【特別企画】

「忍者くん 魔城の冒険」稼働40周年! 黒子、ダルマ、カブキ……個性的な敵キャラと戦う、傑作忍者アクションを振り返る

【忍者くん 魔城の冒険】

1984年10月 稼働開始

 1984年10月にUPLが開発したアーケードゲーム「忍者くん 魔城の冒険」(※以下「忍者くん」)が、2024年10月で稼働40周年を迎えた。

 「忍者くん」は、主人公の忍者くんをレバーと攻撃(手裏剣)、ジャンプボタンで操作し、すべての敵を倒すとステージクリアとなるアクションゲーム。敵キャラクターは全8種族(種類)で、3ステージごとに敵の出現パターンが変わり、特定の条件を満たすとボーナスステージに進むことができる。

 以下、約40年前に筆者が本作に出会った当時のゲーセン風景を思い出しつつ、本作の魅力を改めて振り返ってみた。

※Nintendo Switch「アーケードアーカイブス」版で撮影(以下同)

華麗なジャンプと体当たりの面白さに大感動

 筆者が本作と最初に出会ったのは、数カ月おきに遠征していたデパート内にあったゲームコーナー。見知らぬお兄ちゃんがプレイしているところをふと覗き込んだら、忍者くんが岩山や城壁を華麗に飛び回っては手裏剣を放ち、敵の黒子などと戦う姿をひと目見ただけですぐに気に入った。

 いざ遊んでみたら、最初の敵、黒子に手裏剣がなかなか当たらず、黒子も負けじと手裏剣を投げてくるので、なかなか先のステージに進めなかった。それでも、忍者くんの華麗なジャンプや降下のアクションに加え、画面の左右両端に向けてジャンプすると三角飛びを披露するのも実にカッコよく、適当に動かしているだけでも楽しかった。

 ジャンプ、または降下しながら敵に体当たりすると、敵が数秒間気絶して動けなくなるのも抜群に面白かった。逆に、敵に体当たりされると忍者くんも気絶してしまうが、目玉が急に大きくなって泣き顔になる、コミカルな演出も実におかしかった。今までに自身が遊んだゲームでは「敵に触れるとミス」が言わば常識となっていたのに、触れてもミスにはならず、逆に攻略するうえでは体当たりが重要なポイントとなるのも新鮮な体験だった。

敵に向かってジャンプで突っ込み、体当たりして気絶させる面白さは本作ならでは
敵に飛び掛かられると、逆に忍者くんが気絶して大ピンチになってしまう
ジャンプ、または飛び降りによる、忍者くんのスピーディな上下移動も実に快感。空中で手裏剣を放つことも可能だ

 個性あふれるビジュアルで、攻撃パターンがそれぞれ異なる、全8種族の敵キャラクターの存在も、筆者が本作にハマった大きな要因だ。

 最初の敵、黒子は忍者くんと同様に正面に手裏剣を投げるだけだが、第2種族のダルマは上下のラインが忍者くんとズレていてもホーミングする鎌を投げてくる。カミナリ小僧が放つカミナリやガイコツの剣はスピードがとても速く、手裏剣を投げ合っても簡単に負けてしまうので、どうやって背後に回り込んだり、気絶させたりして倒すかを考えながら遊ぶのがとても楽しかった。

 どのステージも出現する敵は全8体で、3面以降は8体のうち、最上部にいる1体だけが次の種族に変わり、言わばボスキャラ的な存在になる。このアイデアのおかげで、ステージが進むたびに「次はどんな敵が出てくるのかな?」と毎回ワクワクしながら遊べた。当時の筆者は、確か第4種族のカミナリ小僧が出現する10面あたりまで進むのが限界だったと思う。なので、上手なお兄ちゃんが忍者くんのストックを大量に残したまま、獅子舞やトカゲ、ヨロイが出現するステージまで進んでいるのを初めて見たときは「こんな敵がいたとは!」と大いに驚いたものだ。

 筆者が本作を遊び始めた当時は、まだゲーム仲間の友人は誰も遊んでおらず、ゲームまたはマイコン専門誌の存在も知らなかったので、ゲーセンで見掛ける上手なお兄ちゃんたちの腕が唯一の情報源だった。

カブキの投げる爆弾は、放物線を描いて下のラインまで届く
獅子舞が吐く炎は、着弾するとその場にずっと残るため、グズグズしていると身動きが取れなくなってしまう
最強の敵、ヨロイは高速の矢を放ち、しかも機敏に動くので1対1でも倒すのは骨が折れる

裏技の存在とビジュアルの美しさにもビックリ

 各ステージで、特定のタイミングで上空から出現する「宝の玉」を取ると1000点のボーナス得点がもらえる。さらに、玉を3個集めてステージをクリアするごとにボーナスステージに進むことができる。

 ボーナスステージでは、一定時間内に城壁のマップ上に配置された玉をすべて取ると高得点のボーナスがもらえるが、途中で操作をちょっと失敗しただけで、最終地点に移動する前にタイムアップになってしまう。筆者も最初のうちは何回プレイしてもパーフェクトボーナスがまったく取れなかった。

 しかし、あるとき上手なお兄ちゃんがパーフェクトを取ったところを見て攻略パターンを盗むことができ、後に自分でも真似をして初めてパーフェクトに成功したときは本当に嬉しかった。もっとも、お兄ちゃんたちから攻略パターンをいろいろ盗めた半面、なかなかゲームオーバーにならず待ちくたびれ、ほかのゲームを遊んで家路についたこともあったが……。

 上空から落ちて来た玉が敵キャラに重なると、敵が玉を隠し持ってしまうアイデアにも子供心に感動した。最初は敵が隠し持っていることに気づかず、本来なら玉が出現するタイミングなのに「アレ? なかなか出てこないなあ……」と思っていたら、敵を倒した瞬間に玉が出現してびっくりしたことを今でもよく覚えている。

上空から落ちてくる玉を3個取ってステージをクリアすると、ボーナスステージに移行する
すべての玉を取るとパーフェクトボーナスが加算される。制限時間が短いので、パーフェクトを取るためにはきっちりパターンを作る必要がある

 本作には、一度倒した敵に再度手裏剣を当てると1000点のボーナスが入り、8発の手裏剣で8体の敵を全滅させてクリアすると1万点のボーナスが入る裏技が隠されている。ゲーセンでお兄ちゃんたちに教わったのか、それとも翌年に発売されたファミコン版で知ったのか、今となってはハッキリ覚えていないが、これらの裏技の存在を初めて知ったときにも驚かされた。

 攻略パターンとは別に、筆者が特にお気に入りだったのがステージ開始時の演出だ。餅つきするウサギが描かれた満月と城をバックに、ステージごとに異なる色で表示されるグラデーションと、琴の音色をほうふつとさせるジングルが流れる演出は、何回見ても飽きることがなかった。またデモ画面の合間に少しだけ表示される、浮世絵の美人画をほうふつとさせる女性の横顔も実に美しかった。

倒した敵が降下中に、さらに手裏剣を当てると1000点のボーナス
ステージ開始時の美しいビジュアルとジングルは、今でも筆者のお気に入りだ
ゲーム内容には直接関係ないが、デモ中に美しい女性の絵が表示される演出は抜群のインパクトがあった

 本作は、現在でもハムスターの「アーケードアーカイブス」シリーズの一作としてNintendo Switch、およびプレイステーション 4版が配信されている。100円玉の消費量を気にせず、何回でもコンティニューしながら遊べるので、かつてヨロイをはじめとする敵に敗れて涙をのんだ人は、この機会に再び勝負を挑んでみてはいかがだろうか。

□Switch版「アーケードアーカイブス 忍者くん 魔城の冒険」のページ
□PS4版「アーケードアーカイブス 忍者くん 魔城の冒険」のページ