【特別企画】
「パックランド」が稼働40周年! 不思議なことが当たり前に起きる、傑作アクションゲームをプレイバック
2024年8月10日 00:00
- 【パックランド】
- 1984年8月 稼働開始
ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)が1984年8月に発売したアーケードゲーム「パックランド」が、2024年8月で稼働から40周年を迎えた。
本作は、主人公のパックマンを左右の移動ボタンとジャンプボタンで操作し、ゴール地点まで到達するとステージクリアとなるアクションゲーム。敵のモンスターや障害物に捕まったり、水中や谷底に落下したりするとミスとなり、パックマンのストックがゼロになるとゲームオーバーとなる。マップは全8トリップ、32ステージ(※4ステージごとに「1トリップ」として区切られている)で、トリップ9以降はトリップ5のマップに戻る。
以下、本稿では「不思議なことが当たり前!!」のキャッチコピーを引っ提げて登場した、本作ならではの面白さを改めて紹介するとともに、筆者が本作を初めてプレイした小学生時代、ゲーセンで出会ったプレイヤーたちはどうやって遊んでいたのかも、当時の記憶を交えつつ振り返ってみた。
ステージやギミックの豊富さにビックリ! みんながボタン連打に悪戦苦闘
筆者が本作を最初に見たのは遠征先のゲーセンで、年上のお兄さんたちが遊んでいるところだった。手足が生え、巨大サイズになったパックマンが軽快に駆け回るカッコよさに衝撃を受けるとともに、町、森の中、山、砂漠、池など、ステージごとにさまざまな場面が出現するので、ただ遠くから見ているだけでもワクワク感が止まらなかった。ほかにもフィールドアスレチックを彷彿とさせる、ジャンプ台や回転する丸太などのギミックが登場したかと思えば、帰り道(※各トリップの最終ステージ)は進行方向が左右逆になり、しかもパックマンが空中で何度もジャンプできる光景にも大いに感動した。
本作で驚かされたもうひとつの特徴は、コンパネにレバーが1本も付いていなかったこと。「アレッ、何でレバーがないの?」と、初めは不思議に思ったが、やがてパックマンはボタンを連打すると左または右に動き、連打が速いほどスピードがアップし、ジャンプの軌道が伸びることがわかると、今まで体験したことがない、独特の操作システムと相まって(※「ハイパーオリンピック」はすでに遊んでいたように記憶しているが)、本作にますます興味がわいた。元祖「パックマン」とはまったく異なる、ノリノリのBGMもこれまた最高だった。
当時は、筆者と同世代の小学生たちが遊んでいるのを見ていると、多くの人がステージ6の大きな池をジャンプ中、歯を食いしばって必死にボタンを連打するも、やがて力尽き水没していたと記憶している。またボタン操作に慣れないうちは、ステージ7に出現する巨大な水柱を避けるのもひと苦労で、砂漠に潜むシャレコウベに地中に引き込まれては何度も涙を呑んでいた(無論、筆者もその1人だった)。
本作は友人同士でテーブル筐体を挟み、2人プレイで遊ぶ人が多かったため、当時はどこのゲーセンに行っても席がなかなか空かず、プレイする機会は限られていた。そんな事情もあって、筆者は本作独特の操作に慣れるまでにかなり時間が掛かった。が、一度コツを覚えてしまうとジャンプの軌道を自由自在に調整でき、狭い足場にもピンポイントで着地できるようになるので、これほど楽しいものはない。また本作では、モンスターが車やUFO、飛行機などに乗って追い掛けてくるが、いずれも頭上に乗った場合は触れてもミスにならないので、状況によっては意図的に敵の頭に着地して、追撃をかわしたときも実に快感だった。
筆者よりもずっと年上の上手なプレイヤーが、最初から難しいトリップ5(※17面からスタート)を選択し、狭いスペースでもモンスターや障害物を悠々とかわす姿を傍から見ているだけでもとにかく楽しかった。特に、それまで自身が一度も到達したことがない、ステージ14の迷路ステージや、パックマンの正面付近しか視界が開けていないステージ(※ステージ19など)を初めて見たときは、「まるでお化け屋敷みたいだ!」と、本当にびっくりしたものだ。
メディアにも掲載され、衝撃を受けた数々の裏技の存在
本作の底知れぬ面白さを演出しているのが、豊富な裏技の存在だ。
筐体に貼られたインストカードには、基本操作とルールしか書かれていない。なので筆者は、最初は他のプレイヤーが遊んでいるところを見て「ここに着地すると、チェリーが出るっぽいな」、「ゴールしたときにジャンプすると、1,000点がもらえるっぽいな」などと想像しつつ、真似るところから少しずつ裏技を覚えていった。
ただ、どうしてもわからなかったのが、パックマンにヘルメットが装着される裏技だった。パックマンがヘルメットをかぶると、モンスターが上空から落とす「小モンスター」に触れてもミスにならず、逆に触れると300点の得点が稼げるメリットもあり、何としてでも手に入れたいと思っていたが、結局自力で解明することはできなかった。
もう随分昔のことなので詳しく覚えていないが、確かヘルメットの入手方法は、ゲーセンで見知らぬプレイヤーに声を掛けて教えてもらい、ようやく(ステージ1では)消火栓に隠されていることがわかったと記憶している。それにしても、まさか消火栓が単なる障害物ではなく、実は動かせるギミックでもあったとは……まさに目からウロコであった。そして、こんな高度な技を自力で発見するお兄ちゃんプレイヤーたちは「本当にスゴイなあ……」と、大いに憧れたものだ。
ヘルメットの取り方を覚えたことで、パックマンが一定の時間透明(無敵)になる、あるいは取るとボーナス得点が入る風船の出し方は、程なくして発見できた。だが、本作に隠された謎はまだまだあり「ここでジャンプすると、地面から突然発芽して花が咲くのはなぜ?」、「上手な人が『S』マークのアイテムを出して、取ったらパックマンのストックが増えた!」、「敵のモンスターをまとめてたくさん倒したら、今度は『L』マークのアイテムが出てきた!」と、次から次へと未知の現象が起きるので、何回プレイしても飽きることがなかった。
そんな「パックランド」に隠された数々の裏技だが、後にメディアで紹介され、その全貌を初めて目の当たりにしたときの衝撃も、筆者は今なお忘れがたい。
筆者が最初に読んだ、本作の裏技が掲載された作品は、正式なタイトルは記憶していないが、講談社の月刊マンガ雑誌「コミックボンボン」に1985年頃に掲載された佐藤元氏のゲームマンガだった。
作中では、主人公の男性キャラ(佐藤氏本人かも?)が、本作の有名な裏技のひとつで、ステージ2からステージ9(トリップ3)にワープする裏技を実演するシーンが描かれていた。この裏技の存在自体は、筆者はゲーセンで他のプレイヤーが実践しているのを何度か見ていたので既に知っていた。だが、自身の好きなゲームが、しかも家庭用ではなく、アーケードゲームの情報が掲載されているのを知っただけでも、妙に嬉しかったことを今でもよく覚えている。
「コミックボンボン」以上の衝撃を受けたのは、ゲームファンの間では「ベーマガ」の略称でおなじみの「マイコンBASICマガジン」別冊として、1985年10月に電波新聞社が発行した「ALL ABOUT namco(オールアバウト・ナムコ)」だ。
本書は、歴代のナムコ製アーケードゲームの紹介および攻略記事などをまとめたもので、「パックランド」は全ステージのマップ写真と攻略パターンに加え、筆者が何回プレイしてもやり方がわからなかった、隠れキャラなどの各種裏技やバグに至るまで、こと細かく書かれていた。筆者は本書を初めて手に取った際に、今まで一度も見たことがないステージマップがズラリと並んだ誌面を見て「こんなにたくさんのステージがまだあったとは!」と、大いに興奮、感動したものだ。本書は高価だったので当時の筆者は買えなかったが、本書のコピーをゲーセンに持参したうえで、本作を遊んでいるプレイヤーを何度も見掛けた記憶がある。
「パックランド」は、ハムスターのアーケードアーカイブス版がNintendo Switch、プレイステーション4の両方で配信されており、今でも気軽に遊べるので実にありがたい。ちなみに「オールアバウト・ナムコ」も、2020年に再編集した「令和版」が発売されているので、本書の攻略情報を参考にしつつ、本作をプレイするのも一興だろう。
PS4版「アーケードアーカイブス パックランド」のページ
Switch版「アーケードアーカイブス パックランド」のページ
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