【特別企画】

【ドラクエ抱き合わせ】マンガで振り返るゲーム業界:「ドラゴンクエストIV」を“抱き合わせ強要”と題した新聞記事が掲載された日(1990年10月13日)

 1990年10月13日付の日本経済新聞で「公取委、6問屋に排除勧告『ドラクエ』抱き合わせ強要」と題した記事が掲載された。

 本新聞記事は、ゲームボーイ本体とファミコン用ソフト「ドラゴンクエスト(スクウェア・エニックス)」シリーズの最新作「ドラゴンクエストIV」の販売に際し、問屋が不人気ソフトを強制的に抱き合わせて小売店に卸していたことから、同年10月12日に公取委が排除勧告を出したことを報じたもの。この勧告に応じなかった株式会社藤田屋は、1992年2月28日に独占禁止法違反で排除措置命令を受けた。

当時について

 実は「ドラクエIV」が発売される以前から、ファミコンの「抱き合わせ」は各地で横行していました。

 ファミコン人気が高まり始めた1984年には、筆者の田舎にあったおもちゃ屋さんでは本体がなかなか入荷せず、たまに入荷したかと思ったら「本体とカセットの2本セット。2万○千円」などと書かれた状態でしばらくの間は売られていました。また「ドラクエII」、「ドラクエIII」などの人気タイトルでも「抱き合わせ」を行なう店舗あるいは問屋も存在しました。

 筆者も当時、なじみのおもちゃ屋さんで「ドラクエIV」を予約して買おうと思ったら、店員さんから「問屋さんから『抱き合わせ』にされちゃうのよ。ごめんね……」と言われてしまいました。余分なソフトを買わされるのはイヤなので、しかたなく発売日に「抱き合わせ」のない別の店に朝イチで遠路はるばる出掛け、行列に並んで買ったことを今でも鮮明に記憶しております。

 「ドラクエIV」以降はファミコンに限らず、ほかのハードでも「抱き合わせ」販売を見た記憶が筆者はありません。もしかしたら、このときの排除勧告および排除措置命令が、ゲームソフトの「抱き合わせ」撲滅の決め手になったのかもしれませんね。

「今日は何の日?」とは

 不定期に過去に起きたゲーム業界に関する出来事をマンガでふりかえるコーナーです。

絵:橘 梓乃

 すでにライターデビューから30年が経ちましたが、自身初となるマンガ企画を当GAME Watchにて担当させていただくことになりました。今後もゲーム業界の歴史をユル~く、かつ真面目にご覧いただけるネタをいろいろご用意したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

 ゲーム歴40年超のフリーライター。主な著書・共著は「ファミダス ファミコン裏技編」、「ゲーム職人第1集」、「デジタルゲームの教科書」、「ビジネスを変える『ゲームニクス』」、「ナムコはいかにして世界を変えたのか ゲーム音楽の誕生」など。2014年より日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表も務める。

テキスト:鴫原 盛之(フリーライター)