【特別企画】

「鉄拳8」新キャラ「アズセナ」をチェック! トリッキーなステップで相手をコーヒー豆のようにブレンド

【鉄拳8】

2024年1月26日 発売予定

価格:9,680円~

 バンダイナムコエンターテインメントは、2024年1月26日発売予定であるプレイステーション 5/Xbox Series X|S/Steam用3D対戦格闘ゲーム「鉄拳8」において、「クローズドベータテスト(以下、CBT)」を10月20日17時より10月23日16時まで開催した。

 「鉄拳」シリーズは、1994年12月にゲームセンターで第1作「鉄拳」を稼働開始した3D格闘ゲームシリーズ。前作「鉄拳7」は2015年に稼働を開始したので、「鉄拳8」は約9年ぶりの新作タイトルとなる。

 7月に行われた「クローズドネットワークテスト(以下、CNT)」では、基本操作や新バトルシステムに関するチュートリアルと、オンラインでランキングを争う「ランクマッチ」でのプレイのみが可能であったが、今回のCBTではこれらに加え、段位を気にせず即座に対戦が楽しめる「クイックマッチ」や、アバターを作成し、他のプレイヤーとチャットや、フレンド申請など交流を行ったり、その場にいるプレイヤーと対戦ができる「TEKKEN FIGHT LOUNGE」、プレイヤーの動きを学習したAIとの対戦が行える「ゴーストと対戦」機能、エフェクトの輝度やグラフィック設定、マッチングにおける異機種との対戦の可否の設定などを行える「OPTION」機能が利用可能となった。

 また、CNTで使用できた16キャラクターに加え、今回のCBTでは過去作から復活参戦が決定した「レイヴン」、前作から引き続き参戦する「フェン・ウェイ」、そして今作初参戦の新キャラクター「アズセナ・ミラグロス・オルティス・カスティーリョ(以下、アズセナ)」の3キャラクターが使用可能となり、計19キャラクターで対戦を楽しむことができた。そしてステージも新ステージ「Ortiz Farm」を加えた6ステージでのテストとなった。

 今回は「鉄拳8」から新たに参戦したキャラクター「アズセナ」の操作レポートを中心とし、またオンラインでのプレイヤーとの交流ができる「TEKKEN FIGHT LOUNGE」、プレイヤーの動きを真似たAIとの対戦行える「ゴーストと対戦」機能の情報も加えてお伝えしたい。

 なお今回のCBTは、オンラインのゲームプレイを通じて、大規模オンラインビジュアルロビー「TEKKEN FIGHT LOUNGE」での他プレイヤーとのバトルマッチングやコミュニケーションと、本作のバトルコンセプトである「アグレッシブ」な新バトルシステムをテストするというのが目的であるため、今後ゲームバランスやTEKKEN FIGHT LOUNGEでの仕様が変更される可能性があることはご理解いただきたい。

【TEKKEN 8 - 発売日告知トレイラー】

CNTから「対戦バランス」も見直し。共通システムの変更点を解説!

 今回のCBTでは、対戦バランスもCNTから変化があった。

 一部を抜粋すると、キャラクターを強化状態にするヒートバースト(ヒート発動可能状態でRP+LK or R1)に上中段攻撃を耐える効果(パワークラッシュ性能)を追加することで防御から一転して攻めに転じることが可能になった。また、ヒート持続中、攻撃をガードされてもヒートタイマーが減少するように変更され、ヒート状態が早く解除されるようになった。

 さらに、初心者向けに新たに実装された操作簡素化システムである「スペシャルスタイル」も改良が行われた。CNT時点では出せる技が少ないという印象を感じていたが、方向キーを入力せずに、〇、□、△、×(PS5版でのボタン設定)で発動する技の見直しと調整、□で出せる「得意技」のバリエーションを拡張し、方向キー(←、↓、→)との組み合わせで複数の技を選んで出せるようになった。同様に〇で出せる「下段攻撃」も、方向キー(←、↓、→)との組み合わせで、別の下段攻撃や投げ技など、複数の技を簡単な操作で出せるように大幅な見直しが行われている。技数が少ないキャラクターでも90種類前後、多いキャラクターならばその2倍以上の技が存在するこのゲームにおいて、簡単操作でも多数の技が使えるようになったことは嬉しいアップデートだ。

総合格闘技で闘う新キャラクター「アズセナ」の性能をチェック!

 今作から参戦する「アズセナ」は、総合格闘技を使うキャラクターである。公式PVでは、相手の攻撃をスウェーなどで避けている様子が特徴的に描写されていたが、これはこのキャラ特有の構え動作である「リベルタドール」を用いたものだ。

 リベルタドールは、方向キー前+両キックボタン同時押しで発動できる。また、特定の打撃技から方向キーを入れるとで任意で、一部の技は強制的にリベルタドールへと移行する。リベルタドール中に相手から上段攻撃、あるいは下段攻撃を受けると、自動的に回避したり、下段攻撃であれば自動的に反撃を行う。さらに投げ技も上段攻撃と認識されるようで、相手に投げられる前に自動で回避を行っていたのには筆者も驚いた。

 こうして聞くと非常に強力な構え動作ではあるが、もちろん欠点も存在する。それはリベルタドール中は中段攻撃に対しては完全に無防備であるという点だ。リベルタドール中に相手が中段攻撃を使ってきた場合には、派生技で相手の攻撃を受け止めながら攻撃できるエルニーニョハイキック(リベルタドール中に左キックと右キックを同時押し)を使うことになるだろう。

構え動作のリベルタドール。この状態で相手の上段攻撃を受けると自動的に回避行動を取る。受けた攻撃が下段攻撃の場合は自動的に反撃まで行う
キャラクターの性能が上昇するヒート中では、攻撃からリベルタドールに移行できる技が増えたり、リベルタドールを使用すると高速移動で相手に接近しつつ構えるといった機能が追加されるようだ

 ここまで聞くと、一見防御的な行動がメインの使用法になりそうだが、ランクマッチで使用してみたところ、そうでもなさそうだ。というのも、リベルタドールを見てから中段攻撃を行うプレイヤーが想像以上に多い。リベルタドール中は中段攻撃をガードできないことが災いして、相手の大技を被弾してしまうというのが度々発生した。

 ではリベルタドールを封印してプレイするのかと言われたらそうではない。リベルタドール中には強力な打撃技に派生することができるので、それを使って相手のガードを崩したり、コンボを決めるための布石を打つといった攻撃的な使用方法が筆者の戦術のメインとなった。

筆者が多用したのがリベルタドール中に出せる下段蹴りのブレンドコルタール。発生の早い下段攻撃で、ノーマルヒットでもダウンを奪えるため、ガードを揺さぶる布石となった
リベルタドール中に出せるアサービクローキック。こちらも発生の早い下段攻撃でガードを揺さぶる手段として有効。こちらは強制的に背向け状態になるので、背向け状態から再度中下段の2択を仕掛けてといった多彩な攻めが構築できる

 そして、一部の攻撃からはリベルタドールではなく、相手に背中を向ける行動が一定数あるのもアズセナの特徴だ。ここから出せる派生技によっては正面を向き直しつつ、強制的にリベルタドールへと移行する技もあるため、どの攻撃を行うとリベルタドールへ移行するのかを理解する必要がある。

 さらにリベルタドールから出せる技にも強制的に背向け状態になる技が存在する。相手を撹乱することが可能だが、アズセナを扱うプレイヤー自身も混乱しないよう技性能の理解をしておく必要があるだろう。

背向け状態からの選択肢が豊富なのもアズセナの特徴。下段攻撃のカーフリーパーは攻撃後正面に向き直した後、リベルタドールへ移行する
背向け状態から常に下段攻撃を仕掛けていては相手に行動を読まれてしまう。その際はしゃがみガードでは防げないカパック・ニャンのような中段攻撃を用いて相手のガードを揺さぶる

 総合格闘家である彼女だが、戦闘スタイルに総合格闘家(ストライカー)とある。ストライカーとは総合格闘技の世界で、打撃技を中心として闘う選手のことを指す。対となる言葉として主に投げ技、関節技、寝技などの組み技を得意とする選手をグラップラーと呼ぶのだが、そのためか、打撃技の手数の多さに反して、投げ技に関してはそこまで特色があったり、多彩な技を所持しているわけではなさそうだ。

 とはいえ、総合格闘家らしく、関節技で特殊な性能を持っている技が存在した。それがUFOロールだ。

 「鉄拳」では、相手に投げ技を仕掛けられた際、掴まれた直後に投げ技を回避する攻撃ボタンをタイミングよく押すと、投げ技を回避できるというのが昨今の基本ルール。だがUFOロールは、掴まれてしまったら必ずダメージを受けるというガードを崩す手段として強力な性能を誇る。

 ただし、相手がしゃがみ状態の場合は、ガードをしていなくても自動で回避され、かつアズセナが逆にダメージを受けてしまうという特殊な性能を持っている。

こちらはUFOロールを立ち状態の相手に決めた状態。発生は早くはないが、決まれば相手の立ちガードを崩しつつ、リベルタドールへ移行する
一方、こちらはUFOロールをしゃがみ状態の相手に当てた場合である。自動で回避された上、反撃されアズセナがダメージを受けてしまう

 以上のことから、基本的には手数の多い打撃技で攻撃的に戦い、たまにリベルタドールの自動回避などで相手が攻撃してよいか躊躇させるというのがこのキャラの特徴を生かした戦い方となるだろう。

 過去作品で言えば、「鉄拳7」に参戦したキャラクター「ジョシー」の戦い方に近いと感じた。前作で彼女を使用していたプレイヤーには特におすすめしたいキャラクターだ。

 最後に、アズセナを使用して、友人の「鉄拳」プレイヤーとオンライン対戦を行った動画を御覧いただきたい。これがアズセナを使用しようか考えている皆のヒントとなれば幸いである。

【アズセナ vs 準 その1】
【アズセナ vs 準 その2】

世界中のプレイヤーと交流! 「TEKKEN FIGHT LOUNGE」を体感

 続いて、今回のCBTで新たに実装された「TEKKEN FIGHT LOUNGE」の体験レポートをお届けしたい。

 昨今の格闘ゲームでは、オンラインでの交流を円滑に行える仮想のゲームセンターのようなモードが実装されるものが多々存在している。「鉄拳8」でも、その影響を受けてか、過去作にはなかった大規模なプレイヤーとの交流サーバーが設けられている。それが「TEKKEN FIGHT LOUNGE」である。

 まず初プレイ時には、「TEKKEN FIGHT LOUNGE」で自身の分身、アバターを制作する。アバターのパーツの種類は非常に豊富で、個性あるキャラクターを作成することができる。また、いくつかのパーツはオンライン対戦等を行うことで手に入るゲーム内通貨を使用して購入することもでき、オンライン対戦の意欲を掻き立ててくれる。

過去作の鉄拳シリーズでは、ファイターの見た目を大きく変化させる自由度の高さが魅力的だったが、これもアバターカスタマイズに活かされていると感じた

 アバターを制作し終えると、いよいよサーバーを選んで「TEKKEN FIGHT LOUNGE」へ入場することとなる。

 サーバーは日本、韓国、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなど世界各地のサーバーがあり、このゲームが世界的な人気を誇る格闘ゲームであることを感じさせた。

 今回のCBTではその一部機能のみが使用可能であり、アバターのカスタマイズを再度行える「カスタマイズエリア」、サーバー内のプレイヤーとの対戦が行える「バトルエリア」が利用可能だった。

CBT中のアメリカサーバーの様子。多くのプレイヤーが筐体で対戦している様は実際のゲームセンターに居るかのような雰囲気だった

 また、今回は利用は不可能だったが、実装予定のある場所への行き来は可能であった。例えば、家庭用「鉄拳3」で隠しモードとして存在したミニゲーム「鉄拳ボール」をオンラインで対戦できるエリアが存在していたのには往年の鉄拳ファンなら感動ものだろう。

 そして個人的に感激したのが、「TEKKEN DOJO」なるエリアの存在だ。機能に関するヘルプメッセージを読んだところ、通常のプラティクスモードが遊べるだけでなく、今後はオンラインを通じて世界中のプレイヤーとここでオンラインでプラティクスが可能になるようだ。

 「TEKKEN FIGHT LOUNGE」ではテキストチャットを個人宛に送ることもできるので、これを活かすことで世界中のプレイヤーにコーチングを受けることも容易だろう。今後の機能の拡張に期待したい。

プレイヤーの動きをAIが高精度で再現した「ゴーストと対戦」を体験!

 そして最後に今回のCBTでプレイ可能になった「ゴーストと対戦」機能を紹介したい。

 この機能は、プレイヤーのプレイスタイルを反映させたゴーストデータと対戦を行えるというもの。オンライン対戦を3試合以上行ったアカウントは、AIがそのプレイヤーのプレイスタイルを分析し、その特徴を反映させたデータを作成する。他のプレイヤーのデータを閲覧すると、そこからそのプレイヤーのプレイスタイルを反映させたゴーストデータとランキングの変動しない対戦が行える。

 この機能はCBT時点では自分のデータとは対戦できなかった。他のプレイヤーと接触を図る必要がある。

ゴーストバトルを行うには、まず対戦したいゴーストデータを所持しているプレイヤーに接近する必要がある
続けてAボタン(Steam版の場合)を押すと、そのアバターのプレイヤーデーターを閲覧できる。そのプロフィール欄に「ゴーストと対戦」という項目があるので、これを選択すると相手のゴーストデータが閲覧できる

 今回、予め同じプレイヤーと対戦して、その後にゴーストデータと対戦してその動きを比較しようと試みた。

 まずはゴーストデータ元のプレイヤーとのオンライン対戦の動画をお送りする。筆者は「アズセナ」を使用、対戦相手は「キング」を使用した。

【アズセナ vs キング】

 そしてこちらが、同一のプレイヤーの「キング」の動きを学習したAIとの対戦動画である。

【ゴーストとの対戦】

 特徴として感じたのが、ゴーストのキングがプレイヤーの癖である「相手より先に行動可能になる技をガードさせてから、投げ技でガードを崩す」、「難しいコマンドの投げ技を本人と同様に正確に入力できる」ということを正確に再現できていることだ。

 ここまで再現性の高いゴーストデータとの対戦はなかなか昨今の格闘ゲームでも見られないのでたいへん驚いた。

 しかし、アーケード版「鉄拳5」、「鉄拳6」、「鉄拳タッグトーナメント2」などのCPU戦において、対戦相手に全国のプレイヤーの動きを反映したゴーストデータを採用していた「鉄拳」チームだからこそ、過去のノウハウの蓄積からここまで昇華させることができたのであろう。

 現在はプレイヤーが「TEKKEN FIGHT LOUNGE」で遊んでいるときに近寄ることでしかゴーストとの対戦は行えないが、これがフレンドリストや、フォローリストを経由していつでもゴーストデータを呼び出して対戦ができるようになれば、キャラクター対策や、ライバルの癖を研究、世界中の猛者たちと模擬戦を行うなどが気軽に行えるようになる。無限の可能性を感じる機能だったので、今後も見逃せない機能だと感じた。

 総じて、CNTからCBTに向けて新しく追加されたキャラクター、モード、機能はどれも9年ぶりの完全新作を期待させるものだった。

 また、今回ゴーストとの対戦機能を実施するため、対戦動画の収録や、機能の確認の協力を快諾してくれた群馬県で精力的にe-sportsの普及活動をプライベートで行っているばーすと氏(@eddy_lei_tag)に、この場を借りてお礼申し上げたい。