【特別企画】
【今日はなんの日?】マンガで振り返るゲーム業界:国産初の家庭用ゲーム機「テレビテニス」が発売された日(1975年9月12日)
2024年9月12日 00:00
エポック社が、国産では初となる家庭用ゲーム機「テレビテニス」を49年前の本日、9月12日に発売した。価格は19,500円。
本機は、1972年に世界初の家庭用ゲーム機として発売された「オデッセイ」を手掛けたアメリカのマグナボックス社とエポック社が技術提携をしたうえで開発された家庭用ゲーム機。2人対戦プレイ専用で、2個のパドルでバー(ラケット)を上下左右に操作して、スカッシュの要領でボールを打ち合うゲームで、画面はモノクロで得点表示もなかった(※得点は、本体中央部にあるアナログメーターをパドルで、つまり手動で集計する仕組み)。
インドアエンタメ総合誌「オトナファミ 2011年1月号(KADOKAWA)」によると、本機の販売台数は約1万台。映像はテレビの受信アンテナにUHF電波を送信したうえで表示する、今も昔も極めて珍しいワイヤレス方式だった。
筆者がビデオ(テレビ)ゲームの存在を初めて知ったのは、近所の駄菓子屋に置いてあった、いわゆる「ブロック崩し」系のアーケードゲームでした。その後、どこかのおもちゃ屋さんだったかデパートだったか、2人でボールを打ち合うタイプのゲームが店頭で動いているのを偶然見掛け、普通の家庭用テレビでゲームが動いているのに衝撃を受けた記憶がかすかに残っています。ただ、それが本機だったかどうかは、さすがに覚えていないですね……。
昔は家庭用ゲーム機がいずれも高価だったこともあり、誰もが持っている時代ではありませんでした。ファミコンが登場する1983年以前の記憶をたどってみても、筆者の友人で本機を持っていた人数はゼロで、1979年に任天堂が発売した「ブロック崩し」を何人かが持っていた程度。そんな状況だったので、筆者が「テレビテニス」という名前を知ったのは、発売されてからずっと後になってからです。本機は大ヒットしたとは言えないかもしれませんが、1975年9月12日は「日本の家庭用ゲーム機の誕生日」として、ぜひ記憶にとどめておきたいところです。
本稿の執筆にあたり古い資料を調べたところ、本機の登場を機に「TV-FUN model601」(トミー/1977年)、「TV-JACK1000」(バンダイ/1977年)、「カラーテレビゲーム9/15」(任天堂/1977年)、「ビデオカセッティ・ロック」(タカトク/1977年)、「Nationalテレビゲーム」(松下電器/1977年)「ビジコン」(東芝/1978年)など、各玩具、家電メーカーが相次いでゲーム機を発売していたことに改めて驚きましたね……。
不定期に過去に起きたゲーム業界に関する出来事をマンガでふりかえるコーナーです。
絵:橘 梓乃
すでにライターデビューから30年が経ちましたが、自身初となるマンガ企画を当GAME Watchにて担当させていただくことになりました。今後もゲーム業界の歴史をユル~く、かつ真面目にご覧いただけるネタをいろいろご用意したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!
ゲーム歴40年超のフリーライター。主な著書・共著は「ファミダス ファミコン裏技編」、「ゲーム職人第1集」、「デジタルゲームの教科書」、「ビジネスを変える『ゲームニクス』」、「ナムコはいかにして世界を変えたのか ゲーム音楽の誕生」など。2014年より日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表も務める。
テキスト:鴫原 盛之(フリーライター)