていて、幸いバスの出発時間まで余裕があったので、母親に100円をおねだりして遊ばせてもらった。
今までマンガでしか見たことのなかった、本作の実物を「ついに遊べる!」とテンション上がりまくりだったのだが、主人公の操作が想像以上に難しくて困ってしまった。最初はボタンを1回押せば穴が掘れるのかと思っていたのだが、穴を完全な状態まで掘るためにはボタンを5回も押す必要があることが発覚。しかも、掘っている途中でエイリアンが穴に触れると、穴をまるごと消されてしまうので、なかなかエイリアンを穴に落とせなかった。
同様に、エイリアンを埋めるときもボタンを5回押す必要があり、加えてエイリアンは一定時間が経過すると穴から這い出してしまうので、なかなか倒すことができない。そうこうしているうちに、おそらく1面もクリアできず、倒したエイリアンは片手で数えるほどで、あっという間にゲームオーバーになったと記憶している。
その後、たまに出掛けるデパートのゲームコーナーなどでも、本作が置かれたことで何度か遊ぶ機会に恵まれたが、操作もエイリアンを倒すのも「難しい」印象はまったく変わらず、1面クリアすらままならなかった……。
ゲームメディアのありがたみを生まれて初めて実感
本稿を執筆して改めて気が付いたが、筆者が生まれて初めて、あらかじめメディアで攻略情報を予習したうえで遊んだアーケードゲームは、実は本作だったように思う。本作よりも先に登場した「スペースインベーダー」の攻略法や裏技は、当時からいくつものメディアで紹介されていたが、筆者の場合は「スペースインベーダー」をプレイした後に攻略情報を知ったからだ。
「ゲームセンターあらし」の「平安京エイリアン」の回には、本編とは別に「平安京エイリアン必勝法」が掲載されていた。本コーナーでは、十字路の四方に穴を掘る「秋葉堀り」、検非違使の上下、または左右両側に掘ってエイリアンを待つ「隠居掘り」、エイリアンの出会い頭に路地から通りに向けて掘る「長野堀り」などのテクニックが紹介され、「ただ闇雲に穴を掘るだけではダメなんだ」と、ガキンチョなりに学ぶことができた。
最終的に、当時の自己ベストは何点で、どこのステージまで進んだのかはまったく覚えていないが、上級生のお兄ちゃんたちのお手本プレイに加え、「ゲームセンターあらし」のおかげで自身の腕も劇的に向上したことは間違いない。ただ実際には、限られたお小遣いで少しでも長く遊べるようにと、検非違使の身を守るべく「隠居掘り」ばかり使っていたように思うが……。
ステージをクリアしないで長時間粘っていると、突然エイリアンの移動スピードがアップするのと同時に援軍が増え始め、やがてひと目では数え切れないほどエイリアンが増殖し、あっという間に逃げ場がなくなる恐怖感もハンパなかった。
エイリアンが増殖する仕様も、「ゲームセンターあらし」を通じてあらかじめ知っていたが、実際にその難しさを体験したことで、ゲームがあれほど上手な主人公の「あらし」でも、最初はミスを連発していた理由がよくわかった(気になっていた)。本稿の執筆にあたり、超久々にエイリアンを増殖させてみたところ、1面であっても最大16体のエイリアンが一気に襲ってくるので手も足も出ず、当時びっくりさせられた思い出が鮮明によみがえった。
思えば本作は、筆者が最後の最後まで友人たちに得意なゲームであると胸を張れなかったのは、「東大生が作ったゲーム」との情報を得たうえで、子供心に「天才が作ったゲームなのだから、難しいに決まってるじゃん」と、自身を納得させていたせいだった(気がする)。
本作は、現在までに家庭用の移植、またはリメイク作品がいくつも登場しているが、そのほとんどが80~90年代にリリースされたものだ。では、今では身近に遊べる環境がないのかと思いきや、実はSteam版「平安京エイリアン」が現在でも配信中だ。
しかもSteam版ではアーケードモードに加え、最大4人のプレイヤー同士で得点を競う「平安京エイリアン3671」などの各種アレンジモードも遊べる。今となっては、その存在を知らない人がほとんどであろうビデオゲーム黎明期の名作を、ぜひSteam版で遊んでみてはいかがだろうか。
※追記:アーケードモードの各スクリーンショットが実際の仕様と一部異なっていたため、11月9日に差し替えました。
(C)Mindware