【特別企画】
これがHD-2Dの「ドラゴンクエストIII」だ! 新しいアリアハン大陸を旅してみた
フルリメイク作として、これ以上にない出来
2024年7月11日 07:00
- 【ドラゴンクエストIII そして伝説へ…】
- 11月14日 発売予定
- 価格:7,678円(税込)
スクウェア・エニックスが11月14日に発売するプレイステーション 5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch/PC用RPG「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」(以下、「ドラゴンクエストIII」)。発売まであと4カ月もあり、「早くプレイしたい!」とやきもきしている人も多いだろう。
「ドラゴンクエストIII」は、ロト3部作の最終章であり、ロトの勇者の物語がスタートする時系列に位置する作品でもある。それまでの初代「ドラゴンクエスト」、「ドラゴンクエストII 悪霊の神々」とは異なり、現実世界のような大陸配置を持つ広いワールドマップ、そして「ドラゴンクエスト」、「ドラゴンクエストII」をプレイしたプレーヤーに驚きを与えるタイトルになっていた。
ファミコン版「ドラゴンクエストIII」が発売されたのは1988年2月10日で、40代以降であれば、ソフトを買うために朝早くから並びに行ったり、なかなか手に入らなかったという思い出を持つ人もいるのではないだろうか。筆者も同じで、発売日に朝から並んだものの、列の5人前で打ちきりという悲劇が起きた。そして2回目の入荷時には徹夜で販売店に並び、ようやく手に入れられた。並んでいた人たちと妙に連帯感があり、「ドラクエ」談義に花が咲いた思い出だ。筆者としては、「ドラゴンクエスト」シリーズの中でも一番好きな作品である。
そんな思い入れたっぷりの「ドラゴンクエストIII」が、HD-2D版で蘇る。今回、アリアハン大陸のみではあるが、プレイステーション 5版を事前にプレイする機会を得たので、HD-2D版でどのように変わっているのか、本記事で紹介していこう。なお以下に掲載するスクリーンショットは全て開発中の画面であることをお断りしておく。
変更点その1:3Dが美しい
これまでのリメイクや移植作とHD-2D版がどのように異なるかといえば、一番大きいのはダンジョンや町、城の中の表現だろう。これまでの町やダンジョンの中は、マップを俯瞰する視点で天井が用意されていたのだが、今回は立体的に表示されるため天井はない。ちなみにルーラを唱えても天井に頭をぶつけることもなくなった。
「ドラゴンクエストIII」が変わったのは疑似3D的表現だけではない。例えばレーベの村の南にあるナジミの塔への入り口はほこらのようになっているし、細かい表現のブラッシュアップがなされている。
「ドラゴンクエストIII」には昼と夜の概念が存在するが、この演出も細かくなっている。フィールドで夜を迎えると、例えば城や、城下町にある家に明かりがともる光景のほか、街中も街灯に灯がともったりしてとても美しい。
作品全体が立体的なので、フィールドについても俯瞰視点で、そこに建っている城や木、湖、川が奥行きを持って表現されている。またワールド内にはアイテムが落ちていることもあり、その場合はアイテムがキラキラして落ちているようになっているためわかりやすい。
戦闘シーンも3Dで、エンカウント時には画面が切り替わり魔物が現われる形からスタートする。いったんパーティメンバーが表示されてコマンドを入れたあと戦闘演出が繰り広げられる。呪文を使うと、例えばギラであればグループ全体に炎が回って敵を燃やすなど、非常に美しい。
変更点その2:プレーヤーに優しい親切設計
メニューを開くとパーティメンバーのHPやMPが表示される他、例えば「『とうぞくのかぎ』を手に入れよう」のように、何をしなければならないかがメニュー右に表示されるので、レベル上げをしていて「あれ? 何をするんだっけか」と忘れた場合でも、やることがわかるようになっている。また、右上には常にマップが表示されており、ダンジョンの中でもどこに行けばいいのかわかる仕様だ。
加えてHPが少なくなって回復したい場合、メニューを開けばすぐに△ボタンの長押しで「ほぼまんたん」が実行できるのは便利だ。加えて、レベルアップした際にはHPとMPが全回復する。やっとレベルアップしたと思ったのに、HPが少なくてやられてしまうというつらい事態も起こらない。レベリングしている際には、強い敵が登場する、町や城から遠く離れた場所にいるか、ダンジョンの深い位置にいることが多いからだ。
あとは、タルやツボの中から見つかるアイテムが多めになっていた。アイテムはフィールドにもいろいろと用意されており、序盤で重要になるやくそうやキメラのつばさといったアイテムが多くドロップされるので、冒険には役立つ。
ナジミの塔でとうぞくのかぎを手に入れたあとは一気にストーリーが進んでいく。いざないの洞窟にたどり着いたら、旅の扉へと進み、次の大陸へと舞台が変わっていく。
これまでの体験とは全く違う「ドラゴンクエストIII」
今回ご紹介できるのはここまでだ。プレイ全体を通して感じたのは、今までの「ドラゴンクエストIII」と全く違う「ドラゴンクエストIII」であるということ。平板なマップ、ダンジョン、町、ほこらといったストラクチャーに、3Dによる体験が新たな風を吹き込んでいる。しかしストーリーや登場人物はしっかりと「ドラゴンクエストIII」しており、昔の記憶をたどりながらプレイすることができた。HD-2Dのフルリメイクとして、これ以上にない出来であると感じた。
そして東京都交響楽団による音楽も素晴らしい。「おおぞらをとぶ」が流れたら絶対に涙するし、最後の「そして伝説へ」が流れても涙するだろう。すぎやまこういち先生がご存命の時、何度か「ドラゴンクエスト」のコンサートに取材でおじゃましたことがある。その時の先生はとても穏やかで「このポーズがいいかな」と、指揮棒を広げている姿を写真に収めたときも懐かしい。先生もきっと、本作を喜ばれていることだろう。
いままで発売されているリメイクや移植版を遊んでいる人はもちろんだが、ファミコン版「ドラゴンクエストIII」をプレイしていた人だけでなく、新しく「ドラゴンクエストIII」を遊ぶという人にとっても、ロト3部作の発端を描いている本作は、とても楽しめるものになっていると思う。「ドラゴンクエスト」シリーズの入門編としては、これ以上にない作品だ。11月が早く来ることを期待してやまない。
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※画面写真はすべてプレイステーション 5版の開発中のものです。