【特別企画】
「龍が如く7外伝 名を消した男」プレイレポート。名前は捨てられても生き様は捨てられない桐生一馬の物語にしびれる
2023年11月6日 16:12
- 【龍が如く7外伝 名を消した男】
- 11月9日 発売予定
- 価格:5,940円
セガは、プレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC用アクションアドベンチャー「龍が如く7外伝 名を消した男(以下、龍が如く7外伝)」を11月9日に発売する。価格は5,940円。
本作はそのタイトルの通り、「龍が如く7 光と闇の行方(以下、龍が如く7)」で描かれなかったストーリーとして、これまでのシリーズ作品でメインの主人公だった「桐生一馬」が「龍が如く7」と同じ時期に何をしていたのかが描かれる。
桐生一馬は「龍が如く6 命の詩。」のエンディング以降、どこで何をしているかが公式には発表されてこなかった。だが、そんな桐生一馬がナンバリング次回作「龍が如く8」に登場することはすでに発表されている。この隙間を埋めるストーリーが描かれるのが、今作「龍が如く7外伝」だ。
詳細は本文で触れていくが、桐生一馬は「龍が如く6」で自らの死を偽装し、自身の名を隠し、裏世界で暗躍する組織のエージェントの一人「浄龍」として過ごしている。だが名前を捨て、桐生一馬としての未来が捨てられても、彼の持っている人情深さや、優しさ、そして生き方、それは捨てられなかった。彼の葛藤と登場人物たちの様々思惑が絡まって生まれる人間ドラマ、それが本作の1番の魅力である。
今回は発売に先駆けてゲームの序盤部分をプレイできたので、その部分のレポートをお届けする。
空白の時間に桐生一馬がどこで何をしていたかが描かれるストーリー
筆者が本作でもっとも魅力的に感じた点、それはストーリーだ。
「龍が如く」シリーズは、伝説の極道「桐生一馬」と、彼を中心とした登場人物達の人間ドラマが描かれてきた。彼の物語は、2005年に発売された初代「龍が如く」から1本の線で繋がってきた物語である。「龍が如く7」では一旦主人公を譲ったが、それでも彼の圧倒的な存在感と魅力は色褪せなかった。そして既報の通り「龍が如く8」にも桐生一馬が登場することが明らかになっている。それもハワイという場所での登場だ。
「龍が如く7外伝」、そして「龍が如く8」のトレーラームービーを含めいくつかの情報は公開されているが、依然その間を埋めるストーリーの詳細は明らかになっていない。その間を埋めるストーリーが本作で描かれる。
本作の序盤のストーリーを簡単にまとめる。桐生一馬は「龍が如く6」のエンディングで死を偽装し、コードネーム「浄龍」として、「大道寺一派」という組織に属するエージェントとして活動している。だがある罠にハメられ、関西の極道組織「近江連合」から、大道寺一派を裏切り、近江連合に力を貸すように脅される。そう簡単に断れる状況にはないところだ。
この時点まででも注目したい点は非常に多いのでひとつひとつ見ていこう。
まずは本作のタイトル画面だ。繰り返しになるが本作は「龍が如く7外伝 名を消した男」である。そうなると大きく「龍が如く7外伝」という文字が入り、「名を消した男」はサブタイトル的に入るのが通常考えられるデザインだろう。
だがタイトルに大きく「名を消した男」がアピールされているのが本作の特徴だ。これは「あくまでも『龍が如く』の物語ではあるが、重きを置いているのは『名を消した男』という部分である」という開発陣からのメッセージではないだろうか。もしこの仮定が正しいとした場合、そこにはどのような意図が込められているのか。筆者は「名を消した男が未来に希望を持てず、ただただ毎日を過ごしていく。そんな時に桐生一馬がどうするか」を描きたかったのだと考える。
本作をプレイして感じたのは、何もかもを捨てた桐生一馬にも、彼のコアにある優しさ、人情厚さ、義理を大切にしたり、筋を通すことに重きを置くという部分は捨てられなかったのだな、ということだ。
その性格や行動が故に本作でもややこしい展開に巻き込まれていく。例えば、養護施設「アサガオ」の子供達はもちろん、大道寺一派で桐生を管理する管理者の花輪喜平、そしてある意味桐生をハメようとした近江連合の鶴野裕樹。「どれかを捨てればもっと楽にこの先過ごせるのに……」と思うのだが、そんな選択をとれないのが桐生一馬という生き方だ。桐生一馬としての人生を捨てたが、悩みながらも自分のコアを失わずに生きていく。そこに本作が描くストーリーの強い魅力を感じた。
新しい戦い方ができる「エージェント」というバトルスタイルに注目
そしてバトルのアクション面、特に本作のバトルスタイルにフォーカスを当てて深掘りしていきたい。
本作のジャンルは、過去の「龍が如く」シリーズで採用されていた「アクションアドベンチャー」を採用している。バトル部分は派手なアクションを楽しめ、ストーリーを楽しんだり、街を探索する要素はアドベンチャーを楽しめるというゲームだ。
今回プレイできるキャラクターは伝説の極道「桐生一馬」。バトル部分では直感的にボタンを押すだけでバトルができ、ノーマル程度の難易度で雑魚敵ならいわゆる“ガチャプレイ”でも充分に戦える。とはいえ難易度が上がったり、ノーマルでも中ボス以上の敵キャラクターになると、攻撃だけでなくガードや回避を意識した立ち回りが必要になる。そこのバランス感も本作を楽しめるポイントだ。
そういったバトルの楽しさはもちろん本作にも受け継がれている。その中でも本作ならではの特徴がガジェットを出して戦える「エージェント」というバトルスタイルの存在だ。
バトルスタイルとは、キャラクターの戦闘スタイルを変更できるシステムで、過去のいくつかの作品でも登場した。イメージとしては、華麗に攻撃を繰り出すスピードタイプか、一撃一撃に重きをおいたスタイルかを1キャラクターの中でもさらに選べるという感じだ。
そのバトルスタイルが本作にも登場するが、本作では、新感覚のバトルスタイル「エージェント」と「応龍」という2つのバトルスタイルが選択できる。
「応龍」の方がシリーズファンにはイメージしやすいと思う。一言で言うとこれまで伝説の極道として戦ってきたケンカアクションの進化形というスタイルだ。パワー系で、動きのペースはゆっくりとしているが、一撃一撃が重め。確実に敵を殴り、蹴りダメージを与えていく。チャージ攻撃もあり、しっかり溜めて攻撃するとさらに一撃が重いというスタイルだ。概ねこれまでのケンカスタイルからは大きく変わっていないので、シリーズファンにも、はじめて本作で「龍が如く」シリーズに触れるというプレーヤーにも使いやすいだろう。
インパクト抜群でユニークなのが、もう1つの「エージェント」スタイルだ。
前項でも述べたとおり、今作では桐生一馬は大道寺一派という日本の裏社会で暗躍する組織に所属するエージェントとして活動をしている。そんなエージェントとして身につけた戦い方が「エージェント」というバトルスタイルだ。このスタイルはフィクションに登場する“スパイ”をイメージされたものなのかもしれない。というのもスパイが使いそうなガジェットを使いながら戦っていくスタイルだからだ。
エージェントスタイルで使えるガジェットは、ワイヤーで敵を拘束したり、遠くに落ちている武器を掴んで引き寄せる「蜘蛛」、靴から吹き出すジェット噴射で高速移動する「蛇」、ドローンを呼び出して敵を攪乱する「蜂」、小型爆弾で敵を吹き飛ばす「蛍」の4つがある。これらは戦闘中に対応するボタンを長押しすることで使用でき、基本的には戦闘中にいつでも使える。
筆者が最も使ったガジェットは「蜘蛛」だ。使い勝手も良く効果も強力で、特に雑魚戦ではお世話になった。まず敵を縛ってしまえばその時点でワイヤーが解けるまでは行動を封じられる。そのままにして別の敵を相手してもいいし、拘束した敵を振り回して遠くに飛ばすのもいい。そうすると確実にダウンが奪える。多くの敵に囲まれている状況でも、とりあえず1体を拘束してダウンを奪ってしまえば、起き上がってくるまでは攻撃されることはないし、ダウンしている敵に追撃を加えることもできる。攻守ともに使いやすいガジェットという印象だ。
続いて面白かったのが「蛇」だ。靴から吹き出すジェット噴射で高速移動ができる。ある程度離れている敵に距離を詰めたり、逆に少し距離を取ることもできるので、上手く使いこなせればかなり有用な立ち回りになりそうだ。一方、独特な慣性のようなクセが効いており、小回りの効いた移動や、的確に思い通りの場所に移動するような操作はなかなか難しい印象だった。使いこなせると面白そうなので、このガジェットには今後戦闘を繰り返しながら慣れていきたい。
「蜂」はドローンを呼び出して敵を攪乱するガジェットだ。ボタンを長押ししていると複数台のドローンを呼び出し、敵の方向に自動で飛んで行き攪乱できる。そして「蛍」はたばこ型の小型爆弾をポイッと投げてそこが爆発するガジェットになっている。
ちなみに、戦闘中はいつでもバトルスタイルの変更ができる。「エージェントか「応龍」の特にどちらかだけを極める必要はない。好きなタイミングで好きなように戦う。それもまた本作のバトルの楽しさの1つだ。
「赤目ネットワーク」と「闘技場」で本作を深く楽しもう
最後に本作の新要素についても紹介する。
まずは「赤目ネットワーク」というシステムだ。これは街中で困っているNPCを助けることで「赤目ポイント」と「お金」がもらえるというシステムだ。ミニマムなクエストをイメージしてもらえればと思う。
助ける内容はいくつかのパターンがあり、「襲われているから助けてほしい」というものや「こういうアイテムが欲しいから持ってきてほしい」、「近くに落とし物をしてしまったので探して持ってきてほしい」などだ。どれもひとつひとつはそれほど難しい内容ではない。
赤目ポイントとお金は、キャラクターの強化に使用するので、マメに受けて依頼を達成していったほうがいいだろう。筆者は最初街に出現する雑魚敵を倒してお金を稼いでいたのだが、お金を稼ぐ効率ではこちらの方がダントツで効率的だったし、赤目ポイントも貯められるので、むしろこちらの依頼をこなしていくのがキャラクターの成長への近道だと感じた。
そしてもう一つが「闘技場」だ。ここでは浄龍がソロで敵と戦っていく「TOURNAMENT」と「ZIGOKU RUMBLE」、そして複数人でチームを組み戦う「ZIGOKU TEAM RUMBLE」といった複数のモードがある。
やはり印象的なのは「ZIGOKU TEAM RUMBLE」だ。まずチームを組んで戦うというのが面白い。チームを組んで戦うミニゲームというと「龍が如く6」に登場した「クランクリエイター」を思い浮かべる読者の方もいるかもしれない。確かに仲間を集める、仲間とチームを作るという意味では似ている部分もある。だが遊びとして見ると全く異なるものになっている。
最も大きな違いは、この遊びはプレーヤーが操作するバトルというところだ。プレーヤーは浄龍ではなく、あくまでもチームに参加する1人のキャラクターとして参戦する。そのため、より仲間との共闘感が感じられるのもそうだし、シンプルにアクションゲームとしての楽しさもある。
今回はストーリーの都合上、最小限の仲間の構成だったが、ゲームを進めていくと「サブストーリー」や他のなんらかの方法でも仲間たちが増えていくのだろう。そこを含めて今後ゲームを進めるのが楽しみだ。
今回は大きく取り上げていないが、アドベンチャー面ではキャバクラが実写化されたり、これまでも何度か登場した「ポケサー」というアクティビティなども楽しめる。これらをじっくりとやりこむと今作もたっぷり遊べそうな印象だ。
年明けすぐの2024年1月26日には「龍が如く8」が発売される。そこまでに浄龍としての人生を送っている桐生一馬の空白の時間を体験し、発売に備えたいところだ。
(C)SEGA