【特別企画】
【スト6】3人の絆で頂点を目指す若きファイター達の熱き戦い!! 第2回 NASEF JAPAN 全日本高校eスポーツ選手権「スト6」部門全国決勝大会レポート
2024年12月16日 19:47
131校の頂点に立つのはどちらだ? 決勝戦、大将は勝手知ったる身内対決に!
決勝戦はN高等学校「チェローナ」 VS eスポーツ高等学院シブヤeスタジアム「あしゅまるの伝説」のカードとなった。
N高等学校は先鋒、中堅戦を鹿児島県立加治木工業高等学校に制され、そこからの大将戦、延長戦と続けざまの逆転劇で決勝に駒を進めた。また、優勝候補筆頭と言われ、MR1900オーバーの強力な布陣で望んだシブヤeスタジアムもスコア上は先鋒から大将戦まで負け無しの40pt獲得で勝利しているが、旭川工業高等専門学校の選手たちの勇猛なプレイにあわやというところまで追い込まれており、下馬評通りの横綱相撲とはならなかったのが現実だ。先程のインタビューでは全勝優勝をぶち上げた「あしゅまるの伝説」だが、それが現実になるのか、注目が集まる決勝戦だ。
決勝の大舞台ということもあってか1試合目は静かに動き出す。どちらのキャラも飛び道具を起点に攻め手を作るキャラクターだが、だからといって飛び道具読みのジャンプはなかなか出ない静かな立ち上がり。その緊張を利用してかlop,選手が奇襲のドライブインパクトを見せるが、そこはokenochi選手が冷静にインパクト返し。しかし、全国大会の決勝というプレッシャーからか、両選手ともここぞというところで決めきれないシーンが頻発する。1ラウンド目はそんな中確定反撃を逃さず決めたokemochi選手が先取。2ラウンド目もじりじりと双方が歩きガードを多用する展開に。体力が5割程度とやや余裕のあるlop,選手がリバーサルSA1で攻守逆転を図るが、okenochi選手は冷静にガード、強金剛灼火からの確定反撃コンボでその体力をすべて削りきって1試合目を制す。
2試合目1ラウンド目は端に追い詰められたlop,選手が前ジャンプによる位置入れ替えに成功、そのまま豪鬼にバーンアウトを発生させ、先程のお返しとばかりにドライブインパクトからの追撃コンボで大ダメージを与え、倒しきりにはならないもののその後の投げが通り逆襲へ。先程の緊張も薄れていったようだ。
次のラウンドは前ラウンドでの位置入れ替えがもし行なわれなかったら? といった展開のように豪鬼が常にA.K.I.を画面端に拘束し続ける展開へ。バーンアウトしたA.K.I.にしっかりドライブインパクトをガードさせスタン状態へ追い込み、高いオフェンス能力でパーフェクトKOで返す。
最終ラウンドはlop,選手の猛攻により残り4割程度まで体力を削られ後1回読み負ければ敗北必至の危険な状況から徐々にA.K.I.を画面端へ押し込み、ジャンプ攻撃から続け様にドライブインパクトをガードさせてからの追撃コンボでしっかりリーサルまで体力を奪い去ったokenochi選手が連取、「あしゅまるの伝説」チームが優勝へ一歩リードした。
次鋒戦は「チェローナ」影屋うるな選手のケンと、mituema選手のエドの組み合わせ。この組み合わせは筆者はケン使いのため、戦前からの予想が立っていた。結論だけ言えば、ケンにとっては厳しいマッチアップである。
ケンは万能型のキャラクターではあるが、基本的には至近距離での戦いを得意とする。その一方でエドはどの距離でも万能に戦えることが強みのキャラクターだ。アウトボクシングを徹底するであろうエドにケンは踏み込めるのだろうか? というのが焦点となるだろう。
筆者の予想通り、1試合目の主導権はエドが握っていた。遠距離で踏み込むために様子を伺っているケンに対して自由に行動できる時間を多く持っていたエドが1ラウンド目を危なげなく先取。しかし2ラウンド目ではその遠距離から本命の行動であるジャンプ攻撃でケンがチャンスを作り出す。
前ジャンプに突破口を見出し、ダメージを与えつつも、MR1900オーバーは伊達ではない。徐々にバーンアウト状態を攻め込まれたり、画面端に追い詰められる。そして試合終盤、なんの前触れもなく放たれたドライブインパクトを影屋選手は見逃さず冷静にインパクト返しでKO、最終ラウンドに持ち込む。
しかし最終ラウンドではドリームコンボの新たな扉が開いてしまう。今までは画面端から反対側まで運ぶルートを見せていたmituema選手だが、なんと画面中央から画面端へ運ぶ別のコンボレシピも修得済み。巧みにケンを画面端へ運び、インファイトで体力を奪っていく。最後は冷静に間合いを調整しての削りでパーフェクト勝利で1試合目を勝利で飾った。
ここで影屋選手は決勝大会初のキャラチェンジを決行。予選大会で使っていたベガに変更した。
キャラクターチェンジが功を奏したか、エド相手に積極的に地上戦を挑めるようになり、1ラウンド目はベガが獲得。勢いそのままに、第2ラウンドではサイコマインという相手に爆弾をつけた状態でODサイコクラッシャーをヒットさせ、そのままリーサルの可能性もある連続技へ移るが、際どい体力のためかSA3での追撃は行なわず。この首の皮一枚がつながった状態から、エドがSA1を絡めたコンボで逆転勝利し、再び勝負は最終ラウンドまでもつれ込む。
最終ラウンドではmituema選手のジャンプ攻撃を用いた対空が光り、徐々にベガの体力を奪っていく。ピンチとなったベガはリバーサルCAによる逆転を狙うが、そこをしっかりと防いだmituema選手が反撃を叩き込み勝利。先程掲げた「全勝優勝」の実現まで後1歩となった!
もう後がなくなった「チェローナ」、そして有言実行に迫った「あしゅまるの伝説」。それぞれの望みは大将戦に託された。
チェローナ大将のChelsea選手とあしゅまるの伝説大将のあしゅまる選手は普段から肌を合わせているいわば身内対決。マッチアップも接近戦特化のザンギエフと、遠距離戦特化のJPという対称的な組み合わせとなった。
接近したいザンギエフと遠ざけたいJPの組み合わせは、意外にも接近戦から始まった。あしゅまる選手が殴り合いを制し、JPの得意とする遠距離戦に持ち込むが、Chelsea選手はゆっくりと間合いを詰めていき、徐々にJPとの距離を縮めてからのドライブラッシュで踏み込んでからのスクリューパイルドライバーでガードを崩そうとするが、ここであしゅまる選手がバーンアウトしつつもあらゆる技を回避できるODアムネジアで捌く! ただしバーンアウトの代償も大きく、2回続けてドライブインパクトを被弾してしまう。
しかし、残り体力僅かな状況で放ったSA2がザンギエフにヒットして逆転勝利。1ラウンド目から超上級プレイヤーらしい一進一退の攻防が繰り広げられた。
2ラウンド目も一瞬の隙を見計らってドライブラッシュからのインファイトを狙うザンギエフだが、ここはラッシュの突進をリーチの長い技で止めつつコンボを決め、再び遠距離戦に戻すJPがザンギエフの体力を6割近く奪いつつ有利な状況を維持し続ける。接近戦の中でザンギエフの通常投げ空振りを誘い、そこをジャンプ攻撃からのコンボで体力を奪い、最後は置いてあったしゃがみ中キックであしゅまる選手が優勝まで後1勝と迫る!
2試合目はChelsea選手のドライブラッシュからの奇襲で幕を開けた。連続してドライブラッシュからの接近戦を果敢に挑むザンギエフに対し、ODアムネジアとドライブインパクトを用いてそれを捌き切る攻防はスピーディーかつ双方が持つ「手札の多さ」を感じた。
地上戦を制する時間はJPが多く、このまま万事休すかと思われたが、飛び込みからのボディプレスでザンギエフが流れを引き戻し、リーサルには届かないもののSA2を用いたコンボでバーンアウトしつつもJPの体力を残り僅かまで追い込む。ここで見せたのがザンギエフの代名詞スクリューパイルドライバーによる強気の起き攻め! 大胆な選択肢が通り1ラウンド目を奪取した!!
2ラウンド目もJPが体力リードを大幅に奪う展開が続くが、大幅有利にも関わらず冷静かつ堅実な攻めを構築する様は流石レジェンドプレイヤーという貫禄を感じた。モダン操作であるためにバーンアウト中のザンギエフにも下手な手出しは厳禁という徹底ぶりだった。しかしここでモダン操作の強みが発揮され、JPのドライブラッシュからの連携の僅かな隙間にCAをねじ込む! これにより2ラウンド続けてChelsea選手が勝利。決着は3試合目に持ち越された!!
お互い後1勝が欲しい3試合目。今度は2試合目の逆のようにJP側が積極的に前に出て攻めてくる展開となり、ザンギエフが早くもバーンアウトに追い込まれる。そして1試合目のお返しと言わんばかりに連続でドライブインパクトを用いてザンギエフの体力を一瞬で奪い去り、「あしゅまるの伝説」が優勝へ王手。
2ラウンド目はあしゅまる選手が高速の空対空や巧みな飛び道具での弾幕、前ラウンドで稼いだSAゲージを総動員し、JPの体力を削られることなくザンギエフの体力を6割強奪い去ってしまう。最後は浮き上がったザンギエフへの追撃をミスなく行ない、パーフェクト勝利、無敗優勝を有言実行、というこれ以上ない完璧な形で全国の頂点に立ったのは「あしゅまるの伝説」だ!!
表彰式では様々な選手の「未来」が語られる。また高校生の大会ならではの表彰も!
今大会の結果は以上のようになった。
・3位タイ
鹿児島県立加治木工業高等学校「Zaoh_e_Spiders」
旭川工業高等専門学校「旭川高専 e-sports lab」
・準優勝
N高等学校「チェローナ」
・優勝
eスポーツ高等学校 シブヤeスタジアム「あしゅまるの伝説」
表彰の際、各チームの選手が今大会の感想を述べていた。優勝チームの「あしゅまるの伝説」あしゅまる選手は、今までプロライセンスを獲得できる大会で惜しくも敗れているため、次こそはプロライセンスを獲得したいと次の目標への意欲を語っていた。
そしてこの大会の特徴的な表彰が、フェアプレー賞の表彰である。大会中スポーツマンシップに則り、自身のチームのみならず、対戦相手やその他の方々に対しても誠実にプレーをしていた選手を表彰するというものだ。この賞には旭川工業高等専門学校「旭川高専 e-sports lab」のHachi選手が選ばれた。
筆者の総評だが、筆者は実は高校教師を志していた時期があり、高等学校教諭一種免許状を取得している。この大会を観戦する中で、大学の授業の中で「部活動は生徒の教育において授業と等しく重要である」と言われていたことを思い出した。
筆者が高校生の頃はゲームを部活動とは認められていなかった。だが、現在は全国の数多くの学校で部活動として認められている。ゲームでも誠実な人柄が形成されることはフェアプレー賞を受賞したHachi選手が証明している。
大人顔向けのプレーは若者でも出来るし、そして何より未来ある若者たちの成長はゲームでも実現できる。というのを証明する場として、この大会が長く続くことを筆者は願っている。
(C)CAPCOM